マハーバーラタの原典について
9/11/2019 14:53
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興味無い方は読まなくて大丈夫です。 こんにちは、マダカンです。 知ってる人は知ってるかもしれませんが、マダカンの雑すぎるマハーバーラタらくがき漫画がごく一部で「捏造が酷い漫画が原典と違うのに原典と言い張ってる」として騒いでる方がおられました。 「原典と言い張ってる」点に関しては「これが原典」とも「これがマハーバーラタ」とも「これが公式」「これが主流」とも書いてませんでしたし「捏造はめちゃくちゃしてる」と注意書きをしておきましたので特にこちらには問題がないこととなります。 「捏造が酷い」という点では上述したように「捏造はめちゃくちゃしてる」と注意書きをしたので、「そうです」という気持ちです。 ただの「嫌いな漫画」「気持ち悪い漫画」「配慮に欠けた漫画」として騒いでくれれば、私の表現から受け取った個々の感情は正しいものであるから誰にも咎められないし周りも混乱せずに済んだのではないかと思われます。 さてここで出てきた「原典」という言葉ですが、マハーバーラタの原典とは一体何か、と言われますとサンスクリット語で記されたものが最も古いものなので一般的にそれが「原典」と呼ばれます。 ネットで騒いでおられた方が言う「原典」とは何かと言いますと、ほとんどは「サンスクリット語原典を英訳、または邦訳したもの」を指していました。 邦訳に関しては翻訳家の方が途中で亡くなられた為未完となっており(上村版)、完全なサンスクリット語原典邦訳は今のところ存在しません。 山際版と呼ばれる有名なマハーバーラタ邦訳は重訳の抄訳とあり、こちらも完全なマハーバーラタ「原典」とは呼べません。 邦訳のものに関しては完全な「マハーバーラタの(サンスクリット語)原典」と呼べるものは残っている上村版以外無いに等しいのです。 では英訳など他の言語の場合はどうなのかと言うと、少し調べましたところ、ガングリ版とプーナ版と呼ばれるものが「ヒンドゥー教によって付け加えられた教えを排除し、より忠実にサンスクリット語原典になぞったもの」だそうです。 プーナ批判版はより忠実にサンスクリット語原典に近づけたものだそうです。 カルカッタ版というものはそのような教えを排除せずに記され伝えられたものなのだそうで、そのような本にはヒロインのドラウパディーが主人公の宿敵カルナを御者の息子と言う理由で婚約を断る等の場面が含まれるそうです。 他にもボンベイ版という後代における追加箇所があるものも存在するそうです。 どのような話であっても成立は古く、確かに誰かによって伝えられた物語であり、人や地域、宗教によってはサンスクリット語原典には無い描写が「原典」となる場合もあります。 そのようなものを「サンスクリット語原典には無いから」という理由で切り捨てることは大変危険です。 そういうわけもあって、マハーバーラタに関して「原典」という言葉は簡単に使用できるものではないことがわかります。 なのでマハーバーラタに関して何か問題があった時にサンスクリット語原典など出典を明記せず「原典ではこうだった!」と騒ぎ出す人は「原典」という響きを利用している人である可能性が高く、原典という言葉が使えない界隈では「原典厨」という言葉も成立しないこととなります。 今後何かあった時に限って「原典」という曖昧な言葉を使用する方たちを見かけたら疑うようにしてみてください。 長文おつきあいありがとうございました。