平成4年3月30日 文部省初等中等教育局長 坂元 弘直 殿 通級学級に関する調査研究協力者会議座長 山口 薫 通級による指導に関する充実方策について(審議のまとめ) 我が国の特殊教育は、昭和22年の学校教育法の制定によって学校制度上明確 に位置付けられたが、昭和30年代から40年代を中心に急速に整備が進められ、 軽度の心身障害児の教育の場として、重要な役割を果たしている。 当初、特殊学級は、児童生徒が籍を置き、大半の指導を受ける場として想定 され整備されてきた。いわゆる「固定式」の特殊学級である。しかし、近年、 各教科等の指導の大半を通常の学級で受けつつ、心身の障害の状態等に応じた 特別な指導を特殊学級等で受けるという形態での教育が行われる例が見られ、 障害の種類・程度によっては、 一般的な教育の形態となりつつある。 これが 「通級」である。 このような「通級」による指導は、心身障害児のうち、各教科等については 通常の学級において指導するのが適当であるようなものに対しては、有効な教 育の形態であると考えられている。既に、昭和53年に、文部省の特殊教育に関 する研究調査会の報告「軽度心身障害児に関する学校教育の在り方」も、軽度 心身障害児に対する具体的方策の一つとして、「通級による指導」を考慮すべ きことを提言している。また、昭和62年の臨時教育審議会の第 3次答申や、昭 和63年の教育課程審議会の答申においても、「通級学級」における指導体制の 充実や、教育条件の改善を図るべきことが述べられている。 このような「通級」による指導については、これまで教育課程上の位置付け や、対象となる児童生徒の障害の種類・程度・指導内容・方法が明確にされて おらず、又、学級編成上も従来の基準には当てはめがたいなどの問題があり、 これらの問題を検討し、解決することが必要となっていた。 また、 最近、 いわゆる「学習障害児」の問題が重要な課題となっており、 「通級」による指導が効果的であるとの指摘も行われている。 本協力者会議においては、調査研究校の協力を得ながら、「通級」による指 導の充実のため、これらの問題点について検討を重ね、その充実方策について、 別紙のように取りまとめたので、ここに報告する。