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2019-09-18

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・元任天堂社長の岩田聡さんの発言をまとめた本。
 出版してからそれなりの時間が経ったけれど、
 読んでくれる人が、さらに増えているのがうれしい。
 ゲームファンはもちろんなのだけれど、
 人間として、経営者としての岩田さんのことばが、
 ビジネス書としての広がりを見せてくれている。
 書かれているのは、ビジネスの理論や方法ではない。

 底には、岩田さんの考えていた「人間観」がある。
 そして、なかなかややこしい「人間」どうしが、
 どうやってたがいに幸福にやっていけるものかについて、
 彼が考えてきたことの話がたくさん詰まっている。
 とてもおおざっぱに言えば、
 『岩田さん』という本は、姿勢と態度の本である。
 どういう場面で、どういう姿勢でいたいか。
 どんなことがあったときに、どういう態度でありたいか。
 それは、周囲の人や社会が見ているからではなく、
 じぶんのありたい姿勢や態度があるから、そうするのだ。
 それによって、みんなの幸福につながるはずだから。

 社長としての岩田さんの姿勢が、みんなをひとつにした。
 ともだちとしての岩田さんの態度が、
 ともだちどうしを、ますます信じられるものにした。
 技術者としての岩田さんの姿勢が、
 わくわくする過程を生み出しめしのタネを生み出した。
 ビジネスの専門家として学んだわけでもないのに、
 岩田さんの残してくれたことばが、
 現実の仕事に役立つと思えるのは、
 語られているのが「だれでも、やればできるはずの」
 姿勢や態度のことだからなのだと、ぼくには思える。

 岩田さんの姿勢や態度には、嘘がなかった。
 それは、彼と接していた人みんなが言ってくれるだろう。
 当たり前のことだが、態度や姿勢というのは、
 人が生まれたときから備わっているものではない。
 さまざまな経験や知識のなかから、
 「こうありたいなぁ」と思うように、
 じぶんで決めて、意識的にそうしていくものだ。
 岩田さんは、「こうありたい」姿勢に、
 ずいぶん近いところまでなっていたと思うよ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ぼくも、この本、小学3年生くらいで読めたらよかったな。


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