はい、注意はしましたからね?
今日も今日とてエントマが恐怖公の眷属たちをおやつ代わりにむしゃむしゃやっていると、恐怖公必殺の一本背負いが炸裂した。全盛期の古×稔×を彷彿とさせる鮮やかな切れ味であった。エントマは
「今日という今日は、堪忍袋の緒が切れましたぞ! 金輪際、眷属をスナック感覚でポリポリいくのはやめていただきますぞ!」
恐怖公は激怒していたが、エントマにはさっぱり心当たりがなかった。首をひねりつつ、何がいけなかったのか考える。
そうか、スナック感覚がいけなかったのだ。確かにナザリックのメイドとして、いささか行儀が悪かった。
エントマは皿とナイフとフォークを持って
恐怖公必殺の卍固めが炸裂した。全盛期のア×ト×オ×木を彷彿とさせる鮮やかな切れ味であった。エントマは
そうか、調理法に不備があったのだ。ただ皿に置いただけでは、料理と言えるレベルではない。
エントマは調理道具一式を持って
秘伝のタレを塗りつつさらに焼き、香ばしく仕上がったところで串から外し、セルクルで円形に整えたライスにのせる。皿の右半分は赤いトマトソース、左半分は緑のアボカドソース。和食の伝統とフレンチの精神を融合させたこの一品は、まさに料理という名の芸術である。どうだ、これならば文句はあるまい!
恐怖公必殺の上手投げが炸裂した。全盛期の千×の×士を彷彿とさせる鮮やかな切れ味であった。エントマは
エントマは料理の基本に立ち返ることにした。
エントマは調理道具を持たずに
恐怖公は困惑した。だがエントマの言葉には強く光る意志の力が感じられた。共食いは気が進まないが、一度だけ彼女を信じてみることにした。
見た目はごく普通の眷属。調理されている様子もない。ともかくも口に入れ、かみしめてみる。するとどうだろう。予想していた雑味が一切なく、純粋なうまみが舌の上に広がったのだ。
驚いて尋ねる恐怖公に、エントマはこともなげに答えた。眷属の体の表面には、微細な毛やトゲのようなものが無数に存在する。”ゴキブリ 顕微鏡”で画像検索すると分かる。それを全て削り落とすことで、なめらかな舌触りとまろやかな味わいを実現したのだと。
恐怖公は感激した。丁寧に削り落とすことにどれほどの労力が必要か。どれほどの気遣いが必要か。どれほどの愛が必要か。これこそまさに究極の一品。今ここに、恐怖公とエントマは完全に和解した。そして思った。これほどの素晴らしいものは、アインズ様に献上しなければならないと。ああ、ナザリックの栄光に新たなる1ページが加わった。何と良き日であることか。恐怖公とエントマは連れ立って執務室へと向かった。
アルベド必殺の一本足打法が炸裂した。全盛期の×貞×を彷彿とさせる鮮やかな切れ味であった。エントマと恐怖公は執務室から放り出された。
あの一本背負いは芸術