あいつと初めて会ったとき、
2DKの一軒家の服と布団の散乱しているところで、絵を描いていた。
母親が連れ込む男。
知らないおじさんが突っ立っていて、
さぞかしびっくりしただろうとは、こちらが思っていたが、
あいつにとっては当たり前のことだったのかもしれない。
給食費を盗まれたという疑い。
不登校気味。
友達は遊びに来れないから、ひとりあそび。
妹からもウザがられ、蹴られる。
父親からは、DVさらにはネグレクト。
行動にはだせない気にしている母親
憐れな子犬に見えた。
あいつは、あの頃から比べて、成長した。
学問の取得。みんなと勉強する楽しさ。優越感。
そして、
彼氏の存在。
自分の存在に
自信がもてた。
家庭内の重要な存在を認められているという自分への価値。
恋をできること。そのことの自信。
きっと恋に落ちたのなら、離れたくない、離したくないという、いつも一緒に過ごしたいという欲求。
ねだれば何とかしてもらえるという根拠のない自信。
あいつは もう躾がされていない欲情した強欲メス犬となった。
そして、ほしいものは手に入ると思い込んだこと。
あいつは、
公立高校の受験をしなかった。