続・福岡OL遺棄事件に進展は


 4年前の2010年3月に起きた福岡OL死体遺棄事件に絡み、関係者の一人が今月6日、有印私文書偽造・同行使容疑で博多署(写真)に逮捕された。この関係者とは、被害者女性と交通事故を起こしトラブルになっていた会社員男性(36)。事件発生当時、疑惑の目を向けられた人物の一人だ。6日の西日本新聞夕刊で会社員逮捕の記事を読み、いよいよ捜査に進展かと思ったが、その後1週間以上がたっても続報はない。それどころか、全国紙をはじめ多くのメディアはこの件を報じる様子がない。事件の本筋とは無関係の逮捕劇なのだろうか。

 逮捕容疑の有印私文書偽造・同行使は、問題の交通事故に絡み、被害者女性との示談書を偽造し、簡易裁判所に提出したというものだ(西日本新聞記事によると、本人は否認している)。提出の時期は2010年12月。つまり死体遺棄事件が明るみに出てから9ヶ月後に、生前の女性と示談を交わしていたと偽ったことになる。遺棄事件も彼が犯人だとしたら、あまりにも大胆な行動と思える。また、警察がこの件を今まで見逃していたことも不可解だ。会社員男性は世間的には疑われた存在だったが、警察側は完全に「シロ」とみなし、行動確認の対象からも外れていたのだろうか。

 この会社員男性は西日本新聞では匿名だったが、時事通信は実名で報じ、ネットでは彼が過去に犯した免状不実記載事件が掘り起こされている。2008年、他人(以下、Aさん)になりすまして免許証の再交付を受けたというもので、手口はかなり手が込んでいた。再交付を受けるのに必要なAさんの住民票を手に入れるため、まずAさんをかたって防火管理者講習を受講、取得した自分の顔写真が付いたAさん名義の管理者証を本人確認用の資料として役所窓口で使っていたのだ。

 防火管理者証は公的証明として役所の窓口で通用するが、管理者講習を受ける際には本人確認が行われていないという盲点を突いての犯行だった。免状不実記載自体は懲役1年以下、または罰金20万円以下の刑罰が科されるに過ぎないが、この事件以降、管理者証での本人確認を禁じる自治体が出るなど社会的影響は大きかったらしい。

 「福岡OL死体遺棄事件」が殺人事件であるのは間違いないと思うが、女性がなぜ亡くなったかは不明であるため、形式上は単なる死体遺棄事件として扱われてきた。情報提供を呼びかけるため、警察が以前に配布したチラシにも「遺棄事件」とだけ表記されていた。しかし、死体遺棄の時効は3年であり、遺棄事件としては昨年3月ですでに時効を迎えている。

 もちろん警察側は時効のない殺人事件として捜査を進めているとは思うが、一昨年暮れには捜査特別報奨金制度の対象から外れ、福岡県警のサイトからも事件に関する情報が一切なくなっている。今回の示談書偽造が明るみに出るまで、地元福岡でも事件の記憶はすでに風化した雰囲気すらあった。以前は「やや強引だが、有能」という印象のあった福岡県警だが、最近は暴力団絡みと思われる犯罪を中心に、未解決事件が多いのは気がかりだ。



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