全4836文字

誰が将来の統計の在り方を考えるのか

 デジタル化を含め、より精度の高い統計を作るための議論が必要ですが、そこで問題になるのが「人材不足」です。「ビッグ・ピクチャーを描ける人がいない」と鈴木さんは主張します。

 「統計はいろいろ言われていますが、毎月勤労統計問題を除けば、意図的な悪事はなく、むしろ意図的な不作為(統計制度を変えないといけないのに変えなかった、現場でデータの不正が起きやすいような体制なのに改めなかったということです)が多いんです。多くの人がアベノミクスが統計偽装をもたらしたと考えているかもしれませんが、それは誤解です。回答率すら下がり続ける統計をどう変えるのか。20年以降の統計の絵図を誰が描けるのか。そういう話を本来はしなくちゃいけない」(鈴木さん)

 筆者も鈴木さんの意見には同意で、安倍首相が退陣すれば統計問題が解決するかといえば、そうではないでしょう。そんなこじつけより、統計の「現場」を立て直す施策を一緒に考えられないのでしょうか。

 しかし、鈴木さんは「若手の政治家に頼るしかない」と諦め気味です。

 「中堅・ベテランは統計の数字が変でも、今すぐ影響を受けないんです。でも確実に未来をむしばむ。だから若手政治家に、あなたたちが大臣や総理に就任する頃、手元の数字がでたらめだったら困るでしょう。そう言うしかない」(鈴木さん)

 統計は英語で「statistics」と書き、国家(state)や状態(status)と同じ語源のラテン語に由来しています。国家の状況を表す言葉として使われるのが統計なのです。統計は今の日本を表現できているのか? 私は関係者に、そう問いたいと思います。