「忘れられる権利」EU域内のみ ネット検索で司法裁

ヨーロッパ
2019/9/24 18:18

【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)の最高裁にあたる欧州司法裁判所は24日、インターネット上の検索エンジンから個人データの検索結果を消去するよう求めることができる「忘れられる権利」について、欧州連合(EU)域外での適用は義務ではないとの判断を示した。実効性の観点から、この権利がEUのエリアを越えて世界で適用されるかどうかが、仏当局と米グーグルの間で争われていた。

グーグルは忘れられる権利を巡って仏当局と争った(フランスのイベントでのグーグルのロゴ)=ロイター

司法裁は「欧州法のもとで検索エンジンの運営企業がEU域外に(同権利を)広げる義務はない」としてグーグルなどが当局の命令に従う必要はないとの認識を示した。

忘れられる権利は、過去の個人情報やプライバシーが侵害された書き込みなどについて検索エンジンからリンクを削除してもらう内容で、欧州司法裁が2014年に認めた。

EUに居住する人はグーグルなどの検索エンジン運営企業に個人情報を含むリンクの削除を求めることができるようになった。18年5月にEUが施行した個人情報の保護ルール「一般データ保護規則(GDPR)」でも権利が明文化された。

ただ司法裁の14年の判断はあくまでEU域内での適用だ。域外から検索したり、VPN(仮想私設網)を使ったりすればその情報を見つけられる。仏当局は15年、域外から検索した場合でもその情報を削除するよう命じた。グーグルはその命令には従わず、巨額の罰金を科されたのを機に訴えていた。

仏当局は、世界でつながるインターネットでは域内の適用だけでは実効性が伴わないと主張した。一方でEU域内で認められた権利が域外にも効力を持つかどうかの法的な問題があった。司法裁は24日の判断で、EUのネット利用者がこうした情報に触れられないように、検索エンジン企業は対策をとるべきだとも付け加えた。

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