レースの結果から見る、男子マラソン選手の「本当の実力」。

東京五輪コースに適した走りをする選手は、中村選手と服部選手。

この二人は、あのコースに強いという事が証明された。それは、間違いない。

しかし、逆に、こう考えることもできる。

あのコースに不向きの走りとされた大迫選手が、あれだけ競り合えた。

箱根駅伝を例えにすると意味が良く分かるはずだ。

山登りの選手と山下りの選手、1区に向いている選手は、それぞれタイプが違う。

万能型の選手はいない。山登りに強い選手は、平地では力を発揮できないことが多い。

平坦なコースに強い選手が、起伏の激しいコースでは、苦戦することもある。

平坦なコースでは、殆どの選手が、大迫選手のスピードには対応できない。

しかし、レース後半にこれだけ起伏のあるコースでは、立場が逆転する。

大迫選手は本当に良く走った。力任せに走っては力を出せないコースでも大健闘した。

そう考えれば、大迫選手の東京五輪に懸ける想いの強さが分かるだろう。

本来なら、大差をつけられても仕方ない不利な状況を克服しての大激戦。

正しい目で今回のレースを分析できる専門家から、このような言葉が聴けた。

「大迫選手の実力は、中村選手と服部選手よりも最低でも1分30秒速い」

「このコースで競り合えたなら、海外のマラソンでは別次元に速い」

「シカゴやベルリン、国内なら東京の高速コースなら、2分以上速い」

「もし、大迫選手が東京五輪代表に選ばれたら、進化した走りが楽しみである」

「中村選手と服部選手の伸びしろよりも大迫選手の伸びしろに期待する」

「最もメダルに近い選手を挙げるなら、大迫選手であるのは間違いない」

そのように解説してくれた。とても興味深い話が聴けた。


<男子マラソン選手・世界で通じる実力ランキング>
  1.大迫 傑    世界で通じるスピード
  2.中村匠吾    起伏のあるコースへの対応力
  3.服部勇馬    大崩れしない安定感
  4.設楽悠太    高速コースへの適性
  5.鈴木健吾    次世代の有力選手の筆頭
  6.大塚祥平    大化けする可能性大
  7.中本健太郎   堅実な走りが魅力
  8.橋本 崚    伸びしろ十分なダイヤの原石
  9.竹ノ内佳樹   急成長する可能性を決めた素材
10.藤本 拓    新たなステージへの進化に期待


中村選手と服部選手以外の選手にも、まだチャンスがある。

MGCファイナルチャレンジでの代表入りに期待がかかる。

例え、東京五輪の代表になれなくても、次のパリ五輪がある。

鈴木健吾選手は、次のパリ五輪での代表の入りの可能性も期待できる。

次の時代を背負うだけの力が、鈴木選手にはある。

もう一人、期待の星がいる。堀尾謙介選手だ。

今回、MGCに出場してガチ勝負の五輪選考会を経験できたことは大きい。

堀尾選手も次回の五輪に向けて大きな期待が膨らむ。

日本代表選手として世界の舞台で活躍する可能性を秘めた選手の一人である。


一方、今回、国民の期待を裏切った選手は、この二人。

井上大仁選手と神野大地選手に本当の実力がないことを知らしめる結果となった。

基本的な脚つくりが出来ていない。それは、走り始めてすぐに分かった。

特に神野選手は、もう一度、ゼロから鍛え直さなければ成長できない。

陸上のことを知らない素人トレーナーのアドバイスではマラソンは走れない。

フォームの改造などと言って”中学生程度のこと”をしていては勝てない。

やっていることが幼稚。そもそも、マラソンを走る基本が間違っている。

神野選手がすべきことは、フォームの改善やカラダつくりではない。

目立つことをしないでコツコツと地道に走り込む重要性を理解しなければならない。

本気でマラソン選手として大成したいのなら、武富監督の門を叩くべき。

師事を仰ぐなら天満屋の武富監督だ。日本で一番のマラソンを知っている指導者。

武富監督に教えて貰うことが出来たら、必ず走れるようになる。

マラソンで成功したいのなら、マラソンを知っている指導者のもとへ行くしかない。


もう一人のプロランナー川内優輝が走っていても2時間15分は切れなかった。

川内がベストな走りをしても、15位にすら入れていない。

実力があり、自信があるなら、MGCから逃げたりはしない。

自信が無いから逃げたのは明確な事実だ。

ドーハ世界陸上で入賞をしたとしても、それに価値はない。

プロランナーとして「お金稼ぎ」をするためのキャリアを積んだにすぎない。

日本のトップ選手がガチ勝負をするMGCから逃げたことの意味は大きい。


現在の男子マラソン選手の世界で通じる実力ランキングは、上記の通りだ。

今回のガチ勝負を見て、今後、新たな芽が出てくることを期待する。

MGCファイナルに懸ける選手達の走りにも大いに期待をしたい。