「KS学園水泳部員共~side stories~」 アクアピオン様
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[2019.05.09] アクアピオン様 「KS学園水泳部員共~side stories~」

中央女学院室内プールは照明が落ちていた。
シャワールームには明かりがともっている。
優菜は1人シャワールームの浴槽に横たわっていた・・・


ふう・・・6年間が終わったわ・・・
女の子の集団は入学の時から辛かった。
力は一番あった。タイムもよかった。すぐに標準も切った。自信もあった。でも・・・

上級生からも同級生からもいじめがあった。
「インターバルにならないじゃない!迷惑・・・」
「力があるってもねえ・・・足引っぱんないで欲しいわ」
高等部に練習で入っても、わざと前にいかされる。いくら私でも敵わない。
「私たちじゃ練習になんないでしょ」
「あなたのタイムで、リレーの標準切らしてもらって。あー嬉しいわあ」
同級生からも・・・そして・・・新しい水着が捨てられて、古い水着を無理に着て、
「あらあ、いいスタイル。薄い水着でセクシーねえ」

派閥化した集団にはなじめなかった。
本当に辞めたくなった。なんで中央に来たんだろ。スクールで続ければよかった。

でも、見ててくれた人がいた。手を差し伸べてくれた先輩がいた。
練習が終わって、シャワーブースで1人隠れて泣いていた。
「辛い思いしてるわね。このままじゃ気持ちが潰れるわ」
「うう・・・グス・・・でも・・・うわーん・・・」
部長の千晶先輩だった。先輩の胸にうずまって泣いた。いっぱい泣いた。
そして、高一の香織先輩が上級生にかけあった。部室で大声が響いた。
香織先輩までが・・・私のせいでそんなこと・・・
高等部の部員が二つに割れた。
しかし、世界ランカーの一言ですべてが片付いた。
実力には逆らえない。
「あんたたちは何を見てるの。他人を見てるの?自分を見てるの?上を見てるの?先を見てないの?先を見ないでどこに行くの?中央女学院水泳部をどうしたいの!」
咲子先輩の一言でその場が鎮まった。
「私は先を見ている。どこを見てる?世界を見てる。先輩もあんたらも恥ずかしくないの!」

翌日から、私は泳げるようになった。
全中、JO・・・
トップスイマーになって、誰も何も私に言えなくなった。
逆に、部員や同級生との時間がなくなっていった。実力を得るとともに孤独もやってきた。
いつもナンパされてばかり。歯牙にもかけずあしらってきたが、何か隙ができた。チャラい男と付き合って関係をもったとき、何をやってるんだろう?我に返った。
そこを打ち破ろうと、あえて部長を引き受けた。
しかし、人間関係をつくって来れなかった私は、苦悩の日々だけが続いた。
大会と悩みの連続で息が詰まっていった。

そして、温泉宿。雪の中の露天風呂で、男達に襲われそうになる。もう終わり・・・
その瞬間自分に光が射した。
裕樹・・・
一瞬で恋に落ちていた。すがりつくとここちよかった。自ら捧げていった。
全くの曇りがなくなった。

そして香織先輩・・・
そのときの自分は香織先輩のおかげで存在できた。
先輩の悩みをなんとかしたかった。でも・・・
結局私は、水泳部を手中におくため、先輩を道具にしていた。
私は何のために水泳をしてたんだろう。

4月におかしな新入生が入ってきた。
実力はナンバー1。でもおかしい。暗い。アンダーが外せない。
上級生がもめていた。またか。何が何でも私がなんとかしてやる。
でも結局は香織先輩だった。
まだまだ私は無力だった。
そう思っていると、新入生は私に頼ってきた。
本当にこんなことがいいのか?と思いながらも、彼女を救うことができた。
私が陽葵を守る。私が守れるものができた。
そして陽葵を守り続けた。姉のように、中3の私が母のように、彼女を愛していたと思う。

しかし別れの時は来る。
離れるのは不安でたまらなかった。陽葵を違う環境にやることが。
でも本当に不安だったのは自分のことだった。拠り所がなくなる。いつの間にか依存していた。私だけでなく陽葵も。必ず断ち切らなきゃだめだ。
そのときが来た。


「医学系を目指すならKSはどうかしら?あなたの成績なら特進に十分よ」
「でも、私は中央で続けたいんです」
「ここでは、限界があるわ。水泳を続けたいんならKSの環境はいいわよ」
「中央では無理ですか」
「うちのカリキュラムでは、あなたの力に追いつかないわ。KSに行きなさい」


3年生の夏に陽葵が懇談で、担任からKSへの編入を勧められ、医学部すら目指せる成績にある陽葵を、このまま中央女学院で内部進学させては将来に関わる。引退せずに水泳を続けようとしていた陽葵には辛かっただろう・・・

父親が言っても、首を縦に振らなかった。陽葵は私と離れたくなかった。でも進路を引き替えにすることじゃない。陽葵には厳しい決断をせまった。

私は陽葵を部室に呼び出した。

「陽葵、私が言いたいことはわかるよね」
「・・・」

陽葵は涙を潤ませていた。私も辛かった。でもいわなきゃならなかった。

「いずれ離れなきゃならないときは来るの。いや、今がそうなの」
「まだ、離れたくない。いや、ずっと一緒にいたい」
「あなたに大切なものっていろいろあるよね。私にもいろいろあるよ。あなたは私にとって大切な人。でもたくさんある大切なもののうちの一つ。あなたにとっても私は大切なもののうちの一つにすぎないの」
「違う、違うもん。私は先輩が一番大切だもん」
「でもね、あなたにとって、私はすべてじゃない。そして、私にとってもあなたすべてじゃない。私は他のたくさんある大切なもののために、あなたを手放す」
「・・・先輩、私のこと・・・うわああああ!」
「私にとって今のあなたより大切なものは、あなたのこれからの人生。あなたの人生を引き替えにするほど、あなたにとって私は大切なものじゃないの。私が大切なら、私の気持ちをわかって、私の心を大切にしてほしい」
「・・・辛い」
「私も辛いよ。でもあなたが大切だから。あなたの道はあなたが決めることだからこれ以上は言わない」
「・・・先輩の言うこと聞かないと私を嫌いになりますか?」
「私はいつでも陽葵のことが好きだよ」
「・・・ありがとう・・・今日は帰ります」
「じゃあ、一緒に帰ろう」

それでも陽葵は涙を浮かべていた。私を見れなかった。いつものように並んで歩いた。

「陽葵・・・人生は、先をみなきゃだめだよ。先を見て・・・自分がどうなりたいのか。それをしっかり・・・」
「先輩・・・私、KSに行きます。KSに行っても先輩が大切なのには変わりないし、先輩も私のこと・・・そうですよね」
「そうよ。私にとっても、陽にとっても、一番大切なのは陽葵の人生と将来だから。私は陽葵が一番好きだよ」
「・・・はい」

陽葵の環境を変えることは、あの時正直不安だった
しかしKSには裕樹がいる。裕樹は必ず助けてくれる。手を出させないようにだけはしなきゃ、ってそれはないか。ちゃんと言っておこうって。そこまで見境なくはないかな。いや・・・あやしいな、フフフ・・・なんて思ったっけ。

部長職は簡単だった。他に任せればよかった。私は単なる権威付け。日本のトップスイマーに駆け上った。

でも・・・人の温もりが足りない。
私だって・・・大切にされたい・・・誰か、私を・・・好きでいてくれる人が欲しい・・・

・・・久しく・・・そう、裕樹に抱かれてからは、女の子の身体を弄ぶだけ。
わたしの胸は、大きくなったけど、すっかり硬くて、指で押さえても弾力ばっかり。
・・・あんっ!・・・ここは・・・裕樹のときより、感じる・・・
感度がよくなってる?いや、わたしのテクニックが・・・知らず知らずに・・・

「ああんっ・・・あんっ!・・・ああ・・・はあ、はあ・・・」

やっぱり感度がいい・・・わたしも成長してる。あっ、自分でなんて・・・だめ・・・

ああっ!・・・先っぽが・・・勃ってる・・・ここを・・・

「ああっ!・・・いい・・・だ、だめよ・・・もう・・・」

・・・むり・・・止まらない・・・いいっ、いいっ!ああん!

「はあ、はあ、はあ・・・」

誰も・・・いないよね・・・こっち・・・
やっぱり。もう、濡れてる。これまで、他の子の・・・は、さんざん・・・
悦ばせ方はわかってる・・・悦び方・・・だめっ!オナニーなんて・・・

「ああんっ!」

ここも・・・やっぱり・・・感度が・・・違う・・・凄い・・・もう・・・

「ああっ、いいっ、あん、あんっ、ああんっ!・・・はあ、はあ・・・」

一番いいところ・・・ここ・・・ああっ・・・いい・・・いいっ!

「ああ~んっ!いいっ・・・はあ、ああ、ああっ!」

イクッ、イクッ!いっ・・・ちゃう・・・

「ああっ!!・・・はあ、はあ、はあ・・・」

・・・凄い・・・なんか・・・ちょっと、落ち着いたかな。

久しぶりに陽葵に会える。元気をもらえるかな。目の前の目標がある。頑張んなきゃ・・・


優菜は浴槽からあがり、明かりを消して、部室を後にした。


続編 追加: 2019.03.04


「インハイもJOも大活躍だったね」
「あなたもベスト更新でしょ」
「キミのアドバイスが役に立った。あれからタイムが伸びっぱなし」
「アドバイスしただけよ。それと、質問のことだけど、フォームのここのとこが・・・」
「あー、なるほど。ここの角度が浅いんだ。じゃあ練習方法しては・・・」
「このメニュー。このドリルをこなしながらチェックすればいいと思う」
「よくできた資料だなあ・・・ありがとう」
「これくらいなら」
2人は席をたって店をでた。

「そんな、おごりだなんて・・・さっきもプレゼントもらっちゃって」
「いいんだよ。お礼お礼。ほんといつも助かってるんだ」
「ありがとう。何かあったら聞いてネ」
「こちらこそ。次は短水路だね。それ終わったらまた会える?」
「うん。大丈夫と思う」
「じゃあ、頑張って」

和将は大会と合宿の合間をぬってKS学園にやってくる眞美にアドバイスを受けていた。練習相手にもなってもらい、着実に実力をつけていた。智也に勝るとも劣らない勢いになっていた。
より詳しくアドバイスをしてくれる、ということで眞美のオフの日にショッピングモールで待ち合わせてカフェに行くことにした。
途中ウインドウショッピングをしながら、アドバイスのお礼に、と眞美の長い髪をとめるヘアクリップを買ってプレゼントした。
眞美は有力選手を多数輩出した業界大手のロマネスクスイミングスクールに在籍し、練習プログラムのノウハウを持っていた。それをもとに和将にアドバイスしていた。

月に1日ある眞美のオフに、和将は街に出てショッピングのあとにアドバイスを受ける、といった案配だった。

冬になって、和将がどうしても聞きたいことがあり、眞美のスクールまで出向いていった。
スクールから出てきた眞美が、話をしながら一緒に帰っていった。
その姿をスクールの窓から眼光鋭い男性が見ていた・・・

「おい、眞美」
「コーチ、何ですか?」
「男の子と会ってるのか?」
「えっ・・・」
「まさか、つきあいなんて。短水路でタイム落としたところだろ。何やってんだ」
「つきあいって・・・同じ学校の部員で」
「休みに会ってるらしいじゃないか。身体を休めるためだろ。遊ぶんだったら泳ぎにこい」
「遊んでなんていません・・・水泳の話をしてるだけで」
「とにかく男の子と会うのはだめだ。遊びたかったら、俺はコーチをしない」

会うことがダメなんて・・・

眞美の担当コーチ、平川は数多くの日本代表選手を育ててきた名伯楽として水泳界に名が通っていた。眞美も平川を請うてロマネスクにやってきた。スクールでコーチの言うことは絶対だった。


「ふ~ん。コーチもなんだかなあ。ホントに名コーチなの?意味ないじゃんそんなこと」
「でも、絶対服従みたいなとこあるから」
「で、あんたは別れる?って言ったって、そもそも付き合ってんの?」
「いやあ・・・付き合ってなんて。でも会えなくなるのは・・・ちょっと」
「ふ~ん・・・」
「ちょっと、遙佳、何よ」
「会いたいんだよね。ひょっとして・・・」
「コーチにそう言われたことで、苦しくなった」
「そっかー。要するに、コーチをとるか、和将をとるか、どっちかだね」
「そんなあ・・・今コーチから離れたら選手権はもう・・・」
「じゃあ和将を切って捨てるか」
「そんなあ・・・」
「もう、うるうるしちゃって。ハッキリ言って3択じゃん。コーチを切るか、和将を切るか」
「もう1択は?」
「両方とる」
「どうやって?」
「コーチに和将と会うことを認めさせる。さあ、どれを取る」
「・・・わからない」
「そう?私には一択しかないと思うけど。ってもう、あんたの答え決まってんじゃないの」
「それこそどうしたらいいのか」
「ねばりにねばる。そして最後は・・・」
「・・・それ、やるの?」
「そう。なるべく多く人がいる前で。演出も大事よ。最後はわたしもついて行くわ」
遙佳は怪しげな笑みを浮かべた。


眞美は何度かコーチに話をしたが取り合ってもらえなかった。

学校が終わり、眞美は遙佳とスクールにやって来た。
ちょうど、小学生の選手コースと一般コースが終わり、ロビーはごったがえしていた。
遙佳は、子どもと保護者にまぎれて、様子を覗っていた。
眞美と同じ中高選手コースの学生が続々と入ってきた。

「平川コーチ、お話が・・・」
「まだ言うのか。だったらコーチはおろさせてもらう。水泳に専念できないのなら、俺は見ない」
眞美の瞳から涙がこぼれだした。
「コーチ、お願いです・・・」
「こんなことで泣くなっ!悔し涙か、うれし涙にしろ!」
眞美はコーチの前で正座して、ひれ伏した。
「・・・お願いします・・・必ず頑張ってベスト出します・・・だから・・・うわあああ!」

騒がしかったロビーが一瞬で静まった。
眞美の活躍はスクールの生徒や保護者はみんな知っている。
その眞美が床に涙をボロボロこぼしながら平川に土下座していた。
皆が唖然として2人を見つめていた。
遙佳に演出と言われてやったものの、眞美は嗚咽がとまらず、床は涙で濡れそぼっていた。

焦って平川がまわりを見回すと、遙佳が人混みの中から手招きしていた。
「なっ・・・あいつ・・・」
平川はしゃがんで、眞美の肩をポンポンと叩き、
「必ずベストだぞ。選手権は最低でも決勝」
と言って、平川は騒ぎに駆けつけた女性コーチに目配せして外へ出て行った。

女性コーチは眞美の肩を抱えて立たせた。
「もう、酷い顔」
眞美の頬をタオルで拭ってやって、ベンチに座らせた。人が徐々に退いていった。
「びっくりしちゃった。でも、思い切ったわね。すごいわ、そんなに好きになれるなんて」
「うう・・・ひくっ・・・ひくっ・・・胸が・・・ドキドキで・・・」
「なんかうらやましいな・・・さすがトップスイマーってとこ。勝負強い」
「・・・コーチ。許してくれた・・・よかった」
涙をしゃくり上げながら、微笑んでいた。

「ふふふ、お久しぶりですねえ・・・随分偉くなられたことで」
「は、遙佳・・・」
「異性交遊が泳ぎに影響すると?どの口が言うた?」
「そ、それは・・・勘弁してくれ・・・」
「まっ、そーいうことで」
遙佳は、にやつきながら帰って行った。


そして、日本選手権は・・・
大規模災害が発生し、5月に延期された上、関西での開催となった。
MSSから美沙、KS学園から遙佳がともに表彰台に登り、ロマネスクの眞美も決勝へと進んだ。

眞美ちゃん、決勝か・・・最近の頑張り方すごかったよな。タイムも更新しつづけてるし。

和将の携帯が鳴った。
遙佳からだった。
「眞美が・・・」
「・・・応援にいきたい・・・決勝は8時か。学校終わってすぐに新幹線なら、なんとか間に合う・・・帰りは夜行バスだ」
「私が言うまでもなかったか。和将の応援が一番だよ。待ってるから」

選手のコースと名前が紹介されながらプールに現れてくる。
4コースの眞美が最後に登場した。レース用のスーツを身にまとっていた。
スタート台の前に立ち、スタンドの遙佳達の方に手を振ると、和将の姿が見えた。

和将!なんで・・・来てくれたの?今日?・・・私のため・・・

そして結果は・・・言うまでもなかった。
眞美は平川との約束を果たした。
しかも日本新と派遣標準も切っての勝利だった。
「よくやった!有言実行。記録より頑張りだよ。彼に礼言わなきゃな」
眞美の頬に涙がこぼれた。

表彰台の真ん中から、眞美は和将に手を振った。和将も大きく両手を振った。

取材を終えて、ジャージ姿の眞美が関係者エリアからでてくると、遙佳と美沙が駆け寄ってきた。3人で抱き合った。
「和将・・・いたよね・・・和将は?」
「あいつは明日学校だからね。公休じゃないから夜行バスでとんぼ帰り」
「そっかー。来てくれた・・・」
「あら、和将君と付き合ってたの?知らなかったわ」
「先輩、それがね・・・」
「えっ、付き合ってない?どういうこと?」
「ちょ、ちょっと、遙佳、それは・・・」
「でもねえ・・・何かコクられたようなもんじゃない?」
「やめてよ・・・」
眞美の頬が真っ赤に染まっていた。


「和将、どうした?1人ダダ遅れじゃないか。調子悪いのか?」
「裕樹先輩・・・腰がちょっと痛くてどうにも・・・」
「もう今日は無理するな。上でラップとってくれ」

プールサイドで和将はストップウオッチを持って記録していた。
そこに制服姿の遙佳が現れた。
「なんだ?さぼってんの?」
「ああ、お疲れさん。腰がさあ、新幹線で3時間、朝までバスで9時間座ったきりだよ」
「わたしの応援のためによく頑張った」
「なんでだよ。だいたい泳いでるとこ見てねえじゃん。眞美は・・・スクールか」
「いや、よくやったよ。それと、これまでナイショにしてたんだけど・・・」
「・・・そんなことが・・・眞美・・・」


週末、眞美が応援に来てくれたお礼がしたいと、和将を食事に誘った。
「これ、優勝のお祝い」
「ええっ!応援まで来てもらって・・・どうして、これ・・・」
「一昨日、遙佳から聞いた。欲しがってるって。まあ高いものじゃないから」
「でも・・・交通費もかかったでしょ」
「残ってたお年玉が底をついた」
「ごめんね・・・」
「謝ることじゃないよ。東京-大阪弾丸ツアー。せめて、たこ焼きくらい食いたかったけど」
「今日たこ焼きがよかったかな」
2人は目をあわせて微笑んだ。

夕暮れになり、駅に向かって2人は歩いていた。
眞美は少し頬を赤くしながら、
「どうして会場まで来てくれたの?」
「眞美が決勝にいったから」
「・・・そうじゃなくて、決勝にいって、なんで来てくれたの?」
「応援しようと思って」
「もう・・・そういうことじゃなくて・・・」
「どうしたの?」
「・・・嫌いだ」
「えっ、嫌いって?どうして?」
「もう!わたしのこと・・・どう思ってるの?」
「好きだよ・・・」
「・・・えっ?そんな・・・あっさりと・・・わたしがどう思ってるかは聞かないの?」
「どう思ってるの?」
「聞きたい?」
「いや、別に」
「どうしてよ!」
「僕が好きならそれでいいかなって。休みのときは会ってくれるし、それで楽しいし」
「そんなこと言ってて・・・じゃあ、わたしが和将と会わなくなって・・・他の人と付き合うようになったらどうするの?」
「それが眞美の幸せならいいんじゃない。眞美が幸せでいてくれることが嬉しい。いろいろ力になってくれて。だから僕が力になれることがないかなあって。応援に行ったら少しは力になれるかと思ったんだ。もちろん僕が眞美を応援したかったんだけどね」
「もう・・・」
眞美の頬に涙が流れた。
「ちょ、ちょっと・・・泣くようなことじゃ・・・」
「泣くようなことよ・・・嬉しい・・・」
「僕も嬉しかったよ。おととい、遙佳から聞いた。コーチに泣いて土下座したって。僕ばっか眞美に頼ってただけなのに」
「違う。わたしは和将がいないとだめだったの。だから一緒にいて欲しい」
「僕も一緒にいたい」
「わたしが和将のこと、どう思ってるか聞かないの?」
「聞かない」
「もう!」
眞美は和将に腕を組んで寄りかかった。
「わたしも好きだよ」
「うん」


続編 追加: 2019.04.27


JO春季全国大会前のある日、部活は自主錬のみだった。
練習後、女子の1年生部員が少ない中、遙佳が1人で片付けをしていた。
3人の男子部員がその時を狙っていた。
崇大、諒太朗、雅弥は遙佳の設定したタイムどころか、JO全国の標準記録を突破した。

ジャグジーに入っていた遙佳に近づいてきた。
「は~るかちゃん」
「な、何よ」
「約束」
「何の?」
「それはないよ」
「頑張ったのに」
「3人とも遙佳の設定したタイムをクリアしたよ。まあおかげで標準記録も突破できた」
「えっ、あれは夏のことでしょ」
「そんなこと聞いてないよ」
「そうだよ。俺たち頑張ったんだから」
「自分のためでしょ。ちょっとした話の行き違いじゃない」
「いいこと・・・」
「いいことって何よ」
「だって、エッチなこと」
「私『いいこと』って言っただけで、何とは言ってないもーん」
「それって・・・」
「詐欺だ」
「騙してないじゃない。みんな頑張ったねえ。はい、褒めてあげた」
「そうはいくか」
「許さないよ」
「ちょ、ちょっと、何するつもりよ!やめてよ!」

崇大が遙佳を羽交い締めにしてジャグジーの中に寝転び、諒太朗が遙佳の太腿の間に入り、雅弥が横に座った。
体格のいい遙佳も、それを上回る崇大に羽交い締めにされると身動きがとれなかった。
「離してよ!」
「俺たちを謀ろうとして・・・」
「すげえなあ。近くで見ると。大きいおっぱいだあ。何カップなんだろう。Dどころじゃないよね」
「太腿はカチカチに硬いや。でもここは柔らかいかな」
「いいケツしてるわ。ああ・・・」
崇大は遙佳のヒップの割れ目に熱く硬くなったペニスを擦りつけた。
諒太朗は覆い被さるようにしてバストに手を伸ばし、雅弥は手のひらで遙佳の股間を下から撫でようとしていた。
「やめて!いやあっ!」
犯されようとしている筈の遙佳だが・・・

こいつらなかなか勇気あるな。後のこと考えてんのか?
まあ、少しくらいお楽しみさせてやってもいいけど。
何か久しぶりだなあ。
裕樹先輩に返り討ちにあったとき以来か。
私も楽しんじゃおうかな。
でも・・・童貞3人でうまくやれるの?

遙佳は余裕だった。恥ずかしさを煽ろうとしていることぐらいお見通しだった。
逆に3人の興奮を煽っていった。

諒太朗は両手で遙佳の乳房を揉みしだいていった。
「うわあ、すげえ弾力。手に収まらねえ」
「いやあ!やめてえ、触らないで・・・いや、いやあ」

ほんと嫌だわ。がっついて力一杯揉むなよなあ。
全然感じないじゃん。
乳房が大して感じないのわかってないの?っ痛・・・痛いっつうの!

雅弥は遙佳の陰部を押さえるようにして摩った。
「むにゅむにゅして・・・ここが感じるんだろ?割れ目ってこの辺かなあ。クリトリスって・・・」

自分だけ満足してどうすんのよ。小陰唇押さえたってなあ・・・バカ?そこは水着のしわだって・・・

そして崇大はペニスを遙佳のヒップに擦りつけ前後に動かしていた。
「ああっ・・・いいよお・・・」

こいつギンギン・・・すごく硬くて太い。これ挿れられたら、ちょっと楽しめるかしら。
でもこいつもポイントわかってないだろうなあ・・・

3人の必死さにくらべ、遙佳は余裕、というよりイライラしていた。

そして雅弥が競パンをずらしてペニスを晒した。
遙佳は首を横に向けて目をそむけた。
「もうキンキンだぜ。さあ、こいつでヒイヒイ言わせてやろう」
「いやあ!やめてえ!」
雅弥は遙佳の水着をずらして陰部を晒した。

貧相なもん見せやがって。勃っててそれ?
ちょ、ちょっと、そのまま挿れる?まだ濡れてないっつうの!入るわけないじゃん!

雅弥はダグダグに汗をかいて焦っていた。必死の形相でペニスを挿れるどころか、膣がどこかすらわからず、大陰唇と小陰唇を摩ってばかりいた。
「あ、あれ・・・だ、だめだ・・・あっ、ああ・・・」
雅弥ペニスはすっかりしぼんでしまった。
「はあ・・・」

「お前何やってんだよ!だらしないなあ」
「どこかわかんないんだよ・・・」
「情けねえ。代わってくれ。AVくらい見たことあるんだろ」
「モザイクあるもん」
「無修正くらいころがってるだろ。見たことないのかよ。ったく」
と言って、諒太朗は遙佳に入ろうとしてきた。

「いやあっ!いやあっ!やめて!お願い!もう離して!」
「泣いても叫んでも誰も来ないぜ。さあ、ヒイヒイ言わせてやる」

くっさいセリフだなあ。濡れてないのに入るの?痛いかなあ・・・

当然、入るわけもなく、しぼんでしまった・・・
「あ、あれ・・・」
「お前だって何やってんだよ!」

3人にとって、シチュエーションとして不運だったのはジャグジーの水流で遙佳の陰部が濡れているかどうかわからなかった。
もとより必死で確認する余裕もない。ペニスが硬くそり勃っていたがために入らない。
しかも余裕満々の遙佳の陰部は濡れようがなかった。

「崇大、そっちにいてないでおまえもこいよ」
「い、いや、もうだめ」
「お、お前、そんなんでいっちゃったの」
「すごいよかった。遙佳のヒップ」
と言って、遙佳の腕を離した。

遙佳は座り込んで、腕で涙を拭うようにして、
「ひどい、こんなひどいこと・・・ううう・・・訴える・・・」

今頃になって、3人はコトの重大さに気づいた。
「ああああ・・・」
「ご、ごめんよう・・・」
「どうしよう・・・」
3人に脂汗が流れ出した、が・・・

「なーんてね。焦った?」
「え、ええっー」
「あんたらねえ、人が身体許そうってしてたのに、何やってんのよ。女一つ抱けないの?ホント青臭い童貞が。そんなんで大胆なことするんじゃないよ」
さらに3人はガックリした。
「まあ、私も悪かったとは思うけど、これはちょっとだめじゃない?」
「はい・・・ごめんなさい」
3人は深々と頭を下げた。

「ねえ、あんたから、こっちおいで」
遙佳はジャグジーの縁に座った。
諒太朗がその横に座った。
遙佳は諒太朗の腰に右腕をまわし、左手で諒太朗の陰嚢をこちょこちょとくすぐった。
「ああっー!えっ、えっ、そんなこと・・・いいのか?」
「いいことしてあげるっていったでしょ。手でもいい?」
諒太朗は高速で頷いた。
遙佳は諒太朗のパンツをずらしていき、ペニスを露わにした。
「すごーい。大きくて硬い。こんなの挿れられたら・・・いやん」
遙佳のセリフだけで諒太朗の興奮は一気に増していった。
遙佳は首元に息を吹きかけながら、ペニスのカリ首を指でそおっと撫でていく。
もう、諒太朗のペニスはカウパーが噴き出していた。
遙佳はカウパーで亀頭の先をソフトにこねるように撫でた。
諒太朗は、ぴったりとくっついている遙佳を競泳水着越しに感じながら、興奮が高まっていった。
遙佳の香りに酔いしれていた。遙佳の右手が諒太朗の腰をくすぐる。
「ああっ!いいっ・・・ああ、はあ、はあ、ううっ!はあ、はあ・・・」
「すごーい・・・ピクピクしちゃって・・・ちゅっ、ちゅっ」
遙佳は諒太朗の首筋にキスをしていった。キスの感触に快感が突き抜け、諒太朗のペニスに陰嚢の底から熱いモノがこみ上げだした。遙佳の手が竿を包み緩やかに上下に動いていた。
「ああっ、ゾクッとする・・・いい匂い・・・ああっ!ああっ!いっ・・・」
遙佳はそっと、右手の動きを緩めた。
「ふふ・・・いきそうになった?」
「や、やばかった・・・寸止めなんて・・・」
「もう・・・ゆっくり楽しまなきゃ損よ。せっかく気持ちよくしてあげてるんだから・・・」

雅弥と崇大がこの様子を見ていて唾をゴクッと飲み込んだ。2人のペニスからもカウパーが分泌していた。
「ああっ、そこも・・・いい・・・ああっ、はあ、はあ」
遙佳は指先で諒太朗の陰嚢をこちょこちょとこそばした。くすぐったい快感に身体が波打つ。遙佳の左手が腰から首筋へと撫で上がっていく。
遙佳はバストを諒太朗に押しつけた。
「触りたい?」
「いいの?」
「優しくね」
諒太朗は遙佳の方を向いて、左手で遙佳のバストを包み込んだ。
「嬉しい?」
「最高だよ・・・ああっ・・・いいっ・・・ああっ・・・だ、だめだあ」
遙佳は乳房を触らせながらも、指先は諒太朗のペニスを弄んでいた。
「気持ちよくいかせてあげるね」
遙佳が指先を波打たせながら、諒太朗のペニスをしごきあげ、とうとう・・・
「ああっ!いいっ!いくっ・・・ああっ!」
諒太朗の尿道から噴水のように精液がはじけ飛んでいった。
「もう・・・勢いよくいっぱい出しちゃって・・・よかった?」
諒太朗はぐったりとしながらうなずいた。

「さあ、じゃあね」
「ちょっと!おれたちは・・・」
「1人したからいいじゃん」
「そんなあ・・・お願いしますよお」
「ふふっ、冗談。そりゃないわよね。おいで・・・」

遙佳は雅弥を手招きした。
雅弥は恥ずかしがりながら、少し離れて座った。
「あら、どうしたの?さっきはあんなに積極的だったのに」
「いやあ、こうあらたまれると、ちょっと・・・」
遙佳は両腕を雅弥の首に巻いて、首筋にしゃぶりついた。
「ああっ!」
雅弥は全身がビクッとして、一気に股間が膨らんだ。
「あらあ、もう・・・ちゅっ、ちゅちゅっ」
「ああっ・・・ああっ・・・」
雅弥は遙佳の唇のくすぐったい感触と押しつけられたバスト、そして狂わしい香に酔っていた。
遙佳はパンツの上から指先でヌルヌルになった亀頭を円を描いて撫でた。
「あああー、いい・・・」
「ふふふ、じらしちゃおうっと」
遙佳の指先が雅弥のペニスをくすぐってまわる。
「も、もう・・・」
雅弥が顔を歪めながらじれていた。
「ねえ、して欲しい?」
雅弥が頷く。
「何を?何をして欲しい、のっ」
「あ、あのお・・・舐め舐めしてほしい・・・とか」
「あらっ、どうしようかなあ・・・」
しかしこれには諒太朗が、
「ずるい、ずるい、なんでお前が口なんだよ!」
「いいじゃなあい・・・」
と言って、雅弥のパンツをずらしたが、
「ん!あんた・・・これ・・・まずいよ」
「エッ?何が・・・」
「包茎じゃん。それも・・・」
「あ、ああ・・・」
「これはちょっとねえ・・・それに、手術しないとだめよ。早くに」
「なかなか水からでられないからなあ」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ。今日のところは・・・」
と言って、手でサッサとしごくと、
「ああっ・・・ああー」
「ほらあ、楽しめないでしょ。なんとかしなよ。練習休んで」
「ハイ・・・」

「さあ、じゃあ、これで・・・」
「ちょ、ちょっと、俺は・・・」
「あんたもう、私のケツで一発やってるじゃん」
「ああ・・・」
「ということで、次の目標タイムね」
「ええっ!」
3人は目を丸めた。
「ここまでのことして、ここまでやったんだからね。ということで・・・」
「これ・・・選手権いけそうじゃん」
「射程にはある・・・」
「今度は約束するわ。もっといいことしてあげるから」
「無理だと確信してるだろ」
「まあね」
「まあ、確かに厳しいのは厳しい・・・」
「頑張ってねえ」
遙佳は女子更衣室に入っていった。

「なんか、舐められてるよな・・・」
「ようし、舐めさせてやる」
「かっこいいようで、下品なセリフだな」
「まあ、いい思いさせてもらったし、とにかく頑張んなきゃ」
「そうだな」
「なんか、頑張れるわ」
遙佳のあげまんぶりが発揮されそうだった。


そして、3人とも善戦し、崇大だけが目標タイムをクリアし、選手権の標準まで切ってきた。

「ちょっと感心したわ。やるじゃん、崇大。約束通り・・・いいよ・・・」
「じゃあ、ちょっとお願いが」
「えっ、何?嫌よ、変なプレイは」
「いやあ、選手権終わってから一緒に・・・ランド行ってくんねえ?」
「・・・ランド?何でまた?」
「行ったことないんだよ。1人じゃなあ。男同士もなあ。やっぱ連れは女じゃないと」
「ふ~ん。私は子どものときに親と行ったけど、楽しい記憶はないなあ」
「そうなの?嫌だったらいいけど」
「まあ、いいよ。それくらい」

日本選手権をむかえ、遙佳や美沙、眞美達の活躍のなか、崇大はベストを更新し決勝まですすんだ。
決勝こそ8位だったものの、KS学園水泳部男子史上初の選手権入賞だった。

遙佳は母親の部屋のウオークインクローゼットに入り、下着ケースを漁っていた。

私とヤリたい一心でここまで頑張ったんだから、サービスしてやるか。
でも・・・そこまでかなあ?私の身体ってそんなにいいかあ?
しかし、節操のない・・・我が母親とはいえ呆れる。さすがのわたしでもためらうわ。
ガーターにニーハイストッキング・・・ワインレッドに黒い刺繍・・・何者だ?
これにいたっては、メッシュの紐パン。はくためのショーツじゃないよ。
しかも新品じゃん、全部。
こっちは水着かあ。にしても、こっちもヒモやら、このハイレグ。
んん?なんで競泳水着?ママ、水泳なんかしたっけ?
まあ、あいつも初めてだろうし、そこそこにしとかなきゃ。
これ・・・パープルのサテン。これが一番ましか・・・でもTバック・・・
ヒップラインがでなくていいか。パンツだからガーターはいらないな。
短めのキャミに・・・おそろいのブラにしよ。
勝負下着ってね。
これまで、こういうの経験なかったな。
ここまでエッチだと、かえって崇大ひいちゃうかな?


「はあ・・・結構おもしろいね。大人でも楽しめるんだ」
「う、うれしい・・・女連れでアトラクションを楽しめる日がくるなんて」
「何にせよ喜んでもらえてるんならいいわ。ごはんたべようよ」
「そうだな」

「最後までいると遅くなったな。ごめん、寮までだともう終電がぎりぎりだ。遙佳んちは都会のど真ん中でいいな。先に帰るわ。今日はありがとう。楽しかった」
「えっ?帰っちゃうの。うちに泊まっていかないの?」
「そんなわけにいかないだろ。じゃあ、また明日」
崇大は駅へ駆けていった。

私と、一発やるつもりじゃなかったの?
でも・・・ランドって、子どもの時は楽しくなかった。
あのときは何も楽しくなかった。
今日は本当に楽しかった。
崇大・・・ありがとう。

ああ楽しかった。遙佳の楽しむ姿って可愛いかったなあ。
まあ、遙佳は俺には遠い存在だよな。
でも、おかげでここまで来れた。
もっと頑張ろう。


続編 追加: 2019.05.09


遙佳の父と母はビジネスマンと一流クラブのホステス。
両親とも高収入、一人っ子で何不自由なく暮らしていた。
しかし、父はほとんど家に帰ってこない。
母は遙佳が朝起きると、まだ寝ている。学校から帰るとすでに出勤している。
たまの休日に、テーマパークやショッピング、高級レストランに連れて行ってもらえる。
でも、自分のことは1人で考えなければならないた。
都心の高級マンション。家は広い。モノはなんでもある。小遣いにも困ったことがない。

孤独だった。虚しかった。何かにすがりたかった。
道を外したく思ったとき、水泳に巡り会った。
両親の不存在を水泳の時間で埋めた。
そしてスクールの仲間とのふれ合いが、楽しくてしょうがなかった。
同級生の陽葵とほのか、一年下の美亜、美姫、美來(みく)。
JOで全国に手が届いた。
お互いに切磋琢磨もでき、女の子同士の楽しい時間も共有できた。

中学生になって、思春期の心の空白が広がっていった。
両親は遙佳に手がかからなくなっていくと、さらに自らの時間を謳歌し始めた。
父は事業に邁進し、母はその天性の女っぷりで、高級コールガールを楽しんでいた。
ある日、いつも不在の父の部屋に、若い女を感じとった。ビジネス一筋と思っていた。
同級生の陽葵とほのかは、中央女学院に進学と同時にスクールから去って行き、自分もスクールの本店に移籍した。美亜、美姫、美來とも離れることになって、孤独に苛まれた。

心の隙間はコーチの平川が埋めてくれた。
同じスクールの美沙をトップ選手に導いていた敏腕コーチにすがった。
しかし、平川は遙佳にすがってしまった。
選手と指導者でありながら一線を越えた。遙佳は女の部分で母の血をたっぷり引いていた。
年に違う艶やかさは、大人の男を魅了した。そしてテクニックも天性のモノがあった。

平川は遙佳に狂った。
しかし一流に駆け上がろうとしていた指導者は、そんな自分に気づいた。
そして遙佳の指導者に戻ることが出来た。
平川が関係を絶ったとき、遙佳は安堵した。
全中、JOの活躍で、遙佳は一流選手への切符を手にした。
遙佳と美沙を育成した成果を認められ、平川はロマネクスに請われ、移籍した。
お互いに感謝を交わし、それぞれの道に進むことになった。

遙佳は美沙と共にスクールの2枚看板となった。
実力とともにルックスとスタイルでも2人は魅力を放っていた。
美沙も実力はさることながら、遙佳とは違ったかわいらしいルックスで人気があった。
コーチは去ったが、そのルックスで目立つ遙佳は、年上の男子から言い寄られることや、身体を求められることが頻繁にあった。
体格が男子と変わらず、しかしボリューミーなバストとヒップ、鍛えられた身体はその年齢以上に遙佳を見せていた。誰もが1年生とは思っていなかった。そんな遙佳を嫉み妬む女子もたくさんいた。
遙佳は言い寄る男達をことごとく袖にしていった。

それでも遙佳は精神的にまだまだ未熟だった。
コーチと離れて、心の空白が再び蘇った遙佳は、よりどころを求めていった。
上級生の女子選手は、遙佳を練習相手にしなかった。美沙だけは一緒に練習してくれたが、強化合宿や大会でその機会は少なかった。

そんななかで、ある高校生の男子選手が練習を引っぱってくれた。
高3の瑛太は、実力的にはトップには及ばないものの、遙佳とは十分に練習相手になれた。
少なからず遙佳への想いはあったが、さすがに年の差から、何をしようとでもなく、つかの間の遙佳との練習で満足ができた。
水中から豊満な身体を見ているだけでときめいた。
遙佳は瑛太の真摯な姿勢に、他の男子とは違う誠実さを見て、好感を持った。

瑛太は進学と同時に転居するため12月でスクールを去ることになった。

遙佳と瑛太はプールの片付けをしていた。

「瑛太せ~んぱい。これまでありがとうございました」
「いやあ、たった半年足らずで。僕の方こそ遙佳ちゃんと一緒で楽しかった」
「それは・・・練習のこと?私のこと?」

遙佳は軽い気持ちで言ったのだが、瑛太には緊張が走った。

「・・・遙佳ちゃん、かな」
「うれしい・・・」

2人はベンチの陰で唇をあわせた。
瑛太にとってはファーストキスだった。
瑛太は遙佳の唇と舌づかいの虜になってしまう。
快感が身体を突き抜け、血が上ってしまった。

瑛太は遙佳を抱きしめた。
遙佳は瑛太の厚い胸板に顔をうずめた。
遙佳の手が瑛太の腰に回ったとき、ゾクッとする快感がさらに走った。
瑛太のペニスが一気に反り立った。遙佳は瑛太の膨らみを、下腹部に感じた。

「せんぱいったら・・・」

遙佳は瑛太の手を引いて、人目を確認してからコーチ室に入った。
何度もコーチと逢瀬を重ねたロッカールームへ連れて行った。

プールサイドでの抱擁は軽率だった。男子も女子も遙佳に目を光らせている。
帰ろうとしていた男子選手が、見学席から目撃していた。

もう一度2人は熱い口づけを交わした。遙佳のテクニックに瑛太はもう止まらなくなっていた。
しかし・・・

「ボ、ボク・・・経験ないんだ」
「もう知ってると思うけど、私初めてじゃないから」
「な、何か・・・ボク、恥ずかしいような情けないような」
「気持ちでしょ・・・私だってこんな歳できれいなからだじゃない」
「そんなこと・・・関係ないよ。遙佳・・・」

辿々しい口使いで首筋から胸へと唇を這わしていった。

「ああん、ううん・・・ああっ!いやっ・・・いい・・・」

遙佳は喘ぎ声を出したが・・・演技だった。
瑛太の興奮をもり立てていく。2人の先を考えれば今日限り。
今日は瑛太に尽くそうと思った。
瑛太はあえなく果てた。ガックリと頭をうなだれながら、息を切るばかりだった。
遙佳は瑛太のしぼんだペニスからコンドームを外した。

「情けないけど、ボクはキミを受け入れられない」
「先輩・・・お元気で」
「ありがとう。さよなら」

2人が目撃されたのはキスシーンだけだったが、遙佳が一度きりの関係を瑛太と持ったことは周知の事実となっていた。

遙佳は嫉まれ疎まれ練習相手がいない。
コーチが不在の時は、インターバルのサークルにも入れてもらえない。
そんな中、やはり美沙だけが遙佳の練習相手を務めてくれた。
そして美沙のアドバイスで遙佳は技術を高めていった。

プールから上がって、遙佳と美沙が記録表を見ていた。

「標準記録上回ったじゃない!大会までにもっと縮めれば表彰台も狙えるわ」
「先輩がいてくれたからここまで来れました」
「あなたの頑張りよ」

そこに高3の祥一郎がやって来て美沙に言い寄ってきた。
「なあ、なあ、美沙・・・」
美沙は一瞥もせず更衣室に入っていった。
遙佳も美沙に続いた。
「先輩、あれ・・・」
「もうっ!練習の邪魔なのよ。あれ以外にも・・・」
「そうですね。先輩モテるから。いい男いないんですか」
「最低よ。こっそり触ってくる奴も多いし。今のなんかもね・・・どこまで自信家なんだか。強化合宿も一緒でいやんなっちゃう」
「モテるのも困りもんですね」
「遙佳ちゃんも男子から人気あるのよ・・・ただ・・・」
「瑛太先輩のことですよね。仕方がないです」
「でもみんな、そのことで・・・それは違うと思う。そういう子達はこれから絶対伸びない。今もそうでしょ」
「だから余計に・・・」
「遙佳ちゃんをこんなに悩ますなんて。力で勝負できないのかしら」

遙佳は美沙の気遣いが心から嬉しかった。今度は自分が美沙を守ろうと思った。

練習が終わった後のプールの中で、祥一郎がコースロープを引っぱっていた。
そこに遙佳が歩み寄っていった。

「祥せんぱい」
「ああ・・・遙佳ちゃん」

プールの隅で、遙佳がグッと身体を寄せてきた。
祥一郎はドキッとした。妖艶な笑みと香りにくすぐられるような感覚が走った。

「美沙先輩のこと・・・狙ってるんですか」
「エッ・・・いや・・・な、何を」
「可愛いですよねえ・・・私は可愛げないかなあ」
「いや、そんなことないよ。きれいで・・・そうだなあ、セクシーって言ってるぜ、男連中は」
「・・・エロいってこと?そんな風に見られるのかなあ。それはそれで嬉しいかな、ねえ、先輩」

遙佳は祥一郎の競パンの上に指を這わせた。
遙佳の指先は祥一郎のペニスの性感を巧に刺激した。
祥一郎のペニスは亀頭が少しパンツから飛び出していた。

「うわあ!な、何・・・ああっ・・・ちょ、ちょっと」

祥一郎は亀頭を両手で隠した。

「いやん、先輩ったら・・・元気すぎ。・・・嫌?」
「そ、そんなこと・・・ないよ」
「ふふふ・・・」

遙佳は、手を祥一郎のパンツに滑り込まして、柔らかにペニスを愛撫した。

「うっ・・・そ、そんな・・・こんな、初めて・・・ああっ!」

高3といえど童貞少年。遙佳の天性のテクニックには、あっという間だった。

「はあ、はあ・・・」

たっぷりとミルクを溜めた手のひらを、水を滴らせながら祥一郎の目の前に差し出した。

「もう、早すぎ。いっぱい出しちゃって」
「だ、だって、いきなり・・・」
「これくらいで?じゃあ、先輩、次の大会で頑張ったら、私ももっと頑張ってあげようかなあ」
「が、頑張る!」
「じゃあ・・・このタイムを・・・出せる?」
「・・・そ、そう。わかった・・・」

はあ・・・まいった。瑛太の奴こんな凄いのを相手にしてたのか・・・

1人の男子選手がジャグジーの中で虚ろな表情でモゾモゾしていた。
その視線は遙佳に向いていた。
ハッとして気配を感じた。

「せーんぱい。ジャグジー汚しちゃだめですよ」
「な、何言ってんだよ。俺は何も」

遙佳は、競パンの中にいきなり手を入れた。
「うわあ!何すんだ」
「何ですかこれ」

遙佳の指先に糸が引いていた。
「汚しちゃだめでしょ」
「いや・・・このことは」
「言いませんよ。もうちょっと水泳を頑張りましょうよ。だから・・・」
「えっ、このタイム・・・いくらなんでも」
「じゃあこうしたら頑張れる?」

遙佳は競パンに手を突っ込んで、ペニスを弄んだ。
「いや・・・何を・・・ああっ・・・」
「ふふ、頑張ってネ」

はあ、えらいもの背負わされたなあ・・・でもこのタイムならなんとか。頑張るしかないな

こんな具合に、美沙に想いを寄せる男子選手をプールやジャグジーの死角で、色仕掛けで美沙から遠ざけていった。

美沙は周辺が静かになり、練習に集中できていった。

春にJOと日本選手権が続いた。
遙佳という美味しい餌にありつこうとした男子選手達は軒並みタイムをアップしていた。
しかし誰1人として、遙佳の示したタイムに惜しいところで届かなかった。

男子選手達は悔しさ紛れに、遙佳に抜かせてもらった、やらせてもらったと吹聴していた。
同時に男子選手達は、成績アップや志望校の合格と、水泳以外でも力を上げていった。
この話がクラブ内で広まっていき、遙佳に「やりまん」で「あげまん」というレッテルが貼られた。
遙佳にとっては自分の評判などどうでもよく、美沙が記録更新を連発し、強化指定、日本選手権までも手に届いたことに喜んでいた。

ただ、美沙は胸中、疑心暗鬼になっていた。
遙佳の逸脱っぷりに戸惑いと嫌悪感を抱いたまま、家庭の都合で店舗を移籍した。
悪い評判を抱えながら、またも遙佳は孤独に苦しまされそうになった。

美沙と入れ替わるように、大学2年生の美咲が入ってきた。
近くに引っ越してきたが、大学から遠くなり、MSSの選手コースで練習をすることになった。
スクールのトップスイマーとなった遙佳が一緒に練習した。

美咲は遙佳を貴重な練習パートナーとして、妹のようにかわいがった。
遙佳も美咲を姉のように慕っていった。





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