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2019-09-15

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・先日の大きな台風は、予報のニュースもすごかった。
 「世界が一変するような」ことになると告げていた。
 関東地方に上陸するというのも久しぶりで、
 それなりに緊張して、そいつがくることに備えていた。

 夜中に強い風が窓を叩いたことは知っていたが、
 ぼくの住んでいるあたりの被害はあまりなかった。
 ちょっと別の地域に出たら街路樹が倒れていたが、
 なにかが壊れていたり、屋根が飛んでいたり
 というような景色は、ぼくの目には入らなかった。
 空はあくまでも青く、真夏のような暑さが戻っていた。
 あれだけ覚悟して待っていたけれど、
 なにごともなかったかのよう天気だった。
 「世界が一変するような」ことにならずによかった、と、
 台風についてのニュースは、
 ぼくのなかではいったん終わっていた。

 真夏の空と暑さが戻ってきたなと思っていたところに、
 少しずつ、停電や水不足のニュースが入ってきた。
 やっぱり、世界が一変しないまでも、
 大型台風だから被害もあったようだ、と、
 これまた青い空と夏の暑さのなかで考えていた。
 夕食はてんぷらにしようとカウンターに座って、
 隣のお客さんに少し話しかけられて挨拶を交わしたが、
 帰りがけに、突然のように台風の話になった。
 なんでも、そのグループのご夫婦が、
 千葉の海沿いに引っ越しして建てた家が、
 屋根が飛んでとても住める状態でなくなったというのだ。
 幸い、仕事場が東京なので避難してきている、と。
 ちょっとした停電があったくらいに考えていたが、
 そんなものじゃなかったと、知ることになった。

 東京の、じぶんの頭上の空の景色が、
 強い警戒からはじまって、ほっとした物語だったので、
 海沿いで台風に襲われた地域を想像できてなかった。
 東北、九州、大阪、北海道と、
 ある程度遠いところへの想像力は働かせたものの、
 近いように思っていて距離のある地域のことを、
 ちゃんと考えられてなかったなぁと教えられた。
 房総の被害にあった皆さん、すみませんでした。

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