【ベストヒット23区】THE BOOM『中央線』――日本を代表するニューミュージック路線 杉並区
2019年9月23日
知る!TOKYO人にはみな、記憶に残る思い出の曲がそれぞれあるというもの。そんな曲の中で、東京23区にまつわるヒット曲を音楽評論家のスージー鈴木さんが紹介します。
音楽界の巨星たちがかつて多く住んでいた
前回取り上げた千代田区の日本武道館から歩いて九段下駅に向かい、東西線の中野行きに乗車。終点の中野駅で中央線に乗り換えて、向かうは高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪――。
というわけで、今回の「ベストヒット23区」は杉並区。実は私、平成初期の20代のころに阿佐ヶ谷に住んでいたことがありまして(地名は杉並区下井草)、思い入れの深い土地でもあります。
「杉並」という何となくノーブル(気品ある)な語感、阿佐ヶ谷駅から北に美しく延びるけやき通り(中杉通り)、借りたワンルームマンションの大家さんが話すとても上品な山の手言葉などなど、元区民にとって杉並区は、とっても上品なところだった印象があります。
今回着目するのは、その杉並区のど真ん中を東西一直線に走る中央線です。「ベストヒット杉並区」を「ベストヒット中央線」と改題して、選曲してみたいと思います。
というのは、中央線は、1970年代の「フォーク/ロック = ニューミュージック」の歴史の中で、重要な人物やエリアがひしめく、言わば日本を代表する「ニューミュージック路線」なのです。
まず吉田拓郎が、高円寺駅近くの秀和レジデンスというマンションに住んでいたと言われていて、アルバム『元気です。』(1972年)には『高円寺』という曲まで収録されています。
吉田拓郎のライバルである井上陽水は当時、彼の歌詞をまとめた本『ラインダンス』(1982年)に「中野から三鷹に引っ越した」と書いているので、こちらも中央線沿線住民。中野と三鷹の間にある高円寺を飛び越えたのは、ライバル意識かもしれません。
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