フランス映画の名匠トリュフォーの長編第一作は仏語で『レ・キャトル・サン・クー』。直訳は「四百回の打撃」らしい。『大人は判(わか)ってくれない』という日本語のタイトルが付けられた。邦題にひかれて、鑑賞した方も多いのではないか。作品とともに、傑作として名高い邦題である▼社会からはみ出しそうになった監督の自伝的作品だ。原題には「無分別」などの意味があるそうだが、邦題は原題と異なる角度から作品に光を当てつつ、主人公の少年の心情を代弁していて見事だ▼大人は分かっていないのではないか。地球温暖化問題をめぐり、そんな若者や子どもたちの訴えが、共感の輪を地球規模で広げている。深刻化が懸念されているのに、あいかわらず化石燃料を大量に使う人々は、将来の世代のことを本当に考えているのかと▼先週、世界のおそらく全大陸で、都市の大小、先進国かそうでないかなどを問わず、デモや集会など一斉行動があった。数百万人の参加者の多くが若い。危機感と大人の責任を問う声が聞こえる▼スウェーデンの十六歳グレタ・トゥンベリさんが昨年、議会前で抗議の座り込みをしたのがきっかけという▼温暖化問題とは、世代と世代の問題である-。大人が目をそむけがちだったところに、若者の視点という角度から、重要な光を当てたようにみえる。分からないではすまない指摘だろう。