【プロ野球】巨人・宮本和知投手総合コーチV独占手記 人生55年で一番濃くて、つらい1年 腰は動かず、ヘルペスも…2019年9月21日 20時57分
現役時代と変わらない明るいキャラクターで後輩投手陣のサポートに徹した新米コーチの胸に去来するものはー。巨人が5年ぶりにリーグ優勝を達成。今季から22年ぶりに球界復帰した宮本和知投手総合コーチ(55)が本紙に独占手記を寄せ、笑顔の裏に隠してきた心境を明かした。 人生55年の中で一番濃い1年間になっていますね。濃いし、心身ともにつらい…。ぎっくりで背中は動かなくなる、腰は動かなくなる、ヘルペスはできるとか、いろんなことは起きましたよ。ただ自分がやるって決めた以上は優勝の二文字しかないんでね。 コーチ就任は僕のリスペクトしている方(原監督)からの連絡だったので断る理由もないなと。ただ「そんな力はありませんよ」と伝えたら「大丈夫だ。オレがいるから」ということで「迷惑かけないように頑張ります」とは言いました。 引退から10年後の2007年に米国でスポーツ心理学を学んで、メンタルトレーナーのライセンスを取りました。女子芸能人のフットサルチーム監督をやったし、少年野球や女子硬式野球の指導はしていた。(スポーツキャスターからの転身に)別に何を言われようが、結果の世界だから、優勝すればいいだろうということしかなかった。 僕は技術的に事細かく教えるタイプでもない。選手に居場所を与えたいなと思った。経験はすごく生かしてほしい。でも実績は無視です。22年ぶりに中に入ってきたことで、とにかくフラットな目で見ることができた。真っ白なスケッチブックの中に、誰がどういったところで適性があるかっていうのを見た。 居場所を与えたら、その選手に責任が出てくるわけですよ。力を発揮する要因になる。投手コーチのミッションは、一番は勝利の方程式をつくること。やっぱり1点差ゲームをモノにするには絶対後ろだと思うんです。 そこで桜井が出てきた。セットアッパーでいけると思ったところに「先発させる」って監督が言ったんです。本当に娘を嫁に出すような心境ですよ。うわ~、持っていかれちゃうのかよって。ただ、それは原監督の先見性。すごいよね。その辺の監督の目っていうのは、われわれにないものを感じました。 おいおい、どうすんだよっていうのはあったけど、(中川)皓太が独り立ちしてくれて、デラ(ロサ)も来てくれた。経験のある大竹、高木京介、沢村がやってくれて、田口がどこでも悪い流れを断ち切ってくれる。ミッションはかなえることはできたのかな、とは思いますね。 監督は「ミヤ、お前は優しいから鬼になれんのだ」って、よくおっしゃってくれています。僕なりに理解するには、しかると怒るを分けたわけですよ。感情的に上からドーンって言うのが、怒る。選手のことを思ってアドバイスするのが、叱る。その辺の使い分けはしている、できるようにはなったのかなあなんて思うんだけど。 やるのは選手なんで、やっぱり選手に気持ち良くやらせたい。コーチ業って祈りだなと思いますね。もう祈ってますよ。何もできないじゃないですか、言葉をかけるぐらいで。だから選手たちがよーしってやる気になるような言葉をかけてあげたいな、たまには笑ってもらいたいなと。そういうボキャブラリーは僕が21年間、芸能界にいて培ったものなのかな。 勝つ喜びもあるけど、負けた時は本当に誰とも会いたくない時間を過ごしました。神奈川・葉山の自宅にもシーズン始まってから帰ったのは20日間ぐらいかな。あとはずっと都内。1年間やるって自分の中で決めたんで。今年終わったら、とにかく野球のない国、野球を忘れられる国に行きたい。それだけです。(巨人1軍投手総合コーチ)
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