【ラグビー】<五郎丸歩の願い スタジアムの外から> (最終回)自国開催のプレッシャーに打ち勝ち、一丸で優勝を目指してほしい2019年9月17日 紙面から
ラグビーのW杯日本大会開幕まであと3日に迫った。元日本代表の五郎丸歩(33)=ヤマハ発動機=が、日本ラグビーについて語る連載は今回が最終回。五郎丸はロシアとの開幕戦(20日・味スタ)で日本が圧勝して弾みをつけることが、初のベスト8進出のカギとみる。一方で、W杯経験者として選手目線に立つと「1試合、1試合を集中すればいい」と先を見て戦わないよう助言を送った。 (取材・構成=末松茂永) パシフィック・ネーションズ・カップ(PNC)優勝の勢いと地元開催の地の利。日本初のベスト8進出への期待は日に日に高まるばかりだ。 五郎丸「国内を敵に回すか、味方にするか。それを決めるのがロシア戦。大事な試合になる。世界ランクだけを見ると、ロシアは20位で日本が10位。多くの人たちは『楽勝』と思っている。そんな中で渋い試合をしてしまったら、戸惑いの空気が一気に広がってしまう。 ただ、そうは言っても自国開催の開幕戦。ファンの人は考えないだろうけど、選手にしか分からないプレッシャーがある。選手は自分たちだけにフォーカスしてほしい。そうでないと、つぶされてしまう」 壮行試合の南アフリカ戦は7-41と力負け。けが人も出た。 「PNCで優勝し、このままいける空気が広がる中で大敗し、プレッシャーが強くなった。チーム内もざわざわとした雰囲気になるだろう。ただ、本戦でも逆境にさらされる。心配事が増えると、チームに対して何かアクションを起こそうとする選手が増える。そういった意味で、ポジティブな敗戦だったと思う。もう一度、皆がやらなくてはいけないという気持ちになれるのはいい」 開幕が迫り、チームにもW杯ムードが広がる。記念キャップとメダルが贈られる日本代表のウェルカムセレモニーは13日、東京都庁展望室であった。 「大会の公式行事なので、始まるぞという気になる。4年前は飛行機から降りると、パスポートを見せずに選手専用のゲートを通された。空港から出ると、日本代表用にラッピングされたバス2台が待っていた。非日常的だった」 ラグビーのW杯は1次リーグだけで1カ月近くある。その間、チームが成長しないと戦えない。 「(前回)大会前、W杯経験者と未経験者の2グループに分けられて、前ヘッドコーチのエディー(ジョーンズ)さんから話があった。僕は経験のないグループ。聞かされたのは『実力とは別に、W杯では下っていく人と上っていく人がいる。どっちになるかは、自分で選んでください』という話。これまでの4年間が、この1カ月で決まるなというのは自分の中にもあった。同じ時間を過ごすなら、上っていく人になろうと思った。 どんな終わり方をしても、小っちゃいときから夢見てきた舞台。振り返ったときに鮮明に思い出すためにも、その期間のことを字に起こして残そうと、日記を始めた」 前回は大会史上初めて3勝(1敗)を挙げながら準々決勝に進めなかったが、もうひとつの目的はかなえた。 「憧れの存在になるという当初の目標は達成できた。今の代表は強い。僕は『日本が優勝する』と言ってきているので、チーム一丸となって達成してほしい」
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