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【大相撲】

[北の富士コラム]泣いても笑ってもあと2日、優勝するのは? それは一番欲の深いやつ

2019年9月20日 21時59分

3敗目を喫し悔しい表情を浮かべる貴景勝

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 今場所の優勝を占う大一番は、豪栄道の思い切った作戦が図に当たり貴景勝に待ったをかけた。

 相撲の流れはこうだった。貴景勝は迷うことなく頭で当たって出た。対する豪栄道は得意の左の前みつを取るものと予想されたが、大胆極まる手を見せた。左かいなを思い切り伸ばし、相手の肩越しに上手を取りに出たのである。この予想外の立ち合いは貴景勝もさぞ驚いたことだろう。まんまと上手を取った豪栄道が、そのまま間髪入れずに思い切り上手投げを打つ。打ったというよりぶん回したと言った方が良いかもしれない。この奇襲にさしもの貴景勝も打つ手がなく強引な上手投げにたまらず横転した。

 こんな相撲は私も予想していなかった。貴景勝もさぞ面食らったことだろう。見事に意表を突かれ体勢を立て直せなかった。イチかバチかの大勝負が、ズバリ的中したというところである。

 豪栄道という力士は見てくれより繊細なところがある。十分に地力があるのに、本場所になると消極的な性格が引き技となって出てしまう。確かに1度全勝優勝しているが、本来の力は存分に発揮しているとはいえない。今場所もかど番で苦しい戦いを強いられたが、昨日8勝目を挙げ、大関の地位を守った。それだけに今日の大一番は打倒貴景勝に燃えていたに違いない。

 結果は見ての通り、豪栄道が「大関豪栄道ここにあり」を見せてくれた。貴景勝には悪いが、これで優勝争いが振り出しに戻った。4敗までは圏内である。3敗も含め、いったい何人いるのか。両横綱不在の場所だけに最後まで面白くしてもらいたい。誰が一番有力か? そんなやぼなことは聞かないでもらいたい。強いて言わせてもらうなら、一番欲の深いやつ。泣いても笑ってもあと2日。楽しみましょう。それと炎鵬も何とか勝ち越せたら良いのだが。

 それではお休みなさい。その前に拙い一句を。笑ってやってください。サンマが食いたいので。

 「秋恋し やせた秋刀魚も太るころ」

 お粗末でした。勝昭(元横綱)

 

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