社説 宇宙作戦隊 安全がかえって遠のく | 信濃毎日新聞[信毎web]
斜面
人は生きるために何かを失い、犠牲にしている。英映画「風をつかまえた少年」にその葛藤を象徴する場面がある。アフリカの最貧国マラウイが舞台。干ばつで飢饉(ききん)に陥った村に井戸から水を引くため14歳の少年が風力発電を思い立つ
◆
授業料が払えず退学になっても図書館で勉強を続けた。材料は廃棄場から調達した。発電機を回す肝心の車輪がなく、少年は「父さんの自転車を使わせて」と訴える。生活に不可欠な移動手段である。畑を耕すのに疲れ果てていた父親の怒りが爆発する
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「ガラクタは捨てて畑を耕せ」と。父親は1日1食と決めて家族を守るために自分はろくに食べていなかった。突き飛ばされた少年は諦めない。苦悩した父親はやがて…。実話に基づく作品である。少年のモデル、ウィリアム・カムクワンバさん(31)が映画の公開に伴い来日した
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日本は放置自転車があふれ、売れ残り食品が大量廃棄されている。あれも、これもと望めば手に入り、世界中でモノとエネルギーが大量消費されている。それは気候変動の影響を受けやすいマラウイのような貧しい国々の犠牲の上に成り立っていないか
◆
スウェーデンの16歳、グレタ・トゥンベリさんが国連気候行動サミットで涙ながらに各国首脳に訴えた。「あなたたちが話すのは金と永遠の経済成長というおとぎ話だけ」。果てしない欲望が犠牲を未来や途上国に押しつけているとの問題意識に共感する。カムクワンバさんも同じだろう。
(9月26日)
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授業料が払えず退学になっても図書館で勉強を続けた。材料は廃棄場から調達した。発電機を回す肝心の車輪がなく、少年は「父さんの自転車を使わせて」と訴える。生活に不可欠な移動手段である。畑を耕すのに疲れ果てていた父親の怒りが爆発する
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「ガラクタは捨てて畑を耕せ」と。父親は1日1食と決めて家族を守るために自分はろくに食べていなかった。突き飛ばされた少年は諦めない。苦悩した父親はやがて…。実話に基づく作品である。少年のモデル、ウィリアム・カムクワンバさん(31)が映画の公開に伴い来日した
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日本は放置自転車があふれ、売れ残り食品が大量廃棄されている。あれも、これもと望めば手に入り、世界中でモノとエネルギーが大量消費されている。それは気候変動の影響を受けやすいマラウイのような貧しい国々の犠牲の上に成り立っていないか
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スウェーデンの16歳、グレタ・トゥンベリさんが国連気候行動サミットで涙ながらに各国首脳に訴えた。「あなたたちが話すのは金と永遠の経済成長というおとぎ話だけ」。果てしない欲望が犠牲を未来や途上国に押しつけているとの問題意識に共感する。カムクワンバさんも同じだろう。
(9月26日)
最近の斜面
- 人は生きるために何かを失い、犠牲にしている。英映画「風をつかまえた少年」にその葛藤を象徴する場面がある。アフリカの最貧国マラウイが舞台。干ばつで飢饉(ききん)に陥った村に井戸から水を引くため14歳の少年が風力発電を思い立つ…(9月26日)
- 運動中に水を飲むな、寝る間を惜しんで勉強しろ―。そう教えられ正しいと信じたやり方が、やがて逆転するのはよくあることだ。記憶の定着には十分な睡眠が大事と知られるようになり、受験勉強の指導法が変わったのも一例だろう…(9月25日)
- アオウミガメの性別はふ化した時の気温で決まる。温度が高いと雌で、低いと雄になる。温暖化による気候変動の影響なのか、オーストラリアの研究者チームによると、同国北部沖のサンゴ礁に生息する大多数が雌になっているという…(9月24日)
- 植物学に詳しいエス博士の家を友人のアール氏が訪ねた。教えてもらいたいことがあったからだ。前年夏の訪問時、郊外にある家なのにハエや蚊に悩まされなかった。後で考えると不思議で、訳を知りたくて我慢できなくなったという…(9月23日)
- 近所の斜面で赤紫のミヤギノハギが今を盛りと咲いている。そばのシラハギの花がこぼれるのを待っていたかのような間合いである。ハギはクズやナデシコ、オミナエシなどとともに「秋の七草」に数えられる。長く楽しめるのがいい…(9月22日)
- ラグビーの攻撃に「カンペイ」と呼ぶサインプレーがある。57年前母校早大ラグビー部監督を引き受けた大西鉄之祐さんが、学生の提案を生かし菅平の夏合宿で磨き上げた。名前は菅平の音読み。どん底のチームを再起させた切り札だ…(9月21日)
- 福島第1原発から南西4・5キロの双葉病院は8年半前のまま時計が止まっている。病棟に転がるペットボトルは院長の鈴木市郎さんが使ったのだろうか。各地の名水集めが趣味。女性看護師がバレンタインデーにたくさん贈ってくれた…(9月20日)