3月9日 遠征3日目 

この日も雨天スタートでした。
前日はしっかり宿で休み、上場の成果も満足度も得ていたのでレンタカーの罰金を除けばコンデイションは極めて良かったのです。罰金の現実から目そらそうと気丈に振る舞っていたのかもしれません。

が... なにしろ、雨です。


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活動出来るレベルではなかったので(割と上機嫌で)市内を観光することに。
市内最大のショッピングモールで八重山そばを食べたりお土産を物色したり、、、

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石垣市内、実はめちゃくちゃ発展しています。
正直練馬区より栄えてます(笑)
大体目にしたことがある商業施設は市内にあります。
イオンやミスド、ダイソーにTSUTAYAにゲオ、しまむら、ドンキ、ヴィレッジヴァンガードまでありますし、観光地なので飲食店や飲み屋も多く、道も広くかなり快適。

コンビニはファミマだけでした。夜勤の時給が1000円切ってたのは格差を感じてしまいましたが...

紫芋系のお菓子はハズレがないですね~

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実際は堆肥に住むサイカブトやハイイロハナムグリを狙い、牛舎にいる方々に片っ端から声をかけていました。カブトムシを探している旨を伝えると、堆肥を掘り返す事を皆さん快諾してくれたのですが、豪雨でそれどころではありませんでしたとさ。

道中パイナップルにかぶりつく同行者

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夕方から雨が止む予報だったのでポイントまで移動しますが、道がこの有様。八重山特有の赤土が流れ出してるのがよく分かります。これが海に流れ込んで富栄養になり、プランクトンの爆増、海中の酸欠を引き起こすとか。

にしてもこの水量、アマゾンかな???
モンハンで言う所の水没林ですね。チャナガブル。


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途中、バンナ公園にある昆虫館にて館長さんにサキシマアオカナの事を聞く事に。

雨でしたがしっかり営業中。中には世界の昆虫標本が展示されており、それだけでなく裏手には館長が採集された無数の標本が保管されていまして、快く見せて下さいました。

サキシマアオカナの事をお聞きすると、やはり現地に棲んでいて高頻度で採集に出向く方でも中々出会えるものでなく、幼虫採集はした事がない、との事。

成虫なら市内から程近い某岳の登山道入り口でバナナトラップにて採集経験があり、その近くを探せばもしかしたら幼虫が見つかるかもしれない、との事だったので急遽ポイントを変更する事に。

御教示ありがとうございました。昆虫館自体かなり濃い内容でおススメです。

ポイントに到着、登山道入り口にて待機。
野生のパパイヤの図。

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18時頃ようやっと雨が弱まったのでスクランブルです。
この画像だけでどこかわかるひとにはわかっちゃうんだろうな。まぁなんも採れなかったんで。

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雨でしたが登山道っぽいのがあるので楽さが段違いです。
昨日までと比べたら最早散歩。登山道なんて甘えですよね甘え。
正直言うと時熱出てて普通につらかった。


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結論から言うと、道沿いにはやはり良さげな樹木は無い物の、様々な生物を観察出来ました。

ヤエヤマタマヤスデ。


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サキシマアオヘビ。結構レアで生態にも謎が多いヘビなのですが、何故か同じ場所に3頭いました。交接中だったのでしょうか?


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無毒ヘビで、野外ではミミズなどを食すとされていますが実際の食性は詳細不明だそう。
口が小さく噛み付くのには不利そうなのでミミズ食が納得できるかも。
オタマジャクシとか食ってそうですけどね。


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3頭同時捕獲の図。今日から僕もヘビ使いです。


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そして同行者の今回の最大の目的、アイフィンガーガエル
このカエルの生態は少し特殊で、樹洞に溜まった水に産卵、親カエルは孵化した幼生に自らの無精卵をもって給餌するという奇妙なヵエルです。


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頂上まで行って戻ってくるも、オオハナサキカエルやハブ、カバイロハナムグリを追加するのみで、サキシマアオカナが生育できるような広く乾燥しているフレーク溜まりは見つける事が出来ず。

一応石垣最高峰なのですが、半分以降は竹のトンネルみたいなのをずっと潜り続ける感じの登山で、登頂しても既に夜and濃霧で何も見えず、完全に無駄足でした。

その上、まさかの携帯が故障。画面が付かなくなります。画面付かないのにアラームだけはなり続けるという。やったね、遭難しても助かるね!

山を下るときには一周回ってハイテンションになってた気がします。

データが全部吹き飛びました。今回の記事に写真が少ないのはそういう事です。察してください。


3月10日 4日目

石垣島最後の夜ですが、大雨でした。
携帯が壊れたand疲労andレンタカーの罰金でまぁテンションは地の底。
同行者二人とはかなり仲が良かった筈が会話は全くありませんでした。というかみんな寝てた。

二人は最早一歩も動きたくないという状態でしたが、自分はこの時サキシマアオカナブンをまだ一頭しか捕獲できてないと思っていたので相当焦っており、無理やりポイントに二人を連行。申し訳ナス。

結局初日の山に戻り再び単身ジャングルを彷徨うも、何故かサキシマアオカナを追加したポイントには辿り着けませんでした。本当に方向感覚無くなりますね。本来であれば携帯にGPS、コンパス機能あるんですけどね。何故その状態で森に入ったのか。

既に家に帰りたさと人恋しさは頂を超えてました。本当に誰かに会いたい会いたいってずっと独り言言ってた気がします。そんな自分の心を汲んだのか、壊れたスマホは深夜2時、ひとりでにに元カノに電話をかけ始める始末。なんて主人想いな携帯なんでしょうか。

その後は嫌がる友人をちょこちょこ連行してはカバイロハナムグリを追加していきました。

朝になると、遠征中始めて晴れ間が顔を覗かせます。
この時はやっと夜のジャングルという異質な空間が終わった安堵からか、とても気分が良かったです。


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クロカタゾウムシも追加。


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とはいえ、カバイロばっかで結局サキシマアオカナブンは採れていなかったので、最後に服と体力を全て捧げる覚悟で入林。

早速、世間を騒がせたカメちゃんこと天然記念物、セマルハコガメに遭遇。動くの速いですよ結構。


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レンタカーの返却が迫る中、斜面を登りきり片っ端から大木を探して行き、それらしい幼虫を何頭か確保。連日雨とはいえ、しっかりやるべき事をやり切ったので心地よい終わり方が出来ました。

が、サキシマアオカナブンを捕獲できなかったという事実が重くのしかかります。

石垣での採集はここでおしまいです。

その後はレンタカーの返却時間が迫る中、島の北側海岸線をドライブ。
ここで晴れるか、って感じでした。悔しいぐらいに綺麗。

レンタカー屋でしっかり罰金を払い、宿へ。本土へ荷物を送り、石垣最後の夜を楽しみに街へ。
たまたま島に居合わせたフォロワーさんに車を出して貰ったり、ご飯をご馳走地になってしまいました。本当にありがとうございました。


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夜はラーメンを食べに行ったり、お土産やさんに行ったり...
宿で特産の飲み物飲んだり、好き放題やって就寝。明日からの移動に備えました。


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この時点でサキシマアオカナブンと思われる幼虫が2頭しか採集できず、あまり次の島に行く気がしませんでした。え、帰りませんよ。まだもうちょっと続きます。


が、その前に石垣での採集品を少し整理します。


まずこの幼虫ですね。

至って普通のハナムグリ幼虫です。
本種はおそらくカバイロハナムグリです。多数得られました。

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そしてこちらがやや大型で毛深く、表皮が柔らかい。
サキシマアオカナブンです。


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2頭しかいなかった筈ですが、帰宅すると、、、


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ん?


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いや意味わからんし。あんだけ2頭しか採れなかったとか言ってたのに
カバイロの2齢だと思っていた幼虫の一部がサキシマアオに化けました。
なんたる僥倖、、、!

ちなみに、幼虫状態で判別出来る理由が2つあります。

一つ目、様々な文献から椎の根元で採集できる種類がサキシマアオカナorカバイロの2種だと言う事

2つ目、アオカナブンの幼虫形態を知っているのでハナムグリ類と容易に区別が可能な事

以上から判断しました。

また、後ほどむし社さんに鑑定を依頼したところ、サキシマアオカナブンだとお墨付きを頂きました。

ので、完勝です。どうもありがとうございました。
羽化は来年の夏だと思われますので乞うご期待。




今回、結局自分の目標である
ヤエヤマネブト、ヤエヤママダラゴキブリ、アオミオカタニシ、カバイロハナムグリ、クロカタゾウムシ、そしてなによりサキシマアオカナブンをばちこり確保出来たので満足です。
いやあ、バンパーと携帯壊れても諦めずに粘ってみるもんですね。

何より、仲の良い友人と大冒険的な事が出来たので満足です。

強いて言うならハイイロハナムグリ(堆肥から産出)、チャイロカナブン(林床から産出)が採集出来なかったのが惜しまれますが、どちらも普通種で他の島にも生息しているので結果オーライです。

両爬狙いで行った友人もカエル類をあらかた撮影、ヘビやカメ、トカゲも数種確認できていました。

そんなこんなで踏んだり蹴ったりな石垣島遠征の記事はお終いです。