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【国際】

インドネシア山火事 外交問題に発展も マレーシアなど煙害訴え

11日、インドネシア・リアウ州の森で消火活動に当たる消防士たち=AP

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 【バンコク=岩崎健太朗】熱帯雨林が広がるインドネシアのカリマンタン(ボルネオ)島やスマトラ島で、南米アマゾンと同様に山火事が相次ぎ、近隣諸国にまで煙害(ヘイズ)が広がっている。例年より乾燥した気候が続いた影響とみられ、近年で最悪の規模だった二〇一五年以来の被害になるとの指摘もあり、マレーシア政府などが緊急に対処するよう求めている。

 カリマンタン島では十日、マレーシア側の約四百の学校が休校となり、十五万人以上の生徒に影響。インドネシア・スマトラ島の幼稚園の一部も閉鎖された。

 近隣国にも広がり、マレーシア政府によると、首都クアラルンプールや周辺では、大気汚染指数が「健康によくない」レベルまで低下、濃いスモッグに覆われる日もある。スモッグはシンガポールまで及んでいるほか、タイ南部では住民にマスクの着用を呼び掛ける地域も出ている。

 インドネシアでは毎年五~十月の乾期に、野焼きなどが原因とみられる森林火災が問題に。AFP通信などによると、過去二十年で最悪だったとされる一五年には、数週間にわたり有毒なガスが発生。呼吸器疾患などで十万人以上の死期を早めたとの報告もある。今年は一月ごろから両島を中心に断続的に火災が続き、国家災害対策庁の担当者は「このまま長引けば、一五年の再来になる恐れがある」と警告している。

 インドネシア政府は八月から治安部隊を数千人規模で投入、火の鎮圧に努めているほか、マレーシア政府も化学物質を雲の中に放出し雨を誘発して大気を浄化する計画を検討している。

 インドネシアにはマレーシアなどから批判の矛先が向けられ、インドネシアのシティ環境林業相が「すべてのスモッグがインドネシアからもたらされているわけではない」との見解を発表。これに対しマレーシア政府が、ASEAN気象専門センターの調査を基に「衛星から推定する火災の位置情報(ホットスポット)は十日時点でボルネオ、スマトラ両島で八百六十一カ所あったのに対し、マレーシア国内で七カ所だ」と反論するなど、さや当てに発展した。

 東南アジアの熱帯雨林は近年、プランテーション開発などにより大きく減少。野焼きは禁止されているものの、開発のため火を放つ例が後を絶たない。泥炭を含んだ土壌に燃え広がり、オランウータンなど野生動物の減少にもつながっているとされる。

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