今回は、長濱蒸溜所から、アマハガン エディションNo.3 ミズナラウッドフィニッシュを飲みます。

ミズナラ樽で後熟した習作

amahagan3_アマハガンは、長濱蒸溜所で本格的なシングルモルトのリリースに先立って、3年未満の長濱モルトと海外のバルクウイスキーをブレンドして、ブレンドの技術を習熟する目的でリリースされています。

第三弾となるこのボトルでは、既に発売されているNo.1のブレンド済みの原酒をミズナラの樽に入れて後熟しているのが特徴です。

ミズナラは日本原産の楢の木の一種で、主に北海道に生息しています。
ウイスキーの樽としては、元々は第二次世界大戦時によって入手困難となったホワイトオークの代わりにすぎませんでした。

また、樽材としては原酒が漏れやすい欠点がある上に、新樽としては木の香りが強く出すぎて、癖の強い原酒になるデメリットもあります。

しかし、何度か使ってはリチャーを行うことで、香木のような個性的な香りを帯びるようになり、日本のウイスキーの大きな個性として世界中でもてはやされるようになります。

最近では海外のメーカーでもミズナラ樽で後熟を行う所もあるほどです。

こうした特徴を持つミズナラの樽にアマハガンのブレンドを入れるとどうなるのでしょうか。

ミズナラのオリエンタルさが引き立つ

では、ストレートから飲みます。
グラスに注ぐと、液色は少し淡い琥珀色、香りは白ワインを思わせるフルーティさがあります。

口に含むと、ラムレーズンと樽からのウッディさが先にやってきます。程よくピートからのスモーキーな香りが続き、カカオとウエハースが締めます。

味わいは、アルコールからの辛みはそれなりであるものの、その後は酸味と柑橘系の苦味が半々に訪れます。後味にはほんのりとした甘みが顔を出します。

ロックでは、ゆずと柿、栗の香りが揮発します。その後はシナモン、ウッディ、バニラ、最後にはスモーキーな香りが後を引きます。
味わいは、渋みが真っ先に感じられますが、時間が経つにつれてほんのりした甘みが舌全体を支配していきます。

最後にハイボールにすると、白檀とレーズンの香りが先立ち、その後にバニラの甘い香りが続いていきます。
味わいは、苦味が少々目立つものの、後からはほんのりと甘い印象があります。

まだ未熟な長濱モルトからのとげとげしいアルコール感は否めませんが、ミズナラ樽の特徴がしっかりと得られます。
おそらくは新樽を使っていると思われますが、後熟として短期間だけ貯蔵することで、香りや味がくどくならないよう調整が利いているように思えます。

700mL、アルコール度数47度、価格は7000円ほど。

<個人的評価>

  • 香り B: ラムレーズンと樽香が先行し、ピート、カカオ、ウエハースが続く。加水で白檀、シナモンゆず、柿、栗が現れる。
  • 味わい B: まだ未熟さはあるものの、柑橘系の酸味と苦味が先行、後から甘みが得られる。
  • 総評 B: フィニッシュにすることで、程よくミズナラの個性が引き出せている。