ご無沙汰です。
3月の初旬、遠征に行ってました。

目的はズバリ、国「ブン」手稿としての体裁を保つためのブンブン採集。と言ってもこの時期なので幼虫採集です。(もう少ししたらオオヒゲブトでるけど)

3月7日 初日

10時、成田発。目的地は石垣島。
そう、今回のターゲットは国内最大種、最美麗、最珍品のカナブンことサキシマアオカナブンでげす。

成虫を採ろうとすると、吹き上げで待機するか、バナトラを仕掛ける事になるのですが、そもそも簡単には採れない上、夏の観光シーズンとかぶる為飛行機の料金が馬鹿みたいに跳ね上がります。

また、フクエアオカナブンで学んだ、成虫を採集してブリードするのはリスキーという点がありましたので幼虫採集、という事でこの遠征は10月ごろには飛行機の支払いを済ませてありました。
加えて、今回は心強い仲間が2人もついてきてくれました。

それだけ入念に計画を練り、楽しみにしていた遠征ですが

おヌッッッッ!!!!!!!!!


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見事に降られました。酷い話です。
結論から言うと4日間雨でした。

ですが、悪天候は予想し得るべき事態です。
今回は心強い仲間がいたうえに、全員ワンピースブームが来ていたので気分はさながら大冒険。
雨だろうが何だろうがテンションとやる気は過去最高に膨れ上がっていました。
なにしろ日本最美麗最レア最大を採りに行くわけですから。
ポジティブに考えても、雨だろうが幼虫採集なら関係ないので、とりあえず腹拵えから。

南国名物のソーキそばをしっかり堪能。
コーレグース(唐辛子を泡盛に漬けて作る調味料)美味しいですね。


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空港からバスで市内へ移動し、レンタカーを借り郵便局で荷物を受け取りスーパーで買い出しをし、ポイントへ17時頃到着。雨は弱まり十分動ける具合です。

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学生の間、限られた回数しか行えない遠征です。雨だろうが夜だろうが次いつ来るともしれないこの島の自然とガッチリ取っ組み合いをします。

別地点より別の日に見下ろしたポイント付近のジャングルです。


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車道から森に突っ込み斜面を下ります。
森の中は既に暗い上、雨も降り続け、ぬかるんだ地面が行く手を阻みます。

鈍臭いので一行何度も尻餅を突きながら夜の森を進んでいく中、最初に遭遇した刺客のはこの生き物。

サキシマハブです。

毒があるとはいえ口も小さく、遭遇するとヘビ側からすぐ逃げ出す為噛まれることは殆ど無さそうですね。


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石垣島は降水量が多く、ジャングルの殆どが湿地、沢になっており、
沢沿いに森に入っていくのですが、この島の沢には日本最大の「ゴキブリ」がいます。

ヤエヤママダラゴキブリ

圧巻の大きさです。
こんな大きいのが超高速で動くので苦手な人からすれば地獄ですね。幼虫は半水棲だそうです。
今回は見られませんでしたが、水中で本種の幼虫を捕食するオオムカデ、なんて光景もあるそうです。


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3月はカエルの繁殖期。雨続きだった事もあり、多くのカエルを目にすることができました。
まず出会ったのは天然記念物、お触り厳禁のオオハナサキカエル。
大きい物だとヒキガエルクラスにもなるそうです。


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森の中を散策するも、中々沢から抜け出せません(道路から谷になっている部分におりたものの、反対側の斜面に上ることができない状態)

タイワンサソリモドキ。触ると酢酸に似た物質を吹き付けてきます。くちゃい、、、


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そうこうしてジャングルを探検、森の奥深くに行ったつもりがスタート地点に戻ったり、
と繰り返しながらついに夜を迎えます。本当にジャングルの中って方向感覚奪われますね。
この時点で同行者はかなり疲れ気味でした。
なんせ雨続き、森の中を歩くと草木についた水やぬかるんだ地面等で全身びしょ濡れになります。

登山やトレッキング経験者はわかると思うのですが、濡れた状態というのは体温が下がるので想像以上に体力を奪われてしまいます。

そんなこんなで一通りジャングルの歩き具合を探り終え日付が変わるころようやっと本格的な採集が始まりました。 

今回は雨天だったのと採集に夢中で写真を撮り忘れてしまった上、そもそも携帯が水没で壊れるというハプニングに見舞われた為、採集光景はかなり少なくなってしまいます。

さて、気になる採集方法ですが、八重山地方の森林は「イタジイ」という樹木の老木が様々な生物を育んでいます。ハナムグリ達も例外で無く、イタジイの葉や幹、根等が分解され、体積している土壌から産出します。

下載画像のように、大木の根の部分がシロアリやその他様々な要因により分解され、有機物が堆積した部分を探していくので、基本的に森の中でシイの大木を探す事から始まります。


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八重山のジャングルに関して、巨木で構成されていて下草やら若い木は少ないブナ林のような物を想像していました。そんな甘い認識はすぐに消えました。林内だというのに大小さまざまな草木、崖や斜面の連続で非常に歩きにくい。オマケにヤマンギやハブなんかもいますから相当「面倒」です。

ヤマンギとは、要は毛虫です。ハブより毒が強いとか。うっかり手をついた木に、、、
なんてことも。


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そんな中巨木を探します。
巨木下の環境イメージとしてはこんな感じ。


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H2Oこと水(英 water)は、液体なので重力に従い上から下に流れます。
中でも雨が多いこの地域です。フレークは主に斜面の下側にたまります。
山の斜面の上側から流れてくる水が木によって阻まれ浸入しない、そんな場所にフレークは溜まります。フレーク自体があっても湿っていればハナムグリは出ない上、大体水が浸入する場所ではフレークは堆積できません

そのようなレア物件を探し当てると見つけたも同然で、大ハナムグリ類の糞が溜まっています。
掘ると、このように幼虫が出るワケです。
そして、まさかの最初のこの写真が今回ターゲットの
サキシマアオカナブン の幼虫になるわけですが、、、 この時は気づきませんでした。


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一方、少し湿った場所を掘るとヤエヤマネブトの幼虫が出ます。
かなり土だけのような場所を食べているので不思議です。


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かなりの急な斜面。雨で濡れた地面はさながら粘土が如く踏みしめれば滑り落ちるのでかなり苦労しました。泥まみれとは正にこの事な状況に。

↓ヤケクソで地面に八つ当たりする同行者。
ヒメオオ皆勤賞、4年もの付き合いがある頼もしい友人です。


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登ってしまえば下りは木々に注意しながら滑り台を滑るように斜面を降りて仕舞えばいいので楽(?)

深夜、これを続けなんとか幼虫を一定数確保。中にはサキシマアオらしき幼虫も。


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糞の形がいつも見慣れてるハナムグリの物と、カブトムシが如く四角く大きい物があり、四角い物の落とし主がサキシマアオである事は簡単に予想できました。
が、糞の割に落とし主の幼虫は殆ど発見できず。これも後ほど理由が判明します。

また、後ほど判明したのですが、極めて乾燥している場所にはサキシマアオカナブンが、そこそこ乾燥している場所にはカバイロハナムグリが、湿気ている場所にはネブトクワガタが生息していました。


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ある程度幼虫が集まったのと、同行者を交代(自分と一人が出撃、一人が車で待機していました)
するために一度車に戻ることに。
この回が一番多くの幼虫を回収できましたが、この回のポイントにはどうやっても二度とたどり着けませんでした。がむしゃらに森に突撃していたので道を記録していなかったのです。

深夜になるとカエルの合唱が凄い事に。ひたすら川の流れる音とカエルの鳴き声。
空に星は見えず電波も無し、勿論街頭や人の気配は0。

ヤエヤマアオガエル


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ヒメアマガエル。
この島で最も多いカエルです。本種を捕食しにくるハブが多数見られました。
丸○としてて可愛いですが、重低音でやかましく鳴きます。


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ライトの電池消耗が意外に激しく電池を買いにコンビニに戻ったらなんやこいつみたいな目で地元民に見られました。ドロドロだからね。

この後も出撃しますが暗闇の中で巨木にたどり着くことは叶いませんでした。

深夜3時頃、気温が著しい低気温と併せ雨が酷くなっても活動を続けていた結果、体温が下がり震えが止まらなくなる始末。

低体温症の兆候として、判断能力が鈍りパニックになってしまうというのがありますが、まさにこれを発症してしまいました。動きっぱなしだったというのもあり一度車で休憩をする事に。
我ながらパニックを自覚し、休む方向に切り替えたのは珍しく賢明な判断だっと思います。

3月8日 2日目

朝になり、少し雨が落ち着いたので森に入らず林縁部を散策することにしました。
爬虫類両生類が好きな同行者は元気に森の中に。

ミニチュアジュラシックことキノボリトカゲを捕獲してきました。
雨天でも元気に活動しており、この遠征中何度も邂逅します。


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そしてまたまたハプニング発生。
なんと、レンタカーのバンパーに亀裂が。
道は広い石垣島、前日ぶつけた覚えも事故にあった覚えもなく車体に傷も無く、、、
この破損が原因で後々7万円の罰金を科せられてしまいます。

夜明けだ〜〜〜...
嫌と言うほど着替えを持ってきていたのですが、雨が予想以上に酷く3セットも使う始末。

 
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レンタカー屋の始業時間までは何も出来ないので仕方なく林縁のアカメガシワをルッキングしていきます。南方においてアカメガシワは多くの昆虫のホストになっています。

アカギカメムシ
カメムシの癖に匂わない美麗種です。


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枝先には今回ひそかに狙っていたクロカタゾウムシが。
日本一固いと言われている昆虫で、踏んでも潰れません。ゴキブリ漫画で一躍有名になった虫ですね
遠征中に6頭確認しましたが、どれも枝先で交尾していました。


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その後、9時頃から全員目が覚めたので今度は全員で再び林内に入り、視界の効く中、的確に巨木を巡りハナムグリ類やネブトを順調に追加していきます。この際の画像も採っておけばよかったと非常に後悔。実際にはこの二日目の朝が一番成績良かった上、THE採集って感じでした。

全員で急峻を登り振り返った際の景色は最高の一言。

昼間、明るいというだけでどれだけ救われた事か…

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唯一残っていた画像がこんなもの。南方特有のクワズイモの葉です。今回やらかしたと思ったのが、こういった南国感をお伝えできない事です。

林内でタワヤモリに遭遇。


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正午ごろから雨の中野底マーペーという山に登る事に。
折角なので絶景も体験しておこうという話になりました。
ぬかるみの中しばらく登山をし、生涯最高の景色と対面することになります。

写真データーが飛んでしまったので魅力を十分にお伝えする事が出来ず残念ですが、風雨が吹き付ける中でも十二分に楽しめました。


これが男三人旅の景色。


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風が強すぎてタオルが顔にかかる同行者

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柄にもなく自撮りをする筆者

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↑これが↓これ

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登頂するまでの八重山の少し過酷(大体雨のせい)な大自然、それらの大自然を360度パノラマビューで見渡せる頂上の岩部。天辺に立った時は恐怖と興奮と感動で鳥肌が止まりませんでした。

雄叫びを上げたくなるタイプの荒々しい絶景です。
雨で曇っていたから余計に荒々しさが強調されており、まさに感動モノ。
疲労のhの字も完全に吹き飛んでいました。

登り終えたとほぼ同時に雨足が強くなり、下山する頃には土砂降りに。
レンタカー屋に電話した所、至急店舗まで来いとの事なので街へ戻ることにしました。

そんな事はお構いなしに、途中公園の水道のホースで全身の泥水を流し、コインランドリーでぐちょぐちょの服を乾燥させ、恒例の沖縄地方にしかないハンバーガー屋さんことA &Wで久々の人間らしい食事。


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常に美味しゅうございましたが、名物ドリンクことルートビアは僕的にはダメでした。湿布生絞り一番!って感じの風味、、、


レンタカーの事は完全に忘れたまんまそのまま宿に向かい、夕寝していると怒りの電話。

ごめんよ。

レンタカー屋に向かうと、
しっかり上限7万の罰金(結局7万フルで取られた)の発生を明言された上にレンタカー屋にて「貸し出し停止」を言い渡されるハメに。敗北者。なんてこったい。取り消せよ

なんとか懇願して「これ以上破損部が悪化したら自己責任」との事で、使用継続を認めてもらいました。やったよ〜。

この日の夕食は流石にコンビニで済ませ、宿に帰ると記憶がないレベルで爆睡しましたとさ。

後半戦に続きます。