豊洲市場の土地購入をめぐる住民訴訟で18日、東京地裁は原告団の求める石原慎太郎元都知事(86)の証人尋問を却下した。7月にも却下されており、原告団は意見書を提出して逆転にかけたがかなわなかった。
この裁判は、築地市場の移転先である豊洲の土地が汚染されていることを考慮しない高い価格で購入すると決断した石原氏の責任を問うもので、原告団は「都は石原氏に土地購入代約578億円を請求せよ」と求めていた。
石原氏の出廷は4年以上が経過するこの裁判の目玉になるはずだった。争点は土地購入が違法かどうかと、違法の場合に石原氏に責任があるかどうかの2点。裁判所は却下の理由としてこの2点についての判断材料は、これまでの裁判ですべて出ていることを挙げた。
このまま石原氏が出廷しないで終わりそうだ。しかし、原告団は納得していない。石原氏は4月に体調不良で尋問には耐えられそうにないという趣旨で診断書を裁判所に提出していた。診断書では「(尋問中に)緊張や興奮で症状が悪化し、発作的な急変の可能性がある」と指摘されており、石原氏が証人尋問をよほど負担に思っていたことがうかがえる。
しかし、原告団関係者は「提出の数日後にテレビ番組に出演して、司会者が止めても話すほど絶好調でした。8月には靖国神社への参拝もしています」と、尋問できるはずだと憤る。もっとも、裁判所は証人却下の理由に健康状態は挙げていない。「裁判所も石原氏の健康状態は問題視していない」(前出の原告団関係者)。無視できるレベルと判断したわけだ。それならなおさら却下は理解しにくいが、決定は決定。石原氏はなんとか証人尋問から逃げ切った。