ブルーレイを買ってしまいました!
舞台を観に行こうかと悩んだのですが、劇場が遠くて諦めた経緯がございました。まあ単に出無精とも言いますが。
しかし日を追うごとに「やっぱり観たかったなあ〜」と思うようになり、ついついAmazonさんでポチっと。
結果ですね、買って正解でした。観に行かなくて不正解。やっぱり観に行くべきでした!(>_<)
この作品、もうじきストレート・プレイでもやるんですよね。脚本・演出も役者もミュージカル版とは別です。こっちはどうかなあ…主役はマッキーこと荒牧慶彦くんだけど。彼はすっかり『トキエンタテインメント』の稼ぎ頭ですねえ。ちょっと嫉妬しております。
さて「ミュージカル『憂国のモリアーティ』」です。
原作人気なのですね。私はシャーロック・ホームズのパスティーシュとしてなかなかに優れていると思っておりますが、はたして原典をどれだけの人が読んでいるのやら。
出演者が意外とみんな歌える! ビックリしました。中には昔はとんでもなく酷い歌を歌ってらした方もいらっしゃるのに、その人ですら歌えるようになっている! 本当に驚きました。人って成長するのね……。
脚本・演出…西森英行
ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ…鈴木勝吾
シャーロック・ホームズ…平野良
アルバート・ジェームズ・モリアーティ…久保田秀敏
ルイス・ジェームズ・モリアーティ…山本一慶
ジョン・ワトソン…鎌苅健太
モラン大佐…井澤勇貴
フレッド…赤澤遼太郎
レストレード警部…高木俊
主な配役は上記の通り。
原作のお話3作分を使用。ウィリアムとシャーロックのW主演で座長はウィリアムの鈴木くん。まあタイトル・ロールですしね。
ストーリーなんかはまあ「原作を読め」或いは「ブルーレイを観ろ」です。単に書くのが面倒くさいだけです。
この作品、前々から「バウホール辺りでやれるんじゃないかな」と考えておりました。ただ宝塚でやるには致命的な点が一つ。「ヒロインがいない」。
女性の登場人物は被害者か依頼人、シャーロックの下宿先の大家ミス・ハドソン、MI6のミス・マネーペニー、女優アイリーン・アドラー。それくらいです。
アイリーンはその登場話「ボヘミアの醜聞」ではヒロインらしくはありますがシャーロック主体の話だし、その後は男として生きるのですよね。新しい名前はなんと「ジェームズ・ボンド」、MI6の7番目の殺しのライセンスを持つ「007」。因みにマネーペニーも「007」の登場人物の名前。長官の「M」はアルバートです。武器開発の「Q」もいます。
と、まあ、とにかくヒロインがいない作品なので宝塚では難しいかなあと思います。
バイオリンとピアノだけの生演奏がお洒落でした。脚本も演出も及第点。再演したら観に行きたい程度には良作品です。
「地獄はもぬけの殻だ。全ての悪魔は地上(ここ)にいる」
原作のキャッチ・コピーを歌詞にした主題歌がとても印象的です。
2.5次元ミュージカルとしては「黒執事」に比肩する歌唱力の高さに非常に驚きました。もちろん歌える役者を集めた故のことでしょうが、2.5次元ミュージカルの役者さんの成長を実感した次第。
ウィリアムの鈴木勝吾くんは私にとっては「侍戦隊シンケンジャー」のシンケングリーンですが、「薄桜鬼」の風間千景と言いその歌唱力の高さを存分に活かした活動をしてらっしゃる。惜しむらくは身長の低さ。アクションも出来るし、これでもう少し背が高ければ鬼に金棒なのですが…。
彼に限らないことですが、「英国貴族」たる立ち振る舞い・所作はまだまだです。この辺は宝塚の男役には及ばない。滅多に演るものではないせいでしょうし、頑張っているとは感じますがより研究して欲しいところです。
みんなイケメンなのであまり気にはなりませんけどね。こういうのって一朝一夕には身に付かないものだと思うのです。古川雄大くんも「英国貴族の執事」らしさを出すのに苦労したと話していたことがありました。
見た目で貴族らしいのはアルバート役の久保田くん。彼です、以前観た時は話にならないレベルにド下手だったのは。今回同一人物とは思えないくらい成長していて本当に驚きました。
彼のことは何一つ存じ上げないけれど、「ミュージカルに出たい」という強い意志を感じました。それが無ければあんなに成長しないと思うのです。
スッとした長身、整った顔立ち、安定した歌唱力。貴族的な容姿にアルバートがぴったりハマっていました。いやはや御見逸れしました。馬鹿にしていてごめんなさい。まだ主役で貴族を演るには力不足な気はしますが、いずれそれも解決することでしょう。
ルイス役の山本くんはベテランといっても過言でではなく、今回も容姿的にもルイスにぴったりだし、歌も演技も素晴らしい。何回か彼の舞台は観ていますが、常にレベルの高い仕上がりを見せてくださる方です。
ウィリアムの配下、モラン大佐とフレッドのお二人。井澤くんは昔「ここはグリーン・ウッド」という漫画のドラマ化で主役をやっていたのを見ていました。若い役者さんなのですがキャリアは充分。それにいつのまにか背があんなに伸びていて驚きました(笑)。蓮川ちゃん演ってた頃は小さいイメージだったのに…男の子って成長するのねえ。男くさいモラン大佐が実にフィットしていました。
フレッドの赤澤くんは初めましての役者さん。22歳だそうです。今回の座組最年少だそうで。でも実力的には不安定なところはなく、宝塚で言うなら新公主演くらいは軽々と演りそうな感じ。歌も演技も安定していました。
ウィリアム・チームが非常にレベルが高かったので物語に説得力が生まれていました。対するシャーロック・チーム。これまたレベルが高かった!
シャーロック・ホームズの平野くんはテニミュの頃から芸達者なイメージでしたが、今回もやはり高いレベルで安定していました。コクニー訛りを表現する為の独特の喋り方もすぐに慣れました。自由奔放でちょっと下品で、でも出自(ホームズの兄は英国社会の重要人物)の良さがチラホラ垣間見えるのも良き。ウィリアムとのW主演に相応しいシャーロックでした。
ホームズと言えばワトソン。ジョン・ワトソン役の鎌苅くんもまた充分にベテランと言えるでしょう。上手い人です。出番はかなり遅いのですが、少ない出番を感じさせない存在感をシッカリと出していました。
唯一アンサンブルではない女性キャストのミス・ハドソン。綺麗な方でした。歌も充分。こちらも出番は少ないですが目立ってました。
レストレード警部の高木くん。「黒執事」のアバーライン警部と同じにしか見えない……分かります、演出家にそれを求められているのですよね。上手い人なので、ここはもう少し原作に沿った役にして欲しかったかなあ。高木くんのせいではないと思いますけど。とても面白かったですが……。
作品としての纏まりが良く、音楽も素敵で、歌も演技もアクションも良い。観に行かない手はない。
嗚呼、なんて馬鹿な私。
再演されたら絶対行きます。続編よりまず再演を希望します。キャスト変わらないと良いなあ。
「ミュージカル」が好きなので、ストプレの方には食指が動きません。ストプレも嫌いではもちろん無いのですが、観ていると「ここで一曲」とつい思ってしまうミュージカル脳。
ミュージカルって好きな人と嫌いな人とでハッキリ分かれるじゃないですか。私は好きな人種なので、歌が欲しくなってしまいます。
まあでも気にはなります、ストプレの「憂国のモリアーティ」。でもキャスト見て惹かれるのは荒牧慶彦くんだけだしなあ…。シャーロックの北村諒くんの演技は想像出来るし。
観に行かなかったことを後悔する舞台になれば良いですけどね。
ブルーレイ買ってから毎日観ています。下の妹の家で大きな画面でも観せてもらいました。辛口の妹も「コレやったら観に行っても良いわ」と申しておりました。
ぜひ再演を! お願いしますーーって何処にお願いすればいいのかな?
2人の最後を知っているので切ない不二子