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回り道はムダじゃない

川島:確かに今、世界はどんどん利便性を追求する方向へデザインされています。

 僕自身もかつてグーグルで働いていたわけですが、その頃はいかに早く結果を出すかに注力していたものです。グーグルで検索をしてもらったら、どれだけ早くレスポンスできるか、いかに最短距離でムダのない回答を出せるかを信条にやってきました。

 けれど、AからBへ最短最速で往復するとき、そのルートの周りには隠れているすばらしいものも存在しています。

 回り道はムダではないんじゃなかろうか。それがナイアンティックの出発点にあります。直線距離なら15分で行けるところを、1時間半かけて歩いてもらう。そういうことをやってみたのが「ポケモンGO」であり、その前にリリースしたARゲーム「イングレス」だったりしました。回り道が、結局はウェルビーイングにつながりますよ、と背中を押すことをしたいのです。

 そうすることで、人がもっと外を歩くようになって、地元のコミュニティーとつながったり、史跡を訪ねたりするきっかけになる。

 自分の生活圏の中にも、スマホの画面からちょっと顔を上げてみれば、新しい世界が見えてくる。そういうことをできないだろうかというのが、根っこにあるんですよね。

(対談後編は2019年9月24日に公開予定)