勇者誘惑(その2)BADEND 牛勇者
・18禁注意
勇者誘惑(その2)BADEND 牛勇者
魔王城7F。
「くっ……さすがに敵も手強いのぉ」
魔法使いのグエンが傷ついた腕をさすりながらつぶやいた。
僧侶のケインはそんなグエンに回復魔法を唱えつつ、魔法力を回復するドリンクをがぶ飲みしていた。
「それだけ魔王に近づいてるってことだろ。恐らく次のフロアにいるだろう」
戦士のジョーは剣の刃を懐紙で拭いながら言う。
確かに、上に登るにつれ敵は強くなってきていた。
それだけ敵も本気になってきたということだろう。
「回復アイテムもそろそろ尽きてきたね」
僕はアイテム袋の中を見ながら言う。
「急いで魔王の元へ……! ケイン、後ろ!」
回復魔法を唱えていたケインの後ろから迫ってきた魔物……それはサキュバスだった。
セミロングの金髪をリボンで左右に束ねた、顔の作りの幼い少女。
しかし、その肢体は張り艶を保ちながらも成熟しきっていた。
豊満な肢体を小さなスカイブルーのビキニで覆い、肉付きよくもきゅっと引き締まったお腹は丸見え、
健康的に張った胸元や太ももを見せつける挑発的な外見。
昨日の夜のこともあって、そんなサキュバスを見て、ケインを助ける前に唾を飲んでしまう。
そんなサキュバスに水の呪文をくらわせるグエン。
サキュバスは巨大な水球を受けて、体を痙攣させながらその場にくずおれた。
(ああ、何を考えているんだ、僕は!)
自己嫌悪に陥る。
仲間のピンチを前に、敵の魅力に屈しそうになるだなんて。
それに、昨日のお金のことだってそうだ。
もし首尾良く魔王を倒して、解散するときには、お金を山分けすることになる。
その時に10万ゴールドもなくなっていたら怪しまれてしまうだろう。
ああ、僕は一体どうしてしまったんだ……。
「ふぅ……まったく、気を抜けんのぉ」
「まったくだぜ。よし、そろそろ階段を登るぞ」
皆で準備を整え、階段を登ろうとすると……階段の上の扉が音を立てて閉まりはじめた。
「急げ!」
扉へ急ぐ。閉じるスピードからして、このままのスピードなら間に合う――!
「しまった!」
「!」
後ろからグエンの声。
見ると、グエンが大事にしていた杖を取り落としたところだった。
一年の旅を共にしてきた大切な杖……グエンは悔しそうな顔をしつつ階段を登る……。
――僕は一人、階段を駆け下りていた。
「勇者殿!」
「いいんだ、先へ!」
階段を落ちてゆく杖を拾うと、上を見る。
扉は今にも閉まりそうだった。
僕が槍投げの要領で投げた杖は、扉の向こうのジョーの手元に滑り込んだ。
「勇者!」
「僕は違う道を探す! 必ず追いつくから、魔王の元へ!」
僕の叫び声が届いたかどうか、扉は重厚な音をたてて閉まった。
「仕方ない……まだ行っていないルートから階段を探すか」
僕は一人、階段を降りる。
階段手前のエントランスには、水球に打たれて力尽きたサキュバスが倒れていた。
ムッチリと張ったお尻が小さなビキニからをはみ出し、
ずっしりと重たげな乳房はむにゅりと形をひしゃげさせている。
(馬鹿! 倒した魔物をなにまじまじと見ているんだ!)
そう、昨日の夜、ユキナの足でいじめ抜かれてから、
町の女性や女性型魔物を見るだけでドキドキしてしまうようになっていた。
今まで世界の平和を守るため、神聖な勇者という仕事についていたのに、
たった一晩女性と接しただけでこんな腑抜けになってしまうなんて……。
「…………」
先ほどまでの激戦が冗談かと思うほどの静寂。
仲間達が先に魔王の元へ向かい、急いで追いつかなければならない状況でありながら、
僕は何故か動けずにいた。
魔王の上層階でありながら魔物の気配がしない――もちろんその違和感もある。
ただ、何より大きな原因――。
――自然と、僕の視線は倒されたサキュバスへと移動していた。
魔法による水に濡れたサキュバスは、なおも先ほどと同じ体勢を取っていた。
俯せに倒れたサキュバスは、豊かな胸をひしゃげさせており、
確かな質感を持つ乳肉の斜面を、玉型の水滴が滑り落ちてゆく。
長い脚はしなだれるように折れており、太ももや臀部は露わになりつつも、
その奥は妖しい闇に隠されていた。
(ああ……なんて綺麗な脚なんだ……)
頭がくらくらしてくる。
僕は急がなければならないと知っていながら、彼女へ一歩一歩、近づいてゆく。
(そう、ここは入り組んだ迷路になっているし、迷ってしまうのも仕方ないんだ。
ジョー達もわかってくれる……
……それに、長いこといるつもりはないんだ。
あと二、三分の間だけなんだ……一匹の魔物と戦う程度の時間だけなんだ)
心臓が高鳴る音が脳内に反響する中――僕は倒れたサキュバスの太ももに触れる。
それは人肌を保っていた。
(生きている……?)
どうやら気を失っているだけらしい。
念のためサキュバスの顔を覗き込む。
金髪の両端をリボンでとめ、艶やかな頬を朱に染めながら、悩ましげに眉を潜めて目を閉じるサキュバス。
微かに呼吸の音も聞こえた。
「……□、□§⊇⊇……」
催眠の呪文――対象はそのサキュバス。
目を覚まさないうちに魔法を使うことで、二重の催眠をかけたのだ。
いくらグエンの魔法にも生き残る魔法抵抗力の持ち主でも、無防備な睡眠中に脳へ直接魔法をかけたのだ。
激しい痛みなどが伴わなければ、これで二十分は動けないだろう。
「どうせ三分ぐらいなんだ……だから……」
周囲に魔物の気配はない。
僕は溜まった唾を一息に飲むと――サキュバスの太ももに頬ずりをはじめた。
「ああ……水に濡れて……もちもちしてるぅ……」
昨日、魔王へ挑もうとする前夜、娼婦のユキナによって虜になってしまった女性の脚。
長く、しなやかで、それでいて肉付きがよかったユキナの脚――しかし、このサキュバスの脚は違っていた。
確かに長く、しなやかで、肉付きも良い。
加えて、ユキナ以上に張りがあるのだ。
触れれば相応の力で押し返してくる肌。
それはユキナの吸い付くような大人の肌ではなく、幼いからこそ持つ生き生きとした少女の肌。
太ももの間に顔をうずめれば、まるで押しつぶされているような抵抗を感じる。
それが、水にしたたるおかげで滑りを持ち、僕の頬をどこまでも誘ってゆく。
「あ~……ああああああああぁ……」
うめき声を上げながらその太ももに舌を這わせる。
濡れた太ももは、サキュバスの肌からあふれ出る汗と相まって、独特な甘い味がした。
――すでに、僕の股間は限界近くまでそそり立っていた。
「あと……あと五分……あと五分だけなんだ……」
僕は震える手で自らの装備を外し、聖なる鎧を床に置いて裸となる。
昨日、ユキナによってとことん踏みにじられたモノからは、先走り汁が竿の根本まで垂れており、
今もぷくぷくと泡を立てながら、どんどん汁をあふれ出させてゆく。
僕は若干の羞恥感を覚えながらも、急がなければならない状況、
何より激しすぎる心臓の鼓動に後押しされ――サキュバスの肩の両サイドに膝をつく。
ゆっくりと上体を倒し、震える腰をなんとか操ると――彼女の唇へと亀頭を押し当てた。
途端、肉厚の唇が、僕の亀頭をもちっと押し返す。
「――ぁああああああああああああああああああ!」
それだけで充分だった。
痙攣する亀頭からあふれ出る白濁液。
それはサキュバスの唇の中へとはき出されてゆく。
口内を満たしても更に溢れ続ける白濁駅は、唇のサイドから垂れ流れ――
――やがて、サキュバスの顔はゼリー状の精液にまみれていた。
「はぁ……はぁ……」
早々にイッてしまった僕は、羞恥と疲れに俯きながら上体を起こし、サキュバスの顔をまじまじと見る。
美しくも幼い作りの顔が、僕自身の精液に汚れている……
……そう思うと、イッたばかりだというのに、股間の奥がズクンと反応してしまう。
「だ、駄目だ……もう行かなきゃ……」
――そうだ。一体何をしているんだ、僕は。
今にも仲間達が魔王と戦おうとしているのに。
僕は早くそれに追いついて、人間達を迫害し続ける魔王を倒さなければならないのに。
だというのに、こんなところで聖なる鎧と剣を脱ぎ捨てて、倒した低級魔物が眠る間にその体中を触り、
挙げ句の果てに射精までしてしまうだなんて……最低じゃないか。
欲望をはき出したからだろう、僕の思考はすでに冷静だった。
僕は急いで鎧に手を伸ば――そうとして、その光景を目にしてしまったのだ。
顔中に精液を敷き詰めた幼いサキュバス。
その喉が、コクリ、と音をたてて白濁液を飲み下す光景を。
動きを止めた僕は、更なる驚きの光景を目にする。
眠っているはずのサキュバスは、何度も喉を鳴らしながらも、小さな唇を微かに開いて、桜色の舌を伸ばす。
その赤い肉に絡みつく、ゼリー状の白濁液。
サキュバスは更に舌を伸ばしてそれを絡め取ってゆくと、内に収めて――ひときわ大きく喉を鳴らす。
「――――!」
気づけば僕のものは、再び限界までにふくれあがっていた。
鎧にかけていた指を離すと、その指を自らのモノに絡め――
「……¢∴Å∞Å……」
呪文を唱える。
それは僕が覚えている中でも高度な部類に入る呪文――身体操作の呪文だった。
呪文にかかった相手を、ある程度意のままに操れるという呪文。
本来、これは緊急時に敵の動きを止め、周りの敵の混乱を誘う呪文だった。
作用する効果の大きさもあり、消費する魔法力も莫大な量が必要だ。
しかし、僕はそんな高度な呪文を使い、彼女をただ立たせる。
僕は自らのモノを握りながら、その前で正座をする。
(ああ……何をしているんだ、僕は……)心の奥底にいる何かが叫ぶ。
(仲間達がピンチかもしれないんだ、急いで行かないと……)
『まだ魔王と戦っているとは限らない』他の何かが叫び返す。
『普通なら勇者を待つだろう。きっと小休止中だ』
(聖剣を持たない彼らでは魔物との戦いにすら窮する)
『そんなやわな奴らじゃない。それに、巨大な敵と戦う前だからこそ雑念を払いきる必要がある』
脳内で行われる誰かの口論。
しかし、もはや僕は自らの本能を止められなかった。
「¢∴⊇£」
命令の呪文。
眠りについているサキュバスは目を閉じつつも、ゆっくりと片足を上げ――僕の股間を踏みつけた。
「――ふぁああああああああああああああ!」
サキュバスの指先は幼いだけあり、ユキナよりもぷりぷりと瑞々しい。
亀頭の裏筋を指先でやわやわと揉みつつ、徐々に力を入れて踏んでゆくと、
指先のみずみずしさに竿がにゅるりと逃げる。
それを追う足先、逃げる竿、更に追う足先、なおも逃げる竿……。
僕はすでに言葉にすらならないうめき声を上げながら、
無意識のサキュバスに与えられる屈辱に耐えていた。
そのふくらはぎは微かに筋肉質で、亀頭を踏みつけるたびに筋が走り、美しい丸みを際だたせる。
太ももにも筋が現れては消え、時折プリンのように震える柔らかそうな脚肉。
そして、布の面積の少ないTバックに隠された股間は、太ももが内に寄れば筋が現れ、
外に寄れば秘密の肉園の片鱗が見え隠れする。
「あああ! 低級魔物なのに! 倒した雑魚敵なのに!
眠って何も出来ない相手なのに、僕は……ああああああ!」
眠れるサキュバスによる脚ダンスは激しさを増してゆく。
僕の亀頭を逃すまいと追いすがるぷりぷりの足先は、
亀頭のくびれに指を絡め、親指で鈴口を押しつぶしてくる。
竿は歓喜に震えながらも、更に堅さを増してゆき、その指の束縛から離れてぶるりと跳ねる。
長大なまでの脚は、様々な角度から脚線美を見せつけつつ、僕の股間に追いすがる。
逃げても逃げても、サキュバスの脚は僕のオチンチンを離そうとしない、離してくれない……!
「変態」
「――――!」
達しかけたその時、不意に聞こえた女性の声。
それは、眠っているはずのサキュバスの唇から漏れ出ていた。
恐る恐るサキュバスの顔を見上げると……そこには、軽蔑の目で僕を見下す金髪の少女がいた。
「魔王を倒しに来た勇者って聞いてたけど、アンタがその勇者な訳?」
「な……なぜ、人間の言葉を……」
「何も知らないのね。一部の魔物は人間の言葉を理解しているのよ」
「そんな……ひあああっ!」
驚きに身をすくめていると、唐突に襲ってくる股間からの刺激。
サキュバスの脚が、確かな意思を持って僕の股間を踏みつけてきたのだ。
(まさか……もう二十分経っていただなんて……!)
呪文の重ねづけを忘れていた自分の愚かさに気づく間もなく、サキュバスは不敵に笑った。
「私の名前はレイコ・ホリンジャー。サキュバスの女王、アイラム様の側近よ。
勇者一行を倒す指示が来たから、苦手な肉体戦で戦おうとしたけど……
……まさか、こんな簡単に勇者を倒せるだなんて。最初から知ってれば楽だったのに」
「倒せる、だと……? ――ひぐうぅっ!」
表情一つ変えず、巧みに僕のモノを踏みにじってゆくサキュバス……レイコ。
膨らむ亀頭のカリを爪先で弾きつつ、根本の尿道を踵でぐりぐりと踏み、
時折親指と人差し指で竿を挟んでは激しくしごく。
かと思えば離れて、不規則に竿をぺしぺしと蹴ってゆき、
サンドバックのようにきしむ僕のモノを弄んでは、親指の平で鈴口を捕らえ、
もどかしくもコリコリと押し込んでくる。
「そうよ、倒すの。アンタは低級魔物のサキュバスに倒されるのよ。それも圧倒的な力の差でね。
まさか、淫技では誰にも負けないサキュバスの土俵にわざわざ上がってくるなんて……
……アンタって相当の馬鹿ね。
それとも、ただ犯されたいだけの変態なの?
世界の平和を棒に振ってまでオチンチン踏みにじられたい変態坊やなの?」
「や、やめてぇ! ゆるし……ふぁあああああああああ!」
電気あんまの要領で振動させられる股間に、僕は頭を真っ白にしてしまう。
「だってそうでしょ?
アンタだけがここに残ってるってことは、仲間達は先に行ったってことでしょう?
初めて私の体を見たとき、いやらしい目で見ていたものね。
もしかしてわざと仲間とはぐれたのかしら?
不意をくらって遅れたふりして、私の体でエッチなことしたかっただけなんじゃないの?」
「ひがうぅふぅううううううう! ふぁああぁあぁあぁああああああああ!」
竿の根本を激しく小刻みに震わせるレイコの脚。
見上げれば、筋肉質でありながら丸みを帯びた、果てしなく淫らな長い脚が視界に入る。
こんなにも美しい脚に踏みにじられている……勇者の僕が!
「じゃあなんで聖なる鎧を脱いだの? 聖剣を手放したの?
なんで魔物の巣窟、魔王城のど真ん中で素っ裸になってるの?
なんで私の口の中ねばねばしてるの?」
「ああぐぅ、ぐあああああああああああああああ!」
「なんでここにいるの? なにしにきたの? アンタは勇者じゃなかったの?
平和を守りに来たんじゃないの?
魔王を倒しに来たの?
それとも無様に踏まれにきたの?
ねぇ、どっち? ねえ!」
レイコの詰問に、僕はまともに答えることが出来ない。
もはやせり上がる射精感に頭を真っ白にするしかない。
しかし、レイコの指先が尿道を強く踏みつけているおかげで射精が出来ない。
尿道がどんどん膨れあがっているのがわかる。
どんどん尿道に白濁液が溜まってゆく。
「答えなさいよ!」レイコは嘲笑して僕を見下しながら詰問を続ける。
「アンタは何しに来たの? 魔王城にまで何しに来たの?」
「ま、魔王を、倒し、にっ……ふぁあああああああ!」
「じゃあなんで鎧脱いでるの?
なんで聖剣手放したの?
なんで倒した魔物にとどめを刺さなかったの?
なんで私の口の中ねばねばなの?
なんで起きたらアンタの短小のチンポを私が踏んでたの? ねえ、ねえ!」
尿道を押さえられながらも器用に竿をしごかれる。
ゆっくりと、しかし力強く上下する足は、精液があふれ出ることを許さず、
しかし精嚢から精液をポンプのように絞り出し続ける。
もはや肉の細胞数からして、これ以上の膨張が出来ないほどに股間が肥大化したところで――
――僕は、勇者としての矜持が消えてゆくのを感じながら、唇を開く。
「き……キミを見て……オチンチンビンビンになっちゃって……事故で一人になっちゃって……
……倒れたキミを見てたらムラムラしちゃって……ちょっとだけなら、って催眠呪文使って……
……太ももベロベロなめ回して……口の中にドピュドピュ射精して……
……精液むさぼるキミの顔を見て、オチンチン我慢できなくなっちゃって……
……呪文で無理矢理オチンチン踏ませて……ちょっとだけなら、ちょっとだけならって思ってたら……
……制限時間過ぎちゃって……!」
「それで私が起きちゃった、って訳――」
レイコは溜息をつくと、心底まで軽蔑した目つきでもって僕を見下した。「最低のクズね」
「――――!」
その言葉に、股間の奥が性懲りもなく疼いてしまう。
「クズっていうか、豚でしょ。なにが勇者よ。
よっぽど強いのかと思ったら、太もも見ただけで勃起しちゃうただの脚フェチの豚マゾじゃない。
信じらんない。倒すの超ラクチンじゃない。気負って損しちゃった。
アイラム様の手を煩わせるまでもなかったわね」
「ああ……言ったんだから……早く……!」
「なに? 女の子が眠ってる間にいやらしいことしてた豚勇者のくせに、何が望みな訳?
その無様に張ったオチンチンになにさせたいの?」
再びはじまるレイコの詰問。
しかし、頭が真っ白になっていた僕は即答していた。
「お、オチンチン、ドピュドピュさせて! 変態なオチンチンを射精させてぇ!」
「こんな豚が勇者だったなんてね……良いわよ。イキなさい。でも――」
そう言って、僕の胯間から足を離すレイコ。
せり上がる射精感。
脳内を駆けめぐる快感に全身を震わせ……!
「――普通にはイカせない」
その声が聞こえるや否や――
――亀頭に激痛。
レイコの爪先が、亀頭の先端を蹴り上げたのだ。
「――ふぁあああああああああああああああああああっ!」
射精。
脈動しながら暴れ回る竿。
まるで暴発した銃のように、射出される白濁液によって軌道を変え、前後左右に暴れ回る。
飛び出る白濁液は、へたり込んだ僕の顔より高み、レイコの腹部にまで届くほどに勢いづき、
それが一分近く続くと――やがて暴発は終わる。
途絶えてゆく意識。
「バトルファックにもならなかったわね。ま、楽な仕事でなにより……妹達の餌として持って帰ろっと」
そんな声を遠くに聞きながら、僕は受け身も取れず倒れ込んだ……。
◆
「ママ」
ベッドの中で私……サキュバスの女王、アイラムは目を覚ます。
アクビを垂れ流しつつ横を見ると、側近のサクラコが控えていた。
「なによ、こんな早くに」
「魔王様がお呼びです。一時間以内に来るように、とのことです」
「あのスケベ親父、ざけやがって……勇者にでもなんでも殺されりゃあよかったのに」
「アイラム様が来ないのなら他のサキュバスを10匹寄こせ、とも」
「……行くよ、あたしが。あ~、マゾのふりすんのタリィのによぉ……」
洗顔歯磨きもそこそこに食卓に出る。
そこには、縦長の机に並んで座る娘達がいた。
「「「おはようございます、ママ」」」
「おっはよーん。今日も皆で適当に頑張ろー。おしまい、解散」
「ママ、おしまいじゃありません。食事の問題が残っています」
「食事? 魔物は別にメシなんて……ああ、そういうこと」
すっかり忘れていた。
あたしは娘達の顔を見て回り、日々の仕事の疲れで顔色の悪そうな娘を5人選ぶ。
「昼も夜もあるから、一度に5人が限度だからね。食べておいで」
きゃっきゃと喜んで牛小屋に入ってゆく5人。
牛の様子を見るために後に続いて入ると――。
「ふぁあああ! 許して、もう許し、ゆるひ、ふぃあああああああああああああああ!」
絶叫が響き渡る。
牛小屋の中央、敷かれた藁の上には、
仰向けになり両脚を無理矢理開かれて悲鳴を上げる少年の姿があった。
一ヶ月前、聖剣を手に魔王城を登ってきた勇者である。
当日、魔王の命でサキュバスを一匹、勇者一行へと特攻させることになった。
そこで派遣したレイコが連れてきたのである。
確かな勇者としての実力を持ちながらも、その性癖によってレイコの誘惑に引っかかり、
無様に牛奴隷となってしまったのだ。
といっても、アイラムは誘惑を得意とするサキュバスの女王である。
そんな変態マゾ勇者に同情する気はさらさらない。
「ママは気に入った?」
不意に後ろから声がかかる。
勇者を連れてきたレイコの声だった。
「ん~、あたしは普通かな。バトルファックする気概がある奴ならまだしも、
ただ犯されたいだけの変態でしょ?」
「まあ、そう言っちゃえばそれまでだけど……」
「それより、レイコが生き延びてくれたことのほうがよっぽど嬉しいぜ」
そう言ってレイコの頭をがっつり掴むと、レイコは頬を赤らめ、てへへ、と笑った。
「おいし~!」
「あたしも~!」
「ぼくも舐める~!」
牛勇者に群がるサキュバス達。
ある者は股間に、ある者は乳首に、ある者は耳たぶに、ある者は腋にしゃぶりつき、
そのたびに牛勇者は悲鳴を上げて悶える。
こうして毎日代わる代わる調子の悪いサキュバス達の餌としてミルク――
――精液を絞り出し、文字通り精力を与えている、という訳だ。
「ふぁああ! こんな毎日なんて、無理、ひああああああぁっ!」
「無理はさせるなよ。死んだら死んだで、作戦に支障が出るし」
「――クーデター、ですか?」
「おう。あの魔王をぶち殺す。でないと、この前みたいに娘の誰かを特攻させなきゃいけないし」
「でも聖剣は魔王の手中……」
「お勤めついでに探してくるよ。見つかったら、そこの牛を使って魔王と戦わせる。
負けても死ぬのはただの牛。勝ったら牛の飼い主、私達が王になる。ま、気長に行くさ……
……じゃあ行ってくる」
そう言ってあたしは部屋を出る。
向かうは魔王の寝室だ。
一昨日は紐、昨日は鼻フック、今日はどんなグッズを出してくるのやら。
ただ、あたしは黙って耐えるだけだ。
娘達を自由にさせるため、クーデターを企てながら――。
END
勇者誘惑(その2)BADEND 牛勇者
魔王城7F。
「くっ……さすがに敵も手強いのぉ」
魔法使いのグエンが傷ついた腕をさすりながらつぶやいた。
僧侶のケインはそんなグエンに回復魔法を唱えつつ、魔法力を回復するドリンクをがぶ飲みしていた。
「それだけ魔王に近づいてるってことだろ。恐らく次のフロアにいるだろう」
戦士のジョーは剣の刃を懐紙で拭いながら言う。
確かに、上に登るにつれ敵は強くなってきていた。
それだけ敵も本気になってきたということだろう。
「回復アイテムもそろそろ尽きてきたね」
僕はアイテム袋の中を見ながら言う。
「急いで魔王の元へ……! ケイン、後ろ!」
回復魔法を唱えていたケインの後ろから迫ってきた魔物……それはサキュバスだった。
セミロングの金髪をリボンで左右に束ねた、顔の作りの幼い少女。
しかし、その肢体は張り艶を保ちながらも成熟しきっていた。
豊満な肢体を小さなスカイブルーのビキニで覆い、肉付きよくもきゅっと引き締まったお腹は丸見え、
健康的に張った胸元や太ももを見せつける挑発的な外見。
昨日の夜のこともあって、そんなサキュバスを見て、ケインを助ける前に唾を飲んでしまう。
そんなサキュバスに水の呪文をくらわせるグエン。
サキュバスは巨大な水球を受けて、体を痙攣させながらその場にくずおれた。
(ああ、何を考えているんだ、僕は!)
自己嫌悪に陥る。
仲間のピンチを前に、敵の魅力に屈しそうになるだなんて。
それに、昨日のお金のことだってそうだ。
もし首尾良く魔王を倒して、解散するときには、お金を山分けすることになる。
その時に10万ゴールドもなくなっていたら怪しまれてしまうだろう。
ああ、僕は一体どうしてしまったんだ……。
「ふぅ……まったく、気を抜けんのぉ」
「まったくだぜ。よし、そろそろ階段を登るぞ」
皆で準備を整え、階段を登ろうとすると……階段の上の扉が音を立てて閉まりはじめた。
「急げ!」
扉へ急ぐ。閉じるスピードからして、このままのスピードなら間に合う――!
「しまった!」
「!」
後ろからグエンの声。
見ると、グエンが大事にしていた杖を取り落としたところだった。
一年の旅を共にしてきた大切な杖……グエンは悔しそうな顔をしつつ階段を登る……。
――僕は一人、階段を駆け下りていた。
「勇者殿!」
「いいんだ、先へ!」
階段を落ちてゆく杖を拾うと、上を見る。
扉は今にも閉まりそうだった。
僕が槍投げの要領で投げた杖は、扉の向こうのジョーの手元に滑り込んだ。
「勇者!」
「僕は違う道を探す! 必ず追いつくから、魔王の元へ!」
僕の叫び声が届いたかどうか、扉は重厚な音をたてて閉まった。
「仕方ない……まだ行っていないルートから階段を探すか」
僕は一人、階段を降りる。
階段手前のエントランスには、水球に打たれて力尽きたサキュバスが倒れていた。
ムッチリと張ったお尻が小さなビキニからをはみ出し、
ずっしりと重たげな乳房はむにゅりと形をひしゃげさせている。
(馬鹿! 倒した魔物をなにまじまじと見ているんだ!)
そう、昨日の夜、ユキナの足でいじめ抜かれてから、
町の女性や女性型魔物を見るだけでドキドキしてしまうようになっていた。
今まで世界の平和を守るため、神聖な勇者という仕事についていたのに、
たった一晩女性と接しただけでこんな腑抜けになってしまうなんて……。
「…………」
先ほどまでの激戦が冗談かと思うほどの静寂。
仲間達が先に魔王の元へ向かい、急いで追いつかなければならない状況でありながら、
僕は何故か動けずにいた。
魔王の上層階でありながら魔物の気配がしない――もちろんその違和感もある。
ただ、何より大きな原因――。
――自然と、僕の視線は倒されたサキュバスへと移動していた。
魔法による水に濡れたサキュバスは、なおも先ほどと同じ体勢を取っていた。
俯せに倒れたサキュバスは、豊かな胸をひしゃげさせており、
確かな質感を持つ乳肉の斜面を、玉型の水滴が滑り落ちてゆく。
長い脚はしなだれるように折れており、太ももや臀部は露わになりつつも、
その奥は妖しい闇に隠されていた。
(ああ……なんて綺麗な脚なんだ……)
頭がくらくらしてくる。
僕は急がなければならないと知っていながら、彼女へ一歩一歩、近づいてゆく。
(そう、ここは入り組んだ迷路になっているし、迷ってしまうのも仕方ないんだ。
ジョー達もわかってくれる……
……それに、長いこといるつもりはないんだ。
あと二、三分の間だけなんだ……一匹の魔物と戦う程度の時間だけなんだ)
心臓が高鳴る音が脳内に反響する中――僕は倒れたサキュバスの太ももに触れる。
それは人肌を保っていた。
(生きている……?)
どうやら気を失っているだけらしい。
念のためサキュバスの顔を覗き込む。
金髪の両端をリボンでとめ、艶やかな頬を朱に染めながら、悩ましげに眉を潜めて目を閉じるサキュバス。
微かに呼吸の音も聞こえた。
「……□、□§⊇⊇……」
催眠の呪文――対象はそのサキュバス。
目を覚まさないうちに魔法を使うことで、二重の催眠をかけたのだ。
いくらグエンの魔法にも生き残る魔法抵抗力の持ち主でも、無防備な睡眠中に脳へ直接魔法をかけたのだ。
激しい痛みなどが伴わなければ、これで二十分は動けないだろう。
「どうせ三分ぐらいなんだ……だから……」
周囲に魔物の気配はない。
僕は溜まった唾を一息に飲むと――サキュバスの太ももに頬ずりをはじめた。
「ああ……水に濡れて……もちもちしてるぅ……」
昨日、魔王へ挑もうとする前夜、娼婦のユキナによって虜になってしまった女性の脚。
長く、しなやかで、それでいて肉付きがよかったユキナの脚――しかし、このサキュバスの脚は違っていた。
確かに長く、しなやかで、肉付きも良い。
加えて、ユキナ以上に張りがあるのだ。
触れれば相応の力で押し返してくる肌。
それはユキナの吸い付くような大人の肌ではなく、幼いからこそ持つ生き生きとした少女の肌。
太ももの間に顔をうずめれば、まるで押しつぶされているような抵抗を感じる。
それが、水にしたたるおかげで滑りを持ち、僕の頬をどこまでも誘ってゆく。
「あ~……ああああああああぁ……」
うめき声を上げながらその太ももに舌を這わせる。
濡れた太ももは、サキュバスの肌からあふれ出る汗と相まって、独特な甘い味がした。
――すでに、僕の股間は限界近くまでそそり立っていた。
「あと……あと五分……あと五分だけなんだ……」
僕は震える手で自らの装備を外し、聖なる鎧を床に置いて裸となる。
昨日、ユキナによってとことん踏みにじられたモノからは、先走り汁が竿の根本まで垂れており、
今もぷくぷくと泡を立てながら、どんどん汁をあふれ出させてゆく。
僕は若干の羞恥感を覚えながらも、急がなければならない状況、
何より激しすぎる心臓の鼓動に後押しされ――サキュバスの肩の両サイドに膝をつく。
ゆっくりと上体を倒し、震える腰をなんとか操ると――彼女の唇へと亀頭を押し当てた。
途端、肉厚の唇が、僕の亀頭をもちっと押し返す。
「――ぁああああああああああああああああああ!」
それだけで充分だった。
痙攣する亀頭からあふれ出る白濁液。
それはサキュバスの唇の中へとはき出されてゆく。
口内を満たしても更に溢れ続ける白濁駅は、唇のサイドから垂れ流れ――
――やがて、サキュバスの顔はゼリー状の精液にまみれていた。
「はぁ……はぁ……」
早々にイッてしまった僕は、羞恥と疲れに俯きながら上体を起こし、サキュバスの顔をまじまじと見る。
美しくも幼い作りの顔が、僕自身の精液に汚れている……
……そう思うと、イッたばかりだというのに、股間の奥がズクンと反応してしまう。
「だ、駄目だ……もう行かなきゃ……」
――そうだ。一体何をしているんだ、僕は。
今にも仲間達が魔王と戦おうとしているのに。
僕は早くそれに追いついて、人間達を迫害し続ける魔王を倒さなければならないのに。
だというのに、こんなところで聖なる鎧と剣を脱ぎ捨てて、倒した低級魔物が眠る間にその体中を触り、
挙げ句の果てに射精までしてしまうだなんて……最低じゃないか。
欲望をはき出したからだろう、僕の思考はすでに冷静だった。
僕は急いで鎧に手を伸ば――そうとして、その光景を目にしてしまったのだ。
顔中に精液を敷き詰めた幼いサキュバス。
その喉が、コクリ、と音をたてて白濁液を飲み下す光景を。
動きを止めた僕は、更なる驚きの光景を目にする。
眠っているはずのサキュバスは、何度も喉を鳴らしながらも、小さな唇を微かに開いて、桜色の舌を伸ばす。
その赤い肉に絡みつく、ゼリー状の白濁液。
サキュバスは更に舌を伸ばしてそれを絡め取ってゆくと、内に収めて――ひときわ大きく喉を鳴らす。
「――――!」
気づけば僕のものは、再び限界までにふくれあがっていた。
鎧にかけていた指を離すと、その指を自らのモノに絡め――
「……¢∴Å∞Å……」
呪文を唱える。
それは僕が覚えている中でも高度な部類に入る呪文――身体操作の呪文だった。
呪文にかかった相手を、ある程度意のままに操れるという呪文。
本来、これは緊急時に敵の動きを止め、周りの敵の混乱を誘う呪文だった。
作用する効果の大きさもあり、消費する魔法力も莫大な量が必要だ。
しかし、僕はそんな高度な呪文を使い、彼女をただ立たせる。
僕は自らのモノを握りながら、その前で正座をする。
(ああ……何をしているんだ、僕は……)心の奥底にいる何かが叫ぶ。
(仲間達がピンチかもしれないんだ、急いで行かないと……)
『まだ魔王と戦っているとは限らない』他の何かが叫び返す。
『普通なら勇者を待つだろう。きっと小休止中だ』
(聖剣を持たない彼らでは魔物との戦いにすら窮する)
『そんなやわな奴らじゃない。それに、巨大な敵と戦う前だからこそ雑念を払いきる必要がある』
脳内で行われる誰かの口論。
しかし、もはや僕は自らの本能を止められなかった。
「¢∴⊇£」
命令の呪文。
眠りについているサキュバスは目を閉じつつも、ゆっくりと片足を上げ――僕の股間を踏みつけた。
「――ふぁああああああああああああああ!」
サキュバスの指先は幼いだけあり、ユキナよりもぷりぷりと瑞々しい。
亀頭の裏筋を指先でやわやわと揉みつつ、徐々に力を入れて踏んでゆくと、
指先のみずみずしさに竿がにゅるりと逃げる。
それを追う足先、逃げる竿、更に追う足先、なおも逃げる竿……。
僕はすでに言葉にすらならないうめき声を上げながら、
無意識のサキュバスに与えられる屈辱に耐えていた。
そのふくらはぎは微かに筋肉質で、亀頭を踏みつけるたびに筋が走り、美しい丸みを際だたせる。
太ももにも筋が現れては消え、時折プリンのように震える柔らかそうな脚肉。
そして、布の面積の少ないTバックに隠された股間は、太ももが内に寄れば筋が現れ、
外に寄れば秘密の肉園の片鱗が見え隠れする。
「あああ! 低級魔物なのに! 倒した雑魚敵なのに!
眠って何も出来ない相手なのに、僕は……ああああああ!」
眠れるサキュバスによる脚ダンスは激しさを増してゆく。
僕の亀頭を逃すまいと追いすがるぷりぷりの足先は、
亀頭のくびれに指を絡め、親指で鈴口を押しつぶしてくる。
竿は歓喜に震えながらも、更に堅さを増してゆき、その指の束縛から離れてぶるりと跳ねる。
長大なまでの脚は、様々な角度から脚線美を見せつけつつ、僕の股間に追いすがる。
逃げても逃げても、サキュバスの脚は僕のオチンチンを離そうとしない、離してくれない……!
「変態」
「――――!」
達しかけたその時、不意に聞こえた女性の声。
それは、眠っているはずのサキュバスの唇から漏れ出ていた。
恐る恐るサキュバスの顔を見上げると……そこには、軽蔑の目で僕を見下す金髪の少女がいた。
「魔王を倒しに来た勇者って聞いてたけど、アンタがその勇者な訳?」
「な……なぜ、人間の言葉を……」
「何も知らないのね。一部の魔物は人間の言葉を理解しているのよ」
「そんな……ひあああっ!」
驚きに身をすくめていると、唐突に襲ってくる股間からの刺激。
サキュバスの脚が、確かな意思を持って僕の股間を踏みつけてきたのだ。
(まさか……もう二十分経っていただなんて……!)
呪文の重ねづけを忘れていた自分の愚かさに気づく間もなく、サキュバスは不敵に笑った。
「私の名前はレイコ・ホリンジャー。サキュバスの女王、アイラム様の側近よ。
勇者一行を倒す指示が来たから、苦手な肉体戦で戦おうとしたけど……
……まさか、こんな簡単に勇者を倒せるだなんて。最初から知ってれば楽だったのに」
「倒せる、だと……? ――ひぐうぅっ!」
表情一つ変えず、巧みに僕のモノを踏みにじってゆくサキュバス……レイコ。
膨らむ亀頭のカリを爪先で弾きつつ、根本の尿道を踵でぐりぐりと踏み、
時折親指と人差し指で竿を挟んでは激しくしごく。
かと思えば離れて、不規則に竿をぺしぺしと蹴ってゆき、
サンドバックのようにきしむ僕のモノを弄んでは、親指の平で鈴口を捕らえ、
もどかしくもコリコリと押し込んでくる。
「そうよ、倒すの。アンタは低級魔物のサキュバスに倒されるのよ。それも圧倒的な力の差でね。
まさか、淫技では誰にも負けないサキュバスの土俵にわざわざ上がってくるなんて……
……アンタって相当の馬鹿ね。
それとも、ただ犯されたいだけの変態なの?
世界の平和を棒に振ってまでオチンチン踏みにじられたい変態坊やなの?」
「や、やめてぇ! ゆるし……ふぁあああああああああ!」
電気あんまの要領で振動させられる股間に、僕は頭を真っ白にしてしまう。
「だってそうでしょ?
アンタだけがここに残ってるってことは、仲間達は先に行ったってことでしょう?
初めて私の体を見たとき、いやらしい目で見ていたものね。
もしかしてわざと仲間とはぐれたのかしら?
不意をくらって遅れたふりして、私の体でエッチなことしたかっただけなんじゃないの?」
「ひがうぅふぅううううううう! ふぁああぁあぁあぁああああああああ!」
竿の根本を激しく小刻みに震わせるレイコの脚。
見上げれば、筋肉質でありながら丸みを帯びた、果てしなく淫らな長い脚が視界に入る。
こんなにも美しい脚に踏みにじられている……勇者の僕が!
「じゃあなんで聖なる鎧を脱いだの? 聖剣を手放したの?
なんで魔物の巣窟、魔王城のど真ん中で素っ裸になってるの?
なんで私の口の中ねばねばしてるの?」
「ああぐぅ、ぐあああああああああああああああ!」
「なんでここにいるの? なにしにきたの? アンタは勇者じゃなかったの?
平和を守りに来たんじゃないの?
魔王を倒しに来たの?
それとも無様に踏まれにきたの?
ねぇ、どっち? ねえ!」
レイコの詰問に、僕はまともに答えることが出来ない。
もはやせり上がる射精感に頭を真っ白にするしかない。
しかし、レイコの指先が尿道を強く踏みつけているおかげで射精が出来ない。
尿道がどんどん膨れあがっているのがわかる。
どんどん尿道に白濁液が溜まってゆく。
「答えなさいよ!」レイコは嘲笑して僕を見下しながら詰問を続ける。
「アンタは何しに来たの? 魔王城にまで何しに来たの?」
「ま、魔王を、倒し、にっ……ふぁあああああああ!」
「じゃあなんで鎧脱いでるの?
なんで聖剣手放したの?
なんで倒した魔物にとどめを刺さなかったの?
なんで私の口の中ねばねばなの?
なんで起きたらアンタの短小のチンポを私が踏んでたの? ねえ、ねえ!」
尿道を押さえられながらも器用に竿をしごかれる。
ゆっくりと、しかし力強く上下する足は、精液があふれ出ることを許さず、
しかし精嚢から精液をポンプのように絞り出し続ける。
もはや肉の細胞数からして、これ以上の膨張が出来ないほどに股間が肥大化したところで――
――僕は、勇者としての矜持が消えてゆくのを感じながら、唇を開く。
「き……キミを見て……オチンチンビンビンになっちゃって……事故で一人になっちゃって……
……倒れたキミを見てたらムラムラしちゃって……ちょっとだけなら、って催眠呪文使って……
……太ももベロベロなめ回して……口の中にドピュドピュ射精して……
……精液むさぼるキミの顔を見て、オチンチン我慢できなくなっちゃって……
……呪文で無理矢理オチンチン踏ませて……ちょっとだけなら、ちょっとだけならって思ってたら……
……制限時間過ぎちゃって……!」
「それで私が起きちゃった、って訳――」
レイコは溜息をつくと、心底まで軽蔑した目つきでもって僕を見下した。「最低のクズね」
「――――!」
その言葉に、股間の奥が性懲りもなく疼いてしまう。
「クズっていうか、豚でしょ。なにが勇者よ。
よっぽど強いのかと思ったら、太もも見ただけで勃起しちゃうただの脚フェチの豚マゾじゃない。
信じらんない。倒すの超ラクチンじゃない。気負って損しちゃった。
アイラム様の手を煩わせるまでもなかったわね」
「ああ……言ったんだから……早く……!」
「なに? 女の子が眠ってる間にいやらしいことしてた豚勇者のくせに、何が望みな訳?
その無様に張ったオチンチンになにさせたいの?」
再びはじまるレイコの詰問。
しかし、頭が真っ白になっていた僕は即答していた。
「お、オチンチン、ドピュドピュさせて! 変態なオチンチンを射精させてぇ!」
「こんな豚が勇者だったなんてね……良いわよ。イキなさい。でも――」
そう言って、僕の胯間から足を離すレイコ。
せり上がる射精感。
脳内を駆けめぐる快感に全身を震わせ……!
「――普通にはイカせない」
その声が聞こえるや否や――
――亀頭に激痛。
レイコの爪先が、亀頭の先端を蹴り上げたのだ。
「――ふぁあああああああああああああああああああっ!」
射精。
脈動しながら暴れ回る竿。
まるで暴発した銃のように、射出される白濁液によって軌道を変え、前後左右に暴れ回る。
飛び出る白濁液は、へたり込んだ僕の顔より高み、レイコの腹部にまで届くほどに勢いづき、
それが一分近く続くと――やがて暴発は終わる。
途絶えてゆく意識。
「バトルファックにもならなかったわね。ま、楽な仕事でなにより……妹達の餌として持って帰ろっと」
そんな声を遠くに聞きながら、僕は受け身も取れず倒れ込んだ……。
◆
「ママ」
ベッドの中で私……サキュバスの女王、アイラムは目を覚ます。
アクビを垂れ流しつつ横を見ると、側近のサクラコが控えていた。
「なによ、こんな早くに」
「魔王様がお呼びです。一時間以内に来るように、とのことです」
「あのスケベ親父、ざけやがって……勇者にでもなんでも殺されりゃあよかったのに」
「アイラム様が来ないのなら他のサキュバスを10匹寄こせ、とも」
「……行くよ、あたしが。あ~、マゾのふりすんのタリィのによぉ……」
洗顔歯磨きもそこそこに食卓に出る。
そこには、縦長の机に並んで座る娘達がいた。
「「「おはようございます、ママ」」」
「おっはよーん。今日も皆で適当に頑張ろー。おしまい、解散」
「ママ、おしまいじゃありません。食事の問題が残っています」
「食事? 魔物は別にメシなんて……ああ、そういうこと」
すっかり忘れていた。
あたしは娘達の顔を見て回り、日々の仕事の疲れで顔色の悪そうな娘を5人選ぶ。
「昼も夜もあるから、一度に5人が限度だからね。食べておいで」
きゃっきゃと喜んで牛小屋に入ってゆく5人。
牛の様子を見るために後に続いて入ると――。
「ふぁあああ! 許して、もう許し、ゆるひ、ふぃあああああああああああああああ!」
絶叫が響き渡る。
牛小屋の中央、敷かれた藁の上には、
仰向けになり両脚を無理矢理開かれて悲鳴を上げる少年の姿があった。
一ヶ月前、聖剣を手に魔王城を登ってきた勇者である。
当日、魔王の命でサキュバスを一匹、勇者一行へと特攻させることになった。
そこで派遣したレイコが連れてきたのである。
確かな勇者としての実力を持ちながらも、その性癖によってレイコの誘惑に引っかかり、
無様に牛奴隷となってしまったのだ。
といっても、アイラムは誘惑を得意とするサキュバスの女王である。
そんな変態マゾ勇者に同情する気はさらさらない。
「ママは気に入った?」
不意に後ろから声がかかる。
勇者を連れてきたレイコの声だった。
「ん~、あたしは普通かな。バトルファックする気概がある奴ならまだしも、
ただ犯されたいだけの変態でしょ?」
「まあ、そう言っちゃえばそれまでだけど……」
「それより、レイコが生き延びてくれたことのほうがよっぽど嬉しいぜ」
そう言ってレイコの頭をがっつり掴むと、レイコは頬を赤らめ、てへへ、と笑った。
「おいし~!」
「あたしも~!」
「ぼくも舐める~!」
牛勇者に群がるサキュバス達。
ある者は股間に、ある者は乳首に、ある者は耳たぶに、ある者は腋にしゃぶりつき、
そのたびに牛勇者は悲鳴を上げて悶える。
こうして毎日代わる代わる調子の悪いサキュバス達の餌としてミルク――
――精液を絞り出し、文字通り精力を与えている、という訳だ。
「ふぁああ! こんな毎日なんて、無理、ひああああああぁっ!」
「無理はさせるなよ。死んだら死んだで、作戦に支障が出るし」
「――クーデター、ですか?」
「おう。あの魔王をぶち殺す。でないと、この前みたいに娘の誰かを特攻させなきゃいけないし」
「でも聖剣は魔王の手中……」
「お勤めついでに探してくるよ。見つかったら、そこの牛を使って魔王と戦わせる。
負けても死ぬのはただの牛。勝ったら牛の飼い主、私達が王になる。ま、気長に行くさ……
……じゃあ行ってくる」
そう言ってあたしは部屋を出る。
向かうは魔王の寝室だ。
一昨日は紐、昨日は鼻フック、今日はどんなグッズを出してくるのやら。
ただ、あたしは黙って耐えるだけだ。
娘達を自由にさせるため、クーデターを企てながら――。
END
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勇者、誘惑(その1)BADEND 負け犬勇者
・18禁注意
勇者、誘惑(その1)BADEND 負け犬勇者
「いよいよ明日だな……」
宿屋の一室で、戦士のジョーがつぶやいた。
僧侶のケイン、魔法使いのグエン、そして勇者のボクがそれにうなずく。
「長かった旅も、明日で終わりだ」ケインが続ける。「明日、魔王を倒せばな」
「この男臭いパーティも明日で解散じゃな」
年長のグエンが快活に言って笑った。
しかしボクは何も言えない。
一抹の寂しさと、何より大きな明日の不安が、ボクの気持ちを沈ませているのだ。
「装備も道具もすべてそろえた。後は明日に備えて寝るだけだが……」
そう言って、ジョーは懐から瓶を取り出した。
「今夜ぐらい、ぱーっとするか」
ケインもどこからか乾き物のツマミを取り出してテーブルに並べる。
「こら、勇者様は未成年なのじゃぞ?」
グエンがそう諌めるものの、宴の準備をとめようとはしない。
ボクは皆の気持ちを察して手を振った。
「い、いいんだ! 実はもう眠たくてさ、ボクに構わず皆で楽しんでよ」
「いいのか?」
「構わないよ。ただ、明日に支障が出ない程度にね」
皆はそんなボクの態度に気をよくすると、静かに酒をコップに注ぎ始めた。
ボクはひとり部屋を出ると、宿屋の最奥にある部屋に戻ろうとして……足を止める。
「そうだ……今日が最後の夜かもしれないんだ。今夜ぐらい、ぱーっとしたっていいよね」
ちょうど財布は手元にあった。12万ゴールド入っている。
皆のお金ではあるけれど……まあ、全部使うことはないし、
ちょっとぐらい減っていても落としたと言えばいい。
町はネオンがひしめいている。
この町は魔界の入り口にほど近い町で、屈強な戦士が傭兵として雇われていることもあり、若干治安が悪い。
結果、大陸でも有数の歓楽街として知られているのだ。
「ぱーっとする、って言っても……どういう遊びがあるのかも、よくわからないや」
ボクは幼少の頃から、厳格な父の元で剣の修行に励んでいた。
15歳になって冒険に出てからも、魔王を倒すべく、
少しでも魔界に近づけるよう、寄り道もせずにここまで来た。
成年の仲間達ならまだしも、未成年で正義のために生きてきたボクに、大人の町の遊びなんて知る由もない。
とりあえず、人の出入りの多い酒場に入ろうとすると……。
「駄目駄目。子供は入れないよ。教会の目があるからね」
と断られてしまう。
大きな酒場も小さな酒場もそうだった。
というのも、大陸全土で信仰されるサバルト教の教会が、大陸の人々に道徳を強いており、
未成年の健全な育成を阻むものを排他しているのだ。
書物なんかも、大人向けのものは子供が買えないようになっているし、
もし仮に店が売ってしまったとすれば、店主には手痛い仕打ちが待っている。
まあ、古来より奴隷制や人身売買の風習があり、魔物という危険と常に隣り合わせの大陸で、
このような道徳が浸透するのは良いことでもあるのだけれど……。
「もう十一時なのに、遊べやしない……」
せっかく人々を救うべく魔王を倒そうとしているのに、その人々に邪険に扱われてはかなわない。
明日、命を賭けようというボクに、ちょっとぐらい大人の遊びを教えてくれたっていいじゃないか……。
「あら、坊や……こんな夜中にどうしたの?」
「え……?」
宿屋に帰ろうとしていた矢先、路地裏から声をかけられる。
見ると、そこには紫のネグリジェを身にまとった背の高い女性が立っていた。
中が透けて見えそうで見えないネグリジェは、スイカが入ってるかのごとく張った胸と、
高価な壷を思わせる腰にかけてのくびれ、むっちりと張ったヒップと、裾から伸びる長い筋肉質な脚のラインを、
未成年のボクにまざまざと見せつける。
短いネグリジェの裾から伸びる脚には光沢が走っており、どうやらストッキングをはいているようで、
その足先には背の赤い高いヒールが収まっており、背の高さを際だたせる。
紫紺の長髪に縁取られた顔は、化粧により妖艶さを際だたせており、厚めの唇に塗られた紫の口紅は、
微かな毒々しさと、見る者に溜飲を迫るなにかを兼ね揃えていた。
ボクはそんな彼女に見とれていたことに気付き、慌てて視線をそらす。
そらした先は、彼女の太もも……。
(ああ……光沢がまぶしい……目をそらせないよぉ……)
「ねえ、なにか悩みがあるならお姉さんに言ってごらんなさい」
そう言って、彼女はマニキュアに縁取られた長い指先でもって、ボクを路地裏へと誘った。
思考のどこかが叫んでいた――この誘いは危険だ、ついていくと取り返しがつかないことになりそうだ。
「ほら……」
しかし、彼女が妖艶に微笑んで、紫色に塗られたリップを肉厚の舌で舐め上げたのを見た途端――
――ボクは周囲の視線を気にしながら、人気のない路地裏に入っていた。
「――ふぅん。今まで遊んだことがなくて、今夜だけぱーっと遊びたい、ってことね」
「は、はい……」
彼女は指先を唇に当てながら、ボクの顔をじっと見つめている。
その唇が、指先に押されてむにゅりと歪んでいるのを見ていると、その水々しい唇に触れたいと思ってしまう。
(だ、駄目だ……ボクは世界を救う勇者の末裔なんだ。なんでこんなことで動じているんだ)
「そういうことなら、大人の遊び場に連れて行ってあげる」
「え……!」
「ちょうど私もそこに行くところだったの。私の付き人ってことなら未成年でも追い出されないわ」
ボクは素直に安堵する。
今まで三時間近く、遊び場に行くのを断られ続けていたのだ。
初めて行く大人の遊び場に心が躍る。
「じゃあ、こっちにおいでなさい」
そう言って、彼女は路地の奥へと入っていった。
人気のない暗がりを進んでゆく……表の歓楽街からは想像も出来ない暗闇は、
彼女のヒールが石畳を突く音ばかりが響く。
「私の名前はユキナ。よろしくね」
「よ、よろしくお願いします……」
彼女、ユキナの後ろを歩いていきながら頷く。
高いヒールを履きながらも器用に歩くユキナは、腰を大きくグラインドしながら歩いていた。
ボクよりも背が高いこともあって、腰が揺れるたびにネグリジェの裾から臀部の底が見え隠れする。
肉厚で丸みがかったお尻は形よく、また無防備で、
その中央に走る紺色のショーツはTバックとなっており、きわどいところがもどかしくも覗けない。
「着いたわよ」
「え……あ!」
ユキナのお尻に見とれて、ユキナに声をかけられていたのに気づかなかった。
ボクは慌てて、ユキナのお尻から周囲へと視線を向ける。
路地の奥にひっそりとたたずむ、木製の家屋。
一見はよくある一軒家に過ぎない。
ユキナは断りもなく扉を開ける。
(いいのかな……)
一軒家の中は、これまた一般的な作り。
机や椅子、棚といった家具に、壁際に設置された暖炉。
ユキナはその暖炉まで歩くと、躊躇いもせず中に入った。
ボクもそれに続く……と、そこには暗闇に隠れた階段があった。
やっと人が一人通れる程度の狭い道。
それは時には下り、時には登り、時にはカーブする。
なぜ一軒家の暖炉の奥にこんな道があるのだろうか。
それを考えている矢先、目が闇に慣れてきて……。
「――――!」
ちょうど上り階段だったからだろう。
先を優雅な足取りで歩いてゆくユキナの長い脚が、香水の匂いがするほど近くにあった。
パンストに包まれ光沢を放つ脚は、紫のネグリジェと対照的に明るく、筋肉質な太めの脚を、
ボクの目にこれでもかと見せつける。
また、ネグリジェの裾に隠れていた股間も、両脚が交互に組み合わされつつ前進するたびに見え隠れしていた。
紫紺のTバックの局部は、微かに陰りとなった筋が見える。
見ているだけで、頭がぼうっとしてくる……ああ、なんていやらしい眺めなんだろう……。
「よし、あとはここを開けるだけよ」
「はい……」
ユキナの言葉に対し、ボクは話半分に答える。
しかし、その後にユキナの行動にボクの意識は覚醒する。
「よいしょっと。ちょっとごめんね」
「え? ふぁああっ!」
なんと、上を見上げていたボクの顔に、その大きなお尻を乗っけてきたのだ。
鼻先にショーツの筋が当たる。
頬をむっちりとしたお尻が包み、全体重で押しつぶしてくる。
今まで冒険してきたボクに、その重さは大したものではなかったけれど……
……その大きなヒップに圧倒されて、ボクは動悸を激しくするしかなかった。
「真上に扉があって、錠の番号をあわせないと開けられないの。複雑な錠だから時間かかるし、
通路も狭いから、少しだけ我慢してね、坊や」
「ふぁ、ふぁい……!」
もはやボクの理性はどこかへ消え去っていた。
彼女のモッチリしたお尻に指先を食い込ませ、持ち上げているふりをしながら揉みしだく。
股間に食い込んだ鼻で激しく息を吸い、匂いを鼻孔に染みこませる。
(ああ……凄い、不思議な匂い……酸っぱくて、甘くて、それでいてツンとして……
……ああ、頭が真っ白になっちゃう……!)
やがて……一分ほどして。
「開いた。ごめんなさいね」
そう言ってボクから身を離すユキナ。
もう、体の奥からこみ上げる熱い何かに、呆然とユキナを見上げるしかないボクに――
――彼女はフン、と嘲るような笑いを一瞬だけ見せて、扉を開けた。
そこは、今までの暗がりからは想像がつかないほどに豪奢な空間だった。
高い天井のシャンデリアは煌めき、敷かれた絨毯の毛は厚く、立ち並ぶ机には豪華な食事が盛られ、
それを囲む人々は目鼻を隠す仮面をかぶっている。
城の広間を思わせる空間は、人が千人近く入れそうなほどに広く、
その中央には何に使うのか知れない円形のステージがあった。
「これはこれはユキナ様。いつもの道をお使いにならなかったのですね」
「ええ。今日は少しイレギュラーがあってね」
そんな広間のただ中からはい出てきたボクとユキナに声をかける、黒ずくめの男。
彼は二つの仮面をユキナに差し出した。
「素顔はまずいですよ。これを」
「ありがとう。でも、二枚はいらないわ」
「といいますと? お連れの方ではないので?」
ユキナは微笑を浮かべながら仮面をかける。
しかしボクは素顔のままだ……大人の遊びとは、この仮面をかぶらないといけないのだろうか?
「いいのよ。彼は挑戦者だから」
「ああ、なるほど」
そう言うと、言葉少なに去ってゆく黒ずくめの男。
「あの……挑戦者って、どういう……」
「大人の遊びの参加者、ってことよ。参加したいのでしょう?」
「う、うん……でも、一体どういう遊びで……」
「こっちにおいでなさい」
ユキナに言われるまま、円形ステージまでついて行く。
そこにも仮面をかぶった人たちがたくさんいたものの、中には仮面をかぶっていない人たちもいた。
しかし、その人たちは余さず子供……ボクと同い年ぐらいの少年だった。
戸惑うボクにユキナは笑いかけると、ステージを指差した。
「そろそろ説明しないとね。ここはバトルファック闘技場……坊やが言うところの、大人の遊び場ね」
「バトル、ファック?」
「そう。ここで30分の勝負をして、一勝上げるごとに相手から10万ゴールドを奪える。
逆に、負ければ10万ゴールドを失う。
一本勝負ではないから、何度も勝って一度も負けなければ、一試合で百万ゴールドを得ることも難しくないわ」
「10万ゴールド! ぼ、ボク、今12万ゴールドしかないんだけど……」
「一度までなら負けられるけど、二度負ければ破産……
……その場合、この会場にいる人たちによってオークションが開かれるの――坊やを巡って、ね」
「そんな……人身売買、ってこと……!」
そんなこと、教会が許すはずがない。
でも――こんな隠れた場所にまで、教会の目が行き届くことはなさそうだ。
「これが、坊やの望んだ大人の遊びよ――
――大丈夫、坊やが負けなければお金を増やせるし、何より試合はと~っても楽しいんだから」
「その、バトルファックって……」
「イカせあい……つまり、セックスの勝負のこと」
「せ、セックス……!」
セックス――仲間達の猥談で聞いたことはあった。
いやらしいものだということは知っていたけれど、子供であるボクには縁のないものだと思っていた。
そのセックスを、今からすることになるだなんて……!
「ほら、もう試合まで時間がないわ。準備をして」
「準備って……わぁ!」
不意に後ろに気配。
見ると、メイド服を着た女性が、真後ろに立っていた。
しかも、ただのメイド服ではない……レース生地の上着はほとんど中身が透けていて、
ひらひらのスカートも短く、かえって履いていないよりいやらしい。
セミロングの黒髪はストレートで、大きな瞳は猫の目を思わせる。
そんな彼女は、頬を赤く染めながら、しかし慣れた手つきでボクの服を脱がしにかかった。
「その子も、違う集まりでのバトルファック闘技場で負けたのよ。
今は数十万ゴールドという借金を返すために、時給1ゴールドで働かされているの」
「1ゴールド? そんなんじゃいつまでたっても返せないじゃないか!」
「言ったでしょう。負ければオークションにかけられて、高値をつけた人に借金を肩替わりしてもらう。
その代償として、買ってもらった人が許すまで奉仕を続けなければならないのよ」
そんなユキナの言葉を聞き終わる頃には、ボクはすでに裸にされていた。
ユキナの匂いを嗅いだ時に膨らんでいた股間を隠しながら周囲を見ると――
「――――!」
なんと、会場中の人々が、ボクの体をなめ回すように見ていたのだ。
今になって気づいたけれど、会場にいる人々のほとんどが女性だった。
黒ずくめの男達は主催者側の人間らしくこちらに目もくれないが、
煌びやかなドレスで着飾った女性達は明らかにゲストの様相。
彼女たちは、ボクが負けた時にいくらで競り落とそうかを、そしてその後どう扱おうかを考えているのだ。
「まあせいぜい頑張りなさい。大人の遊びの始まりよ」
ユキナはそう言って微笑を浮かべると、優雅な足取りで人混みの中へと去っていった。
「せ、セックス勝負って……ボク、そんなことわかんないよぉ……」
突然訪れた窮地にボクが呆然としていると、ボクの服を脱がしてくれたメイドの女性が声をかけてきた。
「大丈夫。誘惑にかられないで、冷静に女性の弱点を責めればいいのよ」
「じょ、女性の弱点って……」
言いながらも、彼女の肢体に視線をさまよわせてしまう。
よく見れば彼女は未成年らしく、ボクと同じく肌がきめ細かくて童顔、背も低い。
しかし、その童顔には不釣り合いなほどに胸が膨らんでおり、また腰のくびれもいやらしく、
低い背と相まってとても扇情的な体つきだった。
そんな彼女が、ボクの手を取ると、自らの胸元に当てた。
「駄目でしょ、この程度で動揺したら」
「ご……ごめんなさい……」
(でも、仕方ないよ……そんなエッチな服装してたら……)
そんな言い訳がましいボクの思考を無視して、彼女は女性の弱点についてボクに教え始めた。
胸は乳頭を中心にして性感帯が広がっていること、背中や首筋なども性感帯であるということ、
そして……。
「股間は……」そう言って、彼女はボクの手を自らの秘部にあてがう。
「ここ……ここの奥側に膣と呼ばれる穴があるの」
ボクはそれを冷静に聞いてなどいられない。
ただ、彼女の柔らかい秘部を、ショーツ越しになぞっていた。
そうしているうちに、ぼく自身の股間も膨らんできてしまう。
「ほんっとーに女性に免疫がないのね……」
そう言って、彼女は呆れたように嘆息する。
赤面して黙っているだけのボクに、膣の作りを淡々と説明してくれた。
「あの……なんで、こんなことを?」
説明が終わったところで聞いてみる。
彼女は頬を赤らめながら、伏し目がちに答えた。
「か、勘違いしないでよね。私はそういうことをされて喜ぶような痴女じゃないんだから。
ただ、私みたいな人を増やしたくないの。それだけよ」
「……ありがとう。キミ、名前はなんていうの?」
「イズミ・サワタリ。キミは?」
「ボク? 勇者だよ」
「勇者ぁ?」
眉をひそめて聞き返してくるイズミの声が、歓声にかき消される。
どうやら試合がすぐに始まるらしい。
ボクはイズミを見て頷いてみせる。
イズミはそんなボクに頷き返すと、背中を叩いて勇気づけてくれた。
(そうだ――ボクは負ける訳にはいかない)
(ボクは明日、魔王を倒しに行かなきゃいけないんだ……!)
ステージに上がると、そこにはすでに仮面を外した女性が立っていた。
一見野暮ったいメガネをかけた黒髪の女性。
髪も短めで化粧も薄いのだが、どこか素朴さを感じさせる顔とは対照的に、身体にメリハリがあった。
自らの頭部とほぼ同じサイズの乳房が二つ、形よく突き出ており、
それを包む服は体のラインを露わにするデザイン。
一部は軽鎧らしい固そうな生地で出来ているが、体の中心線に中身の透けるタイツ地が使われており、
ヘソや胸の谷間が丸見えである。
また、股間から下は素肌が晒されており、臀部はほぼ丸見えで、
ブーツまで伸びる太ももはユキナよりも筋肉質で、よっぽどフェティッシュだ。
「よろしく、坊や。私はカトレア……普段は剣士をやっているの。よろしくね」
そう言って、彼女……カトレアは手を差し出してくる。
175センチ近くある身長は、ボクを見下せるほどの高さで、ボクは圧倒されながらその手を握る。
確かに、その体は剣士として完成されており、握った手にも力強さを感じさせる。
しかし、大きな胸や腰のラインは女性らしさを際だたせており、目のやり場に困ってしまう。
(ああ……良い匂いがする……)
カトレアがニッコリ笑いかけてくるのを見ながら、ボクはそんなことを考えてしまう――駄目だ。
イズミが言っていたじゃないか。
誘惑に屈せず冷静にならなければ、負ける……!
「用意……始め!」
黒ずくめのレフェリーが言うや否や、会場がざわつき始める。
ボクはカトレアから距離をとりながら、相手の動きを伺う。
カトレアはボクよりも大きく、組み合ったとしても筋力の差で押さえ込まれるかもしれない。
しかし、そんなボクを見てバカにしたように笑うカトレア。
「坊や、逃げていたら罰金が発生するわよ。それに、こういう事は男性がリードを取るものなんだから」
「う、うるさい!」しかし、カトレアの言う通りだった。
何にせよ相手に先手を取られてはいけない状況で、こちらから攻めない訳にはいかない「――やあっ!」
相手の呼吸の隙をついて間合いを詰める。
カトレアはそんなボクの動きに単純に驚いているらしい、
その隙に彼女の懐に入り込むと、大きな乳房に指を食い込ませる。
「――ふあっ!」
ボクが両乳房を揉みしだいただけで、カトレアは甘い声をもらした。
その声にボクの理性は揺らぎかけたけれど、
彼女がダメージを受けているという自信に気をよくして責め続ける。
母親以外の女性の乳房にこうして触れたことはなかったけれど、
激しく揉みしだくだけでこんなにも感じるとは思っていなかった。
この戦い、意外とボクが圧勝できるかもしれない。
不器用ながらも荒々しく、イズミに教えられたとおり乳房を外側から、
だんだん乳首に近づくように揉み続け、時折乳首を指先で弾く。
タイツ地の服は、ボクの指の動きをダイレクトにカトレアへと伝え、
逆にボクの指にもカトレアの肉感的な乳房の感覚が伝わってくる。
「ひ――ぁああああああああああああああああん!」
一分ほどしてだろうか。
彼女は身を大きく振るわせた。
「男サイド、一ポイント」
レフェリーの声。
どうやらこれで、ボクに10万ゴールドが入ったらしい。
「私、とても感じやすい体なの」 頬を赤らめながら、カトレアはボクにしか聞こえない程度の声で言った。
「だから、この試合でも負けてばかり……なんとか破産は免れているけれど、これで破産が決まっちゃった……」
「え……!」
こんな闘技場に出ているからには、種銭があるものと思っていた。
「子供を養うため。仕方なかったのよ」彼女は自嘲気味に説明してくれた。
「どうせ負けるんだもの。坊や、私をもっとイカせていいわよ。坊やの好きに……」
「――そんなの、駄目だ」
「え?」
「ボクだって、10万ゴールドしか余裕はないけれど……そんな、他人を不幸にしてまでお金が欲しい訳じゃない。
怪しまれないよう、お互いにイカせあいましょう。最終的に引き分けになれば問題ないはずです」
――そうだ。
大人の遊びには興味があったけれど、お金欲しさに参加している訳ではないのだ。
それに、彼女には子供がいると言う……そんな女性を蹴落とすなんてことは出来ない。
「いいの?」
カトレアは火照った頬を歓喜に赤らめながらボクを見つめてきた。
ボクはそんな魅力的な顔に唾を飲みながらも首肯する。
――途端、カトレアはボクの唇に舌を突き入れてきた。
ボクの顔を抱え込み、むさぼるように口内へ舌を進入させてくるカトレアの強引さに、
ボクの頭は一瞬で真っ白になってしまう。
「ん――んぅ、んちゅっ、んちゅるぅ――っ!」
「ぷぁ……いいのよ、私に体重を委ねて……これはお礼なんだから……んちゅっ――!」
口内を激しくかき回してくる肉触手――その舌は確かな熱と、とめどない粘液をたたえながら、
ボクの歯茎から舌の根、喉の奥までをも進入してくる。
そして、息苦しいボクの鼻孔に入ってくるのは、彼女の汗の香り――かすかに甘いそれは、
経験のないボクの股間を張り詰めさせるのに、充分すぎる刺激だった。
「ん――! んごい、んごいよぉ……んちゅるっ!」
「んぁ……じゃあ、最初は手でいじるわね」
そう言って、彼女の指がボクの肉棒の先端に振れた途端――
「――ああああああああああああああああああああああ!」
意識が真っ白になり――張り詰めた肉棒の先から何かが溢れてゆく。
(――これがイクっていう感覚なの――!)
ボクは、あまりの気持ちよさに、果てた後も動けずにうなだれる。
そんなボクに、カトレアは優しく語りかけてきた。
「フフ……こういうの、本当に初めてだったのね」
「う、うん……」
目を伏しながら答えるボクに、カトレアはクスリと笑ってから――白濁液にまみれ、
強度を失ったボクのモノに、改めて指を絡めた。
「え――!」ボクは慌てて、体を抱えてくれているカトレアの顔を見上げる。「つ、次はボクの番じゃ……」
「疲れているのでしょう? 最後に私を同じだけイカせればいいんだから、今は私が責めてあげる」
「でも、それじゃあ……」
「何もしないでいては会場中の皆に怪しまれるわ。大丈夫、貴方がイッた回数は数えておいてあげるから」
そんなカトレアの優しい言葉に、ボクは首肯して――次第に股間からせり上がってくる快感に身を任せる。
ぬちゃぬちゃに湿ったボクの股間を、彼女の長い指先がこねくってゆくうちに、
ボクの肉棒はすぐさま元の強度を取り戻す。
そんなボクの股間へと、カトレアは顔をゆっくりと近づけてゆき――。
「ふぁあああああああああああああああああああ!」
しゃぶり込まれる。
そう、それはしゃぶられる、ではない。しゃぶり込まれると呼ぶべきものだった。
決して強くなく、しかし優しくもない、ただ舌は際限なくランダムに蠢き、
亀頭をあらゆる角度から責め立て、時折中身を搾り取るがごとく吸引されるのだ。
「んっ、んちゅっ……ふふ、私のこれを知ったら、皆病みつきになっちゃうのよ?」
カトレアはボクの顔を見下ろしながら挑発的に言うと、再びボクの肉棒に舌を這わせ始めた。
カリの裏を舌先がつついたかと思えば、亀頭全体に舌がねぶりつき、
カリを舌の微かな振動で刺激しつつ、指で根本をしごかれる。
まるで、中身を全て吸い出さんとしているかのごとく、熟練した舌の動き。
そんな刺激を受けて、まだ童貞の少年が我慢できようはずがない。
「だ、だめ、駄目ぇ! いっちゃう、搾り取られ――ふぁあああああああああああああああ!」
腰が痙攣したと同時に果てる。
しかも、今回は前回とは訳が違う。
根本から肉棒をしごかれており、まるでポンプのごとく大量に引き出される精液を、
強力なバキュームによって吸い出し、なおかつ舌を蠢かせることで果てる時間を延長させる。
ボクは先ほどとは比べものにならないぐらいの快楽に頭を真っ白にして――
――やがて、体の感覚が戻ってくる。
どんな魔物と戦った時も果てなかった体力が、今にも果てようとしていた。
「ご、ごめんなさい!」カトレアは涙目になってボクを見下ろしていた。
「激しくしすぎちゃった……このままじゃ試合が終わっちゃうわ」
「ああ――」
そうだ、それは困る。
ボクは勇者であり、明日には魔王を倒しにいかなければならないんだ。
こんな地下の闘技場で朽ちる訳にはいかない――彼女を果てさせて、
ドローに持ち込まなければならないんだ。
ボクは残った力を使って呪文を唱える。
回復の呪文――対象、自らの下半身。
途端、ボクの下半身に聖なる光が集まり出し――やがて、ボクの体力は回復する。
「凄い――」カトレアは絶句していた。「――貴方、魔法が使えるの?」
「ええ、少しだけ……でも、今ので魔法力を使い切ってしまいました」
「素敵……!」
そう言って、カトレアはボクの下半身を抱え込むと――その巨大な胸で、ボクの肉棒を挟み込んだ。
「な、なにを……?」
「貴方の番だということはわかってる。ただ、これはお礼なの……
……わざわざ魔法を使ってまで回復してくれた貴方へのお礼。
これが終わったら、私をイカせてくれればいいわ」
そう言いながら、ボクの屹立したモノを柔らかな乳房でもって、交互に刺激を与えてくるカトレア。
その未知の感覚に、ボクは体に力を入れることを忘れ、彼女に全体重を預けてしまう。
カリの縁を押しつぶすように蠢く柔らかな乳房。
時折、裏筋に固いしこり――乳首を当てたり、また鈴口に舌先をねじ込むことで、
ボクの性感を更に高めてゆく――。
(あれ……意識が……)
気づけば意識が朦朧としていた。
立て続けに脳を襲う快楽に、ボクの思考は体の制御を失おうとしていたのだ。
しかし、それが危険なことだと感じることが出来ないほどに、ボクの思考は緩みきっていた。
「今度は腋で……」
「大丈夫、まだ時間はあるわ……」
「次は太ももで……」
「いいのよ、これはお礼なの……」
「髪の毛も試してみる?」
「安心して、次こそは……」
様々な言葉が思考の表面を滑り落ちてゆく。
その全てが中へと浸透しない――しかし、ボクはそれを気にもとめないほど思考を弱らせていた。
ただ、断続的に股間から送られてくる快感に身を委ねて――。
「――試合終了! 一対十九、十八ポイントの差でカトレアの勝利!」
レフェリーの声が聞こえた途端――腰に激しい痛みが走り、嫌々ながらも意識が覚醒する。
「いたっ……ううっ……」
痛くても、そこをさすることすらできない……それだけ体力を消耗していた。
見上げると、カトレアが立ち上がりながらボクを見下ろしている。
その瞳には先ほどまでの優しさはなく、冷徹ながらも愉快さを孕んだ色合いをたたえていた。
「ご苦労様。これで子供を良い学校に入れてあげることが出来るわ」
「え……なに、が……」
身動きが自由に取れないボクの問いに、彼女は嘲笑で答えた。
「つまり、貴方は完膚無きまでに負けたのよ。女性の誘惑に屈して、ね」
それきり、彼女は去って行ってしまう。
事態をゆっくりと認識してゆく最中も、状況は猛スピードで動き出していた。
「それでは競売にかかります。一八○万ゴールドからスタートです!」
そのレフェリーの声が聞こえた途端、会場中から轟音が響き始めた。
それが、参加者の買値を叫ぶ声だと理解したのは、数分ほど経ち、
二人の女性だけが競売に参加するようになってからだ。
「一億一〇九八万ゴールド!」
「一億一○九九万ゴールド!」
その声の一人には聞き覚えがあった――ボクをここまで連れてきた妖女、ユキナの声だ。
勇者であるボクが、一年かけて貯めたお金、十二万ゴールド
その千倍近くの金額でもって、ボク自身が競売にかけられているだなんて、想像もつかない。
やがて――。
「それでは、ユキナ様の一億二〇八〇万ゴールドでラストプライスとさせていただきます」
どうやらボクはあのユキナに買われたらしい。
夢見心地のまま、レフェリーによって抱えられ、ステージの外へと運ばれる。
途中、ボクに試合のアドバイスをしてくれたメイドのイズミが見えた。
彼女は、力なくうなだれているボクを見て――
――まるで、汚らしいものを見るかのように眉をひそめた。
◆
一年後――。
「ふふ……今日はたっぷり楽しませてね」
薄暗い寝室のドアを閉めた途端、奥のベッドから聞こえてくる声。
そこに、今日のボクを買った女性が座っているのだ。
「はい、お客様」
ボクはそう言って服を脱ぐ。
目の前にいる女性は、いつものお客様より歳は若く見える。二十代後半ぐらいだろうか。
玉の輿に乗ったのであろう、豪華な宝石やシルクのドレスに身を包みながら、
ボクの裸体をなめ回すように見つめてきていた。
ありあまるお金を使って、高級男娼のボクを一晩買った、という訳だ。
「ああ、まさに理想な体ね!」女性はボクの肢体に指先を這わせた。
ボクは唇を噛みしめながらその妖しい動きに耐える。
「筋肉質でありながら、体毛が薄くて男臭さがない。体臭もミルクの香りで、何より顔がかわいらしいわ。
感度はどうなのかしら?」
そう言って、彼女はボクの乳首に指先で触れた。
途端――。
「ふぁああああああああああっ!」
ボクは絶頂寸前まで昇り詰めてしまう。
そんなボクを見て目を血走らせる女性。
「いいわぁ! 魔法で改造しているっていうのは伊達じゃないようね。
オチンチンのサイズも、発育阻害魔法で小さいまま。全身が性感帯で、すぐに果てる早漏体質。
そのくせ、回復魔法を使えるから一晩中イカせても意識を失わない――
――男児趣味の私にとって、理想的な体だわ!
しかも、そんな男娼が、実は世界を救おうとしていた勇者だなんて!」
そう、ボクが勇者であることは、ユキナに調教されてゆく際に発覚してしまっていた。
しかし、ユキナはそれを逆に利用したのだ――。
――世界を救う力を持つ勇者の『子種』としての価値を。
「あんなデブで変態の旦那の子供なんて産むのは御免よ!
キミの子種で赤ちゃんを孕めば、その子は勇者としての力を受け継いでいる――最高の遺伝子じゃない!
さあ、今夜はその小さなオチンチンに入った精液を、出なくなるまで私にそそぐのよ……?」
女性はそう言いながら、ボクの唇に舌を突き入れた。
それだけで全身を震わせるボク。
敏感なボクを見て興奮したのか、彼女はボクを押し倒した。
レイプ同様にボクの体中――乳首、首筋、耳の穴、お尻の穴、指先、腋――
――あらゆる箇所をネトネトになるまで舐められ、そのたびに我慢しきれず果ててしまう。
飛び散る精液を彼女は余さず手ですくうと、それを鼻息荒くすすりしゃぶる。
「ああ、もう我慢できないわ! このプリプリの精液で子宮を満たしなさい!」
もはやボクに人権はない――彼女はボクに覆い被さり、屹立したボクのものを膣の中へ入れ込む。
「ふぁああああああああああああああああああ!」
ボクは涙すら浮かべながら、膣の刺激にすぐさま果てる。
「ほら、もっとイキ狂いなさいな! 短小オチンポの卑しい豚男娼!
勇者なのにオチンチンすぐドピュドピュしちゃう豚男娼!」
「いやああ! やすませ――ひぁあああああああああああああああああ!」
彼女の腰の動きはとどまることを知らない。
ボクは彼女の膣の中に、リットル級の精液を注ぎ込んだ――。
◆
「予約分はあと一人、当日分が二人……これは朝までかかりそうね。肌に悪いのに、やんなっちゃうわ」
馬車の荷台で休むボクの隣で、書類をめくるユキナ。
「あと三人なんて……無理だよ……」
「あの方は過度のサドって話だものね。今度からは最後になるよう調整するわ」
ボクの弱音をユキナはさらりと流した。
そう、時給1ゴールドでボクを雇うユキナにとって、ボクの言葉など同情する価値すらないのだ。
「だって、もう立たないし、腰が……うううっ……!」
あの後、数え切れないほどセックスを強要された。
魔法力が切れるまで回復魔法を使っても、その攻めがゆるむことはなく、
時間が切れた時には腰を痛めるまでに疲弊していた。
「そのための魔法でしょ?」
そう言って、ユキナは胸元から小さな瓶を取り出した。
その中では褐色の液体がゆらめいている。
エーテル――魔法力を回復させる稀少な薬だ。
一口分が一万ゴールドもするため、冒険中も手が伸ばせなかった薬。
それを、魔物を倒したこともないユキナが、まるでサイコロを弄ぶかのように指先で揺らしている。
勇者として冒険していては知ることすらなかった裏社会。
ボクはユキナの囲う男娼として、その裏社会にどっぷりと浸かりきっていた。
「前も言ったけれど」ボクは苦痛に息を荒げながら言った。
「エーテルは魔法力を回復するかわりに内臓に負担をかける。
これを飲み続けていたら、ボクの体は滅茶苦茶に……」
「それがどうしたっていうの?」
「――ああああっ!」
ユキナはボクの言葉を遮ると、横になっているボクの頭を踏みつけた。
こめかみをヒールの先でグリグリと潰されてゆく。
「犬の分際で言うようになったわね。犬の体がどうなろうと、
飼い主がそれを望む限り酷使するのは当然のことでしょう?
普段の健康管理はしてあげてるんだから、仕事中ぐらいは気張りなさいよ」
「や、やめて……うぐうううううううっ!」
「……やだ」
ユキナは軽く嘲笑してからヒールを離す。
そして、そのヒールの先を――ボクの股間へと押しつけた。
「――ふぁあああああああああああああ!」
途端、ボクの全身を電流が駆けめぐる。
「ホント、救いようのない犬だこと!」ユキナは言いながらボクの股間を踏みにじる。
「腰が抜けるまでイカされても、踏まれるだけでビンビンに戻っちゃうなんて……
……まるでケダモノね」
「ご、ごめんなさい……許して……!」
「許して? ホントは許してほしくなんてないくせに。もっとこうしていじめられたいんでしょう?
だったら安心しなさい。今夜はずっと、その粗末なオチンチンを虐めてもらえるんだから」
――ユキナの言う通りだった。
ボクはここまで疲弊しておきながら、ユキナのヒールで踏みつけられるだけで、
性懲りもなく股間を勃起させていたのだ。
そして、これから会うことになる三人の客によって虐められることを、嫌がりながらも望んでいるのだ。
本当に――救いようがない。
「――停めて!」
不意にユキナが叫ぶ。
停まる馬車。
ユキナが荷台の窓から外を見ている。
ボクはその視線を追うと――心細い街灯に照らされた路地裏の手前を、少年が挙動不審な様子で歩いていた。
見たところ、良い生地のコートや革製のブーツを身につけており、お金持ちの子供であることが知れた。
「いるのよねぇ」ユキナは邪悪に笑う。
「お金持ちの子供が、大人の社会に興味を持って、親の金をくすねてここらを歩き回るの。
もちろん、教会の目があってどこも入れてくれない。でも、それでも興味がある――大人の淫らな世界に」
「――――」
――つまり。
少年は、一年前のボク自身ということか。
「ちょうど今日は男児趣味の婦人の集まりがあったわね――ちょうどいいわ。
ねえ、この犬を客先まで運んでおいて。終了時間までには戻ってくるから」
ユキナは馬車の運転手にそう言い残すと、
肩を覆っていたカーディガンを脱いでネグリジェ姿となり、馬車を降りた。
だんだんと進んでゆく馬車。
遠くなってゆく少年に、ユキナが声を掛けていた。
少年は頬を赤らめてユキナを見上げている。
彼も、ユキナの毒牙にかかってしまったのだ。
ボクはその少年の無垢な瞳を見ながら、床に転がっていたエーテルの瓶の蓋を開けた――。
◆
「ん――」
目を覚ます。そこはユキナの屋敷の地下牢であり、ボクの寝室だった。
どうやら昨日のお勤めが終わってから気を失っていたらしい。
ベッドが二つと、薄汚れた水洗便器しかない地下牢の入り口には、
フレークと牛乳が入った犬用の餌入れが置いてあった。
それがボクの朝ご飯なのだ。
ボクはベッドから降りると、四つんばいになって餌入れへと舌を伸ばし――
――まんま犬のようにそれへとがっつく。
食器なんてものはない。
ボクはユキナにとっての犬なのだ。
そして、ボク自身もこの犬じみた生活に慣れきってしまっていた。
ただ無心にフレークを租借し、ミルクを舐め上げ、餌入れの縁まで舌を這わせる。
それを食べ終わった時に、ちょうど地下牢への扉が開く音がした。
「ついてこないで!」途端、聞き慣れた女性の声が地下牢の石畳に響く。
「お勤めは終わったのよ! これから休むんだから!」
「だから、最後に俺のをしゃぶれって言ってんだよ」
その女性と言い争っているのは、ユキナの甥の男だった。
顔は醜く、体はでっぷりと太り、汗っかきで体臭のきついそいつは、
しかしユキナという富豪の甥という肩書きを持っている。
その肩書きは、この屋敷の中では絶対的なものだった。
「お願い、休ませてよ……一晩中、ご主人様の客人に虐められて、眠たくて仕方ないの……」
女性の声は先ほどまでの強気とは打って変わって、懇願するような調子になっていた。
男はそこで醜く笑い声を上げる。
「だから、一発抜いたら寝かせてやるよ……ほら」
「……はい……」
ボクは痛む体を無理して起こし、扉の柵から外を見る。
地下牢に続く階段には、ユキナの甥が座っており――
――メイド姿の女性が、その甥の股間に顔を埋めていた。
一年前、ボクにバトルファックのアドバイスをくれたものの、
ボクがその好意を無為にしてしまった少女、イズミ・サワタリだ。
彼女はユキナの夫によって買われた奴隷だった。
だからあの会場にいた、という訳だ。
そして今は、ボクと同じ地下牢で住む同棲相手でもある。
「ちゅっ、んちゅるぅ、んむぅ、ちゅるるるるぅ……!」
イズミは男の肉棒を必死でフェラチオしていた。
どうやら体臭がひどいらしく、眉を寄せながら、早く終わらせたい一心で激しく肉棒を吸い上げる。
しかし男はなかなか果てない。
イズミの頭部をがっちりと掴んで、気色悪いアヘ顔を浮かべながら涎を垂らしている。
「いいよぉ、イズミ。メイドの中でも一番の美人のお前が、父上だけのものだなんてもったいない。
今度からは隠れてボクの奉仕もしてもらうからね。逃げたらユキナおばさんに言いつけるからね」
「――んふぅ、ちゅぼっ、ぢゅぼっ、ぢゅぼぼぼぼっ!」
イズミの顔から、ユキナの甥の妾になることを嫌がっていることがうかがえる。
しかし、イズミはフェラチオの動きを激しくするばかり――
――なぜなら、逆らえば死ぬよりも辛い拷問が待っていること、
そしてこいつをイカせないと臭い体臭から離れることすら出来ないということを、
諦念の域で悟っているからに他ならない。
やがて――。
「うおおお! イク! イクよ! 全部飲んで――ぅおぉおおおおおおおおおお!」
ユキナの甥は、イズミの頭を両手でがっちりと抱え込んでから腰を振る。
はき出された臭い精液――しかし、頭を抱え込まれたイズミは逃げることすら出来ない。
大量の精液を、涙すら浮かべながらコクコクと飲み干してゆくイズミ。
「ふぅ……いい子だったね。今日の夜の仕事前に、ボクの寝室に来ること。いいね?」
そう言って地下牢を出てゆくユキナの甥。
ボクはその背中に殺意を覚えながら、しかし何も出来なかった。
イズミはしばらく床で横になっていたものの、落ち着いたのか起き上がり、ボクのいる部屋の扉を開けた。
ボクとイズミはこの部屋にいなければ、この屋敷の人達によってキツイお仕置きが待っているからだ。
もはやユキナの家系の犬となったボクとイズミに、まともな人権などありはしないのである。
「お、おかえり」
ボクの挨拶に、イズミは何も答えずに向かいのベッドに座ると――突然、ボクの胸元を脚で蹴ってくる。
言葉を失うボクを、イズミは血走った目で睨みつけてきた。
「なんで助けなかったのよ……勇者なんでしょう? 魔法でどうにかなったんじゃないの?」
「魔法力が残ってないんだよ……それに、あそこでユキナの甥に手を出したら、二人ともただじゃ済まないよ」
「それが永遠の愛を誓った相手に言う言葉な訳?」
イズミは、ボクの胸を踏む足に更に力をかける。
狭い地下牢、ボクは冷たい石畳を背に、イズミの素足でもって肺を圧迫されてゆく。
――そう。ボクとイズミはこの狭い地下牢で過ごすうちに、肉欲とは違う恋愛感情を抱くようになった。
それは吊り橋効果に近い、異常な状況だからこそ産まれる連帯感に近いものではあったけれど、
毎晩傷ついて地下牢で休む二人にとって、お互いがオアシスのような存在となっていたのだ。
しかし、時が経つにつれ、彼女はボクに対し暴力を振るうようになっていった。
「ご、ごめん……だから、これ以上は……」
「ふざけんじゃないわよ」イズミは顔を伏しながらつぶやく。
それはボクに対してではなく、自分自身、もっと言えば世界に対しての文句だった。
「なんで私がこんな目にあわなきゃいけないのよ……普通の生活したいだけだったのに、
不甲斐ない親のせいで家追い出されて、妹助けるために単身でお金稼ごうとしたら、
騙されてこんな所でコキ使われて、息の臭い男どものモノしゃぶらされて、
やっと休めると思えばブタみたいな男にまた迫られて……
……毎日食べられるものと言えばミルクとフレーク。体臭がつくからってお肉も食べられない。
へんてこな魔法で胸とお尻ばかり大きくなって、
こんなんじゃ屋敷を出たところで娼婦ぐらいにしかなれやしないじゃない。
その上、はじめて好きになった男がこんなヘタレだなんて……!」
苛立ちが沸騰したのだろう。
イズミはゲシゲシとボクの胸や腹部を力一杯踏みつけてくる。
「やめて! いああっ、ふぐううっ!」
ボクは身をかがめて耐えるけれど、もともと疲れ切った体に防御する力など残っちゃいない。
イズミの理不尽な怒りを受け止めるボク……
……しかし、ボクを踏みつけてくるイズミの脚を包むストッキングに、自然と目がいってしまう。
フリル地でモノトーンのメイド服にあう、縁にリボンの通った白いストッキング。
肉付きのいい太ももは、そのストッキングに締め付けられて、なんともフェティッシュな様相を呈していた。
また、そのストッキングの奥――スカートの奥の暗闇から覗く、ストッキングと同じ生地の白いショーツ。
ぷっくりと膨らんだ恥丘と、その中央をうっすらと走る筋に、ボクは踏みつけられながらも見入ってしまう。
「――なに覗いてるのよ!」
ボクの視線に気づいて、更に怒鳴り声を上げるイズミ。
「ご、ごめんなさい……!」
そう言って謝るけれど、イズミは許してくれない。
イズミはうずくまっているボクの前に立つと――
「許す訳ないでしょ、この犬!」
――昨晩だけで百度以上酷使されたボクのモノへと、ズボン越しに足先をあてがった。
「ふぁああああああああああああああああああああああああああ!」
途端、ボクは盛大に果てる。
商売相手ではなく、愛している女性に踏まれたことから、ボクの射精もいつもより長引いていた。
「この役立たず! 犬勇者!」しかし、イズミはボクの股間を踏みつける動きを止めようとはしない。
精液にまみれてヌチャヌチャとネトつくズボンの中、
ニュルニュルと逃げるボクのオチンチンをイズミの足先は逃がさない。
「なにが愛してるよ! 本当はこうされたいだけなんでしょ!
メイド服着た女の子に、ストッキング履いた女の子に、
オチンチン踏み踏みされてドピュドピュ出したいだけなんでしょ!」
「ち、ちが、ひぐうううううううううううううう!」
ストッキングをはいた足先が、カリをがっちりと捕まえた。
腰を引きながら果てるボク。
しかしイズミの足は更に奥へと踏み込まれてゆく。
「大体ね、矛盾しているのよ」冷たい目でボクを見下しながら、容赦なくオチンチンを踏みつけてくるイズミ。
「回復魔法を使えるなら、攻撃魔法も使えるのでしょう? だったらなんであの会場で使わなかったの?
魔物を倒し続けてきた勇者が本気で逃げようとすれば、武装すらしていない人たち相手に負ける訳がないじゃない」
「それは――」コリッ、と裏筋を爪先で踏まれる。「――ひぐうううううううううっ!」
「この牢屋だってそうよ。
本気で世界を救う気があるなら、魔法を使ってこの屋敷から出ればいいのに、それをしようとしない。
ただ、イカされてフニャフニャになったオチンチンを回復させて、すぐビンビンにさせるだけ。
ホントは世界を救う気なんてないんでしょう?
ホントは女性にオチンチンをい~っぱい虐められたいんでしょう?
踏まれてしゃぶられて挟まれて入れられて、オチンチンをグチャグチャにしてほしいだけなんでしょう?」
「言わないで――」筋の根本から竿へと、中身を押し上げるように踏みつけられる。
「――ひあああああああああああああああああ!」
「毎晩毎晩、綺麗でスケベな淫乱熟女に無理矢理犯されて、幸せなんでしょう?
私に告白したのだって、奉仕してくれるはずのメイドに逆にイジメられたかったんでしょう?
ホントはただの変態犬勇者なんでしょう?
ワンワン鳴いてドピュドピュ出したい、救いようのない変態犬勇者なんでしょう?」
「――――!」
もはや言葉もなく、盛大に果てるボク。
それでもイズミはボクのオチンチンを逃がさない。
ボクは昨晩以上に白くなった意識の中で、イズミの言葉を聞くことだけに集中していた。
「私も救いようがないけど、アンタみたいなクズよりマシよ。
これから毎日こうしてあげるわ。
アンタに主従関係を植え付けてあげる。
――どんな熟女に抱かれようと、いくらユキナにイカされようと、アンタの本当の主人はこの私よ。
アンタの本性を知ってるこの私よ。わかった?」
ボクは首肯しながら、白む意識に身を委ねていた。
その意識は、確かな幸福感に満たされていた――。
勇者、誘惑(その1)BADEND 負け犬勇者
「いよいよ明日だな……」
宿屋の一室で、戦士のジョーがつぶやいた。
僧侶のケイン、魔法使いのグエン、そして勇者のボクがそれにうなずく。
「長かった旅も、明日で終わりだ」ケインが続ける。「明日、魔王を倒せばな」
「この男臭いパーティも明日で解散じゃな」
年長のグエンが快活に言って笑った。
しかしボクは何も言えない。
一抹の寂しさと、何より大きな明日の不安が、ボクの気持ちを沈ませているのだ。
「装備も道具もすべてそろえた。後は明日に備えて寝るだけだが……」
そう言って、ジョーは懐から瓶を取り出した。
「今夜ぐらい、ぱーっとするか」
ケインもどこからか乾き物のツマミを取り出してテーブルに並べる。
「こら、勇者様は未成年なのじゃぞ?」
グエンがそう諌めるものの、宴の準備をとめようとはしない。
ボクは皆の気持ちを察して手を振った。
「い、いいんだ! 実はもう眠たくてさ、ボクに構わず皆で楽しんでよ」
「いいのか?」
「構わないよ。ただ、明日に支障が出ない程度にね」
皆はそんなボクの態度に気をよくすると、静かに酒をコップに注ぎ始めた。
ボクはひとり部屋を出ると、宿屋の最奥にある部屋に戻ろうとして……足を止める。
「そうだ……今日が最後の夜かもしれないんだ。今夜ぐらい、ぱーっとしたっていいよね」
ちょうど財布は手元にあった。12万ゴールド入っている。
皆のお金ではあるけれど……まあ、全部使うことはないし、
ちょっとぐらい減っていても落としたと言えばいい。
町はネオンがひしめいている。
この町は魔界の入り口にほど近い町で、屈強な戦士が傭兵として雇われていることもあり、若干治安が悪い。
結果、大陸でも有数の歓楽街として知られているのだ。
「ぱーっとする、って言っても……どういう遊びがあるのかも、よくわからないや」
ボクは幼少の頃から、厳格な父の元で剣の修行に励んでいた。
15歳になって冒険に出てからも、魔王を倒すべく、
少しでも魔界に近づけるよう、寄り道もせずにここまで来た。
成年の仲間達ならまだしも、未成年で正義のために生きてきたボクに、大人の町の遊びなんて知る由もない。
とりあえず、人の出入りの多い酒場に入ろうとすると……。
「駄目駄目。子供は入れないよ。教会の目があるからね」
と断られてしまう。
大きな酒場も小さな酒場もそうだった。
というのも、大陸全土で信仰されるサバルト教の教会が、大陸の人々に道徳を強いており、
未成年の健全な育成を阻むものを排他しているのだ。
書物なんかも、大人向けのものは子供が買えないようになっているし、
もし仮に店が売ってしまったとすれば、店主には手痛い仕打ちが待っている。
まあ、古来より奴隷制や人身売買の風習があり、魔物という危険と常に隣り合わせの大陸で、
このような道徳が浸透するのは良いことでもあるのだけれど……。
「もう十一時なのに、遊べやしない……」
せっかく人々を救うべく魔王を倒そうとしているのに、その人々に邪険に扱われてはかなわない。
明日、命を賭けようというボクに、ちょっとぐらい大人の遊びを教えてくれたっていいじゃないか……。
「あら、坊や……こんな夜中にどうしたの?」
「え……?」
宿屋に帰ろうとしていた矢先、路地裏から声をかけられる。
見ると、そこには紫のネグリジェを身にまとった背の高い女性が立っていた。
中が透けて見えそうで見えないネグリジェは、スイカが入ってるかのごとく張った胸と、
高価な壷を思わせる腰にかけてのくびれ、むっちりと張ったヒップと、裾から伸びる長い筋肉質な脚のラインを、
未成年のボクにまざまざと見せつける。
短いネグリジェの裾から伸びる脚には光沢が走っており、どうやらストッキングをはいているようで、
その足先には背の赤い高いヒールが収まっており、背の高さを際だたせる。
紫紺の長髪に縁取られた顔は、化粧により妖艶さを際だたせており、厚めの唇に塗られた紫の口紅は、
微かな毒々しさと、見る者に溜飲を迫るなにかを兼ね揃えていた。
ボクはそんな彼女に見とれていたことに気付き、慌てて視線をそらす。
そらした先は、彼女の太もも……。
(ああ……光沢がまぶしい……目をそらせないよぉ……)
「ねえ、なにか悩みがあるならお姉さんに言ってごらんなさい」
そう言って、彼女はマニキュアに縁取られた長い指先でもって、ボクを路地裏へと誘った。
思考のどこかが叫んでいた――この誘いは危険だ、ついていくと取り返しがつかないことになりそうだ。
「ほら……」
しかし、彼女が妖艶に微笑んで、紫色に塗られたリップを肉厚の舌で舐め上げたのを見た途端――
――ボクは周囲の視線を気にしながら、人気のない路地裏に入っていた。
「――ふぅん。今まで遊んだことがなくて、今夜だけぱーっと遊びたい、ってことね」
「は、はい……」
彼女は指先を唇に当てながら、ボクの顔をじっと見つめている。
その唇が、指先に押されてむにゅりと歪んでいるのを見ていると、その水々しい唇に触れたいと思ってしまう。
(だ、駄目だ……ボクは世界を救う勇者の末裔なんだ。なんでこんなことで動じているんだ)
「そういうことなら、大人の遊び場に連れて行ってあげる」
「え……!」
「ちょうど私もそこに行くところだったの。私の付き人ってことなら未成年でも追い出されないわ」
ボクは素直に安堵する。
今まで三時間近く、遊び場に行くのを断られ続けていたのだ。
初めて行く大人の遊び場に心が躍る。
「じゃあ、こっちにおいでなさい」
そう言って、彼女は路地の奥へと入っていった。
人気のない暗がりを進んでゆく……表の歓楽街からは想像も出来ない暗闇は、
彼女のヒールが石畳を突く音ばかりが響く。
「私の名前はユキナ。よろしくね」
「よ、よろしくお願いします……」
彼女、ユキナの後ろを歩いていきながら頷く。
高いヒールを履きながらも器用に歩くユキナは、腰を大きくグラインドしながら歩いていた。
ボクよりも背が高いこともあって、腰が揺れるたびにネグリジェの裾から臀部の底が見え隠れする。
肉厚で丸みがかったお尻は形よく、また無防備で、
その中央に走る紺色のショーツはTバックとなっており、きわどいところがもどかしくも覗けない。
「着いたわよ」
「え……あ!」
ユキナのお尻に見とれて、ユキナに声をかけられていたのに気づかなかった。
ボクは慌てて、ユキナのお尻から周囲へと視線を向ける。
路地の奥にひっそりとたたずむ、木製の家屋。
一見はよくある一軒家に過ぎない。
ユキナは断りもなく扉を開ける。
(いいのかな……)
一軒家の中は、これまた一般的な作り。
机や椅子、棚といった家具に、壁際に設置された暖炉。
ユキナはその暖炉まで歩くと、躊躇いもせず中に入った。
ボクもそれに続く……と、そこには暗闇に隠れた階段があった。
やっと人が一人通れる程度の狭い道。
それは時には下り、時には登り、時にはカーブする。
なぜ一軒家の暖炉の奥にこんな道があるのだろうか。
それを考えている矢先、目が闇に慣れてきて……。
「――――!」
ちょうど上り階段だったからだろう。
先を優雅な足取りで歩いてゆくユキナの長い脚が、香水の匂いがするほど近くにあった。
パンストに包まれ光沢を放つ脚は、紫のネグリジェと対照的に明るく、筋肉質な太めの脚を、
ボクの目にこれでもかと見せつける。
また、ネグリジェの裾に隠れていた股間も、両脚が交互に組み合わされつつ前進するたびに見え隠れしていた。
紫紺のTバックの局部は、微かに陰りとなった筋が見える。
見ているだけで、頭がぼうっとしてくる……ああ、なんていやらしい眺めなんだろう……。
「よし、あとはここを開けるだけよ」
「はい……」
ユキナの言葉に対し、ボクは話半分に答える。
しかし、その後にユキナの行動にボクの意識は覚醒する。
「よいしょっと。ちょっとごめんね」
「え? ふぁああっ!」
なんと、上を見上げていたボクの顔に、その大きなお尻を乗っけてきたのだ。
鼻先にショーツの筋が当たる。
頬をむっちりとしたお尻が包み、全体重で押しつぶしてくる。
今まで冒険してきたボクに、その重さは大したものではなかったけれど……
……その大きなヒップに圧倒されて、ボクは動悸を激しくするしかなかった。
「真上に扉があって、錠の番号をあわせないと開けられないの。複雑な錠だから時間かかるし、
通路も狭いから、少しだけ我慢してね、坊や」
「ふぁ、ふぁい……!」
もはやボクの理性はどこかへ消え去っていた。
彼女のモッチリしたお尻に指先を食い込ませ、持ち上げているふりをしながら揉みしだく。
股間に食い込んだ鼻で激しく息を吸い、匂いを鼻孔に染みこませる。
(ああ……凄い、不思議な匂い……酸っぱくて、甘くて、それでいてツンとして……
……ああ、頭が真っ白になっちゃう……!)
やがて……一分ほどして。
「開いた。ごめんなさいね」
そう言ってボクから身を離すユキナ。
もう、体の奥からこみ上げる熱い何かに、呆然とユキナを見上げるしかないボクに――
――彼女はフン、と嘲るような笑いを一瞬だけ見せて、扉を開けた。
そこは、今までの暗がりからは想像がつかないほどに豪奢な空間だった。
高い天井のシャンデリアは煌めき、敷かれた絨毯の毛は厚く、立ち並ぶ机には豪華な食事が盛られ、
それを囲む人々は目鼻を隠す仮面をかぶっている。
城の広間を思わせる空間は、人が千人近く入れそうなほどに広く、
その中央には何に使うのか知れない円形のステージがあった。
「これはこれはユキナ様。いつもの道をお使いにならなかったのですね」
「ええ。今日は少しイレギュラーがあってね」
そんな広間のただ中からはい出てきたボクとユキナに声をかける、黒ずくめの男。
彼は二つの仮面をユキナに差し出した。
「素顔はまずいですよ。これを」
「ありがとう。でも、二枚はいらないわ」
「といいますと? お連れの方ではないので?」
ユキナは微笑を浮かべながら仮面をかける。
しかしボクは素顔のままだ……大人の遊びとは、この仮面をかぶらないといけないのだろうか?
「いいのよ。彼は挑戦者だから」
「ああ、なるほど」
そう言うと、言葉少なに去ってゆく黒ずくめの男。
「あの……挑戦者って、どういう……」
「大人の遊びの参加者、ってことよ。参加したいのでしょう?」
「う、うん……でも、一体どういう遊びで……」
「こっちにおいでなさい」
ユキナに言われるまま、円形ステージまでついて行く。
そこにも仮面をかぶった人たちがたくさんいたものの、中には仮面をかぶっていない人たちもいた。
しかし、その人たちは余さず子供……ボクと同い年ぐらいの少年だった。
戸惑うボクにユキナは笑いかけると、ステージを指差した。
「そろそろ説明しないとね。ここはバトルファック闘技場……坊やが言うところの、大人の遊び場ね」
「バトル、ファック?」
「そう。ここで30分の勝負をして、一勝上げるごとに相手から10万ゴールドを奪える。
逆に、負ければ10万ゴールドを失う。
一本勝負ではないから、何度も勝って一度も負けなければ、一試合で百万ゴールドを得ることも難しくないわ」
「10万ゴールド! ぼ、ボク、今12万ゴールドしかないんだけど……」
「一度までなら負けられるけど、二度負ければ破産……
……その場合、この会場にいる人たちによってオークションが開かれるの――坊やを巡って、ね」
「そんな……人身売買、ってこと……!」
そんなこと、教会が許すはずがない。
でも――こんな隠れた場所にまで、教会の目が行き届くことはなさそうだ。
「これが、坊やの望んだ大人の遊びよ――
――大丈夫、坊やが負けなければお金を増やせるし、何より試合はと~っても楽しいんだから」
「その、バトルファックって……」
「イカせあい……つまり、セックスの勝負のこと」
「せ、セックス……!」
セックス――仲間達の猥談で聞いたことはあった。
いやらしいものだということは知っていたけれど、子供であるボクには縁のないものだと思っていた。
そのセックスを、今からすることになるだなんて……!
「ほら、もう試合まで時間がないわ。準備をして」
「準備って……わぁ!」
不意に後ろに気配。
見ると、メイド服を着た女性が、真後ろに立っていた。
しかも、ただのメイド服ではない……レース生地の上着はほとんど中身が透けていて、
ひらひらのスカートも短く、かえって履いていないよりいやらしい。
セミロングの黒髪はストレートで、大きな瞳は猫の目を思わせる。
そんな彼女は、頬を赤く染めながら、しかし慣れた手つきでボクの服を脱がしにかかった。
「その子も、違う集まりでのバトルファック闘技場で負けたのよ。
今は数十万ゴールドという借金を返すために、時給1ゴールドで働かされているの」
「1ゴールド? そんなんじゃいつまでたっても返せないじゃないか!」
「言ったでしょう。負ければオークションにかけられて、高値をつけた人に借金を肩替わりしてもらう。
その代償として、買ってもらった人が許すまで奉仕を続けなければならないのよ」
そんなユキナの言葉を聞き終わる頃には、ボクはすでに裸にされていた。
ユキナの匂いを嗅いだ時に膨らんでいた股間を隠しながら周囲を見ると――
「――――!」
なんと、会場中の人々が、ボクの体をなめ回すように見ていたのだ。
今になって気づいたけれど、会場にいる人々のほとんどが女性だった。
黒ずくめの男達は主催者側の人間らしくこちらに目もくれないが、
煌びやかなドレスで着飾った女性達は明らかにゲストの様相。
彼女たちは、ボクが負けた時にいくらで競り落とそうかを、そしてその後どう扱おうかを考えているのだ。
「まあせいぜい頑張りなさい。大人の遊びの始まりよ」
ユキナはそう言って微笑を浮かべると、優雅な足取りで人混みの中へと去っていった。
「せ、セックス勝負って……ボク、そんなことわかんないよぉ……」
突然訪れた窮地にボクが呆然としていると、ボクの服を脱がしてくれたメイドの女性が声をかけてきた。
「大丈夫。誘惑にかられないで、冷静に女性の弱点を責めればいいのよ」
「じょ、女性の弱点って……」
言いながらも、彼女の肢体に視線をさまよわせてしまう。
よく見れば彼女は未成年らしく、ボクと同じく肌がきめ細かくて童顔、背も低い。
しかし、その童顔には不釣り合いなほどに胸が膨らんでおり、また腰のくびれもいやらしく、
低い背と相まってとても扇情的な体つきだった。
そんな彼女が、ボクの手を取ると、自らの胸元に当てた。
「駄目でしょ、この程度で動揺したら」
「ご……ごめんなさい……」
(でも、仕方ないよ……そんなエッチな服装してたら……)
そんな言い訳がましいボクの思考を無視して、彼女は女性の弱点についてボクに教え始めた。
胸は乳頭を中心にして性感帯が広がっていること、背中や首筋なども性感帯であるということ、
そして……。
「股間は……」そう言って、彼女はボクの手を自らの秘部にあてがう。
「ここ……ここの奥側に膣と呼ばれる穴があるの」
ボクはそれを冷静に聞いてなどいられない。
ただ、彼女の柔らかい秘部を、ショーツ越しになぞっていた。
そうしているうちに、ぼく自身の股間も膨らんできてしまう。
「ほんっとーに女性に免疫がないのね……」
そう言って、彼女は呆れたように嘆息する。
赤面して黙っているだけのボクに、膣の作りを淡々と説明してくれた。
「あの……なんで、こんなことを?」
説明が終わったところで聞いてみる。
彼女は頬を赤らめながら、伏し目がちに答えた。
「か、勘違いしないでよね。私はそういうことをされて喜ぶような痴女じゃないんだから。
ただ、私みたいな人を増やしたくないの。それだけよ」
「……ありがとう。キミ、名前はなんていうの?」
「イズミ・サワタリ。キミは?」
「ボク? 勇者だよ」
「勇者ぁ?」
眉をひそめて聞き返してくるイズミの声が、歓声にかき消される。
どうやら試合がすぐに始まるらしい。
ボクはイズミを見て頷いてみせる。
イズミはそんなボクに頷き返すと、背中を叩いて勇気づけてくれた。
(そうだ――ボクは負ける訳にはいかない)
(ボクは明日、魔王を倒しに行かなきゃいけないんだ……!)
ステージに上がると、そこにはすでに仮面を外した女性が立っていた。
一見野暮ったいメガネをかけた黒髪の女性。
髪も短めで化粧も薄いのだが、どこか素朴さを感じさせる顔とは対照的に、身体にメリハリがあった。
自らの頭部とほぼ同じサイズの乳房が二つ、形よく突き出ており、
それを包む服は体のラインを露わにするデザイン。
一部は軽鎧らしい固そうな生地で出来ているが、体の中心線に中身の透けるタイツ地が使われており、
ヘソや胸の谷間が丸見えである。
また、股間から下は素肌が晒されており、臀部はほぼ丸見えで、
ブーツまで伸びる太ももはユキナよりも筋肉質で、よっぽどフェティッシュだ。
「よろしく、坊や。私はカトレア……普段は剣士をやっているの。よろしくね」
そう言って、彼女……カトレアは手を差し出してくる。
175センチ近くある身長は、ボクを見下せるほどの高さで、ボクは圧倒されながらその手を握る。
確かに、その体は剣士として完成されており、握った手にも力強さを感じさせる。
しかし、大きな胸や腰のラインは女性らしさを際だたせており、目のやり場に困ってしまう。
(ああ……良い匂いがする……)
カトレアがニッコリ笑いかけてくるのを見ながら、ボクはそんなことを考えてしまう――駄目だ。
イズミが言っていたじゃないか。
誘惑に屈せず冷静にならなければ、負ける……!
「用意……始め!」
黒ずくめのレフェリーが言うや否や、会場がざわつき始める。
ボクはカトレアから距離をとりながら、相手の動きを伺う。
カトレアはボクよりも大きく、組み合ったとしても筋力の差で押さえ込まれるかもしれない。
しかし、そんなボクを見てバカにしたように笑うカトレア。
「坊や、逃げていたら罰金が発生するわよ。それに、こういう事は男性がリードを取るものなんだから」
「う、うるさい!」しかし、カトレアの言う通りだった。
何にせよ相手に先手を取られてはいけない状況で、こちらから攻めない訳にはいかない「――やあっ!」
相手の呼吸の隙をついて間合いを詰める。
カトレアはそんなボクの動きに単純に驚いているらしい、
その隙に彼女の懐に入り込むと、大きな乳房に指を食い込ませる。
「――ふあっ!」
ボクが両乳房を揉みしだいただけで、カトレアは甘い声をもらした。
その声にボクの理性は揺らぎかけたけれど、
彼女がダメージを受けているという自信に気をよくして責め続ける。
母親以外の女性の乳房にこうして触れたことはなかったけれど、
激しく揉みしだくだけでこんなにも感じるとは思っていなかった。
この戦い、意外とボクが圧勝できるかもしれない。
不器用ながらも荒々しく、イズミに教えられたとおり乳房を外側から、
だんだん乳首に近づくように揉み続け、時折乳首を指先で弾く。
タイツ地の服は、ボクの指の動きをダイレクトにカトレアへと伝え、
逆にボクの指にもカトレアの肉感的な乳房の感覚が伝わってくる。
「ひ――ぁああああああああああああああああん!」
一分ほどしてだろうか。
彼女は身を大きく振るわせた。
「男サイド、一ポイント」
レフェリーの声。
どうやらこれで、ボクに10万ゴールドが入ったらしい。
「私、とても感じやすい体なの」 頬を赤らめながら、カトレアはボクにしか聞こえない程度の声で言った。
「だから、この試合でも負けてばかり……なんとか破産は免れているけれど、これで破産が決まっちゃった……」
「え……!」
こんな闘技場に出ているからには、種銭があるものと思っていた。
「子供を養うため。仕方なかったのよ」彼女は自嘲気味に説明してくれた。
「どうせ負けるんだもの。坊や、私をもっとイカせていいわよ。坊やの好きに……」
「――そんなの、駄目だ」
「え?」
「ボクだって、10万ゴールドしか余裕はないけれど……そんな、他人を不幸にしてまでお金が欲しい訳じゃない。
怪しまれないよう、お互いにイカせあいましょう。最終的に引き分けになれば問題ないはずです」
――そうだ。
大人の遊びには興味があったけれど、お金欲しさに参加している訳ではないのだ。
それに、彼女には子供がいると言う……そんな女性を蹴落とすなんてことは出来ない。
「いいの?」
カトレアは火照った頬を歓喜に赤らめながらボクを見つめてきた。
ボクはそんな魅力的な顔に唾を飲みながらも首肯する。
――途端、カトレアはボクの唇に舌を突き入れてきた。
ボクの顔を抱え込み、むさぼるように口内へ舌を進入させてくるカトレアの強引さに、
ボクの頭は一瞬で真っ白になってしまう。
「ん――んぅ、んちゅっ、んちゅるぅ――っ!」
「ぷぁ……いいのよ、私に体重を委ねて……これはお礼なんだから……んちゅっ――!」
口内を激しくかき回してくる肉触手――その舌は確かな熱と、とめどない粘液をたたえながら、
ボクの歯茎から舌の根、喉の奥までをも進入してくる。
そして、息苦しいボクの鼻孔に入ってくるのは、彼女の汗の香り――かすかに甘いそれは、
経験のないボクの股間を張り詰めさせるのに、充分すぎる刺激だった。
「ん――! んごい、んごいよぉ……んちゅるっ!」
「んぁ……じゃあ、最初は手でいじるわね」
そう言って、彼女の指がボクの肉棒の先端に振れた途端――
「――ああああああああああああああああああああああ!」
意識が真っ白になり――張り詰めた肉棒の先から何かが溢れてゆく。
(――これがイクっていう感覚なの――!)
ボクは、あまりの気持ちよさに、果てた後も動けずにうなだれる。
そんなボクに、カトレアは優しく語りかけてきた。
「フフ……こういうの、本当に初めてだったのね」
「う、うん……」
目を伏しながら答えるボクに、カトレアはクスリと笑ってから――白濁液にまみれ、
強度を失ったボクのモノに、改めて指を絡めた。
「え――!」ボクは慌てて、体を抱えてくれているカトレアの顔を見上げる。「つ、次はボクの番じゃ……」
「疲れているのでしょう? 最後に私を同じだけイカせればいいんだから、今は私が責めてあげる」
「でも、それじゃあ……」
「何もしないでいては会場中の皆に怪しまれるわ。大丈夫、貴方がイッた回数は数えておいてあげるから」
そんなカトレアの優しい言葉に、ボクは首肯して――次第に股間からせり上がってくる快感に身を任せる。
ぬちゃぬちゃに湿ったボクの股間を、彼女の長い指先がこねくってゆくうちに、
ボクの肉棒はすぐさま元の強度を取り戻す。
そんなボクの股間へと、カトレアは顔をゆっくりと近づけてゆき――。
「ふぁあああああああああああああああああああ!」
しゃぶり込まれる。
そう、それはしゃぶられる、ではない。しゃぶり込まれると呼ぶべきものだった。
決して強くなく、しかし優しくもない、ただ舌は際限なくランダムに蠢き、
亀頭をあらゆる角度から責め立て、時折中身を搾り取るがごとく吸引されるのだ。
「んっ、んちゅっ……ふふ、私のこれを知ったら、皆病みつきになっちゃうのよ?」
カトレアはボクの顔を見下ろしながら挑発的に言うと、再びボクの肉棒に舌を這わせ始めた。
カリの裏を舌先がつついたかと思えば、亀頭全体に舌がねぶりつき、
カリを舌の微かな振動で刺激しつつ、指で根本をしごかれる。
まるで、中身を全て吸い出さんとしているかのごとく、熟練した舌の動き。
そんな刺激を受けて、まだ童貞の少年が我慢できようはずがない。
「だ、だめ、駄目ぇ! いっちゃう、搾り取られ――ふぁあああああああああああああああ!」
腰が痙攣したと同時に果てる。
しかも、今回は前回とは訳が違う。
根本から肉棒をしごかれており、まるでポンプのごとく大量に引き出される精液を、
強力なバキュームによって吸い出し、なおかつ舌を蠢かせることで果てる時間を延長させる。
ボクは先ほどとは比べものにならないぐらいの快楽に頭を真っ白にして――
――やがて、体の感覚が戻ってくる。
どんな魔物と戦った時も果てなかった体力が、今にも果てようとしていた。
「ご、ごめんなさい!」カトレアは涙目になってボクを見下ろしていた。
「激しくしすぎちゃった……このままじゃ試合が終わっちゃうわ」
「ああ――」
そうだ、それは困る。
ボクは勇者であり、明日には魔王を倒しにいかなければならないんだ。
こんな地下の闘技場で朽ちる訳にはいかない――彼女を果てさせて、
ドローに持ち込まなければならないんだ。
ボクは残った力を使って呪文を唱える。
回復の呪文――対象、自らの下半身。
途端、ボクの下半身に聖なる光が集まり出し――やがて、ボクの体力は回復する。
「凄い――」カトレアは絶句していた。「――貴方、魔法が使えるの?」
「ええ、少しだけ……でも、今ので魔法力を使い切ってしまいました」
「素敵……!」
そう言って、カトレアはボクの下半身を抱え込むと――その巨大な胸で、ボクの肉棒を挟み込んだ。
「な、なにを……?」
「貴方の番だということはわかってる。ただ、これはお礼なの……
……わざわざ魔法を使ってまで回復してくれた貴方へのお礼。
これが終わったら、私をイカせてくれればいいわ」
そう言いながら、ボクの屹立したモノを柔らかな乳房でもって、交互に刺激を与えてくるカトレア。
その未知の感覚に、ボクは体に力を入れることを忘れ、彼女に全体重を預けてしまう。
カリの縁を押しつぶすように蠢く柔らかな乳房。
時折、裏筋に固いしこり――乳首を当てたり、また鈴口に舌先をねじ込むことで、
ボクの性感を更に高めてゆく――。
(あれ……意識が……)
気づけば意識が朦朧としていた。
立て続けに脳を襲う快楽に、ボクの思考は体の制御を失おうとしていたのだ。
しかし、それが危険なことだと感じることが出来ないほどに、ボクの思考は緩みきっていた。
「今度は腋で……」
「大丈夫、まだ時間はあるわ……」
「次は太ももで……」
「いいのよ、これはお礼なの……」
「髪の毛も試してみる?」
「安心して、次こそは……」
様々な言葉が思考の表面を滑り落ちてゆく。
その全てが中へと浸透しない――しかし、ボクはそれを気にもとめないほど思考を弱らせていた。
ただ、断続的に股間から送られてくる快感に身を委ねて――。
「――試合終了! 一対十九、十八ポイントの差でカトレアの勝利!」
レフェリーの声が聞こえた途端――腰に激しい痛みが走り、嫌々ながらも意識が覚醒する。
「いたっ……ううっ……」
痛くても、そこをさすることすらできない……それだけ体力を消耗していた。
見上げると、カトレアが立ち上がりながらボクを見下ろしている。
その瞳には先ほどまでの優しさはなく、冷徹ながらも愉快さを孕んだ色合いをたたえていた。
「ご苦労様。これで子供を良い学校に入れてあげることが出来るわ」
「え……なに、が……」
身動きが自由に取れないボクの問いに、彼女は嘲笑で答えた。
「つまり、貴方は完膚無きまでに負けたのよ。女性の誘惑に屈して、ね」
それきり、彼女は去って行ってしまう。
事態をゆっくりと認識してゆく最中も、状況は猛スピードで動き出していた。
「それでは競売にかかります。一八○万ゴールドからスタートです!」
そのレフェリーの声が聞こえた途端、会場中から轟音が響き始めた。
それが、参加者の買値を叫ぶ声だと理解したのは、数分ほど経ち、
二人の女性だけが競売に参加するようになってからだ。
「一億一〇九八万ゴールド!」
「一億一○九九万ゴールド!」
その声の一人には聞き覚えがあった――ボクをここまで連れてきた妖女、ユキナの声だ。
勇者であるボクが、一年かけて貯めたお金、十二万ゴールド
その千倍近くの金額でもって、ボク自身が競売にかけられているだなんて、想像もつかない。
やがて――。
「それでは、ユキナ様の一億二〇八〇万ゴールドでラストプライスとさせていただきます」
どうやらボクはあのユキナに買われたらしい。
夢見心地のまま、レフェリーによって抱えられ、ステージの外へと運ばれる。
途中、ボクに試合のアドバイスをしてくれたメイドのイズミが見えた。
彼女は、力なくうなだれているボクを見て――
――まるで、汚らしいものを見るかのように眉をひそめた。
◆
一年後――。
「ふふ……今日はたっぷり楽しませてね」
薄暗い寝室のドアを閉めた途端、奥のベッドから聞こえてくる声。
そこに、今日のボクを買った女性が座っているのだ。
「はい、お客様」
ボクはそう言って服を脱ぐ。
目の前にいる女性は、いつものお客様より歳は若く見える。二十代後半ぐらいだろうか。
玉の輿に乗ったのであろう、豪華な宝石やシルクのドレスに身を包みながら、
ボクの裸体をなめ回すように見つめてきていた。
ありあまるお金を使って、高級男娼のボクを一晩買った、という訳だ。
「ああ、まさに理想な体ね!」女性はボクの肢体に指先を這わせた。
ボクは唇を噛みしめながらその妖しい動きに耐える。
「筋肉質でありながら、体毛が薄くて男臭さがない。体臭もミルクの香りで、何より顔がかわいらしいわ。
感度はどうなのかしら?」
そう言って、彼女はボクの乳首に指先で触れた。
途端――。
「ふぁああああああああああっ!」
ボクは絶頂寸前まで昇り詰めてしまう。
そんなボクを見て目を血走らせる女性。
「いいわぁ! 魔法で改造しているっていうのは伊達じゃないようね。
オチンチンのサイズも、発育阻害魔法で小さいまま。全身が性感帯で、すぐに果てる早漏体質。
そのくせ、回復魔法を使えるから一晩中イカせても意識を失わない――
――男児趣味の私にとって、理想的な体だわ!
しかも、そんな男娼が、実は世界を救おうとしていた勇者だなんて!」
そう、ボクが勇者であることは、ユキナに調教されてゆく際に発覚してしまっていた。
しかし、ユキナはそれを逆に利用したのだ――。
――世界を救う力を持つ勇者の『子種』としての価値を。
「あんなデブで変態の旦那の子供なんて産むのは御免よ!
キミの子種で赤ちゃんを孕めば、その子は勇者としての力を受け継いでいる――最高の遺伝子じゃない!
さあ、今夜はその小さなオチンチンに入った精液を、出なくなるまで私にそそぐのよ……?」
女性はそう言いながら、ボクの唇に舌を突き入れた。
それだけで全身を震わせるボク。
敏感なボクを見て興奮したのか、彼女はボクを押し倒した。
レイプ同様にボクの体中――乳首、首筋、耳の穴、お尻の穴、指先、腋――
――あらゆる箇所をネトネトになるまで舐められ、そのたびに我慢しきれず果ててしまう。
飛び散る精液を彼女は余さず手ですくうと、それを鼻息荒くすすりしゃぶる。
「ああ、もう我慢できないわ! このプリプリの精液で子宮を満たしなさい!」
もはやボクに人権はない――彼女はボクに覆い被さり、屹立したボクのものを膣の中へ入れ込む。
「ふぁああああああああああああああああああ!」
ボクは涙すら浮かべながら、膣の刺激にすぐさま果てる。
「ほら、もっとイキ狂いなさいな! 短小オチンポの卑しい豚男娼!
勇者なのにオチンチンすぐドピュドピュしちゃう豚男娼!」
「いやああ! やすませ――ひぁあああああああああああああああああ!」
彼女の腰の動きはとどまることを知らない。
ボクは彼女の膣の中に、リットル級の精液を注ぎ込んだ――。
◆
「予約分はあと一人、当日分が二人……これは朝までかかりそうね。肌に悪いのに、やんなっちゃうわ」
馬車の荷台で休むボクの隣で、書類をめくるユキナ。
「あと三人なんて……無理だよ……」
「あの方は過度のサドって話だものね。今度からは最後になるよう調整するわ」
ボクの弱音をユキナはさらりと流した。
そう、時給1ゴールドでボクを雇うユキナにとって、ボクの言葉など同情する価値すらないのだ。
「だって、もう立たないし、腰が……うううっ……!」
あの後、数え切れないほどセックスを強要された。
魔法力が切れるまで回復魔法を使っても、その攻めがゆるむことはなく、
時間が切れた時には腰を痛めるまでに疲弊していた。
「そのための魔法でしょ?」
そう言って、ユキナは胸元から小さな瓶を取り出した。
その中では褐色の液体がゆらめいている。
エーテル――魔法力を回復させる稀少な薬だ。
一口分が一万ゴールドもするため、冒険中も手が伸ばせなかった薬。
それを、魔物を倒したこともないユキナが、まるでサイコロを弄ぶかのように指先で揺らしている。
勇者として冒険していては知ることすらなかった裏社会。
ボクはユキナの囲う男娼として、その裏社会にどっぷりと浸かりきっていた。
「前も言ったけれど」ボクは苦痛に息を荒げながら言った。
「エーテルは魔法力を回復するかわりに内臓に負担をかける。
これを飲み続けていたら、ボクの体は滅茶苦茶に……」
「それがどうしたっていうの?」
「――ああああっ!」
ユキナはボクの言葉を遮ると、横になっているボクの頭を踏みつけた。
こめかみをヒールの先でグリグリと潰されてゆく。
「犬の分際で言うようになったわね。犬の体がどうなろうと、
飼い主がそれを望む限り酷使するのは当然のことでしょう?
普段の健康管理はしてあげてるんだから、仕事中ぐらいは気張りなさいよ」
「や、やめて……うぐうううううううっ!」
「……やだ」
ユキナは軽く嘲笑してからヒールを離す。
そして、そのヒールの先を――ボクの股間へと押しつけた。
「――ふぁあああああああああああああ!」
途端、ボクの全身を電流が駆けめぐる。
「ホント、救いようのない犬だこと!」ユキナは言いながらボクの股間を踏みにじる。
「腰が抜けるまでイカされても、踏まれるだけでビンビンに戻っちゃうなんて……
……まるでケダモノね」
「ご、ごめんなさい……許して……!」
「許して? ホントは許してほしくなんてないくせに。もっとこうしていじめられたいんでしょう?
だったら安心しなさい。今夜はずっと、その粗末なオチンチンを虐めてもらえるんだから」
――ユキナの言う通りだった。
ボクはここまで疲弊しておきながら、ユキナのヒールで踏みつけられるだけで、
性懲りもなく股間を勃起させていたのだ。
そして、これから会うことになる三人の客によって虐められることを、嫌がりながらも望んでいるのだ。
本当に――救いようがない。
「――停めて!」
不意にユキナが叫ぶ。
停まる馬車。
ユキナが荷台の窓から外を見ている。
ボクはその視線を追うと――心細い街灯に照らされた路地裏の手前を、少年が挙動不審な様子で歩いていた。
見たところ、良い生地のコートや革製のブーツを身につけており、お金持ちの子供であることが知れた。
「いるのよねぇ」ユキナは邪悪に笑う。
「お金持ちの子供が、大人の社会に興味を持って、親の金をくすねてここらを歩き回るの。
もちろん、教会の目があってどこも入れてくれない。でも、それでも興味がある――大人の淫らな世界に」
「――――」
――つまり。
少年は、一年前のボク自身ということか。
「ちょうど今日は男児趣味の婦人の集まりがあったわね――ちょうどいいわ。
ねえ、この犬を客先まで運んでおいて。終了時間までには戻ってくるから」
ユキナは馬車の運転手にそう言い残すと、
肩を覆っていたカーディガンを脱いでネグリジェ姿となり、馬車を降りた。
だんだんと進んでゆく馬車。
遠くなってゆく少年に、ユキナが声を掛けていた。
少年は頬を赤らめてユキナを見上げている。
彼も、ユキナの毒牙にかかってしまったのだ。
ボクはその少年の無垢な瞳を見ながら、床に転がっていたエーテルの瓶の蓋を開けた――。
◆
「ん――」
目を覚ます。そこはユキナの屋敷の地下牢であり、ボクの寝室だった。
どうやら昨日のお勤めが終わってから気を失っていたらしい。
ベッドが二つと、薄汚れた水洗便器しかない地下牢の入り口には、
フレークと牛乳が入った犬用の餌入れが置いてあった。
それがボクの朝ご飯なのだ。
ボクはベッドから降りると、四つんばいになって餌入れへと舌を伸ばし――
――まんま犬のようにそれへとがっつく。
食器なんてものはない。
ボクはユキナにとっての犬なのだ。
そして、ボク自身もこの犬じみた生活に慣れきってしまっていた。
ただ無心にフレークを租借し、ミルクを舐め上げ、餌入れの縁まで舌を這わせる。
それを食べ終わった時に、ちょうど地下牢への扉が開く音がした。
「ついてこないで!」途端、聞き慣れた女性の声が地下牢の石畳に響く。
「お勤めは終わったのよ! これから休むんだから!」
「だから、最後に俺のをしゃぶれって言ってんだよ」
その女性と言い争っているのは、ユキナの甥の男だった。
顔は醜く、体はでっぷりと太り、汗っかきで体臭のきついそいつは、
しかしユキナという富豪の甥という肩書きを持っている。
その肩書きは、この屋敷の中では絶対的なものだった。
「お願い、休ませてよ……一晩中、ご主人様の客人に虐められて、眠たくて仕方ないの……」
女性の声は先ほどまでの強気とは打って変わって、懇願するような調子になっていた。
男はそこで醜く笑い声を上げる。
「だから、一発抜いたら寝かせてやるよ……ほら」
「……はい……」
ボクは痛む体を無理して起こし、扉の柵から外を見る。
地下牢に続く階段には、ユキナの甥が座っており――
――メイド姿の女性が、その甥の股間に顔を埋めていた。
一年前、ボクにバトルファックのアドバイスをくれたものの、
ボクがその好意を無為にしてしまった少女、イズミ・サワタリだ。
彼女はユキナの夫によって買われた奴隷だった。
だからあの会場にいた、という訳だ。
そして今は、ボクと同じ地下牢で住む同棲相手でもある。
「ちゅっ、んちゅるぅ、んむぅ、ちゅるるるるぅ……!」
イズミは男の肉棒を必死でフェラチオしていた。
どうやら体臭がひどいらしく、眉を寄せながら、早く終わらせたい一心で激しく肉棒を吸い上げる。
しかし男はなかなか果てない。
イズミの頭部をがっちりと掴んで、気色悪いアヘ顔を浮かべながら涎を垂らしている。
「いいよぉ、イズミ。メイドの中でも一番の美人のお前が、父上だけのものだなんてもったいない。
今度からは隠れてボクの奉仕もしてもらうからね。逃げたらユキナおばさんに言いつけるからね」
「――んふぅ、ちゅぼっ、ぢゅぼっ、ぢゅぼぼぼぼっ!」
イズミの顔から、ユキナの甥の妾になることを嫌がっていることがうかがえる。
しかし、イズミはフェラチオの動きを激しくするばかり――
――なぜなら、逆らえば死ぬよりも辛い拷問が待っていること、
そしてこいつをイカせないと臭い体臭から離れることすら出来ないということを、
諦念の域で悟っているからに他ならない。
やがて――。
「うおおお! イク! イクよ! 全部飲んで――ぅおぉおおおおおおおおおお!」
ユキナの甥は、イズミの頭を両手でがっちりと抱え込んでから腰を振る。
はき出された臭い精液――しかし、頭を抱え込まれたイズミは逃げることすら出来ない。
大量の精液を、涙すら浮かべながらコクコクと飲み干してゆくイズミ。
「ふぅ……いい子だったね。今日の夜の仕事前に、ボクの寝室に来ること。いいね?」
そう言って地下牢を出てゆくユキナの甥。
ボクはその背中に殺意を覚えながら、しかし何も出来なかった。
イズミはしばらく床で横になっていたものの、落ち着いたのか起き上がり、ボクのいる部屋の扉を開けた。
ボクとイズミはこの部屋にいなければ、この屋敷の人達によってキツイお仕置きが待っているからだ。
もはやユキナの家系の犬となったボクとイズミに、まともな人権などありはしないのである。
「お、おかえり」
ボクの挨拶に、イズミは何も答えずに向かいのベッドに座ると――突然、ボクの胸元を脚で蹴ってくる。
言葉を失うボクを、イズミは血走った目で睨みつけてきた。
「なんで助けなかったのよ……勇者なんでしょう? 魔法でどうにかなったんじゃないの?」
「魔法力が残ってないんだよ……それに、あそこでユキナの甥に手を出したら、二人ともただじゃ済まないよ」
「それが永遠の愛を誓った相手に言う言葉な訳?」
イズミは、ボクの胸を踏む足に更に力をかける。
狭い地下牢、ボクは冷たい石畳を背に、イズミの素足でもって肺を圧迫されてゆく。
――そう。ボクとイズミはこの狭い地下牢で過ごすうちに、肉欲とは違う恋愛感情を抱くようになった。
それは吊り橋効果に近い、異常な状況だからこそ産まれる連帯感に近いものではあったけれど、
毎晩傷ついて地下牢で休む二人にとって、お互いがオアシスのような存在となっていたのだ。
しかし、時が経つにつれ、彼女はボクに対し暴力を振るうようになっていった。
「ご、ごめん……だから、これ以上は……」
「ふざけんじゃないわよ」イズミは顔を伏しながらつぶやく。
それはボクに対してではなく、自分自身、もっと言えば世界に対しての文句だった。
「なんで私がこんな目にあわなきゃいけないのよ……普通の生活したいだけだったのに、
不甲斐ない親のせいで家追い出されて、妹助けるために単身でお金稼ごうとしたら、
騙されてこんな所でコキ使われて、息の臭い男どものモノしゃぶらされて、
やっと休めると思えばブタみたいな男にまた迫られて……
……毎日食べられるものと言えばミルクとフレーク。体臭がつくからってお肉も食べられない。
へんてこな魔法で胸とお尻ばかり大きくなって、
こんなんじゃ屋敷を出たところで娼婦ぐらいにしかなれやしないじゃない。
その上、はじめて好きになった男がこんなヘタレだなんて……!」
苛立ちが沸騰したのだろう。
イズミはゲシゲシとボクの胸や腹部を力一杯踏みつけてくる。
「やめて! いああっ、ふぐううっ!」
ボクは身をかがめて耐えるけれど、もともと疲れ切った体に防御する力など残っちゃいない。
イズミの理不尽な怒りを受け止めるボク……
……しかし、ボクを踏みつけてくるイズミの脚を包むストッキングに、自然と目がいってしまう。
フリル地でモノトーンのメイド服にあう、縁にリボンの通った白いストッキング。
肉付きのいい太ももは、そのストッキングに締め付けられて、なんともフェティッシュな様相を呈していた。
また、そのストッキングの奥――スカートの奥の暗闇から覗く、ストッキングと同じ生地の白いショーツ。
ぷっくりと膨らんだ恥丘と、その中央をうっすらと走る筋に、ボクは踏みつけられながらも見入ってしまう。
「――なに覗いてるのよ!」
ボクの視線に気づいて、更に怒鳴り声を上げるイズミ。
「ご、ごめんなさい……!」
そう言って謝るけれど、イズミは許してくれない。
イズミはうずくまっているボクの前に立つと――
「許す訳ないでしょ、この犬!」
――昨晩だけで百度以上酷使されたボクのモノへと、ズボン越しに足先をあてがった。
「ふぁああああああああああああああああああああああああああ!」
途端、ボクは盛大に果てる。
商売相手ではなく、愛している女性に踏まれたことから、ボクの射精もいつもより長引いていた。
「この役立たず! 犬勇者!」しかし、イズミはボクの股間を踏みつける動きを止めようとはしない。
精液にまみれてヌチャヌチャとネトつくズボンの中、
ニュルニュルと逃げるボクのオチンチンをイズミの足先は逃がさない。
「なにが愛してるよ! 本当はこうされたいだけなんでしょ!
メイド服着た女の子に、ストッキング履いた女の子に、
オチンチン踏み踏みされてドピュドピュ出したいだけなんでしょ!」
「ち、ちが、ひぐうううううううううううううう!」
ストッキングをはいた足先が、カリをがっちりと捕まえた。
腰を引きながら果てるボク。
しかしイズミの足は更に奥へと踏み込まれてゆく。
「大体ね、矛盾しているのよ」冷たい目でボクを見下しながら、容赦なくオチンチンを踏みつけてくるイズミ。
「回復魔法を使えるなら、攻撃魔法も使えるのでしょう? だったらなんであの会場で使わなかったの?
魔物を倒し続けてきた勇者が本気で逃げようとすれば、武装すらしていない人たち相手に負ける訳がないじゃない」
「それは――」コリッ、と裏筋を爪先で踏まれる。「――ひぐうううううううううっ!」
「この牢屋だってそうよ。
本気で世界を救う気があるなら、魔法を使ってこの屋敷から出ればいいのに、それをしようとしない。
ただ、イカされてフニャフニャになったオチンチンを回復させて、すぐビンビンにさせるだけ。
ホントは世界を救う気なんてないんでしょう?
ホントは女性にオチンチンをい~っぱい虐められたいんでしょう?
踏まれてしゃぶられて挟まれて入れられて、オチンチンをグチャグチャにしてほしいだけなんでしょう?」
「言わないで――」筋の根本から竿へと、中身を押し上げるように踏みつけられる。
「――ひあああああああああああああああああ!」
「毎晩毎晩、綺麗でスケベな淫乱熟女に無理矢理犯されて、幸せなんでしょう?
私に告白したのだって、奉仕してくれるはずのメイドに逆にイジメられたかったんでしょう?
ホントはただの変態犬勇者なんでしょう?
ワンワン鳴いてドピュドピュ出したい、救いようのない変態犬勇者なんでしょう?」
「――――!」
もはや言葉もなく、盛大に果てるボク。
それでもイズミはボクのオチンチンを逃がさない。
ボクは昨晩以上に白くなった意識の中で、イズミの言葉を聞くことだけに集中していた。
「私も救いようがないけど、アンタみたいなクズよりマシよ。
これから毎日こうしてあげるわ。
アンタに主従関係を植え付けてあげる。
――どんな熟女に抱かれようと、いくらユキナにイカされようと、アンタの本当の主人はこの私よ。
アンタの本性を知ってるこの私よ。わかった?」
ボクは首肯しながら、白む意識に身を委ねていた。
その意識は、確かな幸福感に満たされていた――。
勇者誘惑(その0.5)BADEND 蛇口勇者
・18禁注意
勇者誘惑(その0.5)BADEND 蛇口勇者
「教会? 残念だったわね。ちょうどこの前神父様が魔物に殺されちゃったのよ」
うら若い宿屋の女将はさほど残念でもなさそうに、煙草を吸いながらそう答えた。
僕は戦慄し、しばらく言葉を失ってしまう。
「隣町にはあると思うけど……なにせ、ここは魔王城のある島にある数少ない人間の集落。
周囲を徘徊する魔物の強さも、大陸とは桁違いよ。
後ろの棺桶抱えてちゃ、一人での旅は危険じゃないかしら」
そう、ここは魔王城にほど近い町なのだ。
僕は仲間である戦士のジョー、僧侶のケイン、魔法使いのグエンと魔王討伐の旅をしていた。
しかし、いざ魔王城のある島に上陸した途端、
圧倒的な魔物の強さの前に、仲間達が倒れてしまったのである。
命からがら逃げ延びて、やっとたどり着いた町に、仲間達を復活させられる教会がなかった。
四人ですら敵わなかった魔物達に、僕一人で敵う訳がない。
「くそっ……どうすれば……」
「――ねえ、もしかして君は勇者様?」
宿屋の女将はそう言って、僕の顔をのぞき込んでくる。
よく見れば、まだ若く美しい女将……
……その胸元は、広く空いた襟口いっぱいに、豊満な女肉を強調していた。
絶望的な状況ながら、不謹慎にも女将の胸を凝視してしまう僕。
「あ、は、はい……でも、まだまだ未熟の身で……」
「そうねぇ。いくら大陸では活躍できたとしても、この島では通用するとは限らない。
多くの旅人がこの島で命を落としたわ」
「…………」
「でも、沈む必要はないわよ。
貴方が本当に勇者様なのだとしたら、この島でだって仲間になりたいって冒険者は大勢いるもの」
「え……?」
「つまり、新たな仲間を集えばいいのよ。
この島で鍛えられた、屈強な冒険者達を連れていけば、魔王討伐もはかどるに違いないわ」
「そ、そんなこと……!」
それはつまり、今まで旅をしてきた仲間達と別れるということ。
大陸であらゆる危機を乗り越えてきた仲間達を見捨てるだなんて……!
「わかってるでしょう? この島にいる魔物達は大陸とは訳が違うのよ。
そんな使えない奴らは放っておいて、もっと強い仲間を連れていかなきゃ」
そう言って、女将は僕の腕にしなだれかかってくる。
腕に感じる豊満な女将の乳房――そして、鼻先には女将の美しい、化粧に彩られた妖艶な笑顔があった。
「それに、この島にいる冒険者は、なぜだか女性が多いのよ。
それもとびっきりの美人ばかり……男臭い旅より刺激的になると思うわ」
女将の言うとおり、僕は今までずっと男性とパーティーを組んでいた。
旅立ちの時に女性の冒険者からも誘われたけど、女性との接し方がいまいちわからなかった僕は、
雑念を振り払う意味でもあえて男性を選んだのだ。
しかし、それに後悔がなかったかといえば嘘になる。
時折出会う女形の魔物に触れられて、心臓を高鳴らせたこともある。
魔の手から救った女性からお礼をさせてくれと言われた時、よこしまなことを考えたこともある。
確かにこの島の敵は今までとは全然違う。
苦労して仲間達を生き返らせたところで、またレベル上げをしなきゃいけないし、
その間にも魔王が世界征服を進めている。
何より、彼らは今戦闘不能になっているのだ。僕の行動を見ている訳ではない……だったら……
1・何を考えてるんだ僕は! なんとしてでも仲間を生き返らせる!
2・早く魔王を討伐するためには仕方がない。新たな仲間を集おう。
1・何を考えてるんだ僕は! なんとしてでも仲間を生き返らせる!
「いや、仲間達との絆は大切なので、なんとしてでも生き返らせます!」
僕は宿を出ると、町の人達に聞き込みをする。
すると、町の外れの教会に神父様がいることがわかった。
向かうと、神父様は怪我もなく元気で祈祷を唱えており、
聞いてみれば魔物に襲われたことなどここ最近無かった、とのこと。
宿屋の女将は、なんであんな嘘をついたのだろう?
仲間達を復活させた後、そう疑問は抱いたものの、再び宿屋を訪ねてみれば、
なぜか宿屋の看板が無くなっていた。
あの女将が一体何だったのか?
結局わからないままに、僕らは魔王城に一番近い町へと向かったのだった……
~勇者、誘惑(その1)決戦前夜の油断 に続く~
2・早く魔王を討伐するためには仕方がない。新たな仲間を集おう。
「さ、酒場はどこにあるんですか?」
女将に聞くと、彼女は二マリ、と怪しい笑みを浮かべて頷いた。
「この宿屋の地下よ。私が経営しているの」
「そうだったんですか」
「じゃあ、君の後ろにある棺桶は片付けておくわね」
「あ……!」
僕の反応も待たず、女将は棺桶の紐を握ると、宿屋の奥へと運んでいってしまった。
あっけないジョー、ケイン、グエンとの別れ……しかし、新たな仲間を集うと決めた以上仕方がない。
これも、一刻も早く魔王を倒すためなんだ。きっとわかってくれるさ……。
「さて、処理は終わったわ。早速酒場へ行きましょう!」
戻ってきた女将に連れられて宿屋の階段を下りる。
そこは夜半のように薄暗く、壁に等間隔でかけられた蝋燭だけが明かりの広間だった。
点々とガラステーブルが並んでおり、その周囲にそれぞれ人が集まっているようだ。
「さて、君はどんな子が好みなのかしら……?」
隣に立っていた女将は、そう言ってメニューを渡してくる。
それは、現在酒場で仲間を集っている冒険者達の名簿だった。
しかし、普通の名簿と違って、力や使える魔法などのステータスが書かれておらず、
そのかわりに身体的特徴が事細かに書かれている。
「しょ、職業はどこに書いてあるんですか?」
「スリーサイズの横よ……ほら、小さく書いてあるでしょう?」
「えっと……遊び人、戦士、遊び人、魔法使い、遊び人……遊び人ばかりじゃないですか!」
「あら、遊び人だって、大陸の下手な戦士なんかより全然強いわよ。
この島でスパルタ式に育てられた子なんだから」
遊び人は、一定の強さに達すると賢者の悟りを開くことができる。
しかし、賢者になるには転職するための神殿に行かねばならず、
僕はワープできる魔法を覚えていないため、また船に乗って大陸に戻らなきゃならない。
早く魔王を倒すために、新たな仲間を集おうとしているのだ。
これでは本末転倒だ。
「でも勇者様」女将は自然と僕の耳に口を寄せながら囁いてくる。
「勇者といえば、剣も魔法も使える戦闘のエキスパート。
貴方が強くなれば、仲間が全員遊び人でもフォロー出来るんじゃないかしら?
それに、遊び人はまともな武器を装備できないけど、そのかわりにいろんな防具を装備できるわ。
格式張った装備しかできない職業と違って、ね……」
その通り。遊び人は戦闘スキルはないが、その反面防具を選ばないというメリットがある。
それこそ、冒険の合間に手に入れて、道具袋の奥に隠しておいた、
網タイツやハイヒール、えっちな水着だって……
「……じゃあ、遊び人を一人」
「わかったわ。選りすぐりを一人連れてきましょう……もう二人はどうする?」
「さすがに遊び人だけじゃ戦えないよ。賢者はいないようだから……仕方がない。
僧侶と戦士をお願いします」
「了解。じゃあ、そこの椅子に座って待っていてね」
女将はそう言うと、薄暗い闇の奥へと去っていった。
僕は促された通り、ガラステーブルに備え付けられた椅子に座ると、
手持ちぶさただったので周囲を見渡してみる。
広間には転々とテーブルが置かれていて、どうやらその周囲に冒険者達が立っているらしい。
暗くてよく見えないけれど、シルエットからして全員女性のようだ。
それに、誰もがいかつい兜や鎧を装備しておらず、防御力があるのかも疑問な薄着を身につけていた。
こんな軽装備でも魔物を倒せるぐらい、レベルが高いのだろうか……?
そうは思うものの、当然シルエットを見るだけで推し量ることはできない。
ただ、そのシルエットは、女性らしい曲線を描いており、まだ未成年の僕には影だけでも刺激的で……
「お待たせ~。あら、ぼーっとしてどうしたの?」
「ひゃっ!」
突然、暗闇から女将が現れた。
僕は視線を彷徨わせながら、なんでもないです、と答えると、
女将はふ~ん、と鼻で笑ってから、後ろを手招きする。
「この三人なんてどうかしら?」
「どうも~、遊び人のルナマリアで~す」
一人は、ピンク色をしたショートヘアーの活発そうな女性。
遊び人だからバニーガール風の出で立ちかと思ったけれど、
軍服のように仕立てのいい上着にミニスカート、オーバーニーソックスにブーツという、
そこまで露出度が高い訳でもない恰好だった。
でも、ミニスカートとオーバーニーソックスの間に挟まれた、太ももの白さがまぶしくて、
その少ない露出がかえって刺激的に映る。
「戦士のレムネアです。よろしくお願いします」
その隣には、露出度の高いビキニ型鎧を着た銀髪の女性が、背をただして立っていた。
口調は礼儀正しく、顔立ちも気品があるのだが、
女性らしい曲線を描く肢体をあられもなく見せつける装備に、どこを見たらいいのかわからない。
透き通るような銀髪にメタリックなビキニ型鎧、そして露わになった肌――
――フェティッシュな出で立ちに、僕の心臓は早鐘を打ち始めていた。
「僧侶のシズネです。よろしくね」
最後に現れたのは、僧侶らしいオレンジの全身タイツに聖なるポンチョを身につけた青髪の女性だった。
三人の中でも背が高く頼もしいが、背丈だけでなく体つきも発育がよく、
タイツに包まれた乳房や臀部が窮屈そうだ。
とくに乳房の大きさは、まるでスイカをしたためているようで、目を見張るものがある。
「この三人でどう? この酒場の中でも逸材を揃えてきたつもりだけど……」
女将はそう言って僕の背に手を掛けると、三人の元へ引き寄せてくる。
ミニスカートにオーバーニーソックスがまぶしい、遊び人のルナマリア。
スレンダーながらも露出度の高い、戦士のレムネア。
豊満に過ぎる体つきを全身タイツに押し詰めた、僧侶のシズネ。
三人とも顔立ちは美しく、その三人ともが僕を値踏みするように見つめてくる。
「いきなり決めろっていうのも難しい話よねぇ?」
口をぱくぱくするしかなかった僕に代わって、ルナマリアが促してくる。
「とりあえず私たちとお話ししましょうよ」
「そうですね」レムネアが頷いた。「私たちも、貴方が本当に勇者なのか、まだ信じかねていますし」
「とりあえず、お互いリラックスしましょう」シズネはほがらかに笑う。
「お酒……は無理そうだから、まずはミルクでも頼みましょうか」
こうして、僕と三人の冒険者達は、薄暗い酒場の机をかこんでお話をすることになった。
女将からミルク(他の三人はお酒を注文したようだ)を受け取ると、早速三人を観察する。
ルナマリアは、遊び人らしく快活な女性らしい。
なんてことのない会話にも、積極的に参加してくる。
対してレムネアは生真面目な性格らしく、どんな話題にも真剣に応答してきた。
シズネは二人と違ってのんびりした性格のようで、
発言することも少なく、頷きながら静かにお酒をなめている。
ただし、共通して言えることは、三人ともが絶世の美女であるということだ。
前を見れば、うっすらと頬を赤らめながら笑うルナマリアが。
ガラステーブル越しに見える太ももは、定期的に組み替えられ、
スカートの奥の暗がりへと、ついつい目が行ってしまう。
右には、真剣に僕の目を見つめてくるレムネアが。
生真面目な性格なのに、身につけている鎧がビキニ型というギャップが、僕の胸中をざわつかせる。
左には、とろんとした目で僕を眺めてくるシズネが。
ちょっと動くだけでその縁から乳房のラインが露わになってしまうのだが、
時折それを直す仕草がかわいらしい。
「じゃあ、その鎧が伝説の鎧なんだぁ」ルナマリアはお酒のおかわりを注文しながら言う。
「思ったより軽そうなのね」
「私の鎧もそうだが、下手に重いととっさの動きが鈍る」
レムネアは自らの乳房を守る鎧に手を触れた。
その下でたわむ乳房に、僕はすぐさま目をそむけてしまう。
「精霊の加護を受けていれば、鎧の作りなど問題ではない」
「でも……問題は、鎧じゃないわよねぇ」シズネは笑顔のまま、僕の目をのぞき込んできた。
「鎧なんて誰でも身につけられるもの。問題は中身……魔物との戦いに絶えられるほど、
屈強に作られているか、よ。それを確認しない限り、君みたいな坊やが勇者だなんて信じられないわ」
「ど、どうすれば信じてくれるの?」
途端、彼女たちは目配せをしてくすくす笑い出した。
そこには明らかに、相手を馬鹿にするような声音が認められた。
「ふふ……簡単なことじゃない。ねぇ?」ルナマリアはそう言うと、聖なる鎧を指さして笑った。
「それを、ここで脱ぎなさいな」
「なっ――!」
何を言ってるんだ?
こんな、人が集まる酒場の中で脱ぐだなんて……!
「大丈夫よ、暗いんだから近づかないと見えないって」
……言われてみれば、確かに周囲の席に座っている人のシルエットはわかっても、
服装まではわからない。
でも、だからといってそんなこと……
「魔王を早く倒したいのでしょう?」レムネアは試すような上目遣いで見つめてくる。
「そのためならそれぐらい、構わないでしょう?」
「…………」
――僕は意を決すると、鎧の留め具を外す。
伝説の剣も腰のホルダーから外すと、インナーとブリーフだけの姿になる。
そんな僕を見て、今まで黙っていたシズネが目を細めた。
「ほら、それも脱いで」
「なっ……!」
「命を預け合う仲間になるんだから、隠し事は無しで……ね?」
「っ……!」
インナーを脱ぎ……そして、ブリーフを下ろす。
「あら!」ルナマリアが驚いたように口元へと手を当てる。「勃ってるの……?」
「半勃起でしょう?」レムネアはくすくすと笑った。「違うんですか?」
「どうやらこれで限界みたいですね」シズネさんに至っては明らかに嘲笑している。
「まるでウィンナーみたい!」
慌てて股間を隠すけれど、勃ってしまったモノは元に戻せない。
多くの人、何より美女達の前で裸になる――この異常な状況に、下半身が反応してしまったのだ。
しかし、彼女たちはそんな僕の態度なんて見ちゃいなかった。
女性が男のモノを見てしまったことには何も触れず、
ただ僕のモノののサイズが小さいことを笑っているのである。
彼女たちは僕のことを、まるで男として見ちゃいないのだ。
「ないないない! あんなの入れてもわかんないって!」
「まだ未成年だということを鑑みても、平均サイズを大きく下回っていますね」
「膨張してあのサイズじゃ、しぼんだら消えてなくなっちゃうんじゃないかしら?」
「アハハ! マジウケんだけど! あれで伝説の勇者だって! あんな祖チンの遺伝子残す価値ある?」
「伝説の勇者には違いありません。子種そのものに価値はあるでしょう。が……」
「男としての価値はゼロですよね~。あんなの毎晩押しつけられても、蚊に刺されたようなものですし」
「っ――!」
伝説の勇者として大陸ではもてはやされてきた僕にとって、今まで受けたことのない屈辱。
しかし、この酒場に僕を知る人や仲間はおらず、たった一人なのだ。
仲間を集めないといけない負い目もある以上、状況に流されるしかなかった。
「ねえ、なに隠してんの?」ルナマリアは眉根を寄せながら、強い口調で命令してくる。
「祖チンのくせに、いっちょまえに隠してんじゃねぇよ!」
「ご、ごめんなさい……」
僕は僕なりに意を決して、股間を隠していた手を取り払い……
「「「あはははははは!」」」
しかし彼女たちは、僕の決意なんて意に介さず大笑いする。
気配で、こちらに注目が集まっているのがわかる。
「あ、あの、声をもう少し小さくしてください……誰かに見られちゃうから……」
「貴方」レムネアは鼻で笑っていた。「自意識過剰なんじゃない?
そんな粗末なモノ、見たところで誰もなんとも思わないわよ」
「女湯に男の子が入っても悲鳴が上がらないのと同じよ」
シズネはそう言って、僕のモノをのぞき込むと、くすっ、と頬を膨らませて笑う。
いつしか僕は、素っ裸のまま美女にかこまれ、女々しく縮こまるようになっていた。
「ミルクのおかわりお待たせ~」
「あっ……!」
突如、闇から現れる女将。
彼女はガラス製の机ごしに僕のモノを見ると、ルナマリア達と同じように嘲笑してから、
ミルクを置いて去ってゆく。
「ほらね? 誰も、君のことを男としてなんて見ちゃいないのよ」
「そ、そんな……」
今まで積み重ねてきた勇者としての誇りが、徐々に溶けてゆくのがわかる。
僕は今、美しい女性の前で聖なる鎧を脱ぎ捨て、あろうことか勃起している変態なのだ――
――そう自覚するだけで心臓が高鳴ってゆく。
「それにしても窮屈そうね」ルナマリアはそう言って、ムッチリとした太ももを組み替える。
「可哀想だから、オナニーしてもいいわよ?」
「な、何を――っ!」
何を言ってるんだ! ――そう言いたかった。
でも、言葉が途中で詰まってしまう。
ルナマリアの唇からオナニーという言葉を聞いただけで、
大勢の女性の前でオナニーをする、自らのビジョンを思い浮かべてしまい、
僕のモノが反応してしまったからだ。
「あら、オチンチンは素直みたいね」
レムネアは、いつしか出会った当初に使っていた敬語を使わなくなっていた。
「勇者とは名ばかりの変態じゃない」
「期待してるんでしょう?」シズネは全身タイツに包まれた体を見せつけるように身を乗り出してくる。
「いいわよ、誰も何とも思わないからオナニーしちゃいなさい。私たちのことオナペットにしていいから」
そう言うと、彼女たちは僕との会話をやめて、世間話を始めた。
もはや僕はいないものとされているらしく、流行りの化粧品やファッションの話を続けている。
時折僕のほうを見ては、馬鹿にするように嘲笑を浮かべ、再び世間話に戻ってしまう。
狙っているのかそうでないのか……
……ルナマリアはミニスカートとオーバーニーソックスに包まれた脚を定期的に組み替え、
僕の目を困らせる。
レムネアは椅子の座り所を変えて、ほとんど露出された白い肌をぷるぷると震わせる。
シズネはお酒の入ったグラスを舐めながら、自然と当たる肘で、豊満な胸をひしゃげさせる。
それをただ眺めながら、僕は――いつしか股間に手を這わせていた。
「あ、出す時はこのグラスに入れてね」
そう言って、ルナマリアに空のグラスを手渡される。
僕は力なく頷いて、左手でグラスを握りながら、右手で自らのモノを擦り上げる。
「そういえばシズネ、この前変な冒険者に絡まれてたよね。何があったの?」
「ああ、あの人もこの坊やと同じ、大陸から来た人だったんです。でも仲間とはぐれたらしくて……」
「もしかしてあの気持ち悪い男のことですか? 私にも声かけてきましたが、臭かったので断りました」
「そうなのよ~。体臭がきついけど、どうしてもって聞かなくて。
仕方なくついて行ったら、宿屋でいきなり襲ってきて……」
「マジ! どうしたの?」
「蹴り倒しました」
「自業自得ですね。それで?」
「どうしても抜きたいんだ、ってうるさいから、仕方なく替えの全身タイツ渡したんです。
そしたら目の前で、タイツ使って短小チンポ擦りだしたんですよ」
「あ~僧侶の全身タイツが好きってフェチ、多いもんね~。
そんな男寄ってくるとか考えると、私絶対に僧侶に転職とか無理だわ~」
「もう気持ち悪くて。十万ゴールドでそのタイツを売って、帰ってきましたわ」
「あら、良いバイトじゃないですか」
「冗談! 着慣れたタイツが、あんな気持ち悪い男の精液まみれと考えるとおぞましいですわ」
「レムネアは? その鎧だと変なの寄ってくるんじゃないの?」
「ええ。つい先日も、町中でいきなり精液をかけられました」
「最低ですね」
「もちろん叩きのめしましたが……ボコボコにしているうちに、逆にその男が興奮してきたらしくて」
「いるいる! 私もバイトで踊り子してたら、変な男にストーカーされたりするけど、
そういう変態に限って、虐められて喜ぶマゾなのよね~」
「おぞましいので、顔に小便かけてやりました」
「あら、それじゃあ喜ぶだけじゃなくて?」
「そう言われればそうかもしれませんね……
……まったく、なんでこう、たくましい男って少ないのでしょう」
「あ、この前いい男見つけたよ!」
「羨ましい、どなたですの?」
「隣町のクラブに勤めるホスト。もーちょーオシャレだしお金持ちだし、体も筋肉質で、
チンポも膨張率すごくて……一晩で10回以上イカされちゃった」
「今度みんなで行ってみませんか?」
「賛成~!」
(ああ……まるで空気になったようだ……)
すでに三人にとって、僕はオブジェ以外の何物でもなかった。
ただ、ルナマリアの絶対領域や、レムネアの白い柔肌、シズネの窮屈そうにたわむ豊乳を眺め、
猿のようにオチンチンを擦る。
やがて――
「ううっ!」
――射精。
僕は空のグラスに、勢いよく精液を吐き出す。
「ん? イった?」
「射精だけは元気のようですね」
「え? まだ出るんですの? 溜まってたのね~」
数十秒かけて射精を終えると、ルナマリアは精液の入ったグラスを取り上げて、中身を確認する。
「さすが未成年の精液、濃厚ね」
「腐っても勇者の精液。好事家に売れば相当のものになるでしょう」
「年寄りにはショタコンも多いですしね」
「よし……マスター!」
はいはい、と現れた女将に、僕の精液の入ったグラスを手渡す。
「カシスオレンジ、精液割りをお願い」
少々お待ちを、と言って去ってゆく女将。
僕が混乱する間もなく、カシスオレンジを注いだ精液入りグラスが運ばれてくる。
濃紺に近いカシスジュースの中に、僕の吐き出した精液が気泡のように揺らめいていた。
「じゃあ私からいただくわね」
そう言って、ルナマリアはグラスを傾けて――
――喉を鳴らしながら、僕の精液入りのカシスオレンジを飲み込む。
「んっ……固っ。喉に引っかかるわ」
「そうか。では失礼して」
レムネアはグラスを受け取ると、同じく喉を鳴らして僕の精液入りカシスオレンジを飲み下してゆく。
「うむ……濃厚な香りは童貞ならではだな」
「じゃあ最後は私ね」
シズネは笑顔でグラスを手に取ると、一気に残りの精液入りカシスオレンジを飲み干す。
「ぷはっ……あ、私、嫌いじゃないかも」
「やっぱ精液割りは生きの良い絞りたてに限るわね~」
「じゃあ引き続きこのグラスに……え?」
三人の視線が僕に刺さる。
無意識。
無意識だったのだ。
ただ、僕は、僕自身の精液を美味しそうに飲み干す美女三人を前にして、我慢できなくて……
「――なに勝手にイッてんだよ!」
向かいの席に座るルナマリアに、突然腹を蹴りつけられる。
無様にも仰向けに倒れる僕。
三人だけでなく、酒場にいる人達全員の注目が集まる。
その中で、僕は……びゅくびゅくと、精液を中空へと吐き出していた。
「グラスに入れなきゃ店が汚れる……まったく、見境のない猿だな。何が正義の勇者だ」
「正義の勇者というより、精液ドピュー射、って感じ?」
「やだシズネ下品! あはははは!」
三人に、いや、酒場にいる人達全員に笑われながら、僕はただただ射精を続ける。
「お客さん、困ります」近づいてきた女将は不機嫌そうに僕を睨み付ける。
「床を汚して……あとで自分で舐めて掃除してくださいね」
「ふぁ、ふぁいぃ……」
もはや僕はまともな思考が出来なくなっていた。
ただ、目の前に現れる美女に促されるままに、痴態をさらけ出すことしか出来なかった……
●
――三ヶ月後。
「ふぅ、なんとか溜まったぞ」
僕は町に近い森で、比較的弱い魔物を倒しながら、コツコツとお金を貯めていた。
すでに僕は、大陸で手に入れた伝説の剣や鎧を手放し、安物の剣と鎧しか身につけていない。
いや、それどころか、薬草や毒消し草などの最低限の準備すらない。
すべて質に入れてしまったのだ。
もちろん、それにも理由がある――僕は興奮を隠せず、早足で酒場に向かう。
「あら、坊や……二週間ぶりぐらいかしら」
女将が僕を出迎えてくれる。
しかし、初めて入った時のように、すんなり入れては貰えない。
「はい、一万ゴールドね」
そう、あの酒場に入るには本来一万ゴールドもの大金が必要だったのだ。
初回に入れたのは、あくまで初回限定のサービスだったらしい。
そして僕は、そんな女将の術中にまんまとはまってしまったのである。
「ど、どうぞ、これを……」
僕は命からがら魔物を倒し、なんとか集めたなけなしの一万ゴールドを、惜しげもなく女将に渡す。
「うわ、汚い……今度から銀行で換金してから来てね」
「ごめんなさい! だから、早く……!」
「仕方ないわね。ほら、おいで……」
そして女将に連れられてきたのは……酒場の中央に作られた、円形のステージの上だった。
その周囲には、レムネアとシズネ、そしてルナマリアが立っている。
「あら、蛇口勇者君。また来たのね?」
「ちょうどいい。今日はショタコンの好事家が集まる日だからな」
「しっかり仕事してくださいね。失敗したら、酒場に入るためのお金を倍にしますわよ?」
「が、頑張ります!」
やがてイベントが始まる。
今日のイベントは「アルコール・精液割りサービス」だった。
「あら、こんなかわいい子の精液でお酒を楽しめるなんて……運がいいわ」
開始と同時に現れたのは、化粧の濃い三十代ぐらいのオバサンだった。
飽食らしい太めの体を、無理矢理ボディコンに押し込んだ、肉感的な女性。
しかし、その女性にチンポを握られるだけで、僕の脳内はピンク色に染まってしまう。
「ふぁああああああああああ!」
「あら、この蛇口、もう大きくなったわ。それにしてもこのサイズ……フフッ」
「短小でしょう? 私たちもこのサイズには笑っちゃって……」
「い~え。私は男臭いモノより、これぐらいかわいいサイズのほうが好みよ。
何より、こんなオバサンの手ですぐに感じてくれるなんて、嬉しいわ」
「この子は感じやすいのです。
初めて会った時も、勝手にオナニーをはじめて、連続で射精するぐらい早漏だったのですよ」
「早漏? ふふ、いよいよ私の好みだわ。
私は男児趣味だから、飼っている男の子達は全員、無理矢理オチンチンのサイズを小さく矯正して、
すぐイっちゃうように調教しているのよ。ま、声変わりしたらポイ捨てだけどね。
とんでもない早漏に育っちゃうから、貰い手も少なくて困っちゃうわ」
「そういえば、この子は大陸では勇者として、もてはやされていたんですって。
一応伝説の勇者しか使えない魔法なんかも使えるみたいですよ」
「ホントに? ねえ女将さん……この子、売ってもらえないかしら?」
「私たちにとっても、この子はお客さんの一人ですから、個人交渉でお願いします」
「じゃ、私のハンドテクで虜にしちゃおうかしら……」
「ひぎゃああああああああああああああああっ!」
――射精。
しかし、オバサンの手コキは止まらない。
「や、と、止めて……!」
「グラスの半分まで精液を出すまで、止めてあ・げ・な・い!」
「そ、そんにゃああああああああああ!」
射精、射精、また射精……
地獄のような天国の中で、僕は与えられる快楽に従順になってゆく……
「そういえば、また大陸から強い冒険者が来るって噂よ」
ルナマリアは女将と酒を交わしながら言う。
女将は邪悪に笑って答える。
「あら、じゃあまた手籠にしないとね……魔王を倒されたりしたら、こんな辺鄙な島に人が来なくなって、
お店を畳まざるをえないもの。そんなのゴメンだわ」
「マスターも悪ねぇ……普段は好事家向けの高級酒場のくせに、冒険者が来た時だけ宿屋に鞍替えして、
そのことごとくを性欲に溺れさせちゃうんだもの……私には真似できないわ」
「魔王を倒すのが人間の総意って訳じゃない――ただそれだけのことよ」
こうして、今夜も男の嬌声が地下の酒場に響き渡る。
追い出された男は、その快楽を再び味わうために財産を手放し、
なけなしのお金を手に酒場のドアをノックする……。
この営みは、魔王が倒されるその日まで止むことはないのだった。
勇者誘惑(その0.5)BADEND 蛇口勇者
「教会? 残念だったわね。ちょうどこの前神父様が魔物に殺されちゃったのよ」
うら若い宿屋の女将はさほど残念でもなさそうに、煙草を吸いながらそう答えた。
僕は戦慄し、しばらく言葉を失ってしまう。
「隣町にはあると思うけど……なにせ、ここは魔王城のある島にある数少ない人間の集落。
周囲を徘徊する魔物の強さも、大陸とは桁違いよ。
後ろの棺桶抱えてちゃ、一人での旅は危険じゃないかしら」
そう、ここは魔王城にほど近い町なのだ。
僕は仲間である戦士のジョー、僧侶のケイン、魔法使いのグエンと魔王討伐の旅をしていた。
しかし、いざ魔王城のある島に上陸した途端、
圧倒的な魔物の強さの前に、仲間達が倒れてしまったのである。
命からがら逃げ延びて、やっとたどり着いた町に、仲間達を復活させられる教会がなかった。
四人ですら敵わなかった魔物達に、僕一人で敵う訳がない。
「くそっ……どうすれば……」
「――ねえ、もしかして君は勇者様?」
宿屋の女将はそう言って、僕の顔をのぞき込んでくる。
よく見れば、まだ若く美しい女将……
……その胸元は、広く空いた襟口いっぱいに、豊満な女肉を強調していた。
絶望的な状況ながら、不謹慎にも女将の胸を凝視してしまう僕。
「あ、は、はい……でも、まだまだ未熟の身で……」
「そうねぇ。いくら大陸では活躍できたとしても、この島では通用するとは限らない。
多くの旅人がこの島で命を落としたわ」
「…………」
「でも、沈む必要はないわよ。
貴方が本当に勇者様なのだとしたら、この島でだって仲間になりたいって冒険者は大勢いるもの」
「え……?」
「つまり、新たな仲間を集えばいいのよ。
この島で鍛えられた、屈強な冒険者達を連れていけば、魔王討伐もはかどるに違いないわ」
「そ、そんなこと……!」
それはつまり、今まで旅をしてきた仲間達と別れるということ。
大陸であらゆる危機を乗り越えてきた仲間達を見捨てるだなんて……!
「わかってるでしょう? この島にいる魔物達は大陸とは訳が違うのよ。
そんな使えない奴らは放っておいて、もっと強い仲間を連れていかなきゃ」
そう言って、女将は僕の腕にしなだれかかってくる。
腕に感じる豊満な女将の乳房――そして、鼻先には女将の美しい、化粧に彩られた妖艶な笑顔があった。
「それに、この島にいる冒険者は、なぜだか女性が多いのよ。
それもとびっきりの美人ばかり……男臭い旅より刺激的になると思うわ」
女将の言うとおり、僕は今までずっと男性とパーティーを組んでいた。
旅立ちの時に女性の冒険者からも誘われたけど、女性との接し方がいまいちわからなかった僕は、
雑念を振り払う意味でもあえて男性を選んだのだ。
しかし、それに後悔がなかったかといえば嘘になる。
時折出会う女形の魔物に触れられて、心臓を高鳴らせたこともある。
魔の手から救った女性からお礼をさせてくれと言われた時、よこしまなことを考えたこともある。
確かにこの島の敵は今までとは全然違う。
苦労して仲間達を生き返らせたところで、またレベル上げをしなきゃいけないし、
その間にも魔王が世界征服を進めている。
何より、彼らは今戦闘不能になっているのだ。僕の行動を見ている訳ではない……だったら……
1・何を考えてるんだ僕は! なんとしてでも仲間を生き返らせる!
2・早く魔王を討伐するためには仕方がない。新たな仲間を集おう。
1・何を考えてるんだ僕は! なんとしてでも仲間を生き返らせる!
「いや、仲間達との絆は大切なので、なんとしてでも生き返らせます!」
僕は宿を出ると、町の人達に聞き込みをする。
すると、町の外れの教会に神父様がいることがわかった。
向かうと、神父様は怪我もなく元気で祈祷を唱えており、
聞いてみれば魔物に襲われたことなどここ最近無かった、とのこと。
宿屋の女将は、なんであんな嘘をついたのだろう?
仲間達を復活させた後、そう疑問は抱いたものの、再び宿屋を訪ねてみれば、
なぜか宿屋の看板が無くなっていた。
あの女将が一体何だったのか?
結局わからないままに、僕らは魔王城に一番近い町へと向かったのだった……
~勇者、誘惑(その1)決戦前夜の油断 に続く~
2・早く魔王を討伐するためには仕方がない。新たな仲間を集おう。
「さ、酒場はどこにあるんですか?」
女将に聞くと、彼女は二マリ、と怪しい笑みを浮かべて頷いた。
「この宿屋の地下よ。私が経営しているの」
「そうだったんですか」
「じゃあ、君の後ろにある棺桶は片付けておくわね」
「あ……!」
僕の反応も待たず、女将は棺桶の紐を握ると、宿屋の奥へと運んでいってしまった。
あっけないジョー、ケイン、グエンとの別れ……しかし、新たな仲間を集うと決めた以上仕方がない。
これも、一刻も早く魔王を倒すためなんだ。きっとわかってくれるさ……。
「さて、処理は終わったわ。早速酒場へ行きましょう!」
戻ってきた女将に連れられて宿屋の階段を下りる。
そこは夜半のように薄暗く、壁に等間隔でかけられた蝋燭だけが明かりの広間だった。
点々とガラステーブルが並んでおり、その周囲にそれぞれ人が集まっているようだ。
「さて、君はどんな子が好みなのかしら……?」
隣に立っていた女将は、そう言ってメニューを渡してくる。
それは、現在酒場で仲間を集っている冒険者達の名簿だった。
しかし、普通の名簿と違って、力や使える魔法などのステータスが書かれておらず、
そのかわりに身体的特徴が事細かに書かれている。
「しょ、職業はどこに書いてあるんですか?」
「スリーサイズの横よ……ほら、小さく書いてあるでしょう?」
「えっと……遊び人、戦士、遊び人、魔法使い、遊び人……遊び人ばかりじゃないですか!」
「あら、遊び人だって、大陸の下手な戦士なんかより全然強いわよ。
この島でスパルタ式に育てられた子なんだから」
遊び人は、一定の強さに達すると賢者の悟りを開くことができる。
しかし、賢者になるには転職するための神殿に行かねばならず、
僕はワープできる魔法を覚えていないため、また船に乗って大陸に戻らなきゃならない。
早く魔王を倒すために、新たな仲間を集おうとしているのだ。
これでは本末転倒だ。
「でも勇者様」女将は自然と僕の耳に口を寄せながら囁いてくる。
「勇者といえば、剣も魔法も使える戦闘のエキスパート。
貴方が強くなれば、仲間が全員遊び人でもフォロー出来るんじゃないかしら?
それに、遊び人はまともな武器を装備できないけど、そのかわりにいろんな防具を装備できるわ。
格式張った装備しかできない職業と違って、ね……」
その通り。遊び人は戦闘スキルはないが、その反面防具を選ばないというメリットがある。
それこそ、冒険の合間に手に入れて、道具袋の奥に隠しておいた、
網タイツやハイヒール、えっちな水着だって……
「……じゃあ、遊び人を一人」
「わかったわ。選りすぐりを一人連れてきましょう……もう二人はどうする?」
「さすがに遊び人だけじゃ戦えないよ。賢者はいないようだから……仕方がない。
僧侶と戦士をお願いします」
「了解。じゃあ、そこの椅子に座って待っていてね」
女将はそう言うと、薄暗い闇の奥へと去っていった。
僕は促された通り、ガラステーブルに備え付けられた椅子に座ると、
手持ちぶさただったので周囲を見渡してみる。
広間には転々とテーブルが置かれていて、どうやらその周囲に冒険者達が立っているらしい。
暗くてよく見えないけれど、シルエットからして全員女性のようだ。
それに、誰もがいかつい兜や鎧を装備しておらず、防御力があるのかも疑問な薄着を身につけていた。
こんな軽装備でも魔物を倒せるぐらい、レベルが高いのだろうか……?
そうは思うものの、当然シルエットを見るだけで推し量ることはできない。
ただ、そのシルエットは、女性らしい曲線を描いており、まだ未成年の僕には影だけでも刺激的で……
「お待たせ~。あら、ぼーっとしてどうしたの?」
「ひゃっ!」
突然、暗闇から女将が現れた。
僕は視線を彷徨わせながら、なんでもないです、と答えると、
女将はふ~ん、と鼻で笑ってから、後ろを手招きする。
「この三人なんてどうかしら?」
「どうも~、遊び人のルナマリアで~す」
一人は、ピンク色をしたショートヘアーの活発そうな女性。
遊び人だからバニーガール風の出で立ちかと思ったけれど、
軍服のように仕立てのいい上着にミニスカート、オーバーニーソックスにブーツという、
そこまで露出度が高い訳でもない恰好だった。
でも、ミニスカートとオーバーニーソックスの間に挟まれた、太ももの白さがまぶしくて、
その少ない露出がかえって刺激的に映る。
「戦士のレムネアです。よろしくお願いします」
その隣には、露出度の高いビキニ型鎧を着た銀髪の女性が、背をただして立っていた。
口調は礼儀正しく、顔立ちも気品があるのだが、
女性らしい曲線を描く肢体をあられもなく見せつける装備に、どこを見たらいいのかわからない。
透き通るような銀髪にメタリックなビキニ型鎧、そして露わになった肌――
――フェティッシュな出で立ちに、僕の心臓は早鐘を打ち始めていた。
「僧侶のシズネです。よろしくね」
最後に現れたのは、僧侶らしいオレンジの全身タイツに聖なるポンチョを身につけた青髪の女性だった。
三人の中でも背が高く頼もしいが、背丈だけでなく体つきも発育がよく、
タイツに包まれた乳房や臀部が窮屈そうだ。
とくに乳房の大きさは、まるでスイカをしたためているようで、目を見張るものがある。
「この三人でどう? この酒場の中でも逸材を揃えてきたつもりだけど……」
女将はそう言って僕の背に手を掛けると、三人の元へ引き寄せてくる。
ミニスカートにオーバーニーソックスがまぶしい、遊び人のルナマリア。
スレンダーながらも露出度の高い、戦士のレムネア。
豊満に過ぎる体つきを全身タイツに押し詰めた、僧侶のシズネ。
三人とも顔立ちは美しく、その三人ともが僕を値踏みするように見つめてくる。
「いきなり決めろっていうのも難しい話よねぇ?」
口をぱくぱくするしかなかった僕に代わって、ルナマリアが促してくる。
「とりあえず私たちとお話ししましょうよ」
「そうですね」レムネアが頷いた。「私たちも、貴方が本当に勇者なのか、まだ信じかねていますし」
「とりあえず、お互いリラックスしましょう」シズネはほがらかに笑う。
「お酒……は無理そうだから、まずはミルクでも頼みましょうか」
こうして、僕と三人の冒険者達は、薄暗い酒場の机をかこんでお話をすることになった。
女将からミルク(他の三人はお酒を注文したようだ)を受け取ると、早速三人を観察する。
ルナマリアは、遊び人らしく快活な女性らしい。
なんてことのない会話にも、積極的に参加してくる。
対してレムネアは生真面目な性格らしく、どんな話題にも真剣に応答してきた。
シズネは二人と違ってのんびりした性格のようで、
発言することも少なく、頷きながら静かにお酒をなめている。
ただし、共通して言えることは、三人ともが絶世の美女であるということだ。
前を見れば、うっすらと頬を赤らめながら笑うルナマリアが。
ガラステーブル越しに見える太ももは、定期的に組み替えられ、
スカートの奥の暗がりへと、ついつい目が行ってしまう。
右には、真剣に僕の目を見つめてくるレムネアが。
生真面目な性格なのに、身につけている鎧がビキニ型というギャップが、僕の胸中をざわつかせる。
左には、とろんとした目で僕を眺めてくるシズネが。
ちょっと動くだけでその縁から乳房のラインが露わになってしまうのだが、
時折それを直す仕草がかわいらしい。
「じゃあ、その鎧が伝説の鎧なんだぁ」ルナマリアはお酒のおかわりを注文しながら言う。
「思ったより軽そうなのね」
「私の鎧もそうだが、下手に重いととっさの動きが鈍る」
レムネアは自らの乳房を守る鎧に手を触れた。
その下でたわむ乳房に、僕はすぐさま目をそむけてしまう。
「精霊の加護を受けていれば、鎧の作りなど問題ではない」
「でも……問題は、鎧じゃないわよねぇ」シズネは笑顔のまま、僕の目をのぞき込んできた。
「鎧なんて誰でも身につけられるもの。問題は中身……魔物との戦いに絶えられるほど、
屈強に作られているか、よ。それを確認しない限り、君みたいな坊やが勇者だなんて信じられないわ」
「ど、どうすれば信じてくれるの?」
途端、彼女たちは目配せをしてくすくす笑い出した。
そこには明らかに、相手を馬鹿にするような声音が認められた。
「ふふ……簡単なことじゃない。ねぇ?」ルナマリアはそう言うと、聖なる鎧を指さして笑った。
「それを、ここで脱ぎなさいな」
「なっ――!」
何を言ってるんだ?
こんな、人が集まる酒場の中で脱ぐだなんて……!
「大丈夫よ、暗いんだから近づかないと見えないって」
……言われてみれば、確かに周囲の席に座っている人のシルエットはわかっても、
服装まではわからない。
でも、だからといってそんなこと……
「魔王を早く倒したいのでしょう?」レムネアは試すような上目遣いで見つめてくる。
「そのためならそれぐらい、構わないでしょう?」
「…………」
――僕は意を決すると、鎧の留め具を外す。
伝説の剣も腰のホルダーから外すと、インナーとブリーフだけの姿になる。
そんな僕を見て、今まで黙っていたシズネが目を細めた。
「ほら、それも脱いで」
「なっ……!」
「命を預け合う仲間になるんだから、隠し事は無しで……ね?」
「っ……!」
インナーを脱ぎ……そして、ブリーフを下ろす。
「あら!」ルナマリアが驚いたように口元へと手を当てる。「勃ってるの……?」
「半勃起でしょう?」レムネアはくすくすと笑った。「違うんですか?」
「どうやらこれで限界みたいですね」シズネさんに至っては明らかに嘲笑している。
「まるでウィンナーみたい!」
慌てて股間を隠すけれど、勃ってしまったモノは元に戻せない。
多くの人、何より美女達の前で裸になる――この異常な状況に、下半身が反応してしまったのだ。
しかし、彼女たちはそんな僕の態度なんて見ちゃいなかった。
女性が男のモノを見てしまったことには何も触れず、
ただ僕のモノののサイズが小さいことを笑っているのである。
彼女たちは僕のことを、まるで男として見ちゃいないのだ。
「ないないない! あんなの入れてもわかんないって!」
「まだ未成年だということを鑑みても、平均サイズを大きく下回っていますね」
「膨張してあのサイズじゃ、しぼんだら消えてなくなっちゃうんじゃないかしら?」
「アハハ! マジウケんだけど! あれで伝説の勇者だって! あんな祖チンの遺伝子残す価値ある?」
「伝説の勇者には違いありません。子種そのものに価値はあるでしょう。が……」
「男としての価値はゼロですよね~。あんなの毎晩押しつけられても、蚊に刺されたようなものですし」
「っ――!」
伝説の勇者として大陸ではもてはやされてきた僕にとって、今まで受けたことのない屈辱。
しかし、この酒場に僕を知る人や仲間はおらず、たった一人なのだ。
仲間を集めないといけない負い目もある以上、状況に流されるしかなかった。
「ねえ、なに隠してんの?」ルナマリアは眉根を寄せながら、強い口調で命令してくる。
「祖チンのくせに、いっちょまえに隠してんじゃねぇよ!」
「ご、ごめんなさい……」
僕は僕なりに意を決して、股間を隠していた手を取り払い……
「「「あはははははは!」」」
しかし彼女たちは、僕の決意なんて意に介さず大笑いする。
気配で、こちらに注目が集まっているのがわかる。
「あ、あの、声をもう少し小さくしてください……誰かに見られちゃうから……」
「貴方」レムネアは鼻で笑っていた。「自意識過剰なんじゃない?
そんな粗末なモノ、見たところで誰もなんとも思わないわよ」
「女湯に男の子が入っても悲鳴が上がらないのと同じよ」
シズネはそう言って、僕のモノをのぞき込むと、くすっ、と頬を膨らませて笑う。
いつしか僕は、素っ裸のまま美女にかこまれ、女々しく縮こまるようになっていた。
「ミルクのおかわりお待たせ~」
「あっ……!」
突如、闇から現れる女将。
彼女はガラス製の机ごしに僕のモノを見ると、ルナマリア達と同じように嘲笑してから、
ミルクを置いて去ってゆく。
「ほらね? 誰も、君のことを男としてなんて見ちゃいないのよ」
「そ、そんな……」
今まで積み重ねてきた勇者としての誇りが、徐々に溶けてゆくのがわかる。
僕は今、美しい女性の前で聖なる鎧を脱ぎ捨て、あろうことか勃起している変態なのだ――
――そう自覚するだけで心臓が高鳴ってゆく。
「それにしても窮屈そうね」ルナマリアはそう言って、ムッチリとした太ももを組み替える。
「可哀想だから、オナニーしてもいいわよ?」
「な、何を――っ!」
何を言ってるんだ! ――そう言いたかった。
でも、言葉が途中で詰まってしまう。
ルナマリアの唇からオナニーという言葉を聞いただけで、
大勢の女性の前でオナニーをする、自らのビジョンを思い浮かべてしまい、
僕のモノが反応してしまったからだ。
「あら、オチンチンは素直みたいね」
レムネアは、いつしか出会った当初に使っていた敬語を使わなくなっていた。
「勇者とは名ばかりの変態じゃない」
「期待してるんでしょう?」シズネは全身タイツに包まれた体を見せつけるように身を乗り出してくる。
「いいわよ、誰も何とも思わないからオナニーしちゃいなさい。私たちのことオナペットにしていいから」
そう言うと、彼女たちは僕との会話をやめて、世間話を始めた。
もはや僕はいないものとされているらしく、流行りの化粧品やファッションの話を続けている。
時折僕のほうを見ては、馬鹿にするように嘲笑を浮かべ、再び世間話に戻ってしまう。
狙っているのかそうでないのか……
……ルナマリアはミニスカートとオーバーニーソックスに包まれた脚を定期的に組み替え、
僕の目を困らせる。
レムネアは椅子の座り所を変えて、ほとんど露出された白い肌をぷるぷると震わせる。
シズネはお酒の入ったグラスを舐めながら、自然と当たる肘で、豊満な胸をひしゃげさせる。
それをただ眺めながら、僕は――いつしか股間に手を這わせていた。
「あ、出す時はこのグラスに入れてね」
そう言って、ルナマリアに空のグラスを手渡される。
僕は力なく頷いて、左手でグラスを握りながら、右手で自らのモノを擦り上げる。
「そういえばシズネ、この前変な冒険者に絡まれてたよね。何があったの?」
「ああ、あの人もこの坊やと同じ、大陸から来た人だったんです。でも仲間とはぐれたらしくて……」
「もしかしてあの気持ち悪い男のことですか? 私にも声かけてきましたが、臭かったので断りました」
「そうなのよ~。体臭がきついけど、どうしてもって聞かなくて。
仕方なくついて行ったら、宿屋でいきなり襲ってきて……」
「マジ! どうしたの?」
「蹴り倒しました」
「自業自得ですね。それで?」
「どうしても抜きたいんだ、ってうるさいから、仕方なく替えの全身タイツ渡したんです。
そしたら目の前で、タイツ使って短小チンポ擦りだしたんですよ」
「あ~僧侶の全身タイツが好きってフェチ、多いもんね~。
そんな男寄ってくるとか考えると、私絶対に僧侶に転職とか無理だわ~」
「もう気持ち悪くて。十万ゴールドでそのタイツを売って、帰ってきましたわ」
「あら、良いバイトじゃないですか」
「冗談! 着慣れたタイツが、あんな気持ち悪い男の精液まみれと考えるとおぞましいですわ」
「レムネアは? その鎧だと変なの寄ってくるんじゃないの?」
「ええ。つい先日も、町中でいきなり精液をかけられました」
「最低ですね」
「もちろん叩きのめしましたが……ボコボコにしているうちに、逆にその男が興奮してきたらしくて」
「いるいる! 私もバイトで踊り子してたら、変な男にストーカーされたりするけど、
そういう変態に限って、虐められて喜ぶマゾなのよね~」
「おぞましいので、顔に小便かけてやりました」
「あら、それじゃあ喜ぶだけじゃなくて?」
「そう言われればそうかもしれませんね……
……まったく、なんでこう、たくましい男って少ないのでしょう」
「あ、この前いい男見つけたよ!」
「羨ましい、どなたですの?」
「隣町のクラブに勤めるホスト。もーちょーオシャレだしお金持ちだし、体も筋肉質で、
チンポも膨張率すごくて……一晩で10回以上イカされちゃった」
「今度みんなで行ってみませんか?」
「賛成~!」
(ああ……まるで空気になったようだ……)
すでに三人にとって、僕はオブジェ以外の何物でもなかった。
ただ、ルナマリアの絶対領域や、レムネアの白い柔肌、シズネの窮屈そうにたわむ豊乳を眺め、
猿のようにオチンチンを擦る。
やがて――
「ううっ!」
――射精。
僕は空のグラスに、勢いよく精液を吐き出す。
「ん? イった?」
「射精だけは元気のようですね」
「え? まだ出るんですの? 溜まってたのね~」
数十秒かけて射精を終えると、ルナマリアは精液の入ったグラスを取り上げて、中身を確認する。
「さすが未成年の精液、濃厚ね」
「腐っても勇者の精液。好事家に売れば相当のものになるでしょう」
「年寄りにはショタコンも多いですしね」
「よし……マスター!」
はいはい、と現れた女将に、僕の精液の入ったグラスを手渡す。
「カシスオレンジ、精液割りをお願い」
少々お待ちを、と言って去ってゆく女将。
僕が混乱する間もなく、カシスオレンジを注いだ精液入りグラスが運ばれてくる。
濃紺に近いカシスジュースの中に、僕の吐き出した精液が気泡のように揺らめいていた。
「じゃあ私からいただくわね」
そう言って、ルナマリアはグラスを傾けて――
――喉を鳴らしながら、僕の精液入りのカシスオレンジを飲み込む。
「んっ……固っ。喉に引っかかるわ」
「そうか。では失礼して」
レムネアはグラスを受け取ると、同じく喉を鳴らして僕の精液入りカシスオレンジを飲み下してゆく。
「うむ……濃厚な香りは童貞ならではだな」
「じゃあ最後は私ね」
シズネは笑顔でグラスを手に取ると、一気に残りの精液入りカシスオレンジを飲み干す。
「ぷはっ……あ、私、嫌いじゃないかも」
「やっぱ精液割りは生きの良い絞りたてに限るわね~」
「じゃあ引き続きこのグラスに……え?」
三人の視線が僕に刺さる。
無意識。
無意識だったのだ。
ただ、僕は、僕自身の精液を美味しそうに飲み干す美女三人を前にして、我慢できなくて……
「――なに勝手にイッてんだよ!」
向かいの席に座るルナマリアに、突然腹を蹴りつけられる。
無様にも仰向けに倒れる僕。
三人だけでなく、酒場にいる人達全員の注目が集まる。
その中で、僕は……びゅくびゅくと、精液を中空へと吐き出していた。
「グラスに入れなきゃ店が汚れる……まったく、見境のない猿だな。何が正義の勇者だ」
「正義の勇者というより、精液ドピュー射、って感じ?」
「やだシズネ下品! あはははは!」
三人に、いや、酒場にいる人達全員に笑われながら、僕はただただ射精を続ける。
「お客さん、困ります」近づいてきた女将は不機嫌そうに僕を睨み付ける。
「床を汚して……あとで自分で舐めて掃除してくださいね」
「ふぁ、ふぁいぃ……」
もはや僕はまともな思考が出来なくなっていた。
ただ、目の前に現れる美女に促されるままに、痴態をさらけ出すことしか出来なかった……
●
――三ヶ月後。
「ふぅ、なんとか溜まったぞ」
僕は町に近い森で、比較的弱い魔物を倒しながら、コツコツとお金を貯めていた。
すでに僕は、大陸で手に入れた伝説の剣や鎧を手放し、安物の剣と鎧しか身につけていない。
いや、それどころか、薬草や毒消し草などの最低限の準備すらない。
すべて質に入れてしまったのだ。
もちろん、それにも理由がある――僕は興奮を隠せず、早足で酒場に向かう。
「あら、坊や……二週間ぶりぐらいかしら」
女将が僕を出迎えてくれる。
しかし、初めて入った時のように、すんなり入れては貰えない。
「はい、一万ゴールドね」
そう、あの酒場に入るには本来一万ゴールドもの大金が必要だったのだ。
初回に入れたのは、あくまで初回限定のサービスだったらしい。
そして僕は、そんな女将の術中にまんまとはまってしまったのである。
「ど、どうぞ、これを……」
僕は命からがら魔物を倒し、なんとか集めたなけなしの一万ゴールドを、惜しげもなく女将に渡す。
「うわ、汚い……今度から銀行で換金してから来てね」
「ごめんなさい! だから、早く……!」
「仕方ないわね。ほら、おいで……」
そして女将に連れられてきたのは……酒場の中央に作られた、円形のステージの上だった。
その周囲には、レムネアとシズネ、そしてルナマリアが立っている。
「あら、蛇口勇者君。また来たのね?」
「ちょうどいい。今日はショタコンの好事家が集まる日だからな」
「しっかり仕事してくださいね。失敗したら、酒場に入るためのお金を倍にしますわよ?」
「が、頑張ります!」
やがてイベントが始まる。
今日のイベントは「アルコール・精液割りサービス」だった。
「あら、こんなかわいい子の精液でお酒を楽しめるなんて……運がいいわ」
開始と同時に現れたのは、化粧の濃い三十代ぐらいのオバサンだった。
飽食らしい太めの体を、無理矢理ボディコンに押し込んだ、肉感的な女性。
しかし、その女性にチンポを握られるだけで、僕の脳内はピンク色に染まってしまう。
「ふぁああああああああああ!」
「あら、この蛇口、もう大きくなったわ。それにしてもこのサイズ……フフッ」
「短小でしょう? 私たちもこのサイズには笑っちゃって……」
「い~え。私は男臭いモノより、これぐらいかわいいサイズのほうが好みよ。
何より、こんなオバサンの手ですぐに感じてくれるなんて、嬉しいわ」
「この子は感じやすいのです。
初めて会った時も、勝手にオナニーをはじめて、連続で射精するぐらい早漏だったのですよ」
「早漏? ふふ、いよいよ私の好みだわ。
私は男児趣味だから、飼っている男の子達は全員、無理矢理オチンチンのサイズを小さく矯正して、
すぐイっちゃうように調教しているのよ。ま、声変わりしたらポイ捨てだけどね。
とんでもない早漏に育っちゃうから、貰い手も少なくて困っちゃうわ」
「そういえば、この子は大陸では勇者として、もてはやされていたんですって。
一応伝説の勇者しか使えない魔法なんかも使えるみたいですよ」
「ホントに? ねえ女将さん……この子、売ってもらえないかしら?」
「私たちにとっても、この子はお客さんの一人ですから、個人交渉でお願いします」
「じゃ、私のハンドテクで虜にしちゃおうかしら……」
「ひぎゃああああああああああああああああっ!」
――射精。
しかし、オバサンの手コキは止まらない。
「や、と、止めて……!」
「グラスの半分まで精液を出すまで、止めてあ・げ・な・い!」
「そ、そんにゃああああああああああ!」
射精、射精、また射精……
地獄のような天国の中で、僕は与えられる快楽に従順になってゆく……
「そういえば、また大陸から強い冒険者が来るって噂よ」
ルナマリアは女将と酒を交わしながら言う。
女将は邪悪に笑って答える。
「あら、じゃあまた手籠にしないとね……魔王を倒されたりしたら、こんな辺鄙な島に人が来なくなって、
お店を畳まざるをえないもの。そんなのゴメンだわ」
「マスターも悪ねぇ……普段は好事家向けの高級酒場のくせに、冒険者が来た時だけ宿屋に鞍替えして、
そのことごとくを性欲に溺れさせちゃうんだもの……私には真似できないわ」
「魔王を倒すのが人間の総意って訳じゃない――ただそれだけのことよ」
こうして、今夜も男の嬌声が地下の酒場に響き渡る。
追い出された男は、その快楽を再び味わうために財産を手放し、
なけなしのお金を手に酒場のドアをノックする……。
この営みは、魔王が倒されるその日まで止むことはないのだった。
勇者誘惑(その8)女格闘家カスミ、籠絡
・18禁注意
勇者誘惑(その8)女格闘家カスミ、籠絡
遙か古来より、猛威を振るう魔王に抗い続けた二人の人間がいる。
勇者と賢者――それぞれの家系は代々手を取り合い、魔王の脅威を打ち払い続けた。
退治しても退治しても、数年ごとに復活する魔王。
それは、魔王が殺されるたびに魔界の中で、
魔王にふさわしい最強の魔物を決めるべく内部抗争が行われていたからで、
魔王が決まるや否や、魔物は魔王により統率され、人間界を襲いにかかる。
それを勇者と賢者が退治し、再び魔界で内部抗争が起こり、魔王に統率されるや否や、
改めて勇者と賢者が退治し――その繰り返しが続く中。
そんな歴史に終止符を打った出来事――それは、勇者と賢者が仲違いしたことであった。
◆
『女の子を連れて行くなんて、無理だよ』
懐かしい声が聞こえる。
あたしは彼に追いすがるけれど、彼はそれを払って、安心を誘うように笑う。
『僕一人で大丈夫だから。マリアはそこにいて』
馬鹿。そうじゃない。そうじゃないでしょ。
それは、代々続く家系の伝統だとか、病弱なあたしに対する優しさだとか、
そういうことじゃ、まるでない。
格好つけたいだけじゃない。自分勝手なワガママじゃない。
そう言ってる自分に酔ってるだけじゃない。
勝手にあたしを残して行って、勝手に冒険して、勝手に消息を絶って。
本当に、アンタは――――
「――アちゃん。マリアちゃん!」
――目を覚ます。
そこは宿屋のベッド。
視界一杯に広がるのは、上衣の襟をはち切らんとする大きなオッパイ。
「カスミ――起きたから、その腹立たしい胸を下げなさい」
「腹立たしいって……仕方ないでしょ、もう」
呆れた、と溜息をつくカスミ。
身を包むのは、一枚の布でできた着物。
普通は全身を覆うデザインらしいけれど、カスミが着ているのは胸や肩、
腰や脚を大きく露出させるデザイン。
あたしが着るには恥ずかしすぎるデザインだけれど、カスミにとっては一番動きやすい服装だそうだ。
というのも、カスミはJAPANという島国で育てられた「クノイチ」と呼ばれる暗殺者の末裔で、
この服装はクノイチにとって正装とも呼べるものらしい。
秘伝の暗殺技術を幼少の頃より教えられたカスミは、今やJAPAN、
いや人間界でも随一の格闘家なのだ。
胸は95センチもありながら、ウェストが細いために胸が一層強調されている。
格闘家として鍛えているだけはあり、胸は垂れることもなく釣り鐘型を保っていて、
着物の裾から溢れるお尻は、女の私が見ていても引き込まれちゃいそうなぐらい大きい。
その発育の良さは、農耕民族のJAPAN住民離れしていて、体格自体は狩猟民族である大陸住民寄りだ。
逆に、その大陸産まれのあたし、マリアこそ、JAPAN住民寄りの体格。
昔病弱だったこともあって、体は細く、胸も控えめ、カスミには到底及ばない。
お尻も子供みたいに小さいし、こんな体格でカスミと同じ十七歳だとは、自分でも信じたくないものだ。
「そろそろ時間よ!」
カスミはそんなあたしのコンプレックスに全然気づかないで、
腰に手を当て大きな胸を張りながら起床を促す。
「今日はいよいよ魔王城に入ろうっていうんだから、朝からきちんとご飯食べないと」
「うん、わかってる……」と言って立ち上がろうとするあたし――
――しかし、お腹に嫌な予感を感じる。「あ――」
「どうしたの?」
口元に人差し指をあてて首をかしげるカスミ。
そんなダイナマイトボディで、大きな瞳を丸くして、そんな仕草するのは色々アレだと思うわよ、
と言いたくても言えない。
脂汗が全身から噴き出る。息が浅い。目眩がする。
「あ~、ごめん、今日みたい――アレの日」
「アレ? ……う、嘘! こんなタイミングで……」
「仕方ないでしょ! 女として産まれた以上……あ~……たたたたたたたぁ……」
お腹を押さえながらベッドに倒れ込むあたし。
道具袋からメンス用品を出していると、カスミが大きく溜息をついた。
「もう……じゃあ、魔王城に行くのは明日ね」
「うう……ゴメン、宿屋代払っておいて」
そう言って蒲団にうずくまる私。
お大事にね、と出て行くカスミ。
あたしは微かな頭痛の中、何故か子供の頃を思い出す。
『なんでアンタが勇者なのよ! 勇者って、名前がズルいわ!』
『ズルいって……いいじゃない。賢者だってカッコいいよ』
『勇者のほうが主人公っぽいじゃない。駄目。勇者はあたしがもらうから!』
『そういう問題じゃないと思うけど……』
五歳頃の過去。
『稲妻の魔法、あたしにも教えなさいよ』
『え? だって、稲妻は勇者にしか……』
『そんなの、やってみないとわかんないでしょ!』
『うう、わかったよぉ……』
十歳頃の過去。
『マリア、どうして昔から僕につっかかってくるのさ?』
『べ、別につっかかってなんかいないでしょ!』
『もう疲れたんだよ。それに、魔王が復活するらしいじゃないか。そろそろ修行に集中したいんだ』
『――勝手にすればいいじゃない!』
十五歳、ほんの二年前の過去。
『女の子を連れて行くなんて、無理だよ』
そして、一年前。
一体、何が間違ってしまったんだろう。
ただ、あたしは、唯一の友達にかまってほしかっただけなのに。
病弱だったあたしを毎日見舞いに来てくれた、幼馴染みと仲良くなりたかっただけなのに。
どうして離ればなれになってしまったんだろう。
『僕一人で大丈夫だから。マリアはそこにいて』
ああ――そう、それは、確かにアイツの自分勝手なワガママで。
周囲の反対も押し切ってでも旅に出た、アイツの自己中心的な行動であって。
でも、その原因を作ったのは――どう考えても、あたしじゃないか。
あたしが素直じゃなかったから、こうなってしまったんじゃないか。
結局、あたしのワガママが、アイツを消息不明にまで追い込んでしまったんだ。
あたしが悪いんだ――。
「――ううううううぅ……ぅうううううううううぅっ……!」
陽光から逃げるように蒲団をかぶって、あたしは痛みに耐える。
体の奥底からわき起こる痛みに、ただただ耐える――。
◆
「――どうしよう。いきなりお休みになっちゃった」
カスミは一人町を歩きながら独りごちる。
様々な苦難を乗り越え、いざ魔王城に乗り込もうとしたら、
相方が生理で一日休みだなんて、まるで双六のようじゃないか。
暇を持て余す――訳にはいかない。
日々の修練を一日でも怠れば、いざという時に実力を発揮できない、
あるいはできないかもしれないという憂いを残す。
それを避けるため、カスミは一人町を出る。
途端、現れる魔物。相撲レスラーのような体格で、棍棒を持つトロール。
ここは魔界への入り口に近く、現れる魔物も強敵揃いだ。
しかし、カスミは構わずトロールに走り寄る。
振り下ろされる棍棒を紙一重で避け、顎に掌底、浮いた体に回し蹴り、転んだその腹に踵落とし、一本。
カスミはJAPANという島国随一のクノイチ、格闘技術においては世界最強と言っていい。
もはや雑魚敵に手間取るレベルではない。
「こんな私を選ばなかった勇者も勇者よね……ま、言ってもはじまらないけどさ」
魔物を倒しながら、森の奥へと進むカスミ。
傷一つなく、森を突き進むうちに――トロールに襲われている人間を発見した。
「や、やめろ……うああああああああああっ!」
その人間は十二、三歳だろうか。
流れる金髪、憂いのある二重、長い睫毛に華奢な肢体――
――それは世界中を旅してきたカスミとて見たこともない、美しい少年だった。
今まで男性に興味を持たないようにしていたカスミにとっても、男臭さのない耽美さも手伝って、
彼は魅力的な男性に見えた。
そんな少年が、トロールの前で両肩を両手で抱えながら震えている。
「た、助けて……僕はただ薬草を採りに来ただけで……」
(助けなきゃ……!?)
そう思い、動こうとした矢先、その少年が下半身裸なのに気付き、赤面して硬直してしまうカスミ。
どうして裸なのかはわからないけれど、彼はその細く華奢な脚やお尻を露わにしながら座っている。
もし助けたとしても、彼にどんな視線を向ければいいのかわからない……
……そんな子供じみた躊躇を覚えていると、
「ふ、ふあああああああああああああ!」
「!?」
彼が新たな悲鳴を上げる。
見れば、彼の下半身にアメーバ状の何かがまとわりついていた。
スライム――こんな魔界の手前ではなかなか見られない低級魔物だ。
そのスライムに下半身を浸食されているのだ。
「や、やあ! オチンチンこすっちゃ駄目! 駄目だよぉ! 気持ちよくなっちゃうよぉ!」
(な、なんなの……この状況は……!)
カスミは混乱していた。
それは、何故かスライムに犯されている少年に対しての混乱でもあったし、
魔物に襲われている少年を助けに動けない自分自身に対する混乱でもあった。
「駄目ぇ! お尻の穴なんて……あああああああああああ!」
(そんな、お尻の穴まで!?
あんなかわいい子が、スライムに、そんなところまで食べられてるなんて……!)
気づけば、体が火照ってきていた。
それは戦いの最中の火照りとは質が違う。
脳からではなく、もっと奥底――お腹の奥からわき上がる火照り。
その火照りは頭をぼーっとさせ、カスミの注意力を散漫にさせてゆく。
もじもじと体を揺らしながら、ぽーっと彼の嬌態を眺めていると――突然、背中から押し倒された。
「――――!」
不覚――カスミが思うものの、もう遅い。
後ろから忍び込んできていたトロールによって羽交い締めにされたカスミは、両手を後ろで縛られた。
「ダレダ……?」
その騒動に、少年をいたぶっていたトロールも気づく。
つたない人間語を話しながらこちらに歩み寄ってくるトロールに、カスミを捉えたトロールが答える。
「コイツ、ノゾイテイタ……ハツジョウ、シテイル」
「なっ――!?」
そんな訳ない!
と反論も許されないまま、カスミはトロールに抱えられ、少年と向かい合って座らされる。
途端、スライムにしゃぶられている少年の股間が丸見えになって、
いよいよカスミは顔を真っ赤にしてしまう。
「フフ……コノフタリ、モチカエッテ、タップリ、オカソウ……」
(犯すって……そ、そんな! 魔王を前にして、こんなところで捕まってしまうだなんて!)
逃げようとするが、さすがのカスミの力でも縄を解くことができない。
であれば――カスミは座った姿勢から、勢いをつけて跳ね上がると、回転して回し蹴りを放つ。
後ろのトロールの顎に直撃して、倒れ込むトロール。
驚いているもう一匹のトロールへ、再び回転蹴りを放つ――が。
「ガアアアアアアアアアアッ!」
「な――きゃあああっ!」
倒したと思っていたトロールが、倒れながらも軸足を掴んできた。
外れるキック――その足首を掴まれてしまう。
「クッ……テマドラセヤガッテ!」
「ハガ、クダケタ……コイツ、ユルセナイ!」
(なんてこと! もっと時間を置くべきだった――)
両足首を掴まれ、屈辱にもショーツを露わにしながらわななくカスミ。
そう、こちらが格闘家と知られていない以上、
もっと状況を把握してから反逆すべきだったのだ――しかし冷静な判断が出来なかった。
それは、少年の淫らな姿を見てしまったからに他ならない……気持ちが急いていた。
こんな浮ついた気持ちでは、しくじるのも当然だ。
「マタ、アバレラレル、ワケニハ、イカナイ……アレヲ、イレテオコウ」
「ソウダナ……」
そう言ってトロールが腰巻きから取り出したのは――釣り針のような形の何か。
(な、なに、これ……?)
目をこらして見れば……それは微かに蠢いていた。
それは小さなミミズだった。
「ひっ――!」
「イイメダ……キョウフ、シテイル」
トロールはそう言って下品な笑い声を上げると、ミミズをカスミに近づけてくる。
(入れておくって……あれを食べさせられるの? 嫌!)
首を振って嫌々をするものの、トロールの手は止まらない。
そのミミズはどんどんカスミに近づいてきて――それは何故か、カスミの股間に向かっていた。
「コレヲ、イレラレルト、アルモノガ、ホシクナル」
「ソウナルト、モウ、サカラエナイ……」
「ど、どこに入れようと……」
「シキュウ、ダ」
「――――!?」
驚く間もなく――ショーツをずらされて、薄毛の縁取る膣へ、トロールの指が食い込んだ。
「――いやあああああああああああああああああああっ!」
「? ……ナンダ、ショジョマクガ、ナイゾ」
「シカシ、ヌレテイナイ……ドウイウコトダ?」
カスミは膣内をトロールの太い指でこねくり回されるのを必死で我慢する。
確かに、カスミはすでに処女を失っている。
しかし、それは男性経験によるものではなく、
クノイチの房中術を覚える課程で、師匠に木刀でもって裂かれただけで、
その痛みのためにカスミは房中術を学ぶことを断固拒否した。
そのため、処女膜はなくとも男に慣れてはおらず、膣内を濡らす術すら知らないのだ。
「マア、イイ……ホラ、メシノ、ジカンダ」
そう言ってトロールは指を引き抜く――その指先に、ミミズはいなかった。
カスミはそれを見て不思議に思うが、すぐにミミズの行方が知れた――。
「ひ――ひいっ! お、お腹に上がってくる、なにかが上がってくるぅ!」
うねうねとのたうちながら、しかし膣の奥へ奥へとせり上がってくる何か。
それこそがトロールの持っていたミミズなのだ――
――やがて、それはお腹の中央、子宮のあたりで動きを止めた。
「ソノミミズハ、メスノ、タイエキヲ、エサトスル」トロールは饒舌に語る。
「ソレヲ、キュウシュウスルカワリニ、アルエキタイヲ、フキダス……
……ソレハ、キセイシタ、メスノカラダヲ、カイゾウスル」
(改造……?)
「カイゾウハ、ジョジョニススミ……ヤガテ、ソノメスハ、オスノタイエキヲ、モトメルヨウニナル。
ドンナコトヲシテデモ、ナ」
雄の体液を求めるようになる――どんなことをしてでも。
カスミにはその内容が理解できなかったが、
どうやら魔物によって体をいいように操られてしまう、ということらしい。
確かに、ミミズが体内に入ってから、どうも体に力が入らない――
――トロールに手を離されるが、反抗する気力がわかず、
スライムに犯されている少年の前でくずおれてしまう。
「フタリトモ、タスカリタイカ?」
地面に平伏しているカスミと少年を見て、トロールは聞く。
当たり前よ、と答えようとするも、体が熱くてうまく体をコントロールできない。
「あ……当たり前だよ!」
そんなカスミの気持ちを、少年は喘ぎながらも代弁する。
「ソウカ」トロールはその少年の言葉にニヤリと意地悪く笑んだ。
「ナラ、カタホウダケ、ニガシテヤロウ」
片方――ということは、二人の内どちらかは町に戻ることが許されるらしい。
となれば、少年を帰すという選択肢しかない。
カスミはこれでも世界随一の格闘家だし、隙を見て逃げ出すことも出来る。
こんなひ弱な少年を魔物に引き渡す訳にはいかない。
「じゃあ……」カスミは喉の力を振り絞って言う。「少年を先に返して!」
「だ、駄目だよ!」途端、少年は反論する。「女の子の貴女が先だ!」
「女の子って、私は……」そこで言いよどむ。
魔王打倒をもくろむ格闘家であることが知られる訳にはいかない。
「……とにかく、キミが先に逃げるのよ!」
「そんなの駄目だよ! 貴女みたいな綺麗な女性を置いて、逃げる訳にはいかないよ!」
綺麗な女性、と臆面もなく言われて、こんな状況だというのに胸を高鳴らせるカスミ。
ああ、こんなかわいい男の子が、スライムに下半身を犯されながら、
それでも私をかばおうとしている――そう思うだけで、なんともいえない思いがわき起こってくる。
しかし、トロールはそんな空気を鼻で笑い飛ばすと、涎を唇の端から垂らしながら邪悪に笑った。
「デハ、バトルファックヲシロ」
「バトルファック……?」
「バトルファック……セックスノショウブダヨ」
「「――――!?」」
言葉をなくすカスミ達に構わず、トロールはバトルファックのルールの説明を始める。
お互いが相手を愛撫し、先にイったほうの負け。
イったほうが逃げることを許され、イカせたほうを魔物の根城に連れ去る。
つまり、相手を逃がすには、その相手をイカせなければならないのだ。
(――魔物の根城、ということは、魔王城?)
呆然としながらも、冒険者としての意識を働かせるカスミ。
(だとしたら、なおさら少年を守らないと……
……それに、私だけでもうまく入り込めば、魔王を倒せるチャンスが出来るかも知れない)
(この勝負……負ける訳にはいかない)
トロール達が、ハジメ! とBF開始の合図をする。
カスミは間髪おかずに、少年へと四つんばいで近づく。
「お、お姉ちゃん!?」
「お姉ちゃんじゃない。私はカスミよ……キミは?」
「ぼ、僕はツバサ……あ、スライムが……」
トロールの指示だろうか、スライムが少年……ツバサの下半身から離れた。
スライムの体液によってヌメヌメになったツバサの下半身。
毛一本生えていない細い足に、皮をかぶった男のモノ。
それはよく見れば結構なサイズで、陰毛も生えていない体から生えていると思うと、
なんとも言えないいやらしさがあった。
「じっと、してて……」
「え? ――ふぁああ!」
後じさって逃げようとするツバサの腰を掴むと、男のモノに舌を伸ばす。
房中術を学ばなかったカスミとて、人並みの性の知識はあった……
……男のモノは、刺激を与えることで気持ちよくなるはず。
皮に包まれたモノの先端には、ピンク色のお肉がぷっくりと顔を覗かせていた。
そのお肉の中央、鈴口に舌先をあてると、中に入り込むようにグリグリと舌をうごめかす。
「ふぁああああああああああ!」少年は愛らしい嬌声を上げる。
「だ、駄目だよぉ! オチンチンの中ニュルニュル入っちゃ駄目だよぉ!」
「おとなひくひて……んっ、ぬちゅっ、ちゅずぅ……」
必死で舌を蠢かせるカスミ。
そのうち、屹立したツバサのモノから、むわりと匂いが立ち上る。
それは、少年が発するに相応しくない、男の匂い――
――しかし、カスミはそれを嗅いでいるうちに、どんどん体が熱くなってゆくことに気づいていた。
(さっきのミミズのせい? ああ、なんで、こんな……こんな気分になっちゃうの……)
(この子を……この子を……!)
――滅茶苦茶にしたい。
カスミは口内にたっぷり唾液を溜め込むと、それを垂れ流すように亀頭に舌先を押しつけた。
舌の蠢きに腰を震わせるツバサ。
「あああああ……」
ツバサを見れば、だらしなく涎を垂らしながら、カスミの背中……
……いや、着物で隠しきれていないお尻を眺めていた。
カスミはわざとそのお尻を左右に振ってみると、
「ああああ! だめ、いやらしすぎるよぉ!」
そう言って、更に股間を膨らませるツバサ。
そんなツバサに、カスミはたまらない愛おしさを覚えてしまう。
腰を引いて逃げようとするツバサを押さえつけて、亀頭を舌で追い回し、
皮をついばんでは、裏筋をなめ回し、
玉袋を指先でほぐしては、皮の上からカリの部分を唇でくわえ、
強すぎず弱すぎず甘噛みする。
逃げるツバサ、追うカスミ。
いつしかカスミはその行為に夢中になって、お尻を左右に振りながらオチンチンにむしゃぶりつく。
「ハハハ!」トロールの笑い声が後ろから響いてくる。
「マルデ、メスブタダナ! イヤ、ソノデカチチカラシテ、メスウシカ!」
雌牛――トロールのその言葉を聞いてか、ツバサのオチンチンが反応した。
カスミは本能的に悟り、フェラチオを休めると、ツバサの下半身にのしかかり、
着物の前をはだけさせ――大きく育った釣り鐘型の乳房を見せつけた。
「ああ……」ツバサはとろけたように呆然とカスミの胸を眺める。「すごい……いやらしい……」
「大人しくしてて……全部、やってあげるから」
カスミは自ら乳房を抱き上げると、ツバサのオチンチンを挟み込む。
自分でもいやらしく思えるほど大きく膨らんだ乳房は、張りがあり、
いくら強くオチンチンを挟んでも、にゅるん、とあらぬ方向へ逃げてしまう。
それを追って胸で挟んでいるうちに、ツバサは腰をガクガク震わせていた。
「ああ……カスミさん、凄いよぉ……」
そう言いながら、無意識にか腰を突き上げてくるツバサ。
子供でありながら大きく、長く膨らんだそれは、
突き上げるたびに乳房の肉を押し上げ、亀頭をカスミの口元までせり上げてくる。
カスミはだらしなく唇を開くと、唾液をたっぷりまぶした舌を伸ばし、
乳房から顔を出してくる亀頭を捕らえた。
「ふぁああ! 逃げられないよぉ!
カスミさんのオッパイから、ヌトヌトのベロから逃げられないよぉ!」
「逃がさないから……んっ、ちゅる、ちゅぼっ、んちゅれろぉ……」
ツバサという美少年を支配している――そんな状況に、カスミの思考は更に深みへとはまってしまう。
それに、皮をかむったモノの先から溢れてくるツバサの体液の味に、
舌の裏が唾液を溢れさせてしまうという、体の異変からもくる思考の混濁化。
着実に体自体が変化しようとしている――
――それを感じながら、しかしカスミは淫らなパイズリフェラをやめられない。
「だ、だめ……このままじゃ、僕、負けちゃう……!」
「いいの! 負けちゃっていいの! イっちゃっていいのよ!」
いよいよツバサが腰を痙攣させる、その瞬間――。
「バトルファックト、イッタダロウ!」
「きゃっ!」
突然、カスミの体が抱え上げられる。トロールの仕業だ。
「ツバサトヤラ……コノムスメヲ、タスケタケレバ、モットセメロ」
そう言ってトロールはカスミの体を回転させると、カスミが脚を閉じる前に落とされて――
――カスミの股間を、ツバサの眼前にさらす体勢となる。
「いやっ――!」
誰にも見せたことのない場所を、美少年の前にさらしている――
――思わず脚を閉めようとするカスミだったが、ツバサの顔があって閉めることができない。
だらしなく開いたカスミの股間――そこに吸い付くツバサ。
「――ひゃああああああああああああああああああああああああん!」
途端、背骨を電撃が駆け抜ける。
背を限界まで反らし、膝立ちながらお尻を突き上げるカスミ。
しかし、ツバサはそのカスミの大きなお尻を鷲掴み、引き寄せる。
「んむううううううううううっっ! んちゅっ、ぬちゅっ、ずずるるるるるぅ!」
「ひゃっ! だ、だめ、そんな、やらしっ――ひああああああああああああん!」
ツバサの舌が乱暴に動き、カスミのヴァギナ全体を舐めしゃぶってくる。
幼い頃の房中術の修行から、男は乱暴にするものだと思っていたカスミは、
そんな献身的な愛撫に為す術もなく感じてしまう。
「か、カスミさんがイクんだ!」ヴァギナを舐めながら声を上げるツバサ。
「僕がカスミさんを助けるんだ……ちゅぼっ、じゅぼぼっ!」
「ひああっ! だ、だめ! キミが先にイって……ひああああああん!」
カスミもカスミで、ツバサのペニスに舌を這わせ、たどたどしくも乳房で挟む。
先ほどのようにビクビクと反応はするものの、しかし時間を置いたせいか、すぐにイってはくれない。
逆に、お尻を鷲掴みされながらヴァギナをなめ回され、
逃げられない感覚に、カスミ自身が猛スピードで昇り詰めようとしていた。
(駄目……このままじゃっ……!)
カスミは焦りから覚悟を決めると――ツバサのペニスを口いっぱいにくわえ込み、吸引する。
「ふぐううっ……カスミさん……!」
一瞬、ツバサの動きが止まる。感じてくれたらしい。
カスミは気をよくする間もなく、ツバサのペニス全体を唾液で浸け、
中身を絞り出すように吸引を続ける。
皮の間から染み出てくる汁は、むわりと男臭くて、
でもそれが舌に触れるたびに唾液が凄まじい勢いであふれ出る。
どんなことをしてでも、雄の体液を求めるようになる――トロールの言葉。
これが、お腹に入り込んだミミズの効果なのだろうか。
ああ、だめ、意識が飛ぶ――
――ただ、ヴァギナが気持ちよくて、肉棒から染み出る体液が美味しくて――
「ひゃあああああっ! もっとぉ、もっとぉ!」
知らぬ間に、カスミはお尻を左右に振っていた――ツバサに股間を自ら押しつけていた。
もはやイカせるためではなく、味わうためにペニスをしゃぶりつつ、
ツバサにいやらしいところを無理矢理押しつける。
そんなカスミの動きにあわせて、ツバサは更にお尻を鷲噛む力を込めると、
ヴァギナの奥――膣の入り口にある部分に舌を突き入れた。
Gスポット――言葉だけしか知らなかったカスミは、そこがそれなのだと体で思い知らされながら、
「あ――ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいんっ!」
果てる――潮を吹きながら。
カスミはあまりの快楽に脱力し、少年の小さな体にしなだれかかる。
「ハハハハハ! オモシロイ、キニイッタゾ! フタリトモ、マオウジョウニツレテイッテヤロウ!」
意識の外から聞こえてくるトロールの声。
カスミは閉じてゆく意識の中で、仲間であるマリアへごめん、と謝っていた……。
勇者誘惑(その8)女格闘家カスミ、籠絡
遙か古来より、猛威を振るう魔王に抗い続けた二人の人間がいる。
勇者と賢者――それぞれの家系は代々手を取り合い、魔王の脅威を打ち払い続けた。
退治しても退治しても、数年ごとに復活する魔王。
それは、魔王が殺されるたびに魔界の中で、
魔王にふさわしい最強の魔物を決めるべく内部抗争が行われていたからで、
魔王が決まるや否や、魔物は魔王により統率され、人間界を襲いにかかる。
それを勇者と賢者が退治し、再び魔界で内部抗争が起こり、魔王に統率されるや否や、
改めて勇者と賢者が退治し――その繰り返しが続く中。
そんな歴史に終止符を打った出来事――それは、勇者と賢者が仲違いしたことであった。
◆
『女の子を連れて行くなんて、無理だよ』
懐かしい声が聞こえる。
あたしは彼に追いすがるけれど、彼はそれを払って、安心を誘うように笑う。
『僕一人で大丈夫だから。マリアはそこにいて』
馬鹿。そうじゃない。そうじゃないでしょ。
それは、代々続く家系の伝統だとか、病弱なあたしに対する優しさだとか、
そういうことじゃ、まるでない。
格好つけたいだけじゃない。自分勝手なワガママじゃない。
そう言ってる自分に酔ってるだけじゃない。
勝手にあたしを残して行って、勝手に冒険して、勝手に消息を絶って。
本当に、アンタは――――
「――アちゃん。マリアちゃん!」
――目を覚ます。
そこは宿屋のベッド。
視界一杯に広がるのは、上衣の襟をはち切らんとする大きなオッパイ。
「カスミ――起きたから、その腹立たしい胸を下げなさい」
「腹立たしいって……仕方ないでしょ、もう」
呆れた、と溜息をつくカスミ。
身を包むのは、一枚の布でできた着物。
普通は全身を覆うデザインらしいけれど、カスミが着ているのは胸や肩、
腰や脚を大きく露出させるデザイン。
あたしが着るには恥ずかしすぎるデザインだけれど、カスミにとっては一番動きやすい服装だそうだ。
というのも、カスミはJAPANという島国で育てられた「クノイチ」と呼ばれる暗殺者の末裔で、
この服装はクノイチにとって正装とも呼べるものらしい。
秘伝の暗殺技術を幼少の頃より教えられたカスミは、今やJAPAN、
いや人間界でも随一の格闘家なのだ。
胸は95センチもありながら、ウェストが細いために胸が一層強調されている。
格闘家として鍛えているだけはあり、胸は垂れることもなく釣り鐘型を保っていて、
着物の裾から溢れるお尻は、女の私が見ていても引き込まれちゃいそうなぐらい大きい。
その発育の良さは、農耕民族のJAPAN住民離れしていて、体格自体は狩猟民族である大陸住民寄りだ。
逆に、その大陸産まれのあたし、マリアこそ、JAPAN住民寄りの体格。
昔病弱だったこともあって、体は細く、胸も控えめ、カスミには到底及ばない。
お尻も子供みたいに小さいし、こんな体格でカスミと同じ十七歳だとは、自分でも信じたくないものだ。
「そろそろ時間よ!」
カスミはそんなあたしのコンプレックスに全然気づかないで、
腰に手を当て大きな胸を張りながら起床を促す。
「今日はいよいよ魔王城に入ろうっていうんだから、朝からきちんとご飯食べないと」
「うん、わかってる……」と言って立ち上がろうとするあたし――
――しかし、お腹に嫌な予感を感じる。「あ――」
「どうしたの?」
口元に人差し指をあてて首をかしげるカスミ。
そんなダイナマイトボディで、大きな瞳を丸くして、そんな仕草するのは色々アレだと思うわよ、
と言いたくても言えない。
脂汗が全身から噴き出る。息が浅い。目眩がする。
「あ~、ごめん、今日みたい――アレの日」
「アレ? ……う、嘘! こんなタイミングで……」
「仕方ないでしょ! 女として産まれた以上……あ~……たたたたたたたぁ……」
お腹を押さえながらベッドに倒れ込むあたし。
道具袋からメンス用品を出していると、カスミが大きく溜息をついた。
「もう……じゃあ、魔王城に行くのは明日ね」
「うう……ゴメン、宿屋代払っておいて」
そう言って蒲団にうずくまる私。
お大事にね、と出て行くカスミ。
あたしは微かな頭痛の中、何故か子供の頃を思い出す。
『なんでアンタが勇者なのよ! 勇者って、名前がズルいわ!』
『ズルいって……いいじゃない。賢者だってカッコいいよ』
『勇者のほうが主人公っぽいじゃない。駄目。勇者はあたしがもらうから!』
『そういう問題じゃないと思うけど……』
五歳頃の過去。
『稲妻の魔法、あたしにも教えなさいよ』
『え? だって、稲妻は勇者にしか……』
『そんなの、やってみないとわかんないでしょ!』
『うう、わかったよぉ……』
十歳頃の過去。
『マリア、どうして昔から僕につっかかってくるのさ?』
『べ、別につっかかってなんかいないでしょ!』
『もう疲れたんだよ。それに、魔王が復活するらしいじゃないか。そろそろ修行に集中したいんだ』
『――勝手にすればいいじゃない!』
十五歳、ほんの二年前の過去。
『女の子を連れて行くなんて、無理だよ』
そして、一年前。
一体、何が間違ってしまったんだろう。
ただ、あたしは、唯一の友達にかまってほしかっただけなのに。
病弱だったあたしを毎日見舞いに来てくれた、幼馴染みと仲良くなりたかっただけなのに。
どうして離ればなれになってしまったんだろう。
『僕一人で大丈夫だから。マリアはそこにいて』
ああ――そう、それは、確かにアイツの自分勝手なワガママで。
周囲の反対も押し切ってでも旅に出た、アイツの自己中心的な行動であって。
でも、その原因を作ったのは――どう考えても、あたしじゃないか。
あたしが素直じゃなかったから、こうなってしまったんじゃないか。
結局、あたしのワガママが、アイツを消息不明にまで追い込んでしまったんだ。
あたしが悪いんだ――。
「――ううううううぅ……ぅうううううううううぅっ……!」
陽光から逃げるように蒲団をかぶって、あたしは痛みに耐える。
体の奥底からわき起こる痛みに、ただただ耐える――。
◆
「――どうしよう。いきなりお休みになっちゃった」
カスミは一人町を歩きながら独りごちる。
様々な苦難を乗り越え、いざ魔王城に乗り込もうとしたら、
相方が生理で一日休みだなんて、まるで双六のようじゃないか。
暇を持て余す――訳にはいかない。
日々の修練を一日でも怠れば、いざという時に実力を発揮できない、
あるいはできないかもしれないという憂いを残す。
それを避けるため、カスミは一人町を出る。
途端、現れる魔物。相撲レスラーのような体格で、棍棒を持つトロール。
ここは魔界への入り口に近く、現れる魔物も強敵揃いだ。
しかし、カスミは構わずトロールに走り寄る。
振り下ろされる棍棒を紙一重で避け、顎に掌底、浮いた体に回し蹴り、転んだその腹に踵落とし、一本。
カスミはJAPANという島国随一のクノイチ、格闘技術においては世界最強と言っていい。
もはや雑魚敵に手間取るレベルではない。
「こんな私を選ばなかった勇者も勇者よね……ま、言ってもはじまらないけどさ」
魔物を倒しながら、森の奥へと進むカスミ。
傷一つなく、森を突き進むうちに――トロールに襲われている人間を発見した。
「や、やめろ……うああああああああああっ!」
その人間は十二、三歳だろうか。
流れる金髪、憂いのある二重、長い睫毛に華奢な肢体――
――それは世界中を旅してきたカスミとて見たこともない、美しい少年だった。
今まで男性に興味を持たないようにしていたカスミにとっても、男臭さのない耽美さも手伝って、
彼は魅力的な男性に見えた。
そんな少年が、トロールの前で両肩を両手で抱えながら震えている。
「た、助けて……僕はただ薬草を採りに来ただけで……」
(助けなきゃ……!?)
そう思い、動こうとした矢先、その少年が下半身裸なのに気付き、赤面して硬直してしまうカスミ。
どうして裸なのかはわからないけれど、彼はその細く華奢な脚やお尻を露わにしながら座っている。
もし助けたとしても、彼にどんな視線を向ければいいのかわからない……
……そんな子供じみた躊躇を覚えていると、
「ふ、ふあああああああああああああ!」
「!?」
彼が新たな悲鳴を上げる。
見れば、彼の下半身にアメーバ状の何かがまとわりついていた。
スライム――こんな魔界の手前ではなかなか見られない低級魔物だ。
そのスライムに下半身を浸食されているのだ。
「や、やあ! オチンチンこすっちゃ駄目! 駄目だよぉ! 気持ちよくなっちゃうよぉ!」
(な、なんなの……この状況は……!)
カスミは混乱していた。
それは、何故かスライムに犯されている少年に対しての混乱でもあったし、
魔物に襲われている少年を助けに動けない自分自身に対する混乱でもあった。
「駄目ぇ! お尻の穴なんて……あああああああああああ!」
(そんな、お尻の穴まで!?
あんなかわいい子が、スライムに、そんなところまで食べられてるなんて……!)
気づけば、体が火照ってきていた。
それは戦いの最中の火照りとは質が違う。
脳からではなく、もっと奥底――お腹の奥からわき上がる火照り。
その火照りは頭をぼーっとさせ、カスミの注意力を散漫にさせてゆく。
もじもじと体を揺らしながら、ぽーっと彼の嬌態を眺めていると――突然、背中から押し倒された。
「――――!」
不覚――カスミが思うものの、もう遅い。
後ろから忍び込んできていたトロールによって羽交い締めにされたカスミは、両手を後ろで縛られた。
「ダレダ……?」
その騒動に、少年をいたぶっていたトロールも気づく。
つたない人間語を話しながらこちらに歩み寄ってくるトロールに、カスミを捉えたトロールが答える。
「コイツ、ノゾイテイタ……ハツジョウ、シテイル」
「なっ――!?」
そんな訳ない!
と反論も許されないまま、カスミはトロールに抱えられ、少年と向かい合って座らされる。
途端、スライムにしゃぶられている少年の股間が丸見えになって、
いよいよカスミは顔を真っ赤にしてしまう。
「フフ……コノフタリ、モチカエッテ、タップリ、オカソウ……」
(犯すって……そ、そんな! 魔王を前にして、こんなところで捕まってしまうだなんて!)
逃げようとするが、さすがのカスミの力でも縄を解くことができない。
であれば――カスミは座った姿勢から、勢いをつけて跳ね上がると、回転して回し蹴りを放つ。
後ろのトロールの顎に直撃して、倒れ込むトロール。
驚いているもう一匹のトロールへ、再び回転蹴りを放つ――が。
「ガアアアアアアアアアアッ!」
「な――きゃあああっ!」
倒したと思っていたトロールが、倒れながらも軸足を掴んできた。
外れるキック――その足首を掴まれてしまう。
「クッ……テマドラセヤガッテ!」
「ハガ、クダケタ……コイツ、ユルセナイ!」
(なんてこと! もっと時間を置くべきだった――)
両足首を掴まれ、屈辱にもショーツを露わにしながらわななくカスミ。
そう、こちらが格闘家と知られていない以上、
もっと状況を把握してから反逆すべきだったのだ――しかし冷静な判断が出来なかった。
それは、少年の淫らな姿を見てしまったからに他ならない……気持ちが急いていた。
こんな浮ついた気持ちでは、しくじるのも当然だ。
「マタ、アバレラレル、ワケニハ、イカナイ……アレヲ、イレテオコウ」
「ソウダナ……」
そう言ってトロールが腰巻きから取り出したのは――釣り針のような形の何か。
(な、なに、これ……?)
目をこらして見れば……それは微かに蠢いていた。
それは小さなミミズだった。
「ひっ――!」
「イイメダ……キョウフ、シテイル」
トロールはそう言って下品な笑い声を上げると、ミミズをカスミに近づけてくる。
(入れておくって……あれを食べさせられるの? 嫌!)
首を振って嫌々をするものの、トロールの手は止まらない。
そのミミズはどんどんカスミに近づいてきて――それは何故か、カスミの股間に向かっていた。
「コレヲ、イレラレルト、アルモノガ、ホシクナル」
「ソウナルト、モウ、サカラエナイ……」
「ど、どこに入れようと……」
「シキュウ、ダ」
「――――!?」
驚く間もなく――ショーツをずらされて、薄毛の縁取る膣へ、トロールの指が食い込んだ。
「――いやあああああああああああああああああああっ!」
「? ……ナンダ、ショジョマクガ、ナイゾ」
「シカシ、ヌレテイナイ……ドウイウコトダ?」
カスミは膣内をトロールの太い指でこねくり回されるのを必死で我慢する。
確かに、カスミはすでに処女を失っている。
しかし、それは男性経験によるものではなく、
クノイチの房中術を覚える課程で、師匠に木刀でもって裂かれただけで、
その痛みのためにカスミは房中術を学ぶことを断固拒否した。
そのため、処女膜はなくとも男に慣れてはおらず、膣内を濡らす術すら知らないのだ。
「マア、イイ……ホラ、メシノ、ジカンダ」
そう言ってトロールは指を引き抜く――その指先に、ミミズはいなかった。
カスミはそれを見て不思議に思うが、すぐにミミズの行方が知れた――。
「ひ――ひいっ! お、お腹に上がってくる、なにかが上がってくるぅ!」
うねうねとのたうちながら、しかし膣の奥へ奥へとせり上がってくる何か。
それこそがトロールの持っていたミミズなのだ――
――やがて、それはお腹の中央、子宮のあたりで動きを止めた。
「ソノミミズハ、メスノ、タイエキヲ、エサトスル」トロールは饒舌に語る。
「ソレヲ、キュウシュウスルカワリニ、アルエキタイヲ、フキダス……
……ソレハ、キセイシタ、メスノカラダヲ、カイゾウスル」
(改造……?)
「カイゾウハ、ジョジョニススミ……ヤガテ、ソノメスハ、オスノタイエキヲ、モトメルヨウニナル。
ドンナコトヲシテデモ、ナ」
雄の体液を求めるようになる――どんなことをしてでも。
カスミにはその内容が理解できなかったが、
どうやら魔物によって体をいいように操られてしまう、ということらしい。
確かに、ミミズが体内に入ってから、どうも体に力が入らない――
――トロールに手を離されるが、反抗する気力がわかず、
スライムに犯されている少年の前でくずおれてしまう。
「フタリトモ、タスカリタイカ?」
地面に平伏しているカスミと少年を見て、トロールは聞く。
当たり前よ、と答えようとするも、体が熱くてうまく体をコントロールできない。
「あ……当たり前だよ!」
そんなカスミの気持ちを、少年は喘ぎながらも代弁する。
「ソウカ」トロールはその少年の言葉にニヤリと意地悪く笑んだ。
「ナラ、カタホウダケ、ニガシテヤロウ」
片方――ということは、二人の内どちらかは町に戻ることが許されるらしい。
となれば、少年を帰すという選択肢しかない。
カスミはこれでも世界随一の格闘家だし、隙を見て逃げ出すことも出来る。
こんなひ弱な少年を魔物に引き渡す訳にはいかない。
「じゃあ……」カスミは喉の力を振り絞って言う。「少年を先に返して!」
「だ、駄目だよ!」途端、少年は反論する。「女の子の貴女が先だ!」
「女の子って、私は……」そこで言いよどむ。
魔王打倒をもくろむ格闘家であることが知られる訳にはいかない。
「……とにかく、キミが先に逃げるのよ!」
「そんなの駄目だよ! 貴女みたいな綺麗な女性を置いて、逃げる訳にはいかないよ!」
綺麗な女性、と臆面もなく言われて、こんな状況だというのに胸を高鳴らせるカスミ。
ああ、こんなかわいい男の子が、スライムに下半身を犯されながら、
それでも私をかばおうとしている――そう思うだけで、なんともいえない思いがわき起こってくる。
しかし、トロールはそんな空気を鼻で笑い飛ばすと、涎を唇の端から垂らしながら邪悪に笑った。
「デハ、バトルファックヲシロ」
「バトルファック……?」
「バトルファック……セックスノショウブダヨ」
「「――――!?」」
言葉をなくすカスミ達に構わず、トロールはバトルファックのルールの説明を始める。
お互いが相手を愛撫し、先にイったほうの負け。
イったほうが逃げることを許され、イカせたほうを魔物の根城に連れ去る。
つまり、相手を逃がすには、その相手をイカせなければならないのだ。
(――魔物の根城、ということは、魔王城?)
呆然としながらも、冒険者としての意識を働かせるカスミ。
(だとしたら、なおさら少年を守らないと……
……それに、私だけでもうまく入り込めば、魔王を倒せるチャンスが出来るかも知れない)
(この勝負……負ける訳にはいかない)
トロール達が、ハジメ! とBF開始の合図をする。
カスミは間髪おかずに、少年へと四つんばいで近づく。
「お、お姉ちゃん!?」
「お姉ちゃんじゃない。私はカスミよ……キミは?」
「ぼ、僕はツバサ……あ、スライムが……」
トロールの指示だろうか、スライムが少年……ツバサの下半身から離れた。
スライムの体液によってヌメヌメになったツバサの下半身。
毛一本生えていない細い足に、皮をかぶった男のモノ。
それはよく見れば結構なサイズで、陰毛も生えていない体から生えていると思うと、
なんとも言えないいやらしさがあった。
「じっと、してて……」
「え? ――ふぁああ!」
後じさって逃げようとするツバサの腰を掴むと、男のモノに舌を伸ばす。
房中術を学ばなかったカスミとて、人並みの性の知識はあった……
……男のモノは、刺激を与えることで気持ちよくなるはず。
皮に包まれたモノの先端には、ピンク色のお肉がぷっくりと顔を覗かせていた。
そのお肉の中央、鈴口に舌先をあてると、中に入り込むようにグリグリと舌をうごめかす。
「ふぁああああああああああ!」少年は愛らしい嬌声を上げる。
「だ、駄目だよぉ! オチンチンの中ニュルニュル入っちゃ駄目だよぉ!」
「おとなひくひて……んっ、ぬちゅっ、ちゅずぅ……」
必死で舌を蠢かせるカスミ。
そのうち、屹立したツバサのモノから、むわりと匂いが立ち上る。
それは、少年が発するに相応しくない、男の匂い――
――しかし、カスミはそれを嗅いでいるうちに、どんどん体が熱くなってゆくことに気づいていた。
(さっきのミミズのせい? ああ、なんで、こんな……こんな気分になっちゃうの……)
(この子を……この子を……!)
――滅茶苦茶にしたい。
カスミは口内にたっぷり唾液を溜め込むと、それを垂れ流すように亀頭に舌先を押しつけた。
舌の蠢きに腰を震わせるツバサ。
「あああああ……」
ツバサを見れば、だらしなく涎を垂らしながら、カスミの背中……
……いや、着物で隠しきれていないお尻を眺めていた。
カスミはわざとそのお尻を左右に振ってみると、
「ああああ! だめ、いやらしすぎるよぉ!」
そう言って、更に股間を膨らませるツバサ。
そんなツバサに、カスミはたまらない愛おしさを覚えてしまう。
腰を引いて逃げようとするツバサを押さえつけて、亀頭を舌で追い回し、
皮をついばんでは、裏筋をなめ回し、
玉袋を指先でほぐしては、皮の上からカリの部分を唇でくわえ、
強すぎず弱すぎず甘噛みする。
逃げるツバサ、追うカスミ。
いつしかカスミはその行為に夢中になって、お尻を左右に振りながらオチンチンにむしゃぶりつく。
「ハハハ!」トロールの笑い声が後ろから響いてくる。
「マルデ、メスブタダナ! イヤ、ソノデカチチカラシテ、メスウシカ!」
雌牛――トロールのその言葉を聞いてか、ツバサのオチンチンが反応した。
カスミは本能的に悟り、フェラチオを休めると、ツバサの下半身にのしかかり、
着物の前をはだけさせ――大きく育った釣り鐘型の乳房を見せつけた。
「ああ……」ツバサはとろけたように呆然とカスミの胸を眺める。「すごい……いやらしい……」
「大人しくしてて……全部、やってあげるから」
カスミは自ら乳房を抱き上げると、ツバサのオチンチンを挟み込む。
自分でもいやらしく思えるほど大きく膨らんだ乳房は、張りがあり、
いくら強くオチンチンを挟んでも、にゅるん、とあらぬ方向へ逃げてしまう。
それを追って胸で挟んでいるうちに、ツバサは腰をガクガク震わせていた。
「ああ……カスミさん、凄いよぉ……」
そう言いながら、無意識にか腰を突き上げてくるツバサ。
子供でありながら大きく、長く膨らんだそれは、
突き上げるたびに乳房の肉を押し上げ、亀頭をカスミの口元までせり上げてくる。
カスミはだらしなく唇を開くと、唾液をたっぷりまぶした舌を伸ばし、
乳房から顔を出してくる亀頭を捕らえた。
「ふぁああ! 逃げられないよぉ!
カスミさんのオッパイから、ヌトヌトのベロから逃げられないよぉ!」
「逃がさないから……んっ、ちゅる、ちゅぼっ、んちゅれろぉ……」
ツバサという美少年を支配している――そんな状況に、カスミの思考は更に深みへとはまってしまう。
それに、皮をかむったモノの先から溢れてくるツバサの体液の味に、
舌の裏が唾液を溢れさせてしまうという、体の異変からもくる思考の混濁化。
着実に体自体が変化しようとしている――
――それを感じながら、しかしカスミは淫らなパイズリフェラをやめられない。
「だ、だめ……このままじゃ、僕、負けちゃう……!」
「いいの! 負けちゃっていいの! イっちゃっていいのよ!」
いよいよツバサが腰を痙攣させる、その瞬間――。
「バトルファックト、イッタダロウ!」
「きゃっ!」
突然、カスミの体が抱え上げられる。トロールの仕業だ。
「ツバサトヤラ……コノムスメヲ、タスケタケレバ、モットセメロ」
そう言ってトロールはカスミの体を回転させると、カスミが脚を閉じる前に落とされて――
――カスミの股間を、ツバサの眼前にさらす体勢となる。
「いやっ――!」
誰にも見せたことのない場所を、美少年の前にさらしている――
――思わず脚を閉めようとするカスミだったが、ツバサの顔があって閉めることができない。
だらしなく開いたカスミの股間――そこに吸い付くツバサ。
「――ひゃああああああああああああああああああああああああん!」
途端、背骨を電撃が駆け抜ける。
背を限界まで反らし、膝立ちながらお尻を突き上げるカスミ。
しかし、ツバサはそのカスミの大きなお尻を鷲掴み、引き寄せる。
「んむううううううううううっっ! んちゅっ、ぬちゅっ、ずずるるるるるぅ!」
「ひゃっ! だ、だめ、そんな、やらしっ――ひああああああああああああん!」
ツバサの舌が乱暴に動き、カスミのヴァギナ全体を舐めしゃぶってくる。
幼い頃の房中術の修行から、男は乱暴にするものだと思っていたカスミは、
そんな献身的な愛撫に為す術もなく感じてしまう。
「か、カスミさんがイクんだ!」ヴァギナを舐めながら声を上げるツバサ。
「僕がカスミさんを助けるんだ……ちゅぼっ、じゅぼぼっ!」
「ひああっ! だ、だめ! キミが先にイって……ひああああああん!」
カスミもカスミで、ツバサのペニスに舌を這わせ、たどたどしくも乳房で挟む。
先ほどのようにビクビクと反応はするものの、しかし時間を置いたせいか、すぐにイってはくれない。
逆に、お尻を鷲掴みされながらヴァギナをなめ回され、
逃げられない感覚に、カスミ自身が猛スピードで昇り詰めようとしていた。
(駄目……このままじゃっ……!)
カスミは焦りから覚悟を決めると――ツバサのペニスを口いっぱいにくわえ込み、吸引する。
「ふぐううっ……カスミさん……!」
一瞬、ツバサの動きが止まる。感じてくれたらしい。
カスミは気をよくする間もなく、ツバサのペニス全体を唾液で浸け、
中身を絞り出すように吸引を続ける。
皮の間から染み出てくる汁は、むわりと男臭くて、
でもそれが舌に触れるたびに唾液が凄まじい勢いであふれ出る。
どんなことをしてでも、雄の体液を求めるようになる――トロールの言葉。
これが、お腹に入り込んだミミズの効果なのだろうか。
ああ、だめ、意識が飛ぶ――
――ただ、ヴァギナが気持ちよくて、肉棒から染み出る体液が美味しくて――
「ひゃあああああっ! もっとぉ、もっとぉ!」
知らぬ間に、カスミはお尻を左右に振っていた――ツバサに股間を自ら押しつけていた。
もはやイカせるためではなく、味わうためにペニスをしゃぶりつつ、
ツバサにいやらしいところを無理矢理押しつける。
そんなカスミの動きにあわせて、ツバサは更にお尻を鷲噛む力を込めると、
ヴァギナの奥――膣の入り口にある部分に舌を突き入れた。
Gスポット――言葉だけしか知らなかったカスミは、そこがそれなのだと体で思い知らされながら、
「あ――ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいんっ!」
果てる――潮を吹きながら。
カスミはあまりの快楽に脱力し、少年の小さな体にしなだれかかる。
「ハハハハハ! オモシロイ、キニイッタゾ! フタリトモ、マオウジョウニツレテイッテヤロウ!」
意識の外から聞こえてくるトロールの声。
カスミは閉じてゆく意識の中で、仲間であるマリアへごめん、と謝っていた……。
勇者誘惑(その7)豚勇者の歌
・18禁注意
勇者誘惑(その7)豚勇者の歌
「あんだよ、テメェ」
アイラムは魔王の王座に座りながら眉根を寄せる。
その前にひざまづいた男はうやうやしく顔をあげるが、しかし表情は緩みきっている。
なめられている――アイラムは腹の底から立ち上る怒りをなんとか沈める。
「いえいえ」男は慇懃無礼な語調で応える。
「サキュバスの王たるアイラム様に逆らうつもりなど毛頭ございません。
それに、我らインキュバスとサキュバスは古来より深い縁を結ぶ関係。
アイラム様が魔王になられたと聞き、インキュバスの首領たる私、
ツバサがこうして頭を垂れに参った訳で……」
「ごたくはいい。何だ? 都合よくテメェの子種ぶちこんで、私を手籠めにしようって算段か?」
「はは、ご冗談を……」
「テメェんとこの盛った犬に、私のかわいい娘が何人拉致られたと思ってんだ」
「はて、とんと覚えがございませんな」
「ざけんな。
行方不明になって数ヶ月した娘が、オークの慰み者になってることぐらい耳に届いてるんだよ。
廻して使い物にならなくなったらポイ捨てか?
クズの親玉が粗チンぶらさげてノコノコやってきやがって、タダで済むと思ってんのか?」
「……アイラム様……」
途端、声音を低くする男――ツバサ。
しかし、その声音がアイラムの心の奥底にある何かを揺さぶっていた。
(くそっ――タチの悪い奴が早速やってきやがった)
インキュバスの王、ツバサ。
人間界の言葉で例えれば、ホステスの親玉がアイラム、ホストの親玉がツバサと言える。
それぞれがまったく同じ性質を持つ業界にいながら、しかし決して相容れない仲の相手。
特にインキュバスが厄介なのは、そのたぐいまれなる女を弄ぶテクニックによって、
物を知らないサキュバスを手籠めにしてしまう、という点だ。
こうしている今も、サキュバスの王たるアイラムとて、
ツバサの流れるような長髪に、優しげでいながら強い眼光に、艶やかな唇に見とれてしまいそうになる。
情けないド変態の勇者に比べて、なんと魅力的な容姿だろう。
アイラムも相手を惑わそうと足を組み替えたり、胸の谷間を強調したりするが、
相手はさっぱり動じる気配はなかった(もちろんこちらも動じているそぶりは見せないが)。
言下で行われる闘争。
「――昔のことを覚えていらっしゃいますか?」口火を切ったのはツバサだった。
「かれこれ二百年前……そう、アイラム様が産まれてすぐの時のこと。
私は父に連れられ、サキュバスの巣へお邪魔しました。
一年早く産まれていた私は体も発育し、言語も解していましたが、貴方はまだ未成熟で、
やっと言葉をちらほら覚えるようになったばかり。
会うことを禁止されていながらも、私は貴方の部屋にお邪魔して――契りをかわした」
「ふざけるな!」
怒鳴るアイラム。
そう、アイラムは先に心を乱してしまっていた。
「死ねクズが!」アイラムは唾を散らしながら続ける。
「何も知らない子供の私になんてことを……!」
「怒る様もお美しい」しかしツバサは優しい笑顔で続ける。
「あの時と同じように、よがる声も聞いてみたいものです」
「――――!」
アイラムは唇を噛みしめると――王座の陰から剣を取り出す。
伝説の剣――勇者から奪い取った、魔を打ち払う聖剣。
その切っ先をツバサの眉間手前に向けると、さすがのツバサも一滴の汗を垂らした。
この剣を一ミリでも動かせば、インキュバスにとって命に等しい顔に、
癒えることのない傷を残すことになる。
アイラムはやっとイニシアチブを取れたことに安堵すると、語調を沈めて言う。
「――私はもう、サキュバスの王だ。それだけじゃない、世界を支配する魔王だ。
実際、アンタらを除いたほとんどの魔物は私の配下につくことを選んだ」
「何をおっしゃる。我々とて喜んで、あなた方の配下になりましょう」
「どうだかね。
とりあえず、アンタらには今までみたいに山の奥でセックス三昧な生活はつつしんでもらう。
人間討伐部隊に入ってもらうよ」
「――そう、そこを考え直していただきたく、こちらに参った次第でございます」
「考え直す?」アイラムは鼻で笑う。「テメェを憎んでも憎んでも憎み足りない、この私が?」
「オークやゴブリンといった戦闘型魔物と違い、我々は戦闘能力など皆無です。
それは我々と同じ境遇のアイラム様であればご承知の上でしょう」
「その通りだよ。だからこそ討伐部隊に選んだ――
――私達はね、今まで魔王の性処理便器として生かさず殺さず飼われてきた。
でもお前達は違う。
魔王に調教した人間の美女を定期的に送ることで、自由に生きることを許された。
同じ境遇なんて、元からありゃしなかったんだよ。
だから、私が天下を取ったからには、お前達には鉄砲玉になってもら――」
「天下――」割入ってくるツバサ。
「――その天下が揺るごうとしていることをご存じですか? アイラム様」
「――どういうことだ」
「確かに、勇者は愚かにもサキュバス族の手に堕ちました。
しかし、それにかわる人間界の使者が、今にも魔界に入ろうとしているのです」
「なんだと? 戦士も僧侶も魔法使いも殺して――」
「勇者は旅を始める際、女の冒険者を断った。
その女の冒険者は、勇者を追って冒険を続けていたのだそうです。
私の掴んだ情報によれば、女賢者と女格闘家の二人。
賢者とは魔法と法術、どちらにも長けた間接戦闘のスペシャリスト。
格闘家は剣士と対をなす近接戦闘のスペシャリストで、聞くところ人間界でも随一の実力者だとか。
彼女たちの力は勇者一行を凌ぎますよ。
なにせ、ものの二人で今にも魔界に入ろうとしているのですから」
「そ、そんな……!」
アイラムは焦っていた。
サキュバスは、もともと戦闘能力に長けてはおらず、せいぜい下級魔物程度の力しか持たない。
ただ、男相手には魅了でもって隙をつくことが出来たし、
勇者をかどわかし魔を打ち払う聖剣を奪った以上、聖剣を恐れる魔物にも敵はいなくなった。
しかし、相手が人間、それも女となれば別である。
魅惑もきかなければ、聖剣とて、ただの切れ味の良い剣でしかない。
その上、彼女たちは勇者一行を凌ぐ力を持つというのだ。
もしそんな一行が目の前に現れれば、アイラムはまず殺されるだろうし、
魔王が人間に殺されたとなれば、魔界の秩序も崩れ、魔物全体が人間によって駆逐されてしまうだろう。
「――そこで、ですよ」冷や汗をかくアイラムを、ニッコリと笑んで見上げてくるツバサ。
「その賢者と格闘家を、我々インキュバスが堕としてみせましょう。
戦闘で打ち負かすのではなく、籠絡して雌奴隷に落とし込む――
――そうすれば、人間が魔物に逆らうことは出来なくなることでしょう」
「それで、人間討伐部隊から外れたい、と?」
「適材適所。魔物には持って生まれた役割がある――違いますか?」
ツバサはあくまで素敵な笑顔でアイラムを見つめていた。
それを見てアイラムは腹立たしく思いながらも、しかしその案に反対する理由もなかった。
「――いいだろう。ただし、そいつらを堕とすまで、その薄気味悪いツラを見せんな」
「御意」
言ってツバサは優雅に頭を下げると、魔王の間を出て行った。
「……クソがっ!」
それを見届けた途端、歯を食いしばるアイラム。
やっと、やっと世界を手に入れたと思えば、邪魔がすぐさま入ってくる。
インキュバスに、人間の賢者と格闘家。
魔王の性奴隷として飼われ続け、インキュバスに食い物にされ、
薄汚い魔物のオカズにされて、それでも我慢して娘達を育ててきた。
それが報われたかと思えばこれだ。
「――おい、サクラコ」
「はっ」
魔王の間の垂れ幕の影に隠れていたアイラムの側近、サクラコが姿を現す。
「今日の謁見は中止だ」
「しかし、各魔物の長との主従の誓いが……」
「書面で済ませろ。どうせ私を見て今夜のオカズにしたいだけのクズ共だろ」
そう言って、アイラムは魔王の間を出て行く。
腹立たしい。
アイラムはこのいきり立った気持ちを苦々しく思いながら、廊下を突き進む。
◆
「はぁ……はぁ……んっ……!」
僕は必死で舌を動かす。
今日のお相手であるサキュバス、シィルは、ピンクの髪を振り乱しながら僕のクンニに耐える。
しかし、大きく開いた肉付きの良いお尻はぷるぷると震えており、
お椀型の乳房は柔らかくひしゃげながら揺れていた。
その眺めに下半身が反応してしまうものの、クンニに集中することで下半身を意識から外す。
(二人立て続けにイカせれば、アイラムと戦える――外に出られる、はずなんだ)
(こんなところでよがっている訳にはいかない。
一刻も早く外に出て仲間を募って、魔王となったアイラムを倒さなければ)
クンニに集中していれば、顎が疲れて快楽とは無縁になる。
苦痛を常時感じることが、経験の少ない僕が見つけた唯一の勝算だった。
シィルはどうやら大人しい子らしく、頑張って僕のモノに指をかけて擦るけれど、
動きはたどたどしく、今までのサキュバスに比べて稚拙だった。
すでにむわりと淫蜜に濡れて痙攣している彼女の膣、アナル、尻肉に舌を這わせ、振動させる。
「ふぐっ……んぅ……んぱっ、ねろぉ……」
「あああっ!」
突然、シィルの舌が亀頭を這った。
僕は動きを止めて、その快感に腰を痙攣させる。
シィルの舌は暖かくて、それが僕の亀頭のカリを舐めては、
裏筋を舌先でほじり、鈴口から先走り汁を搾り出す。
僕はお尻を引いて逃げようとするが、逃げられない。
(――そうだ。逃げられない。だったら、相手の土俵で勝たなきゃいけないんだ!)
この感情は、仲間達を殺したアイラムへの怒りから続くもの――
――僕は舌の動きを復活させながら、彼女の乳房に手を伸ばす。
「んむううううううううううううう!」
シィルは胸を揉まれた途端にフェラチオを止めた。
どうやら胸が苦手らしい――
――僕は上体を起こし、足を彼女の背に廻して、シィルを逆立ち開脚の姿勢にする。
股間を彼女の顔にあてがったまま、膣を舐め、
乳首を指でぷにぷにと押しつぶしながら乳房を不規則に揉みしだく。
「ほら、舐めなよ――イったら負けちゃうんだよ?」
そんなことが言えるほどに余裕が出来ていた。
今まで負けた経験から、少しづつ貯めた経験値が生かされていた――
――気持ちさえ屈しなければ、射精はある程度コントロールできる。
いくら舐められても、それが指先だと思えばさほど感じないものだ。
「ふみゅうううっ! ふみゅうううううううううううううっ!」
「ほら、ちゃんと舐めなよ――でないと、すぐイカせちゃうよ!」
舌を膣内に入れ込む。
入り口すぐ、上の方にあるGスポットを意識的にほじくり、
溢れる蜜は飲み込まず、舌に絡めて奥へ突き入れる潤滑油とする。
シィルは僕の頭にモッチリとした足を絡めて、股間を僕に押しつけてくる。
その脚の肉感にドキドキしてしまうものの、あくまでクンニに集中して――!
「ふ――あああああああああああああああああああああああああああああああ!」
顔に吹きかかる潮。
僕はそれを吸引して飲み込み、更に膣を舐める。
イったばかりで敏感になった膣への刺激に、シィルは全身を痙攣させて感じていた。
僕はそんなシィルの顔を上から覗き込む。
目を白黒させて震えるシィルは、明かな恍惚に浸っている。
僕は確かな自信を身につけて……
「後でお仕置きよ、シィル」
「――――!」
扉から聞こえた声に、僕の自信は一瞬にして揺らぐ。
見れば、そこには黒のブラジャーにホットパンツを着たサキュバスの女王、
そして魔王でもあるアイラムが立っていた。
「どきな……お手本を見せてやるよ」
アイラムの言葉に、意識を失いかけていたシィルはハイハイをしてベッドから降りる。
僕が身を硬直しているのを見て、いつもの嘲笑を浮かべながらベッドに上がってくるアイラム。
「二人に勝ったら、じゃなかったのか?」
僕の質問に、アイラムは答えない。
その嘲笑を浮かべる表情には、微かな怒りが感じられた。
どうやら機嫌が悪いらしい。
「誰に」アイラムはそう言って、跪く僕の前に脚を上げた。
ムッチリとした艶やかな太ももがぷるりと震え、
ホットパンツの細い股間部に走る肉厚な筋が丸見えになる。「口聞いてんだよ、豚が!」
途端、その足の裏が僕の頬を叩いた。
一瞬触れただけだというのに、しっとりと吸い付くような肌触りの足の裏が、
僕の頬を左右に、次々と叩いてゆく。
僕は足ビンタに顔を背けようとするが、アイラムの足はそれを逃がさない。
見上げれば、魅力的な太ももがゼリーのように震え、
股間の筋がホットパンツをムキュッとくわえ込み、
ブラに包まれた形のよい巨乳が妖艶にそびえ立つのが見えた。
「この口が生意気ぶっこいたんか、ああ!?」
「ふぐううううううううううううっっ!」
口を半開きにしてビンタに耐えていた僕の口内に、アイラムの爪先が突き入れられる。
鼻孔を突き抜ける甘い汗の臭い。
僕はその汗臭い爪先に舌を這わせて、指と指の間の垢すらしゃぶり、咀嚼してしまう。
「くそっ……なんでこんな豚が勇者なんだよ。なんでこいつを追いかけてくる奴がいるんだ?
こんな豚になんの魅力がある? 踏まれただけでセンズリこきはじめる変態なのに!」
「ふむうううううううっ! むふううううううううううううううううっ!」
アイラムはただ乱暴に僕の口内を踏みにじってゆく。
僕はアイラムへの憎しみを奮い立たせようとするが、
アイラムに踏みにじられて射精しまくった過去が頭にちらついて、
どうしても頭がぼーっとしてしまう。
やがて、アイラムは足をどけると――どこから取り出したのか、ローションを手にしていた。
遙か高みから落ちてくるゼリー状のローションが、剥き出しになりそそり立った僕のモノにかかる。
それが終わらない。ずっと落ちてくる。
それは股間に池を作り、それは腹部まで広がり、
溢れてベッドにしたたり落ち、しかしそれでも降り止まない。
やがて――一本分を絞り出した時には、僕の全身はローションゼリーによって包まれていた。
まるで、ゼリーの中に閉じこめられたフルーツのような気分だ。
「ローション? 誰がローションなんて言った?」
「え……?」
アイラムの意味深な言葉にいぶかしがる間もなく――全身を舐め上げるような感覚に襲われる。
ローションに、舐められている。
「まさか……スライム!?」
「そ。魔物の中でも最下級の魔物。ちなみに両生類だから、男も女も関係ないよ」
「ふぁあっ!」
生暖かい液体に乳首や内股、アナル、何より亀頭を執拗に舐められる。
しかし、決定的な快楽ではない。
それは、体の昂ぶりを促しながらも限界手前でとどめる、意地悪な蠢きだった。
「な、なんでこんな……ふぁあああ!」
「ちなみに、その中でだって自由に動けるから、逃げたきゃ逃げればいいわ」
確かに指や腕は動かせる……が、そのたびに腋や、股間を舐め上げられて力が出ない。
しかし、何より、なんでこんなことをする必要があるのか?
「不思議?」ベッドの上にわざわざ椅子を用意して座り、僕を見下ろすアイラム。
「今日はね、言葉だけで天国にイカせてあげようと思ってね」
「言葉?」
「そ……生意気な豚には躾が必要なのよ。行くわよ」
そう言ってアイラムは妖艶に笑うと、
伸びた艶やかな足先でリズムを取りながら抑揚をつけて歌い出す。
「変態勇者は魔物に犯され
チンポをみるみる固くして、
やらしい魔物の股間を覗いて
玉玉きゅんって萎ませて」
「――――!」
なんだろう、聞いているだけで恥ずかしくなってくる。
そんな歌を、アイラムは小馬鹿にしたような笑顔のまま続ける。
「エッチな魔物の股間を見ながら
ヨダレをダラダラ垂れ流し、
スケベな妄想ムラムラしちゃって
チンポをビンビンさせちゃって」
「ああ……あああああ……!」
韻を踏んで、まるで子供の替え歌のように歌うアイラム。
そのふくらはぎや、ブラに包まれた巨乳、踏みにじられた過去、アナルを犯された過去――
――あらゆる淫らな思い出が、子供っぽい歌と共に脳内を駆けめぐってゆく。
体中を舐めしだくスライムの動きに、股間の熱が追いつかない。
知らず、僕は亀頭に指先をからめて、ぬちょぬちょのスライムの中でオナニーをしていた。
「変態勇者は魔物の胸見て
ムチムチお肌にボッキして、
正義の為にと聖剣握った
今じゃあチンポを握るだけ!」
歌が更にテンポアップする。
長い脚で取るリズムも激しくなり、いつしかその指先は、僕の股間手前で揺れている。
少しでも腰を突き出せば当たる距離。
「世界の平和を頼むと言われた
今じゃあアヘアヘ叫ぶだけ、
魔物の世界にいざ立ち向かった
今じゃあドピュドピュ放つだけ!」
「あああ……ふぁああああああああああああああ!」
――その足先に、スライムに包まれた股間を押しつける。
途端、ぷにゅりとした瑞々しい足裏に亀頭が押しつぶされ、頭が真っ白になる。
「ムッチリお尻にモッチリ乳房に
妖しい魔物の誘惑に、
聖剣離して仲間手放して
精液たっぷり放つだけ!」
そう言った瞬間、アイラムはリズムを取っていた足を僕の股間に押しつけてきた。
「あひゃあああああああああああああああああああああああ!」
スライム漬けになり、ニュルンニュルンになってしまったオチンチンに、
アイラムの足が食い込んでゆく。
その足から逃げるように、ニュルンと蠢くオチンチン。
しかしアイラムの足はそれを追って力強く押しつぶしてくる。
ニュルンと逃げるオチンチン、しかし逃がさない足、それでも逃げるオチンチン、執拗に逃がさない足。
アイラムのふくらはぎが筋肉によってきゅっと締まり、僕のオチンチンを追い求める。
僕はそれに、アイラムの歌う通りアヘアヘ言って、ただお尻を振ってその快楽から逃げる。
その動きすらスライムのニュルニュルによって快楽になり、
アイラムの足は逃げることを許さずスライムの中で蠢き続ける。
「正義の味方が性技に屈して
いつも倒してた魔物の脚に、
チンポ押しつけてアナルすぼませて
ドピュドピュドピュドピュイっちゃうの!」
「ひゃあああ! 許して! ゆるひてぇ! 逃げられないよぉ! もう逃げられなひよおおおおおお!」
いくらお尻を引っ込めても、アイラムの足が追いついてくる。
あがく僕を見下ろして、今まで以上の嘲笑を浮かべるアイラム。
もう限界だった。
「ドッピュン ドピュピュン ドッピュン ドピュピュン
精液ポンプの正義の味方、
世界の平和も今じゃあ立派な
犬家畜以下の豚勇者!」
「あがああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
射精――スライムの中で、絞り出される精液。
しかし、そんな射精オチンポすら逃がさないアイラムの足。
僕はヌルヌルボディをくねらせながら、再びアイラムの足に果てさせられたのだ。
「はっ……あんたはね、豚勇者なのよ。
この前みたいに私に刃向かおうとしたら、もっと酷いことするから」
「ああああ……あひゃああああああ……」
アイラムの言葉がいまいち頭に入らない。
スライムの体液に催淫効果でもあるのか、頭がピンク色になって、
もっと踏み踏みされたいとしか考えられない。
「――そうよ。私の手元には勇者がいる――これを利用しない手はないわ」
アイラムは意味不明な言葉をつぶやくと、シィルに後片付けを任せて部屋を出て行った。
勇者誘惑(その7)豚勇者の歌
「あんだよ、テメェ」
アイラムは魔王の王座に座りながら眉根を寄せる。
その前にひざまづいた男はうやうやしく顔をあげるが、しかし表情は緩みきっている。
なめられている――アイラムは腹の底から立ち上る怒りをなんとか沈める。
「いえいえ」男は慇懃無礼な語調で応える。
「サキュバスの王たるアイラム様に逆らうつもりなど毛頭ございません。
それに、我らインキュバスとサキュバスは古来より深い縁を結ぶ関係。
アイラム様が魔王になられたと聞き、インキュバスの首領たる私、
ツバサがこうして頭を垂れに参った訳で……」
「ごたくはいい。何だ? 都合よくテメェの子種ぶちこんで、私を手籠めにしようって算段か?」
「はは、ご冗談を……」
「テメェんとこの盛った犬に、私のかわいい娘が何人拉致られたと思ってんだ」
「はて、とんと覚えがございませんな」
「ざけんな。
行方不明になって数ヶ月した娘が、オークの慰み者になってることぐらい耳に届いてるんだよ。
廻して使い物にならなくなったらポイ捨てか?
クズの親玉が粗チンぶらさげてノコノコやってきやがって、タダで済むと思ってんのか?」
「……アイラム様……」
途端、声音を低くする男――ツバサ。
しかし、その声音がアイラムの心の奥底にある何かを揺さぶっていた。
(くそっ――タチの悪い奴が早速やってきやがった)
インキュバスの王、ツバサ。
人間界の言葉で例えれば、ホステスの親玉がアイラム、ホストの親玉がツバサと言える。
それぞれがまったく同じ性質を持つ業界にいながら、しかし決して相容れない仲の相手。
特にインキュバスが厄介なのは、そのたぐいまれなる女を弄ぶテクニックによって、
物を知らないサキュバスを手籠めにしてしまう、という点だ。
こうしている今も、サキュバスの王たるアイラムとて、
ツバサの流れるような長髪に、優しげでいながら強い眼光に、艶やかな唇に見とれてしまいそうになる。
情けないド変態の勇者に比べて、なんと魅力的な容姿だろう。
アイラムも相手を惑わそうと足を組み替えたり、胸の谷間を強調したりするが、
相手はさっぱり動じる気配はなかった(もちろんこちらも動じているそぶりは見せないが)。
言下で行われる闘争。
「――昔のことを覚えていらっしゃいますか?」口火を切ったのはツバサだった。
「かれこれ二百年前……そう、アイラム様が産まれてすぐの時のこと。
私は父に連れられ、サキュバスの巣へお邪魔しました。
一年早く産まれていた私は体も発育し、言語も解していましたが、貴方はまだ未成熟で、
やっと言葉をちらほら覚えるようになったばかり。
会うことを禁止されていながらも、私は貴方の部屋にお邪魔して――契りをかわした」
「ふざけるな!」
怒鳴るアイラム。
そう、アイラムは先に心を乱してしまっていた。
「死ねクズが!」アイラムは唾を散らしながら続ける。
「何も知らない子供の私になんてことを……!」
「怒る様もお美しい」しかしツバサは優しい笑顔で続ける。
「あの時と同じように、よがる声も聞いてみたいものです」
「――――!」
アイラムは唇を噛みしめると――王座の陰から剣を取り出す。
伝説の剣――勇者から奪い取った、魔を打ち払う聖剣。
その切っ先をツバサの眉間手前に向けると、さすがのツバサも一滴の汗を垂らした。
この剣を一ミリでも動かせば、インキュバスにとって命に等しい顔に、
癒えることのない傷を残すことになる。
アイラムはやっとイニシアチブを取れたことに安堵すると、語調を沈めて言う。
「――私はもう、サキュバスの王だ。それだけじゃない、世界を支配する魔王だ。
実際、アンタらを除いたほとんどの魔物は私の配下につくことを選んだ」
「何をおっしゃる。我々とて喜んで、あなた方の配下になりましょう」
「どうだかね。
とりあえず、アンタらには今までみたいに山の奥でセックス三昧な生活はつつしんでもらう。
人間討伐部隊に入ってもらうよ」
「――そう、そこを考え直していただきたく、こちらに参った次第でございます」
「考え直す?」アイラムは鼻で笑う。「テメェを憎んでも憎んでも憎み足りない、この私が?」
「オークやゴブリンといった戦闘型魔物と違い、我々は戦闘能力など皆無です。
それは我々と同じ境遇のアイラム様であればご承知の上でしょう」
「その通りだよ。だからこそ討伐部隊に選んだ――
――私達はね、今まで魔王の性処理便器として生かさず殺さず飼われてきた。
でもお前達は違う。
魔王に調教した人間の美女を定期的に送ることで、自由に生きることを許された。
同じ境遇なんて、元からありゃしなかったんだよ。
だから、私が天下を取ったからには、お前達には鉄砲玉になってもら――」
「天下――」割入ってくるツバサ。
「――その天下が揺るごうとしていることをご存じですか? アイラム様」
「――どういうことだ」
「確かに、勇者は愚かにもサキュバス族の手に堕ちました。
しかし、それにかわる人間界の使者が、今にも魔界に入ろうとしているのです」
「なんだと? 戦士も僧侶も魔法使いも殺して――」
「勇者は旅を始める際、女の冒険者を断った。
その女の冒険者は、勇者を追って冒険を続けていたのだそうです。
私の掴んだ情報によれば、女賢者と女格闘家の二人。
賢者とは魔法と法術、どちらにも長けた間接戦闘のスペシャリスト。
格闘家は剣士と対をなす近接戦闘のスペシャリストで、聞くところ人間界でも随一の実力者だとか。
彼女たちの力は勇者一行を凌ぎますよ。
なにせ、ものの二人で今にも魔界に入ろうとしているのですから」
「そ、そんな……!」
アイラムは焦っていた。
サキュバスは、もともと戦闘能力に長けてはおらず、せいぜい下級魔物程度の力しか持たない。
ただ、男相手には魅了でもって隙をつくことが出来たし、
勇者をかどわかし魔を打ち払う聖剣を奪った以上、聖剣を恐れる魔物にも敵はいなくなった。
しかし、相手が人間、それも女となれば別である。
魅惑もきかなければ、聖剣とて、ただの切れ味の良い剣でしかない。
その上、彼女たちは勇者一行を凌ぐ力を持つというのだ。
もしそんな一行が目の前に現れれば、アイラムはまず殺されるだろうし、
魔王が人間に殺されたとなれば、魔界の秩序も崩れ、魔物全体が人間によって駆逐されてしまうだろう。
「――そこで、ですよ」冷や汗をかくアイラムを、ニッコリと笑んで見上げてくるツバサ。
「その賢者と格闘家を、我々インキュバスが堕としてみせましょう。
戦闘で打ち負かすのではなく、籠絡して雌奴隷に落とし込む――
――そうすれば、人間が魔物に逆らうことは出来なくなることでしょう」
「それで、人間討伐部隊から外れたい、と?」
「適材適所。魔物には持って生まれた役割がある――違いますか?」
ツバサはあくまで素敵な笑顔でアイラムを見つめていた。
それを見てアイラムは腹立たしく思いながらも、しかしその案に反対する理由もなかった。
「――いいだろう。ただし、そいつらを堕とすまで、その薄気味悪いツラを見せんな」
「御意」
言ってツバサは優雅に頭を下げると、魔王の間を出て行った。
「……クソがっ!」
それを見届けた途端、歯を食いしばるアイラム。
やっと、やっと世界を手に入れたと思えば、邪魔がすぐさま入ってくる。
インキュバスに、人間の賢者と格闘家。
魔王の性奴隷として飼われ続け、インキュバスに食い物にされ、
薄汚い魔物のオカズにされて、それでも我慢して娘達を育ててきた。
それが報われたかと思えばこれだ。
「――おい、サクラコ」
「はっ」
魔王の間の垂れ幕の影に隠れていたアイラムの側近、サクラコが姿を現す。
「今日の謁見は中止だ」
「しかし、各魔物の長との主従の誓いが……」
「書面で済ませろ。どうせ私を見て今夜のオカズにしたいだけのクズ共だろ」
そう言って、アイラムは魔王の間を出て行く。
腹立たしい。
アイラムはこのいきり立った気持ちを苦々しく思いながら、廊下を突き進む。
◆
「はぁ……はぁ……んっ……!」
僕は必死で舌を動かす。
今日のお相手であるサキュバス、シィルは、ピンクの髪を振り乱しながら僕のクンニに耐える。
しかし、大きく開いた肉付きの良いお尻はぷるぷると震えており、
お椀型の乳房は柔らかくひしゃげながら揺れていた。
その眺めに下半身が反応してしまうものの、クンニに集中することで下半身を意識から外す。
(二人立て続けにイカせれば、アイラムと戦える――外に出られる、はずなんだ)
(こんなところでよがっている訳にはいかない。
一刻も早く外に出て仲間を募って、魔王となったアイラムを倒さなければ)
クンニに集中していれば、顎が疲れて快楽とは無縁になる。
苦痛を常時感じることが、経験の少ない僕が見つけた唯一の勝算だった。
シィルはどうやら大人しい子らしく、頑張って僕のモノに指をかけて擦るけれど、
動きはたどたどしく、今までのサキュバスに比べて稚拙だった。
すでにむわりと淫蜜に濡れて痙攣している彼女の膣、アナル、尻肉に舌を這わせ、振動させる。
「ふぐっ……んぅ……んぱっ、ねろぉ……」
「あああっ!」
突然、シィルの舌が亀頭を這った。
僕は動きを止めて、その快感に腰を痙攣させる。
シィルの舌は暖かくて、それが僕の亀頭のカリを舐めては、
裏筋を舌先でほじり、鈴口から先走り汁を搾り出す。
僕はお尻を引いて逃げようとするが、逃げられない。
(――そうだ。逃げられない。だったら、相手の土俵で勝たなきゃいけないんだ!)
この感情は、仲間達を殺したアイラムへの怒りから続くもの――
――僕は舌の動きを復活させながら、彼女の乳房に手を伸ばす。
「んむううううううううううううう!」
シィルは胸を揉まれた途端にフェラチオを止めた。
どうやら胸が苦手らしい――
――僕は上体を起こし、足を彼女の背に廻して、シィルを逆立ち開脚の姿勢にする。
股間を彼女の顔にあてがったまま、膣を舐め、
乳首を指でぷにぷにと押しつぶしながら乳房を不規則に揉みしだく。
「ほら、舐めなよ――イったら負けちゃうんだよ?」
そんなことが言えるほどに余裕が出来ていた。
今まで負けた経験から、少しづつ貯めた経験値が生かされていた――
――気持ちさえ屈しなければ、射精はある程度コントロールできる。
いくら舐められても、それが指先だと思えばさほど感じないものだ。
「ふみゅうううっ! ふみゅうううううううううううううっ!」
「ほら、ちゃんと舐めなよ――でないと、すぐイカせちゃうよ!」
舌を膣内に入れ込む。
入り口すぐ、上の方にあるGスポットを意識的にほじくり、
溢れる蜜は飲み込まず、舌に絡めて奥へ突き入れる潤滑油とする。
シィルは僕の頭にモッチリとした足を絡めて、股間を僕に押しつけてくる。
その脚の肉感にドキドキしてしまうものの、あくまでクンニに集中して――!
「ふ――あああああああああああああああああああああああああああああああ!」
顔に吹きかかる潮。
僕はそれを吸引して飲み込み、更に膣を舐める。
イったばかりで敏感になった膣への刺激に、シィルは全身を痙攣させて感じていた。
僕はそんなシィルの顔を上から覗き込む。
目を白黒させて震えるシィルは、明かな恍惚に浸っている。
僕は確かな自信を身につけて……
「後でお仕置きよ、シィル」
「――――!」
扉から聞こえた声に、僕の自信は一瞬にして揺らぐ。
見れば、そこには黒のブラジャーにホットパンツを着たサキュバスの女王、
そして魔王でもあるアイラムが立っていた。
「どきな……お手本を見せてやるよ」
アイラムの言葉に、意識を失いかけていたシィルはハイハイをしてベッドから降りる。
僕が身を硬直しているのを見て、いつもの嘲笑を浮かべながらベッドに上がってくるアイラム。
「二人に勝ったら、じゃなかったのか?」
僕の質問に、アイラムは答えない。
その嘲笑を浮かべる表情には、微かな怒りが感じられた。
どうやら機嫌が悪いらしい。
「誰に」アイラムはそう言って、跪く僕の前に脚を上げた。
ムッチリとした艶やかな太ももがぷるりと震え、
ホットパンツの細い股間部に走る肉厚な筋が丸見えになる。「口聞いてんだよ、豚が!」
途端、その足の裏が僕の頬を叩いた。
一瞬触れただけだというのに、しっとりと吸い付くような肌触りの足の裏が、
僕の頬を左右に、次々と叩いてゆく。
僕は足ビンタに顔を背けようとするが、アイラムの足はそれを逃がさない。
見上げれば、魅力的な太ももがゼリーのように震え、
股間の筋がホットパンツをムキュッとくわえ込み、
ブラに包まれた形のよい巨乳が妖艶にそびえ立つのが見えた。
「この口が生意気ぶっこいたんか、ああ!?」
「ふぐううううううううううううっっ!」
口を半開きにしてビンタに耐えていた僕の口内に、アイラムの爪先が突き入れられる。
鼻孔を突き抜ける甘い汗の臭い。
僕はその汗臭い爪先に舌を這わせて、指と指の間の垢すらしゃぶり、咀嚼してしまう。
「くそっ……なんでこんな豚が勇者なんだよ。なんでこいつを追いかけてくる奴がいるんだ?
こんな豚になんの魅力がある? 踏まれただけでセンズリこきはじめる変態なのに!」
「ふむうううううううっ! むふううううううううううううううううっ!」
アイラムはただ乱暴に僕の口内を踏みにじってゆく。
僕はアイラムへの憎しみを奮い立たせようとするが、
アイラムに踏みにじられて射精しまくった過去が頭にちらついて、
どうしても頭がぼーっとしてしまう。
やがて、アイラムは足をどけると――どこから取り出したのか、ローションを手にしていた。
遙か高みから落ちてくるゼリー状のローションが、剥き出しになりそそり立った僕のモノにかかる。
それが終わらない。ずっと落ちてくる。
それは股間に池を作り、それは腹部まで広がり、
溢れてベッドにしたたり落ち、しかしそれでも降り止まない。
やがて――一本分を絞り出した時には、僕の全身はローションゼリーによって包まれていた。
まるで、ゼリーの中に閉じこめられたフルーツのような気分だ。
「ローション? 誰がローションなんて言った?」
「え……?」
アイラムの意味深な言葉にいぶかしがる間もなく――全身を舐め上げるような感覚に襲われる。
ローションに、舐められている。
「まさか……スライム!?」
「そ。魔物の中でも最下級の魔物。ちなみに両生類だから、男も女も関係ないよ」
「ふぁあっ!」
生暖かい液体に乳首や内股、アナル、何より亀頭を執拗に舐められる。
しかし、決定的な快楽ではない。
それは、体の昂ぶりを促しながらも限界手前でとどめる、意地悪な蠢きだった。
「な、なんでこんな……ふぁあああ!」
「ちなみに、その中でだって自由に動けるから、逃げたきゃ逃げればいいわ」
確かに指や腕は動かせる……が、そのたびに腋や、股間を舐め上げられて力が出ない。
しかし、何より、なんでこんなことをする必要があるのか?
「不思議?」ベッドの上にわざわざ椅子を用意して座り、僕を見下ろすアイラム。
「今日はね、言葉だけで天国にイカせてあげようと思ってね」
「言葉?」
「そ……生意気な豚には躾が必要なのよ。行くわよ」
そう言ってアイラムは妖艶に笑うと、
伸びた艶やかな足先でリズムを取りながら抑揚をつけて歌い出す。
「変態勇者は魔物に犯され
チンポをみるみる固くして、
やらしい魔物の股間を覗いて
玉玉きゅんって萎ませて」
「――――!」
なんだろう、聞いているだけで恥ずかしくなってくる。
そんな歌を、アイラムは小馬鹿にしたような笑顔のまま続ける。
「エッチな魔物の股間を見ながら
ヨダレをダラダラ垂れ流し、
スケベな妄想ムラムラしちゃって
チンポをビンビンさせちゃって」
「ああ……あああああ……!」
韻を踏んで、まるで子供の替え歌のように歌うアイラム。
そのふくらはぎや、ブラに包まれた巨乳、踏みにじられた過去、アナルを犯された過去――
――あらゆる淫らな思い出が、子供っぽい歌と共に脳内を駆けめぐってゆく。
体中を舐めしだくスライムの動きに、股間の熱が追いつかない。
知らず、僕は亀頭に指先をからめて、ぬちょぬちょのスライムの中でオナニーをしていた。
「変態勇者は魔物の胸見て
ムチムチお肌にボッキして、
正義の為にと聖剣握った
今じゃあチンポを握るだけ!」
歌が更にテンポアップする。
長い脚で取るリズムも激しくなり、いつしかその指先は、僕の股間手前で揺れている。
少しでも腰を突き出せば当たる距離。
「世界の平和を頼むと言われた
今じゃあアヘアヘ叫ぶだけ、
魔物の世界にいざ立ち向かった
今じゃあドピュドピュ放つだけ!」
「あああ……ふぁああああああああああああああ!」
――その足先に、スライムに包まれた股間を押しつける。
途端、ぷにゅりとした瑞々しい足裏に亀頭が押しつぶされ、頭が真っ白になる。
「ムッチリお尻にモッチリ乳房に
妖しい魔物の誘惑に、
聖剣離して仲間手放して
精液たっぷり放つだけ!」
そう言った瞬間、アイラムはリズムを取っていた足を僕の股間に押しつけてきた。
「あひゃあああああああああああああああああああああああ!」
スライム漬けになり、ニュルンニュルンになってしまったオチンチンに、
アイラムの足が食い込んでゆく。
その足から逃げるように、ニュルンと蠢くオチンチン。
しかしアイラムの足はそれを追って力強く押しつぶしてくる。
ニュルンと逃げるオチンチン、しかし逃がさない足、それでも逃げるオチンチン、執拗に逃がさない足。
アイラムのふくらはぎが筋肉によってきゅっと締まり、僕のオチンチンを追い求める。
僕はそれに、アイラムの歌う通りアヘアヘ言って、ただお尻を振ってその快楽から逃げる。
その動きすらスライムのニュルニュルによって快楽になり、
アイラムの足は逃げることを許さずスライムの中で蠢き続ける。
「正義の味方が性技に屈して
いつも倒してた魔物の脚に、
チンポ押しつけてアナルすぼませて
ドピュドピュドピュドピュイっちゃうの!」
「ひゃあああ! 許して! ゆるひてぇ! 逃げられないよぉ! もう逃げられなひよおおおおおお!」
いくらお尻を引っ込めても、アイラムの足が追いついてくる。
あがく僕を見下ろして、今まで以上の嘲笑を浮かべるアイラム。
もう限界だった。
「ドッピュン ドピュピュン ドッピュン ドピュピュン
精液ポンプの正義の味方、
世界の平和も今じゃあ立派な
犬家畜以下の豚勇者!」
「あがああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
射精――スライムの中で、絞り出される精液。
しかし、そんな射精オチンポすら逃がさないアイラムの足。
僕はヌルヌルボディをくねらせながら、再びアイラムの足に果てさせられたのだ。
「はっ……あんたはね、豚勇者なのよ。
この前みたいに私に刃向かおうとしたら、もっと酷いことするから」
「ああああ……あひゃああああああ……」
アイラムの言葉がいまいち頭に入らない。
スライムの体液に催淫効果でもあるのか、頭がピンク色になって、
もっと踏み踏みされたいとしか考えられない。
「――そうよ。私の手元には勇者がいる――これを利用しない手はないわ」
アイラムは意味不明な言葉をつぶやくと、シィルに後片付けを任せて部屋を出て行った。