奇跡を信じてナゴヤドームに詰め掛けたファンの期待は早々に小さくしぼんだ。CS進出へは残り5戦を全勝するしかなかったが、1回に中日・ロメロがいきなり4失点。空席が目立つ本拠地にしらけたムードが漂った。
「良い投球ができず、チームに迷惑をかけて申し訳ない」
1死から桑原に与えた四球が悪夢の始まりだった。ソトの右前打で一、三塁。ロペスの左前適時打であっけなく先制を許した。さらに宮崎には、外角高めに浮いた152キロの直球を捉えられる。右翼席への3ラン。スタンドは静まり返った。
まだ終わらない。2死から伊藤光に四球。投手の大貫にも右前打で続かれた。大和のゴロを高橋がファンブルして満塁。中井を遊ゴロに打ち取り追加点は許さなかったものの、流れは完全に相手に傾いた。
2回2死からロペスに中前打を打たれたところで、たまらず与田監督が交代を告げる。来日最短となる1イニング2/3でのKO。マウンドを降りた左腕はベンチに腰掛けることなく、一直線にロッカールームへ消えた。
8月30日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)で8勝目を挙げた後、家庭の事情でドミニカ共和国へ一時帰国した。13日に再来日。十分な調整期間をもらった。登板間隔が空く間、チームは怒濤(どとう)の追い上げを見せた。
9月は12勝6敗。大一番となった23日の広島戦(マツダ)で敗れたものの、CS進出の可能性をわずかに残し、本拠地に戻ってきた。遠征に帯同していなかったロメロ。奇跡を目指すチームに乗り遅れた感は否めなかった。(高橋雅人)