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(なつ)今 どこにいるの?
教えてもらえない?
(千遥)神楽坂で杉の子という料理屋をしています。
神楽坂の すぎのこ?
もし よかったら…お客様として いらして下さい。
土曜日 なつと咲太郎はそこに向かいました。
信さん 光子さん明美ちゃんも同行しました。
(戸が開く音)
・いらっしゃいませ。
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
(孝子)いらっしゃいませ。
(咲太郎)予約した奥原です。(孝子)お待ちしておりました。
(千遥)お兄ちゃん!
千遥。
いらっしゃいませ。
あの カウンターでもいいですか?
どうぞ。
(孝子)ご注文は?
とりあえず ビールで。(孝子)かしこまりました。
料理は お任せします。はい。
あの… お若いですが 女将さんですか?
はい。女将さんが 料理を作るんですか?
私は 料理人ですから。
そうなんですか…。
何か お好みはございますか?
あ それなら…最後に 天丼が食べたいです。
お願いできますか?
天丼ですか?
それが どうしても食べたくて…。
お願いします。
天丼…。
はい できます。 分かりました。
♪~
(千遥)前菜になります。
(一同)頂きます。
♪~
おいしい! とても おいしいです!
ありがとうございます。
本当に うまい… うまいよ 女将さん!
どうも。
(上田)皆さん お友達ですか?
いえ 私たちはこう見えて家族なんですよ。
ご家族ですか?
彼女は 私の妻です。光子と申します。
どうも。それから…。
私は 妹です。
(明美)私は その下の妹です。
最近まで 北海道にいたんですが東京に 転勤になって。
明美ちゃんに似てるね。(明美)千遥ちゃんにも似てるよ。
僕は 彼女の上司ですがここにいる みんなとは昔から きょうだいのようにつきあってるんです。
(上田)なるほど。 いいですね。
あたり お願いします。
♪~
(信哉)そこにいる咲太郎という男はこう見えて社長なんですよ。社長さんですか?
いや それほどのもんじゃないですよ。
(信哉)テレビの外国映画や テレビ漫画に声を吹き込む俳優がいるでしょう?そういった俳優のプロダクションを経営してるんです。
(上田)へえ~ 芸能関係ですか。それは ご立派な。
だから こんな すてきな方とも結婚できるんです。
(上田)全く 羨ましい限りで。
いや それほどのもんじゃ…。そこは あなたが謙遜しなくてもいいの。
あ… いや実際 俺には過ぎた女房なんです。
ちょっと 咲ちゃん 何言ってるの?
よく 俺なんかと結婚してくれたと思いますよ。
とても心が広くて優しいんです。ちょっと…。
いいですね。
はい。
(上田)お願いします。
そちらも ご夫婦で料理人なんてすてきじゃないですか。
あっ いえ 私は ただの板前ですよ。
(明美)あ… 違うんですか?
主人は 店には出ていないんです。
(明美)そうですか。
♪~
焼き物です。
まさか 女将さんが…女の人が 料理をされているとは思いませんでした。
本当に 一生懸命修業されたんでしょうね。
だから ここまで…。 本当に すごいです。
いえ… 親方に恵まれただけです。
親方? そうですか…。
私も同じです。
人生で いろんな師匠に恵まれました。
おかげで こうして生きてます。
♪~
そうですか…。
♪~
お待たせしました。 天丼です。
(一同)頂きます。
おいしい…。
(信哉)うん 本当においしい…。(明美)おいしいです!
(光子)こんなに おいしい天丼は初めて食べたわ。
(千遥)ありがとうございます。
(光子)ちょっと どうしたの?
これだ…。
これだよ…。
何か ございましたか?
いや… 戦死した父が昔 作ってくれた天丼と同じ味なんです。
間違いなく… この味だ。
俺の… 俺たちの父親も料理人だったんです。
そうなんですか?
私も 幼い時の記憶しかないですけど…。
その父親が 昔天丼を作ってくれたんです。
その味が忘れられなくて…。
食べたくて…。
♪~
どうして 女将にはそれが作れたんでしょうかね…。
不思議だ…。
本当に不思議だよ…。
♪~
違う…。
えっ?
ねえ 違う… 思い出した。
何を?
♪~
お母さんだよ…。
空襲で死んだお母さんが…いつも作ってくれてたんだよ 天丼は…!
お父さんが揚げた天ぷらをいつも 横で働いてたお母さんがダシをとって タレを作って…。
はい お待ち遠さま。
思い出した…。 どうしてだろう 今頃…。
女将さんがそれを作ってた母に似てたから…。
それで思い出したのかもしれません。
そうか…。
そうかもしれない…。うん…。
♪~
なつよ 咲太郎よ…。
父さんと母さんは ずっとこの時を待っていたんだ。