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(テレビ・レイ)「父さん…」。
(父さん)行ってこい レイ…。お前がいなくとも俺が この牧場を守る。お前の分まで守ってみせる。だから 行ってこい。お前は お前の夢を守れ。
父さん!
♪~
(風の音)
♪~
(すすり泣き)
(優)おばあちゃん 泣いてる。
(富士子)何か なつとじいちゃんの時のこと思い出して…。
(坂場)泰樹さんも 見てくれたかな?
(富士子)電話してみる?(なつ)いい 大丈夫。
何か… つながれた気がした。
その翌日 泰樹さんは久しぶりに遠出をしたようです。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
(雪次郎)はい いらっしゃい…あ 泰樹さん。
えっ お一人ですか?(泰樹)うん。
大丈夫なんですか?一人で歩ける。
あ… すいません。雪次郎。はい。
亜矢美さんがいると夕見子から聞いたんじゃがな。
ああ 亜矢美さんは今年の春 辞めたんです。
また 旅に出ました。
あ そうかい…。
亜矢美さんに会いに来たんですか?いや…。
いや あれじゃ…。あれ?
ばあさん いるか?あっ ばあさん…。
♪~
(とよ)はああ… とうとう私に会いたくなったのかい?(泰樹)は?
私が恋しくなったってことはいよいよ お迎えが近いね。
あんたは 死神かい。
天使だべさ ハハハ…。
大丈夫 あんたは天国だ。 安心しなさいや。
そっちは まだ来んのか?
お迎えかい? 何度か来たね。けど 追い払った。
ハハハ… しぶといな。
開拓者の1世だからね。そう簡単には くたばんないもね。
なしたのさ。
私が好きなら 好きって言えばいいべさ。それ言いに来たんだべ?
口が裂けても言えん。
ハハハハ… したら 何なのさ?
あんた… なつのテレビ見たか?なっちゃん? テレビ?
ああ 漫画かい? そりゃ見てるさ。
あれのおかげで あんたうちは大もうけなんだわ。
観光客が増えてるべさ。なっちゃんに 足向けて寝らんないわ。
昨日 見たか?昨日? ああ。
あれ 昨日だったかい…。 見たよ。
あれかい… あんたと なっちゃんの別れを思い出したんかい?
朝日を思い出したんじゃ。
朝日?ああ…。
何度も見た ああいう朝日を…開拓してる頃にな。
この土地は捨てよう… そう思っても朝日を見ると 気力が湧いてきた…。
ここで諦めるなって… 励まされた。
へえ~。
そういう朝日を なつが見してくれた…。
夜明けに感動したんかい…。
まあね 夜明けに励まされるってことは何度もあったね。
なつは… そういうものを作ってるんじゃ。
♪~
なつたちの製作は 梅雨に入る頃に大詰めを迎えました。
スケジュールは遅れ放送の前日 ギリギリになんとか完成することも当たり前になっていました。
℡
(麻子)はい マコプロです。
℡(藤森)もう いい加減にしろよマコちゃん! 演出を呼べ 演出を!
演出は 今 あいにく出払っています。
℡(藤森)ふざけるなよ お前ら。本来なら 1週間前に納品する約束だろう!それを 前日でいいなんて開き直ってないだろうな!
すみません。開き直っているわけじゃないんです。
もう それしかないんですよ視聴者の期待に応えるためには。
ここで手を抜けなんて言ったらみんな開き直って 逃げ出してしまいます。
℡(藤森)おいおい…脅かすなよ マコちゃん。
すみません。彼らを支えているのは もういいものを作っているというプライドしかないんです。絶対に 穴はあけませんから…よろしくお願いします。
℡(藤森)はあ… 頼んだよ。(電話が切れる音)
(石沢)局の藤森さんですか?そう。
いい? 絶対に イッキュウさんに言っちゃダメよ。はい。
(麻子)苦情を 現場に伝えちゃダメ。(石沢)あ… 分かりました。
作品の質は 最後まで絶対に こっちで守るわよ。
こうなったら 私も腹くくるわよ。
♪~
(町田)あっ…!
あ~!
すいません!回収した動画のカット袋を水たまりに落としてしまいました!
(下山)ええっ!すいません!
何やってんだよ!すぐ確認して!
あ~ あちゃちゃちゃちゃちゃ…!(麻子)何か 拭くものある?
あららら…。
はい はい はい はい はい…。
ダメだ…。全滅か?
使い物にならない。すぐ戻して 描き直してもらって。
ダメです! 外注は もう限界です。
描き直せなんて言ったらもう やめると言いだしかねません!
じゃ こっちで やるしかないわね。
お願いします。
(茜)私だって限界よ…。これは 動画チェックじゃなくて一から描けってことでしょ?
無理よ そんなことは!(下山)茜…。
どうやって そんな時間作れっていうの!
茜さん 私も手伝うから…。
なっちゃん 何言ってるの!なっちゃんの仕事だって24時間 寝ないでやっても間に合わないくらいあるでしょ!
それでも! やるしかないの。
(下山)僕も手伝うからさ 茜。
子どものことは 一晩ぐらいお義母さんに見てもらおう。
大丈夫。 茜さんは できる限りでいいから。(神地)俺もやるから 茜ちゃん。
だけど 原画は原画で急がないと間に合わないわよ。
しかたない。 描き直すカットはできるだけ 動きを少なくするように…。
動きは 変えなくても大丈夫!
みんなの腕は上がってるから同じ質の画でも前より速く描けるようになってる。
みんなで 力を合わせればこのまま 質を落とさなくても絶対 乗り切れる!
待ってる人がいるの。
この作品を楽しみに待っている人たちが…。
その人たちを 私たちは絶対に裏切っちゃいけない。
茜ちゃん 私も手伝うから頑張ろう!
(立山)私も 茜さんみたいに腕はないけど頑張ります!
よし みんなで 町田を助けてやろうぜ!
町田がいなかったら 俺たちの仕事は絶対に成り立たないんだからよ!
すいません…。
みんなで やりましょう。
ごめんなさい…。
いいの いいの いいの。茜ちゃんが泣くことないんだから。
いやいやいや…君が慰めることでもないでしょ。
(神地)か… かわいそうだから…。(下山)慰めんのは 旦那の仕事です。
よし 頑張りましょう。石沢さん ドライヤーお願いします。
ドライヤー。あっ タオル お願いしてもいいですか?
(麻子)何か干すもの…ひも持ってきて ひも!
♪「広がる空」
♪~
(神地)はい 一丁上がり!
こっちも出来た。
(坂場)町田君。(町田)はい。次 これ お願いします。
♪~
ただいま!お帰り。
朝には間に合ったね。ごめんね 母さん。
また すぐ戻らなくちゃいけないんだけど朝の支度だけはと思って。
えっ 寝ないで また行くのかい?
そのために わざわざ帰ってきたの?
まだ寝てる?
優 おはよう!
起きる時間だよ。ママ おはよう!
おはよう。 さ 今日も元気に頑張ろう!学校は楽しい?
楽しいよ。ママ みんなね ソラを見てるよ。
大好きだって。そう? そっか!
じゃ ママも頑張らないと。
それじゃ これから ラストシーンです。
最後は 青年に成長したレイがソラのもとへ帰ってくるんです。
ソラは この地で開拓を続けてたくましい牛飼いに育っています。
2人が成長した声で 演じて下さい。
(レミ子)成長した声で?(せきばらい)
はい 分かりました。(白本)分かりました。
(坂場)相変わらず画は間に合っていませんがいつものように線に合わせてお願いします。
(白本 レミ子)はい。
(レミ子)ソラ… ソラ~!
(荒い息遣い)
レイなの…? レイ!
ソラ~!
♪~
(レイ)ソラ~!
(ソラ)レ~イ!
(鳴き声)
なつよ 「大草原の少女ソラ」もいよいよ最終回だ。