review

二・二六事件は映画・ドラマでどう描かれてきたか。大河ドラマでは「いだてん」で35年ぶり2度目の登場

監督は俳優の佐分利信が監督を務め、西田税役で出演もしていたが、途中で重病となり、阿部豊が「応援監督」として制作を引き継いで完成にいたった(西田役は佐々木孝丸が代演)。青年将校の安藤輝三を細川俊夫、磯部浅一を山形勲が演じたほか、香田大尉を丹波哲郎、中村上等兵を鶴田浩二と、まだ若手だったのちの大物俳優の姿も確認できて興味深い。なお、小説『叛乱』は、刊行当時、映画以外に舞台やラジオ化もされ、その後1964年には『銃殺』というタイトルで鶴田浩二主演により再び映画化されている。

1958年に公開された『重臣と青年将校 陸海軍流血史』(土居通芳監督)は、張作霖爆殺事件から満州事変、五・一五事件などを経て二・二六事件へといたる軍部の動きが描かれた。この映画では、単に事件を再現するだけでなく、創作も多分に盛り込まれている。たとえば、宇津井健(当時27歳)演じる安藤輝三が決起に参加するかひそかに悩んでいたところ、懇意にしていた藤野(竜崎一郎)という新聞記者から、「目的がどんなに立派でも暴力革命をやるのはいかん」としきりに諭されるシーンは印象深い。これについて監督の土居は《なにしろ僕は戦後派だから軍人は嫌いだ。まして暴力と結びつく話なので、心の中では全てを否定してかかった。だが事実を今の感覚で見つめるとかえってウソになる恐れがあるので、できるだけ公平な目で見るようにつとめた》と映画完成後に語ったという(『隔週刊 東宝・新東宝戦争映画DVDコレクション No.38』

あわせて読みたい

  • いだてん 犬養首相暗殺、歴史は動いた

    いだてん 犬養首相暗殺、歴史は動いた

  • 二・二六事件とは何だったのか

    二・二六事件とは何だったのか

  • オダギリジョー「高橋是清」の破天荒

    オダギリジョー「高橋是清」の破天荒

  • 「昭和元禄落語心中」3話。戦争の足音

    「昭和元禄落語心中」3話。戦争の足音

  • 気になるキーワード

    レビューの記事をもっと見る
    この記事にコメントする

    \ みんなに教えてあげよう! /

    次に読みたい関連記事「本」のニュース

    次に読みたい関連記事「本」のニュースをもっと見る

    トピックス

    > 今日の主要ニュース > 国内の主要ニュース > 海外の主要ニュース > 芸能の主要ニュース > スポーツの主要ニュース > トレンドの主要ニュース > おもしろの主要ニュース > コラムの主要ニュース > インタビューの主要ニュース

    今、あなたにオススメ

    レビューニュースアクセスランキング

    レビューランキングをもっと見る

    コメントランキング

    コメントランキングをもっと見る

    トレンドの人気のキーワード一覧

    新着キーワード一覧

    エキサイトレビューとは?

    エキレビ!では人気のドラマやテレビアニメ、話題の書籍を人気ライターがレビュー、解説! 人気ドラマのあらすじや、話題の書籍が支持される理由の考察、国民的アニメに隠された謎の解明など話題の作品の裏話を紹介。

    その他のオリジナルニュース

    ExelateDataExelateData