日本マラソン史上初めてと言っていい、正真正銘の一発選考。日本陸連の尾県貢専務理事は「選考レースの厳しさ、醍醐味(だいごみ)が直接、伝わったと思う。MGCは大成功だった」と振り返った。
瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは「まず設楽選手の勇気と走りに敬意を表したい」とした上で、「男女とも強化の皆が来てほしいという想定の選手が4人来た」と順当な顔触れであることを明かした。
男子優勝の中村については「最後の2・195キロを6分18秒で走った。私が6分22秒なので驚いた。この上がりをすれば五輪で成功する」とラストスパートを称賛。一方で「4強から蚊帳の外だったのでプレッシャーがないから勝てた。今回はたまたま勝った」と辛口の評価も加えた。
女子優勝の前田についても「リオ五輪の優勝が2時間24分なので入賞以上を期待できるが、あのまま逃がしちゃうのがまだ女子のレベルが低いところ」と話した。
今大会は猛暑が想定される東京五輪へのシミュレーションという側面もあったが、河野匡長距離・マラソンディレクターは「暑さ指数(WBGT)は28か29で、東京五輪の午前6時から9時ぐらいとあまり変わらないのではと思っている。中村の優勝タイムは自己ベストから4%落ち、前田は3%落ちぐらい。WBGT30だと5%ぐらいと言われているので、暑さを想定した中では非常に評価できる」と成果を強調した。