これまでの混雑の主たる原因の1つが、ANAマイレージクラブの最上級会員「ダイヤモンド会員」向けに配られているスイートラウンジの利用券の存在だ。
ファーストクラス利用者とダイヤモンドメンバー及び同行者1名は、無条件でANA便利用時に羽田空港および成田空港のスイートラウンジを利用できる。問題となったのは、このダイヤモンド会員向けに毎年春に配布される「ANA SUITE LOUNGEご利用券」がオークションサイトなどで転売されていたことにあった。
そもそもANAのラウンジ利用券には、「どなたでもご利用いただけます」という記載がある。というのは、ダイヤモンド会員のほとんどが、会社の経営者や仕事で世界中を飛び回っているビジネスマンで、彼らが日頃出張の手配をしている秘書や仕事でお世話になっている人、出張の同行者、更には家族などへのプレゼントとして使うことをANAが想定しているからだ。
そのため、オークションサイトなどで売買せず、友人や知人などに対して無償でプレゼントされた利用券を使ってスイートラウンジを利用することは今も何一つ問題ないのだ。このような理由からANAも「記名の必要がないものと考えていた」そうだ。
だが、実際に利用券を使い切れないダイヤモンド会員も多く、その結果、一部で利用券の転売が常態化してしまったのだ。本来ならばラウンジ利用資格のない人が、転売されていたラウンジ利用券を落札し、スイートラウンジを利用するケースが増加したことで、混雑に繋がってしまったのである。