1、はじめに
みなさんこんにちは、月刊 精神分析 編集部Aです。今月取り上げるのは、福岡OLバラバラ死体遺棄事件です。
本当は、先月の時点でこちらの福岡OL死体遺棄事件をとりあげる予定だったのですが、Googleで検索すると20年前の「福岡美容師バラバラ殺人事件」の方が解決済の事件として資料や文献が豊富で、江田文子(城戸文子)さんの養育史も興味深かったので精神分析を語る上で興味深く先にまとまってしまい、結果として「福岡OLバラバラ死体遺棄事件」を今号のテーマとする事になりました。
2014年平成26年05月31日
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2、犯罪捜査におけるプロファイリング
精神科医や心理学者がセオリー通りの考察で犯人を予想した過去記事をネット上に散見する事ができるが「当たるも八卦当たらぬも八卦」と言うレベルで、いずれにしても他人に怪我を追わせたり、人を殺してしまう人の心は病んでいるのは確実ですが、犯罪の手口や現場の状況から明確な犯人像を割り出すのは容易ではないようです。
映画「プラチナデータ(2013年 原作:東野圭吾、監督:大友啓史、主演:二宮和也)」で描かれるDNA捜査システム、DNAプロファイリングによる捜査手法の方がまだ真実味があるような気がしました。
今回の月刊 精神分析を作成するにあたっては、プロファイリングに関する本も読んでみた。「犯罪捜査の心理学 プロファイリングで犯人に迫る」著:越智啓太(2008年04月)。犯罪全般に関する心理学や犯罪者のデータ分析の話がのっていましたが・・本書の中には「今後の研究の成果が待たれる」的なフレーズが多く、まだまだ確立されている分野ではないのだな・・的な印象を受けた。あくまでもデータの積み重ねた上での予測であり、ある事件の犯人がデータの延長線上にいる人物なのかはわからないのである。
3、被害者:諸賀礼子(もろがれいこ)さん
出身:福岡県那珂川町
経歴:
岩戸北小学校(那珂川町立)
那珂川中学校(那珂川町立)
筑紫高等学校(福岡県立)
鹿児島大学工学部
平成12年株式会社アステム入社。
血液型:A型
事件発生時32歳。社内での評価:「温厚で責任感が強く、後輩の面倒見もよかった」。福岡県那珂川町にある実家近くの住民によると、諸賀さんは高校まで実家で暮らし、他県の大学に進んだ。兄弟がたくさんいるにぎやかな家庭だった。母親と顔見知りの女性(65)は、一家が仲良く買い物に行く姿をよく見掛けたという。「どの子も会えば必ずあいさつしてくれる。お母さんがしっかりと、しつけをされているんだろうと思っていた。娘さんたちが年ごろになって、"きれいになられましたね"と話したらうれしそうにしていたのに...」と語った。
4、福岡OLバラバラ死体遺棄事件(時系列)
より大きな地図で 諸賀礼子さんアパート を表示
被害者の諸賀礼子さんは・・・
2000年04月01日営業としては初の女性社員として株式会社アステム(福岡市博多区東比恵3-1-2)に入社。従業員数は1,582名(2009年3月末)。南福岡支店勤務。
2009年03月23日株式会社アステム南福岡支店。筑紫野市二日市西2-5-3に新築移転。
2009年12月26日mixiに「厄女」との書き込み
2010年01月03日mixiに「今年の抱負」の書き込み
2010年03月05日(金)午後7時株式会社アステム(勤務先)退社
2010年03月06日(土)会社のゴルフコンペに参加する予定だったが、集合時間になっても姿を見せず。
2010年03月07日会社の上司が警察に行方不明を届ける。
2010年03月14日下腹部から大腿部の付け根までの部分(腰部)が博多湾の能古島で発見。ヘソの下と脚の付け根部分で切断されていた。
2010年03月15日福岡市中央区の博多湾で14日見つかった女性の胴体部分について、福岡県警は、遺体の一部が見つかっている同市博多区の会社員諸賀礼子さんの胴体と判明した、と発表。
2010年03月17日勤務先から「弊社営業員「行方不明」の報道について-文書発行 吉村恭彰」
2010年03月17日医薬品卸会社の代理人、田中雅敏弁護士が記者会見。
2010年04月09日福岡市中央区の福岡競艇場のコースと海を区切る遮蔽(しゃへい)壁付近で、両腕が入ったゴミ袋が見つかる。両腕の指紋が諸賀さんの自宅に残されていたものと一致。袋の口は結ばれ、手首が見えた状態で海面に浮いていていた。
2010年04月14日胴体が博多港・須崎ふ頭近くの海中で発見。
2010年04月15日頭部が福岡市中央区那の津3の須崎ふ頭付近の博多湾で発見。両足は未だに発見されていない。
2010年04月28日諸賀さんの所持品と同型の腕時計が質入れされていた事が判明。換金した男(福岡市内30代のアルバイト)から事情聴取(別の窃盗事件で福岡県警に逮捕)。
2010年11月28日福岡県警は容疑者逮捕につながる情報提供者に最高300万円の懸賞金を支払う「捜査特別報奨金」適用を警察庁に申請。
2010年12月08日警察庁は「捜査特別報奨金に関する広告」を同庁HPに掲載した。「福岡OL死体遺棄事件」含む5件の殺人・死体遺棄事件について情報提供を募集し、被疑者の検挙などに寄与した度合いに応じて上限額300万円の報奨金が与えられるとしている。
2011年12月08日公費懸賞金制度の対象に再指定
2012年03月15日福岡県警の捜査員ら約20人がJR博多駅前で情報提供を呼び掛けるチラシを配布。
2012年12月08日公費懸賞金制度の対象の再指定を行われず。
2014年02月06日切断遺体被害者と「示談」書類偽造容疑で男逮捕。交通事故の示談書を偽造したとして、福岡県警博多署は6日、有印私文書偽造・行使の疑いで、会社員下川隼人容疑者(36)福岡市城南区別府を逮捕した。
5、地元では忘れられない事件
より大きな地図で 諸賀礼子さんアパート を表示
諸賀礼子さんが暮らしていたアパートは報道では堅粕5丁目とされているが、新聞の事件現場の写真をみれば地元の人は「あぁあそこね」とわかる筈だ。下の写真は空港通りからJR博多駅筑紫(新幹線)口に向かう景色。この位置で視線を右にやると更にその下の写真の景色が見える。橋の下に流れるのは石堂川。「堅粕5丁目」は、地図でながめるとJR博多駅の北部に位置し、石堂川と国道3号線、空港通りに囲まれたエリア。国道3号線沿いにはマンションも林立し、ファミリーマート(事件発生当時はam/pm)、ローソンも至近距離にある。決して辺鄙(へんぴ)なところではなく、むしろ歩いてJR博多駅にいける便利な場所。ひょっとすると夜は新幹線の通過音が気になるかな?という感じ。ストリートビューで白い不審車が停止していたとされる位置(下の写真)からアパートを確認しようとすると、件のアパートにぼかしがかかっている。これでは「ここが問題の物件ですよ」と言っているようなものなのだが・・
隠されるとみたくなるのが人間の心理で難しいところである。石堂川を挟んで対岸から件のアパートをながめるとこちらはぼかしはなし。下の写真の様にアパートが見える。私の知人は丁度、諸賀さんの部屋の明かりが見えるマンションに住んでおり、事件発生当時捜査官が聞き込みにやってきたと言う。場所柄ファミリーマンションでなく、ワンルームマンションが多い地域なのだが、なにせ殺されてバラバラにされ博多湾に捨てられた人が近くに住んでいて未だに犯人が検挙されていないのだから、付近の住民にしてみればあまり気持ちのいい話ではない事は確かだ。ネット上に散見する情報を集めると諸賀さんのアパートは「福岡市博多区堅粕5-1-9 シェルクレール博多」とされている。ちなみに「Ciel clair(シェル クレール)」とは、フランス語で「晴天」という意味。Google地図で検索してみると、右隣のアパートの隣にピンが立つ。下の写真が石堂川側の反対側からみた「シェルクレール博多」入口。3月5日にここから連れ去られた諸賀礼子さんは一週間後に相次いで博多湾岸の各地からバラバラ死体となって発見され今も犯人は捕まっていないのだ。
より大きな地図で 諸賀礼子さんのアパートからセブンイレブン を表示 諸賀さんのアパートから最寄りのセブンイレブン博多駅東店まで約徒歩5分。博多警察署や堅粕交番も至近距離。
6、まるで「白ゆき姫殺人事件」
被害者の諸賀礼子さんの経歴を眺めてみても、地元の町立小中学校から県立高校へ、国立大学を卒業。長引く平成不況の中、業績の安定した地元の医薬品販売会社にめでたく就職。10年間頑張って社内でも評価の高い営業部員となった諸賀礼子さん。楽しい週末のゴルフコンペに参加する筈が突然行方不明になり、一週間後にバラバラにされて博多湾に遺棄されるというあまりに酷い最期になってしまった。一体何があったのか?
先に上映された「白ゆき姫殺人事件」を思い出す。湊かなえさんの原作で映画化された本作品は、美人OLが同僚の送別会に参加した後、何ものかに刺殺され焼かれると言うストーリで容疑者となった同僚がネット上に拡散していく無責任な情報によって追い詰められていくというストーリでした。
本件においても、諸賀さんと交通事故の相手(バイクで右折中に直進の諸賀さんの車と接触事故)が交通事故の示談書を偽造したと別件逮捕(それも事件発生から4年も経って)されたり、事件発生時、諸賀さんが身に着けていた腕時計を質入れした人が事情聴取されたり、マスコミがリークする情報もミステリー小説めいて人々の関心を誘うに十分でした。一部週刊誌の報道では会社の上司と不倫関係にあったとか・・役者は揃っていたのですが、今、現在も犯人検挙には至っていません。
殺人の時効は10年ですから、2020年03月がタイムリミットです。
付近の住民はともかく、昨今の様に、遺体を粘土フィギア名目で宅配便でおくって、被害者のカードで決済したトランクルームに遺棄したとか、小説めいた事件が続発する世の中だと風化するのもそれこそ時間の問題の様な気がします。
7、人殺しの理由
政情の安定しない他国に比べて、平平凡凡とした時を過ごしている私達であるが、実は、私達が意図しない落とし穴はすぐそばにあるのではなかろうか?
昨今のニュース報道をみても、家族間で刺しただの刺されただの、どうでもいい事で複数名で無抵抗の人を監禁リンチしたり、それこそまだ言葉も喋れない幼児を虐待したり、優秀な会社役員の息子が他人を罪に陥れて劇場型犯罪を繰り広げ、弁護士までペテンにかけた挙句「私はサイコパスです」とのたまう。「誰でもよかった」と人気アイドルグループの握手会に参加し、無防備なタレントに刃物で襲い掛かり怪我を負わす。脱法ハーブを吸引して意識朦朧(もうろう)状態で車を運転し他人を轢き殺す。
事件を起こさずにはいられないのか?平和で退屈な時が流れていくのに耐えられないのか?と疑いたくなる。
多分、諸賀礼子さんには非はない。少なくとも拉致され、頭蓋骨にヒビが入るほど殴打され、身に着けた衣類を処分され、腕時計を捨てられ、体をバラバラにされて博多港に遺棄される程の「非」はない筈だ。
精神分析上考えられるのは、加害者のコンプレックス(無意識:複合観念体)である。諸賀礼子さんと接する事で、殺した挙句、バラバラにして博多湾に遺棄しなけらばならなくさせる何かを諸賀さんに投影できるコンプレックス(無意識:複合観念体)を内在している人・・・そいつが犯人である。
ネタバレ注意:白ゆき姫殺人事件の真犯人は被害者が教育係を務めていた後輩社員が、社内での商品の持ち出し(窃盗横領)を告発され退社に追い込まれる事を懸念し、被害者を殺害すると言う設定であった。
「福岡OLバラバラ死体遺棄事件」の犯人は今もどこかに身を潜めている。諸賀さんを殺した理由は、接触事故のトラブルか?社内での人間関係のもつれか?それとも、偶然が重なった事故の様な事件なのか?
8、私が知っている殺人犯-E子の話
もう40年も前の話だ。私の実家は下宿を経営していた。経営と言えば聞こえがいいが、木造2階建ての家屋の2階部分を間貸ししていた。間取りは六畳位で簡単なキッチンがついていてトイレは共同。風呂は近所の銭湯(共同浴場)を利用してもらう形態だった。近くに大学があった為に銭湯や食事する場所(食堂)は沢山あったし不動産業としては盛況であったと記憶している。家屋は父方の祖母の所有(名義)であったので、今思えばやりて婆(ばあさん)の小遣い稼ぎになっていたと思う。小学生の私からすれば、私は大家の孫という立場で店子(借家人)の生活様式や人間関係を観察していた。好奇心の旺盛な子どもからすればすべては興味津々の未知との遭遇なのだ。
さて、そんな2階の住人に父娘で暮らしている親子がいた。所謂、父子家庭。今でも娘の名前はフルネームで言える。仮に娘をE子とよぶ事にする。E子は当時中学生。私にすれば家にはいない筈の年上の異性である。夏休み絵日記には「一緒に花火を観た「とか「買い物に行った」とか書いていたのを覚えている。特にE子は問題のない普通の中学生だったのだが、問題は父親である。彼はいつもアルコールの臭いをプンプンさせていた。仕事は何をしているのかわからない。私の記憶の中で印象に残っているのは酒の飲みすぎの為か、ある日、E子の父は吐血し救急車をよんだ。板張りの床一面の血。急こう配の木製の階段を担架で運ばれていく姿を血の臭いと共に記憶している。そしてあともう一つは包丁を手に持ち奇声をあげながらE子を睨み付けている姿。当然E子は「キャー」と悲鳴をあげている。私は呆気にとられ見てはいけないものをみた気になった。すぐ階段を降りて逃げたのか?柱の陰にかくれて凝視していたのか記憶がない。・・・そして、甲斐性なしの父親と中学生の娘は私の知らないうちにいなくなった。多分、家賃を踏み倒して逃げたのだろう。下町の間貸しではそういう事はよくあった筈だ。現在の様に管理会社を通して敷金礼金・保証人とか面倒な事もしてなかったと思う。
それから10数年が経過し、成人した私の記憶からE子親子の記憶など消え去った筈のある日。何気なく目をやった新聞にE子の名前があった。それも写真付きで。記事に目を通すと、E子は内縁の夫を絞殺した殺人犯として・・殺人事件の加害者として新聞に載っていたのだ。写真のE子のそれは中学生時代の面影を残しているものの目が鋭く性格もきつそうな感じだった。もちろん事件後に撮影された写真であろうから、にこやかな表情になる筈もないのだが。
私は思った。「あぁE子ねぇちゃんは父親に復讐したんやな」と。内縁の夫の年齢から察すると「内縁の夫」と言うより「父の代用」というくらい歳が離れていた。中学生当時からアル中の父に包丁を向けられて恐怖に怯えて育てば愛憎交わる父の代用の内縁の夫を絞殺しても何の不思議はない。特に、精神分析など人の心の構造や、コンプレックス(複合観念体)に関する知識をもてばE子が内縁の夫を殺した理由は十分推測できた。
ただ、私は絞殺されたE子の内縁の夫がどんな人なのかは全く知らない。甲斐性があったのか無かったのか?E子と内縁の夫の関係性などまったく知らない中で「あぁ、E子は亡き父の姿を内縁の夫に投影して、何かのきっかけでコンプレックスを刺激され、内縁の夫を殺してしまったのだな」とすぐ想像できた。
愛する事と殺す事は表裏一体とも言える。内縁の夫には申し訳ないが、歳の離れたあなたとE子さんの関係は「E子とE子の父親との親子関係の再現」以外の何ものでもなく、むしろこういう結果を招くのは十分予想できた事なのです・・と語るだろう。
ひょっとすると、内縁の夫からすれば殺される謂れ「理由」はまったく無かったかもしれない。しかしE子にすれば十分に殺す「意味」はあったのだ。
人は「意味」を生きているのだ。生きる「理由」など最初からない。
当然、E子は殺人で起訴され法の裁きを受けた筈だ。彼女が内縁の夫を絞殺したと言う事実に基づいて・・しかし、裁判上、E子の不遇な養育史によって情状酌量の余地があったとしても、本当のE子の「心の闇」を裁判官も検事も弁護士も理解する事はない。
9、おわりに
諸賀礼子さんに殺される謂れは無かったに違いない。しかし、殺した方にはどんな不条理な言い分かも知れないが、殺す理由があったのかもしれない。それを昨今の事件報道の中では「心の闇」と呼ぶ。
諸賀礼子さんの冥福を心からお祈りすると同時に、早期の犯人逮捕を願っております。
2014年平成26年05月31日 月刊 精神分析 編集部A
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10、Webマガジン月刊精神分析&分析家ネットワーク
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精神分析(セラピー)を受け、インテグレーター(精神分析家)を目指し理論を学んだ人たちが、東北・関東・関西を中心に実際にインテグレーターとして活動しています。 夏には、那須で恒例の「分析サミット」が開かれ、症例報告・研究などの研修会も行っています。 私たちインテグレーターを紹介します。(敬称略) メールに関して、☆を@に変換したメールアドレスにメール送信願います(スパムメール対策)
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付録:mixiに「厄女」との書き込み
諸賀さんの勤務先(筑紫野市)から自宅アパートまでは16.5km。Google地図でルート検索すると道のりは26分と表示される。たぶん日常的に使用していたのは3号線か3号線南バイパスと思われるが深夜に飛ばしても30分では無理なんじゃない?と思われる。なんせ150万都市の都心に通じる国道なのでそんなにすんなりと流れてくれない。業務を終えて疲れて帰宅する道のりである。視認性の悪いバイクと乗用車の右直事故は普通にみかける光景であり、バイクの任意保険加入率(30%)を考慮すると諸賀さんが遭遇した事態は誰にでも起こり得る事なのだ。
より大きな地図で 諸賀さんの通勤マップ を表示
付録:諸賀さんの時計「拾った」質入れの男が供述
福岡市博多区の会社員諸賀礼子さん(32)が切断遺体で見つかった事件で、諸賀さんの腕時計を質入れした同市中央区の30代のアルバイトの男=別の窃盗容疑で逮捕=が「腕時計は拾った」と供述していることが29日、捜査関係者への取材で分かった。捜査関係者によると、福岡県警は事件後に男が県内の質店で換金したギリシャのブランドの腕時計を、DNA鑑定や製造番号から諸賀さんの所持品と特定。男が入手した経路を慎重に調べている。男は勤務先の会社から昨年、液晶テレビを盗んだとして、窃盗容疑で28日に逮捕され、同容疑を認めているが、諸賀さんとの接点は確認されていないという。県警によると、諸賀さんは03月05日午後07時ごろ、勤務先を車で出た後に連絡が取れなくなった。同15日に博多湾の能古島で腰の部分が、04月に博多港などで両腕や上半身、頭部が相次いで発見された。自宅アパートに明らかな物色の形跡はなく、仕事用携帯電話や財布は残されていた。
付録:死体遺棄-意味の考察
2010年03月14日博多湾の能古島下腹部から大腿部の付け根までの部分(腰部)がで発見。
2010年04月09日福岡市中央区の福岡競艇場のコースと海を区切る遮蔽(しゃへい)壁付近で、両腕が入ったゴミ袋が見つかる。
2010年04月14日胴体が博多港・須崎ふ頭近くの海中で発見。
2010年04月15日頭部が福岡市中央区那の津3の須崎ふ頭付近の博多湾で発見。
※両足は未発見
頭部
胴体(上部)
胴体(下部)
両手
Google地図を眺めてみると、以上の発見場所を結ぶ線は、博多港(ベイサイドプレイス)と壱岐対馬の航路である事がわかる。遺棄(いき)と壱岐(いき)は音も同音なのが気になる。
以下は私の推理。
諸賀礼子さん殺害から一週間。まず犯人は胴体下部(腰部)のみを壱岐対馬行きのフェリーから投げ捨てた。しかし、腰部は、能古島に漂着し遺体の身元も判明してしまう。犯人はバラバラにした遺体を少しづつ遺棄する考えは捨てて、一気に一ヶ月後に那の津埠頭に投げ捨てた。時計を含む所持品も処分した。ビニール袋にいれて手首が露出した状態の両手部分だけは浮力が強いため風と潮で流され競艇場近くまで流された。両足は今も博多湾に沈んだまま。
犯人はそもそも死体を人目につかない様に処分しようと言う気がない様な感じが見受けられる。なぜ両手だけビニール袋に入れたのか?他の部位に比べて尺があって扱いがしにくかったから?もしかして、両足も折ってセットでビニール袋に入れた?だとしたら、両手と同じ様に流されて湾岸付近で発見されそうな気がするが・・・それに両手の指紋もそのまま。指紋がとれればDNAより簡単に身元は判定できてしまう。
捜査関係者や心理学者は「最初から死体が見つかる様に遺棄している」。精神異常者か愉快犯、被害者に対する憎しみを感じる・・と言う解釈を並べるだろうが、そもそも、人を殺してバラバラにして遺棄するような輩なのだから、一般の常識やセオリーが通用する人ではないのだろう。
もし、犯人が検挙されて取り調べを受けたら「殺すのは誰でもよかった。バラバラ死体が発見された時の世間の反応をみたかっただけ。あの時、人気のない場所で思い浮かんだのが埠頭だったので那の津で捨てました。」なんていいそうな気がする。
ただ、その場合、理由はないかもしれないが「意味」、そこに存在する「意味」を考察しないといけない。裁判上はなぜ?と理由を問いただそうとするが、被告はこう言う筈だ。「わかりません」「覚えていません」と。
付録:週刊誌の報道
週刊文春『福岡女性バラバラ殺人報道陣が自宅に張り付く「オトコの素性」』
●切断遺体を発見
下半身だけが、福岡県能古島(のこしま)の浜辺でみつかった諸賀礼子さん(32)の事件。上半身など遺体のほかの部分は見つかっていない。
週刊文春(04月01日号)では、その切断遺体を発見した状況を掲載している。遺体を発見した03月15日の午後03時過ぎのこと。島で漁業を営む女性は、このように振り返った。
「豚かイノシシの尻に見えるけど、尻尾はないね。ひょっとして人の尻かね?」「スパッと、きれいな断面でね。よーく見ると、背骨のあたりだけ少しギザギザしてたけどね。形がゴツくなかったから女性だとは思ったけど、裏返す勇気はなかった」それが人のものかは半信半疑のまま、その場を離れたという。ばったり会った消防団長に事情を話したことから、地元交番の駐在員を加えた3人で再び砂浜へと向かった。駐在さんは『人のもので間違いない』と言った。遺体はヘソの下と脚の付け根部分で切断されていた。
●ミクシィの書き込み
諸賀礼子さんは交通事故の件でバイクの30代男性ともめていた。インターネットの会員制サイト「ミクシィ」に昨年末、「交通事故の相手と紛争になり、困っている」という内容の書き込みをしていた。
昨年11月、帰宅途中にオートバイとの交通事故に遭ったが、過失割合に関して言い分が食い違い、紛争になった。携帯に何度も電話がかかり、その人物と思われる人物が彼女のアパート周辺をうろついていた。また、失踪当日に彼女を連れ出す目撃情報もあるという。
●男女の言い争う声ともう一人の男性
社会部記者はこのように語る。「実は遺体発見の10日前、福岡市内で行方不明になった女性会社員がいた。鍵のかかった1Kのアパートの玄関には、帰宅直後に置かれたと思われるバックがあり、中には数万円入りの財布もあった。百万円以上の預金も手つかずという状況から、県警は交友トラブルによる殺人事件の可能性を考えて捜査を始めていた」
行方不明になった彼女のアパートの状況から、その殺害が金銭目的ではないことがわかる。また司法解剖の結果、殴られたようなあとがあることも判明しているが、性的な乱暴のあとも妊娠もないとう。このことから、目的は彼女を殺害すること1点のみに集中している、不気味な冷静さを感じる。
捜査関係者によると、諸賀さんが行方不明になった後、自宅アパート室内を調べたところ、窓ガラスが割れていた。その窓ガラスの付近でゴルフバックが転倒した状態で放置されていた。諸賀さんが誰かともみ合うなどした際にゴルフバッグが倒れ、ガラスが割れた可能性があるという。
諸賀さんはアパート2階に一人暮らし。03月05日(金)午後07時に会社を出たことが確認されている。会社の同僚がゴルフに行くため、03月06日(土)午前05時ごろに諸賀さん方を訪れた際には応答がなかった。近所の住民によると、行方不明になった時期に、諸賀さんの部屋から男女の言い争う声や、ガラスの割れる音が聞こえたという。上司が7日に警察に届けた。
通勤に使っていた車が自宅アパート近くの駐車場に止められており、仕事用の携帯電話も自宅アパートで見つかった。諸賀さんは、仕事用と別に個人用の携帯電話も持っていたが、個人用は見つかっていない。
諸賀さんが03月05日夜に帰宅後、室内でトラブルに巻き込まれた疑いがあるとみて調べている。
トラブルといえば、交通事故の件が浮かぶが、実はもう一人の男性に報道陣の関心が集まっているという。その一人とは、勤務先で彼女を指導する立場にあった40代の上司。「諸賀さんとは親しく、彼女も信頼しており、諸賀さんの相談に乗る関係にもあったようだ」03年前まで在籍していた支店と、自宅からも近い飲食店ではこんな姿が目撃されている。「先月、彼女によく似た女性と年上の男性が夕飯を食べに来た。女性は、二人でいるところを見られたくない様子だったのが印象的だった」 (飲食店店員)
●必ずあいさつしてくれる
諸賀礼子さんが勤務していた医薬品卸会社の代理人、田中雅敏弁護士が03月17日に記者会見した。諸賀さんについて「温厚で責任感が強く、後輩の面倒見もよかった」とし「一日も早い(犯人の)逮捕を望んでいる」と話した。
福岡県那珂川町にある実家近くの住民によると、諸賀さんは高校まで実家で暮らし、他県の大学に進んだ。兄弟がたくさんいるにぎやかな家庭だった。母親と顔見知りの女性(65)は、一家が仲良く買い物に行く姿をよく見掛けた
という。
「どの子も会えば必ずあいさつしてくれる。お母さんがしっかりと、しつけをされているんだろうと思っていた。娘さんたちが年ごろになって、"きれいになられましたね"と話したらうれしそうにしていたのに...」と語った。
諸賀さんは今から10年前の平成12年04月、営業としては初の女性社員として入社した。最近は約30カ所の医療機関を担当し、医薬品を納入するなどしていた。700人以上いる営業社員の中でも成績が上位になるなど優秀で、将来の幹部候補として期待されていたという。
諸賀さん自身も「もっと責任ある立場で働きたい」と仕事に意欲を見せていた。
ところで、彼女の残りの遺体はどこにあるのか?「いまは遺体の損壊場所や遺棄現場、死因さえも分かりません。具体的な凶器も不明。仮に犯人の目星がついているとしても、追い詰める材料がないため、捜査はまだ証拠を積み上げる段階で、しばらくかかる。」(社会部記者)
『延べ200人以上の捜査員を投入し、博多湾と海岸周辺を中心に、残りの遺体を捜索し続けている』
付録:切断遺体被害者と「示談」書類偽造容疑で男逮捕
交通事故の示談書を偽造したとして、福岡県警博多署は06日、有印私文書偽造・行使の疑いで、会社員下川隼人容疑者(36)=福岡市城南区別府=を逮捕した。同署によると、示談の相手は2010年03月に博多湾で切断遺体で見つかった会社員諸賀礼子さん=当時(32)=で、県警は関連を調べる。同容疑者は偽造の容疑を否認しているという。逮捕容疑は、10年12月20日、諸賀さんとの間で成立したとする交通事故の示談に関する書類一通を偽造し、民事裁判の資料として福岡簡裁に提出した疑い。(2014/02/06-17:04)
諸賀さん自動車(直進)、相手バイク(右折)による接触事故であっても両車とも動いていた場合、どちらかの過失が0でどちらかの過失が100になる事はありません。運転中の事故は刑事責任と民事責任が問われますが、上記は民事の話です。しかし、これだけ世間を騒がした事件の被疑者扱いされている人が、「交通事故の示談に関する書類」を偽造して裁判所に提出していたとは驚きです。諸賀さんが加入していた任意保険の会社から保険金をとるのが目的なのでしょうが・・保険会社が怪しむのは当然でなんともお粗末な感じがします。
事件発生から4年後に被疑者が別件逮捕という報道がなされた後、数か月が経ち「事件は未解決のまま」なのですから余計気味が悪い。
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