実は超難しい「乳がん診断」、スゴイ新技術
死亡者ゼロを目指す、ある研究者の野望
「マイクロ波マンモグラフィの検査は、マイクロ波のアンテナで乳房をそっと撫でるだけです。X線マンモグラフィのように乳房を板で挟み込む必要もありません。女性たちの願いだった『痛くない乳がん検診』が、もうすぐ実現できると確信しています」
「痛くない乳がん検診センター」を世界中に
木村教授らが開発したマイクロ波マンモグラフィは、現在、大学病院や民間のクリニックで臨床研究を行いながら、効果の検証とさらなる改良が進められ、数年後には製品化することを目指している。そして木村教授は、さらにその先を見ている。
「数年前に設立した大学発ベンチャー企業で、この技術を使った乳がん検査サービスを提供したいと考えています。マイクロ波マンモグラフィを使った『痛くない乳がん検診センター』を世界中に作って、乳がんで亡くなる女性が1人もいない世界を実現したいんです」
木村教授は、研究者としてのあくなき探究心と発明家としての強烈な情熱、そして起業家としての大きな野心をあわせ持った稀代のイノベーターだ。真のイノベーターは、単なる理論家でも実践家でもなく、その両方を極限まで追求する者ではないだろうか。そうでなければ、世の中を変えるようなイノベーションは起こせないと知っているのだ。
(TEXT BY ATSUHIKO YASUDA@XOOMS)