256 攻めの姿勢
凄く短いです。
心を落ち着けるための瞑想を終えて目を開けると、聖域円環の青白い炎がエビルフラワーを完全に燃え尽くしていた。
その光景を見つめながら、瘴気が充満していなかったことに安堵した。
今回はエビルフラワーが一体だけだったから助かったけど、さすがにあんな魔物が複数いたら今回の作戦を諦めなければならないところだった。
俺は視線を皆に向けると、皆は既に準備万端の様子でこちらを見ていた。
「エビルフラワーも無事に始末出来たみたいだし、これでクラウドと研究所の破壊だけだ。行こう」
先頭をケフィンが歩いて罠を探り、その後ろを俺が浄化をしながら進む。
罠は幾つか仕掛けられていたけど、ケフィンが難なく解除していった。
魔物が出ない分、気楽だと思っていたら、目の前には瘴気が広がっていた。
「消えない? これって結界か?」
浄化魔法を発動したのにも関わらず、瘴気が消えない。
観察して見ると、瘴気がこちら側へと漏れてくることもない。
「ルシエル様、オーラコートはまだ付与されていますし、先に私が行きます」
ケフィンが先に進むのを見送ろうとすると、嫌な胸騒ぎを覚えた。
「ケフィン、戻れ」
俺は幻想杖から幻想剣へと変形させ、聖龍の力で結界の破壊を試みる。
ケフィンが戻ってきたのを確認し、俺は全力の聖龍剣を結界に叩き込んだ。
すると、あっけなく聖龍が瘴気の篭っている結界を打ち破り、瘴気を喰らいながら進んでいく。
そこへ聖龍剣で生み出された聖龍を止めようと、姿を現した魔族が聖龍へと飛び掛っていた。
やはりか。そんな感情が芽生えた。
待ち伏せしての襲撃は常套手段だったであろう。
あのままケフィンを見送っていたら、かなり不味かったと思える。
壊れた結界に浄化波を追撃として発動させると、瘴気が渦を巻いて消えていく。
しかし思った以上に空間が広いのか、それともエビルフラワーが複数体いるのか、瘴気が消えたと同時に部屋を瘴気で満たしてしまう。
「魔族が複数いることは確認出来た。聖域結界を張るから、それに近づいてきたところを叩くぞ」
俺は皆に声を掛けながら、魔族が複数いることが分かった俺は直ぐに聖域結界を発動させた。
魔力の消費が激しいと思いながらも、ここで中途半端に戦う方が不味いと思えたからだ。
次いでに皆にオーラコートとエリアバリアを発動して、戦闘準備を整えて機会を待つ……。
しかし見えた魔族はまたもや瘴気の中へと消えていき、いることは分かるのだが、ピンポイントで相手のいる場所へ魔法陣が描けない。
こういう事態に備えて魔法陣の練習をしなければいけなったのに、何故かいつも近接戦闘の訓練になってしまうんだよな。
これって完全に師匠の影響だよな。それにしても魔族の奴等出てこないな……。
あまりこちらに仕掛けてくる必要性を感じていないのか?
いつまでもにらみ合いを続けるのは、無駄にリスクが増えそうだし、魔力が二割切るけど攻めた方がいいのかもしれない……。
俺は幻想剣を幻想杖に切り替えて、魔法陣詠唱を開始する。仕掛けるのは浄化で見えた中心地。魔力を練りながら、声を上げる。
「敵が来ないなら、こちらに来ざるを得ない状況にする。聖域円環を先程見えた中心地に仕掛ける。奴等がこちらを攻撃してきたら頼むぞ。それと弱体化していないかもしれないから決して油断はするなよ」
各々の返事を聞きながら俺は聖域円環を発動させた。
いきなり出現した青白い光の円柱が、瘴気で埋め尽くされた空間を浄化していく。
そして響き渡る絶叫の後に、結界へと殺到する魔族達が見えた。
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