福岡OL遺棄事件に進展は
福岡市博多区の地下鉄東比恵駅構内に、「福岡OL死体遺棄事件」の情報提供を呼びかけるチラシが貼られていた。今年3月で発生からまる2年を迎えるが、捜査に目立った進展がないのか、事件についての報道はほとんど途絶えている。昨年暮れ、公費懸賞金制度の対象に再指定されたことが報じられたが、この1年間では、これが事件に関する唯一の報道ではなかったか。
この時の各紙記事にも新しい情報はまったくなかった。県警がこれまでに延べ5600人に事情聴取を行い、120件の情報も寄せられたが、容疑者に結びつく有力情報はなかったとあるだけだ。これらの記事で判断する限り、捜査は完全に手詰まり状態にあるようだ。もっとも公費懸賞金の対象となっていること自体、捜査が難航している何よりの証拠だが。
猟奇的な事件でもあり、事件発生当初は有象無象の情報が飛び交っていたが、約2年を経た現在、確からしいと思える情報を時系列で並べると以下のようになる(日付はすべて2010年)。
▼3月5日(金)夜、被害者が勤務先を一人で退社。翌6日の朝、勤務先のゴルフコンペ集合場所に現れなかったため、上司が被害者の住む福岡市博多区のアパートを訪ねるが、不在。携帯電話も通じなかった。
▼7日に家族が捜索願を提出。これを受けて警察がアパートを捜索したところ、部屋は施錠され、荒らされた形跡はなかった。また、部屋には財布の入ったバッグや(業務用?)携帯電話も残されていた。
▼3月15日、博多湾内に浮かぶ能古島の海水浴場に切断された女性の遺体が漂着。DNA鑑定の結果、行方不明となっていた被害者と判明する。死後1週間から10日。切断は死後に行われたとみられる。その後4月15日まで、遺体の他の部分が湾内各所で発見される。
▼4月28日、被害者の腕時計を質店で換金していた男を県警が別の容疑で逮捕。時計の入手経路を追及するが、拾っただけの人物だったらしく、その後、「被害者との接点なし」との捜査結果が報道される。
時計換金男以降、事件の本筋にかかわる報道は、記憶する限りでは完全に途絶えている。このほかでは、被害者失踪後の3月16日、彼女に代わってmixiにログインする者がいたというニュースが気になったが、この件に関しては続報がまったくなく、判断がつかない。
未解決のいわゆる「バラバラ事件」は、被害者の身元が判明していないケースが多いらしい。例外(被害者の身元が判明していながら未解決)は、1994年の「井の頭公園バラバラ殺人事件」、2009年の「島根女子大生遺棄事件」などだろうか。逆に解決したケースは、多くは濃密な人間関係の中で事件が起きている。
OL遺棄事件に関しても福岡県警は被害者の交友範囲の中に容疑者がいると見ているようだが、殺人に至るほどの感情のもつれが、延べ5600人にも事情聴取を行いながら、一向に浮かび上がって来ないのが不可解ではある。容疑者が依然、事情聴取の網にもかかっていないのか、それとも県警の見込み違いなのか。「一歩一歩容疑者を追い詰めている」との捜査員の談話を記事で読んだのは、もうずいぶん前のことだ。その言葉が正しかったことを信じたい。
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