MMT批判がおかしいと一発で分かる方法

 例えば、9月14日付の日本経済新聞は、台風15号が引き起こした大規模停電について、こう書いています。

 「1970年代に整備が進んだ送電施設は更新時期が迫り老いるインフラは道路などにも共通する課題だ。国と地方を合わせた借金が1千兆円と財政が厳しく社会保障費も膨らむなか、巨額投資によりインフラをどこまで維持していくか、重い判断が迫られる。」(※参考「老朽インフラ、日本の岐路 台風で停電、復旧あと2週間」)

 「重い判断」というのは、要するに「財政が厳しいから、インフラを維持する公共投資はあきらめろ」という判断のことでしょう。
確かに、「ない袖は振れぬ」と言われたら、誰しも黙らざるを得ません。

 でも、自国通貨を発行できる日本政府は、財政赤字を拡大しても、破綻することはあり得ません。これは、MMT批判者ですら、認めざるを得ない「事実」です。
 それでも、MMT批判者が財政赤字の拡大を批判する理由は、「破綻が心配だから」ではなく「インフレが止まらなくなるから」でした。

 だとすると、日経新聞は、こう書くべきでしょう。

 


 「インフレが行き過ぎるおそれがあるなか、巨額投資によりインフラをどこまで維持していくか、重い判断が迫られる。」

 どうです?こう書くと、説得力ゼロでしょう。
 二十年もデフレで悩む日本で、こんなバカげた政策論もあったものではありません。

 そこで、日経新聞をはじめとする緊縮財政論者は、インフラ投資を抑制したい時は「財政が厳しいから」と言いながら、MMTについては「インフレが止まらなくなる」と別の論理にすり替えて批判するのです。
 要するに、二枚舌です。

 ほかにもMMT批判者たちは、一発でおかしいと分かるような議論を平気でします。

 例えば、彼らは、「いったんインフレになったら、そう簡単には止められない」証拠として、第一次世界大戦直後のドイツ、第二次世界大戦直後の日本、ジンバブエ、ベネズエラといった、極端かつレアなケースを挙げてきます。

 しかし、過去四十年間、ほとんどの国は、マイルドなインフレです。
 つまり、インフレになっても、ハイパーインフレにはなっていない国の方が、圧倒的に多いということです。

 これらの国々は、どうやってハイパーインフレになるのを阻止できているのでしょうか?それとも、日本だけがインフレを止められない理由でもあるのでしたら、教えて下さい。
 ちなみに、日本だけがデフレですが。

 MMT批判者の中には、「インフレが止められない理由は、簡単には増税できないからだ」と主張する者もいます。しかし、この議論がおかしいことも、目の前の現実を見れば、一発で分かるでしょう。

 日本は、デフレであるにもかからわず、2014年に消費増税をやって、さらに今年、二度目も予定しているのですよ。
 それとも、日本は、デフレ下での増税はできるけれど、インフレを止めるための増税はできないとでもいうのでしょうか。
 いったい、どういう国なんだ?

 このように、MMTを批判するエリートたちは、まともに議論することすら、できない人たちなのです。
 まあ、そう考えると、日本経済の停滞が二十年以上も続いているのも、何の不思議もないわけですが・・・。


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