ロシア、第5世代Su-57を量産へ 16機から76機に増やした狙いは?
今年5月、ロシア政府はステルス戦闘機Su-57(スホイ57)の発注数拡大を発表した。同機の開発は停滞しており、共同開発を行う予定だったインドがプロジェクトを離脱するなどトラブルが続いている。難局に面したSu-57にロシアが依存を高める理由とは何だろうか。
◆開発の道険しく
Su-57は2010年1月の時点で初フライトに成功している。ロシア東部のユーリイ・ガガーリン航空工場から離陸し、47分間の飛行を行った。アメリカのF-22と並ぶ第5世代の戦闘機であり、ステルス性能、強力なレーダー、超音速飛行などの機能で第4世代の機種を圧倒する。当時、同機の開発は西側諸国を驚愕させた、と米ポピュラー・メカニクス誌は振り返る。しかし、資金難に加えエンジン開発の遅れなど技術トラブルに直面したことで、予定されていた2020年の生産開始は疑問視されている。双発機に最大推力3万7200キロを与えるはずだったエンジンは、いまだ開発の道半ばだ。
見通しが決して明るくないSu-57だが、ロシアのプーチン大統領は今年5月、発注数の拡大を発表した。ロシア国防省を通じ、2028年までに76機を調達する。2027年までに16機としていた以前の購買計画から大幅増となる。米ナショナル・インタレスト誌(5月18日)によると西欧諸国の間には、製造開始は2020年代後半までずれ込み、生産規模も少数に留まるだろうとの観測が広がっていた。プーチン氏の構想が実現すれば、この予想を大きく裏切るものとなる。
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