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(なつ)千夏ちゃん!(千夏)こんにちは。
こんにちは…。
千遥…。
(麻子)千夏ちゃん いらっしゃい。
寒いから 中 お入んなさいな。優ちゃんも 中にいるから。
マコさん ちょっと すいません。どうぞ。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
また来てくれたの?
(千遥)先日は ありがとうございました。
こちらこそ。 おいしかった…。
千遥の料理を食べて よく分かった。
千遥が どんなに誇りを持って料理をしているか…。
私も 奥原なつの作品をずっと見てきました。
えっ…。
本当に 強く生きてきたんですね。
ソラを見ていてもそれが よく分かります。
千遥に届いたなら 本当にうれしい。
だから 私も食べてほしかった。
私が ちゃんと生きてきたこと分かってほしかった。
それは ちゃんと分かったよ。
♪~
お姉ちゃん…。
私…あの店を やめようと思う。
え…?
ちょっと待ってて。
(坂場)どうした?ちょっとだけ 千遥と話す時間を頂戴。
分かった。少しの間 千夏ちゃんをお願い。
うん 分かった。
さあ 上がって。
お邪魔します。はい。
散らかってるけど…。
座って。はい。
最近じゃ ここもほとんど仕事場だけどね。
優には 本当に我慢させてるんだ。
生まれた時から 仕事ばかりしてて。
私も同じ。
そう… しかたないよね。
何でも話して。
千遥のこと 何でも知りたい。
私は 18の時に神楽坂の杉乃屋という料亭に嫁いだんです。
料亭?政治家が使うような立派な料亭です。
私も よく 芸者の卵としてお座敷に行っていました。
それで そこの次男に結婚を申し込まれたんです。
千遥は その人が好きだったの?
明るくて 優しい人だなと思いました。
でも…今は 一緒にいないんです。
えっ?
別に 女の人と暮らしがあるみたいで…。
ずっと我慢してたの?
あの店があったから…。
杉の子は亡くなった親方が作った店なんです。
親方?主人の父です。
父は 料亭で料理人の親方をしている人でした。
(春雄)箸で しっかり押さえて。
その店の味は ダシで決まるんだ。はい。
千遥には料理人としての筋があるんだから頑張んなさい。
はい。
(千遥)調理師免許も取らせてもらえて店も任されて…。
結婚した私を一番受け入れてくれたのは 義父でした。
だから あの店は とても大事です。
主人と別れれば私は あの店を続けられなくなる。
でも 結婚を続けるべきかどうかずっと迷っていました。
別れる決心がついたの?
はい…。
千夏と2人でこれから どうなるか分からないけど…。
千遥が別れたいなら 別れていいと思う。
千遥は 何も悪くないでしょ。
だけど お姉ちゃん…。うん?
私は… 自分の過去を隠して結婚したのよ。
浮浪児だったこともきょうだいがいることも…。
そのことを 向こうが知ったら私を嫁がせた置屋のお母さんにも迷惑がかかるし千夏の親権だって どうなるか…。
だけど…千夏にまで うそをついて生きるのはもう嫌なんです…。
私は 堂々と生きられるようになりたい。
そのために 本当のことを話してあの人と別れようと思います。
分かった…。
お姉ちゃん…。うん?
また… 家族になってくれる?
そんなの 当たり前じゃない!
お姉ちゃん…。
千遥は もう… 自由になっていい。
堂々と生きていい。
また 一緒に生きよう。
ね 千遥。
ありがとう…。
♪~
お母さん!(優)ママ!
優 千夏ちゃんに遊んでもらえてよかったね。
千夏…この人は 本当はお母さんのお姉ちゃんなの。
えっ お姉ちゃん!?
そう。 千夏ちゃんのおばさん。
なつおばさん。 よろしくね。
なつおばさん?うん。
私は 千遥おばさん… ママの妹です。
優ちゃん よろしくね。
もう言っていいんだ。 よかった!
♪~
皆さん 私の妹の千遥です。
お邪魔しました。
また いつでも来て下さいね。
はい。 毎週 放送 楽しみにしています。
(笑い声)
帰ろうか。
また連絡するから。うん。
優ちゃん またね。 バイバイ。バイバイ。
さようなら。(一同)さようなら。
(優)バイバ~イ。
その晩 なつの家には咲太郎と信さんが集まりました。
(信哉)それで なっちゃん 咲太郎千遥ちゃんのことだけど義理のお母さん 料亭 杉乃屋の女将を説得できるかどうかだと思う。
でも 決して話の通じない人じゃないらしい。
誰に聞いてもちゃんと 筋の通った人だって。
そうじゃなきゃ あれだけの料亭を切り盛りできないからね。
調べてくれたんだ?
(咲太郎)ありがとう 信。
水くさいこと言うなって。
俺にとっても…本当に家族だと思ってるんだよ 今でも。
忘れられないんだ。
空襲から1年近くみんなと一緒に過ごした日々が…。
あれがあったからどんなことでも耐えられた。
うん…。
うん…。
信も一緒に暮らそうな。
(信哉)いいよ 僕は。 家族じゃないし。
ダメよ! 信さんも一緒じゃないと。
(千遥)一緒がいい!ありがとう。
お~ 来た 来た 来た!えっ!
おっ 頑張れ 頑張れ 頑張れ…!
(信哉)あの千遥ちゃんがまた家族になったら…僕の戦争も やっと終わる気がするよ。
信さん…。
信…。
信さん ありがとう。
いつまでも 家族でいて下さい。