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二・二六事件は映画・ドラマでどう描かれてきたか。大河ドラマでは「いだてん」で35年ぶり2度目の登場

デアゴスティーニ・ジャパン)。

『陸海軍流血史』ではまた、安藤は藤野の娘の里子(三ツ谷歌子)と互いに惹かれ合いながらも、二・二六事件のため結ばれないまま終わる。青年将校が決起のため、恋人や家族と別れるという展開は、このあとの二・二六事件の映像化作品にも繰り返し描かれることになる。

舞台背景としての二・二六事件


利根川裕の小説『宴』(1965年)も、人妻と青年将校との結ばれない恋を描いてベストセラーとなり、1966年から翌年にかけてテレビドラマや舞台、映画化(五所平之助監督)もされた。ドラマ版では小山明子と高橋幸治、舞台版では岡田茉利子と市川染五郎(現・松本白鸚)、映画版では岩下志麻と中山仁がそれぞれ主演し(偶然なのだろうが、ここにあげたヒロイン役の女優は実生活ではいずれも松竹出身の映画監督──大島渚・吉田喜重・篠田正浩──と結婚している)、ヒットしたという。

『宴』と同時期、1966年には三島由紀夫も、二・二六事件から題材をとった小説『憂国』(1961年)を自ら製作・監督・主演して映画化している。もっとも、同作は事件を直接に扱ったのではなく、それに付随する形で起きた輜重兵(しちょうへい)中尉・青島健吉夫妻の自決に材をとったものだった(福間良明『二・二六事件の幻影 戦後大衆文化とファシズムへの欲望』筑摩書房)。青島をモデルにした武山信二中尉は、ほかの青年将校らとともに昭和維新運動に共鳴しながら、新婚まもないとの理由で決起参加を求められなかった。二・二六事件が起きると、武山は上官の命令で青年将校たちを鎮圧する立場に回らねばなくなり、悩んだ末に、妻とともに自決を決意する。映画では、夫妻が最後の抱擁を交わしたのち、死にいたるさまが描かれた。

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