アト研座談会 【前編】

 

アトミックモンキー/声優・演技研究所の卒業生たちによる座談会

略して、アト研座談会

 

今回このアト研座談会に参加していただいたのは、

榎木 淳弥(3期卒業生)

高橋  信(5期卒業生)

三浦 勝之(5期卒業生)

小市 眞琴(7期卒業生)

 

以上のメンバーです。

[この座談会は2015年夏に実施しました]

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☆プロフィール紹介☆

 

榎木 淳弥(えのき じゅんや)

アトミックモンキー/声優・演技研究所 第3期生卒業

⚪︎主な出演作品

アニメ「カードファイト!!ヴァンガードG」綺場シオン役

アニメ「宇宙パトロールルル子」AΩ・ノヴァ役【2016年4月より放送予定】

アニメ「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」館脇 正太郎役

アニメ「デジモンアドベンチャーtri.」高石タケル役

アニメ「俺物語!!」栗原オサム役  など

 

高橋 信(たかはし まこと)

アトミックモンキー/声優・演技研究所 第5期生卒業

⚪︎主な出演作品

アニメ「まじもじるるも」柴木耕太役

アニメ「トリアージX-イクス-」蜂須賀康臣役

UULAマンガ「僕の初恋をキミに捧ぐ」垣野内逞役 など

 

三浦 勝之(みうら かつゆき)

アトミックモンキー/声優・演技研究所 第5期生卒業

⚪︎主な出演作品

SNSゲーム「白猫プロジェクト」クライヴ役 他

アニメ「東京喰種トーキョーグール」ウェイター役

ボイスドラマ「放課後カタストロフィ」悪の帝王役 など

 

小市 眞琴(こいち まこと)

アトミックモンキー/声優・演技研究所 第7期生卒業

⚪︎主な出演作品

アニメ「小麦ちゃんR」如月ツカサ役

アニメ「バトルスピリッツ ダブルドライブ」茂上駿太役(主役)【2016年4月より放送予定】

SNSゲーム「トイズドライブ」タクト=レナード役 など

 

(写真左より三浦勝之・小市眞琴・榎木淳弥・高橋信)

 

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―声優になろうと思ったきっかけは?

 

榎木 僕は大学時代に結構アニメとかが好きな友達が多くて、
その仲間と見たアニメに感動したのがきっかけで、自分もチャレンジしてみたいなと。
また親戚に声優がいたので、普通に就職する前にやってみよう、と。

 

三浦 ちなみにその作品は?

 

榎木 天元突破グレンラガン。

 

小市 私もグレンラガン好きでした!

 

高橋 そういう意味では僕も作品から入りましたね。スレイヤーズ。
高校を卒業する寸前まで、僕は測量士かホテルマンになろうと思っていたんですが。

 

榎木 幅広いね。(笑)

 

高橋 幅広いです。(笑)
そんな時ビデオショップで何気なくスレイヤーズに出会って、自然に入り込んじゃったんですよ。

演じている人たちが楽しそうだなぁと思って。
それで、声優になる為にはどうすればいいのかと考えていたら、声優の専門学校がある事を知って。

それが終業式の前日だったんです。

 

榎木 え!? それは急だね。

 

高橋 しかも願書の受け付けが終業式の翌日までだったので、先生には滅茶苦茶怒られました。

 

一同 (笑い)

 

 

―研究所って、皆さんにとってどんな場所でしたか?

 

高橋 先輩、どうでした?

 

榎木 入る前は、どんな人たちがいるんだろうと心配だったんです。

 

高橋 それはわかります。

 

榎木 ちゃんと”声優になりたい人”じゃなくて、ただアニメにしか興味ない人ばかりだったら、

一年間一緒にうまくやっていけるのかなぁ、と。

 

小市 私は、「すごくまじめに目指している人たち」がいるハズだと思っていたので、

その人たちと一緒に集まって、頑張っていればいいんだ、と。

 

榎木 ああ、でも自然にそうなっていった気はする。

頑張ろうと思って行動してる人のまわりにはそういう人が集まってくるよね。

 

高橋 僕は最初めちゃくちゃ緊張してたんですよ!
とんがっているというか、わがままな感じの人達ばっかりだったらどうしようと思っていて。
でも実際に入ったらそれは偏見で、アニメが好きだったり、舞台(演技)が好きだったりと、

それぞれ嗜好の違いはあったけれど、いい作品を創ろうという気持ちは一緒で。

一言で言うなら(研究所時代は)いい経験ができて、純粋に楽しかったですね。

 

 

―研究所に、自分よりも才能があるなと思った人はいましたか?

 

一同 それはもちろん。いましたね、沢山。(口々に)

 

―でも結果として、皆さんが今現在所属として現場で活躍されている。

そういう物を分けた所って何なんでしょう?

 

小市 それぞれ、自分よりもいい所があって、この人は外画で活躍できそうだなとか、

こんな演技はこの人には勝てないな、とか、

特に二年目で(人数が)絞られてからは、それぞれ凄く光ってる人が多くて、

この中から残れるかな、という不安は正直ありました。

 

高橋 いましたね。格好いい演技するなとか、さまになってるな、とか。

でも、メンタルが弱いというか、打たれ弱い人はなかなか難しかったんじゃないかな。あとは運。

 

一同 はい、はい。(同意)

 

高橋 現場で気に入って頂けるか、そうでないかという観点もあるし。

さらに(必要なのは)運に見放されてもやる、続ける、という強いメンタルかな。

 

三浦 僕、一年生の時はぶっちゃけ自分出来るんじゃね?と思ってたんです。

 

一同 (笑い)

 

榎木 一年時は調子に乗ってた?(笑)

 

三浦 調子に乗ってました。波に乗れちゃっていたんですね。(笑)

でも二年生になって、選抜された人たちと一緒になると、

かなりお芝居好きな人が多くて・・・(思い出し)濃かったなぁ~。

 

小市 そんなに!?(笑)

 

三浦 そういう人たちを見て得られる物も本当に多くて。

・・・仲間に恵まれましたね。レッスンにも積極的になりました。

 

 

 

 

 

 

 

―研究生時代に、講師の方から言われた言葉で印象に残っているのは?

 

高橋 じゃあ、榎木さんからお願いします。

 

三浦 いきなり先輩に振る?!(笑)

 

榎木 小林大祐さんから、最後の講義の時、これから生き残って行く為に、

そして芝居で一番大事な物はなんだかわかるか?それは愛だ、といわれたのが今でも印象に残っています。

正直この業界、僕より上手い人ばっかりですし、全然敵わなくて、

収録の度に落ち込んだり反省したりしてるんですけど、

作品・芝居・人に対する愛があれば乗り越えられるんじゃないかと。

それがあるから厳しいことにも耐えられるというか、頑張れているんだと思ってます。

 

高橋 じゃあ・・・。(挙手)

 

榎木 高橋くん、講師は誰だったの?

 

高橋 長沢美樹さんです。いい意味でも悪い意味でも印象に残っているのは、

「奇人みたい」「気持ち悪い」という長沢さんからの言葉でしたね。

 

小市 たしかに印象に残る言葉ですね(笑)。

 

高橋 悪口じゃ無いですよ(笑)。

頂いた役の演技を見ていただいたとき、笑いながら長沢さんが「奇人みたい」と。

役作りで、自分なりに考えて、コミカルな面を強調して、思い切ってやったら、

「気持ち悪い」と言われたんです。やり過ぎと言うか、そういうのを言われて。

その時、ああ、客観的に自分の演技を見る事が出来ていなかったんだなと。

 

三浦 そういう気付きがあって。

 

高橋 その気付きが、僕の中で、一つの階段を上がったというか。

そういう意味で、「気持ち悪い」という言葉は、凄く印象に残っていますね。

 

三浦 小市さんは?

 

小市 瞬発力と読解力が大事、という愛河里花子さんの言葉ですね。

あと、アフレコ実習の時、ヒロインの役がまわってきたんです。

それまでは少年役や大人の女性役が多かったので、ドキドキしながら演じたんですが、

その時に愛河さんから「小市ちゃん、女の子も出来るんだね」と言われて。

私、女の子やってもいいんだ、と。(笑)いろんなキャラクターを自分の中で

これから作って行きたいなと思って、その言葉が記憶に残っています。

 

三浦 僕は一年の時に小林大祐さんから言われた「(演技の)瞬発力ないね、君」という言葉が凄く悔しくて。

 

榎木 逆に。(笑)

 

高橋 ダメ出しだ。(笑)

 

三浦 頂いた役について、自分のイメージが固まっちゃってて。

自分はこういう風に演じようと決めつけてやってみた結果、「あんまり面白くないね」と。

その後、二年次に濃い仲間に恵まれて、ああ、ほかにこういう演技プランもあるんだ、ってことに気付けたんです。

それからいろいろやってみるようになりました。

 

小市 そうして成長出来ました?

 

三浦 そうしたら今度は愛河さんから「気持ち悪い」って言われて。

 

高橋 やっぱり気持ち悪かったんだ。(笑)

 

三浦 それが悔しくて。

・・・悔しさだけでここまで来た、みたいな感じはありますね。(遠い目)

 

 

―収録の現場で悔しい思いをされた事は?

 

高橋 他の人が演じているのを聞くたびに、ああ、そういう表現があるのか~、と。

僕は、台本を頂いたときに、他の人の台詞を演じてみる事があるんですが…

 

三浦 ああ、やりますね。

 

高橋 実際現場でその役の方の演技を聞いてみると、

場面場面のつなぎ方の説得力、表現力が全然違うんですよね。

また、ディレクターさんからダメ出しを受けて、

ああ、自分未熟だな、と思い知って。その度に涙が出ることがありますね。

 

小市 自分がこうだ!と思って作って持っていった演技プランを、

音響監督さんが「こういうやり方もあるんじゃない?」とやってみて下さった事があって、

それが凄く面白くて、悔しくて。自分では探せなかった道もあるんだな、と。

 

榎木 わかる!発見できた感謝もあるけど、悔しさもある。

 

小市 これからも、日々勉強です。

 

一同 うん。(同意)

 

三浦 僕はゲームの仕事が多いので、一人での収録が多いんですが、

自分の得意とする部分と苦手とする部分の差みたいなものが顕著にあって。

やってみてOKをいただくんですけど、出来上がったのを聞いてみると、

苦手なんだなっていうのが自分でわかって、悔しい思いをしてますね。

 

 

 

 

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