最終更新:2015/11/05

ルート2が無理数であることの4通りの証明

分野: 式の計算  レベル: 入試対策

2 は無理数である。
より一般に,平方数でない正の整数 n に対して n は無理数である。

背理法による証明

まずは定番の証明です。教科書で背理法を習うときに具体例として紹介されることが多い方法です。

証明

2 が有理数であると仮定する。
このとき,互いに素な正の整数 p,q を用いて 2=qp とおける。

両辺二乗して分母を払うと,2p2=q2
左辺は 2 の倍数なので q22 の倍数。よって q2 の倍数。

すると,q24 の倍数になるので,p22 の倍数。よって p2 の倍数。
これは pq が互いに素であることに矛盾。

素因数分解を用いた証明

先ほどの証明とかなり似ていますが素因数分解を用います。

証明

2 が有理数 2=ab を満たす整数 a,b が存在する
なので,
a2=2b2 を満たす整数 a,b が存在しないことを証明すればよい。
a,b を素因数分解したときの 2 の指数(2 で何回割り切れるか)を考えることで,
左辺は 2 で偶数回,右辺は 2 で奇数回割り切れることになる。つまりそのような整数 a,b は存在しない。

厳密には最後の部分で素因数分解の一意性を使っています。→素因数分解の一意性とその証明について

二次方程式を用いた証明

「方程式 ax2+bx+c=0 の有理数解を qp(既約分数)とおくと,pa の約数で qc の約数である」
という重要な定理を認めれば一発で証明できます。
この定理は入試でもよく使います。証明は方程式の有理数解を参照して下さい。

証明

x22=0 という二次方程式を考える。

  • 2 はこの二次方程式の解である。
  • この方程式に有理数解があるとしたら,それは上記の定理より ±1,±2 のいずれかだがどれも解でない。

以上により 2 は無理数。

    正則連分数展開を用いた証明

    「有理数 正則連分数展開が有限回で終了する」という定理を使います。
    この定理については連分数展開とその計算方法を参照して下さい。

    証明

    2 の正則連分数展開は 2=[1;2,2,2,2,] と無限に続く(注)ので上記の定理より 2 は無理数である。

    注:
    2 の整数部分は 1,小数部分は 21=12+1 より
    2=1+12+1
    2+1 の整数部分は 2,小数部分は 12+1 より
    2=1+12+12+1
    以下この操作が無限に続く。

    「ルート2が無理数である」というシンプルな主張ですが,いろいろな証明方法がありました!

    ネタを提供してくださったI氏に感謝!

    Tag: 数学1の教科書に載っている公式の解説一覧