ご飯が進む甘辛味にしたピーマンの肉詰めの作り方です。ピーマンに肉や魚を詰めた料理はあらゆる国でつくられています。栄養摂取だけが目的であれば別々に食べても同じですが、世界中で同じような料理が生まれた訳は「野菜の空洞になにかを詰める」という行為に、クリエイティブな楽しさがあるからでしょう。現代は時短、簡単な料理がもてはやされますが、料理の本当の楽しさはこうした手間にあるのです。
ふんわりとした食感に仕上げるための工夫が「生の玉ねぎ」です。玉ねぎに含まれる酵素の働きで肉の結着が弱まることで、パン粉や卵などを使わなくてもおいしくできます。
ピーマンの肉詰め
ピーマン 1パック(5〜6個)
小麦粉 大さじ1(薄力粉)
合挽肉 250g前後
玉ねぎ 1/2個(100g みじん切りにしておく)
醤油 大さじ1
砂糖 小さじ1
ごま油 小さじ1
醤油 大さじ2
みりん 大さじ2
酒 大さじ2
砂糖 大さじ1
1.肉ダネをつくる。ひき肉をボウルに入れ、醤油大さじ1、砂糖小さじ1を加えて軽く混ぜ、みじん切りにした玉ねぎを加えてさらに混ぜる。玉ねぎが肉のなかに入ったら、ラップをかけて冷蔵庫で15分間(冬場なら常温で15分間)置く。(Tips 1 ピーマンの肉詰めはシュウマイと同じ)
2.ピーマンは2cm幅の輪切りにし、ヘタと種を指で押してとりのぞく。種が多少、残っても味には影響なし。ビニール袋にピーマンを入れ、小麦粉大さじ1をまぶす(ボウルにピーマンを入れて、小麦粉を振りかけてもよい)。(Tips2 ピーマンは横に切る)
3.テーブルナイフなどを使い、両側から押し込むようにして、ピーマンに肉を詰める。先端部分や枝付きの部分には肉ダネをのせるようにするとよい。
4.フライパンにごま油小さじ1を敷き、3のピーマンを並べ(端の部分は肉が下になるように)中火にかける。
5.焦げ目がついてきたら裏返す。
6.すべて裏返したら火を弱火に落とし、醤油大さじ2,酒大さじ2、みりん大さじ2、砂糖大さじ1を入れ、蓋をして蒸し焼きする。目安は5分。
7.5分経ったら蓋を開ける。ピーマンを皿に盛り、フライパンに残った煮汁をたれとしてかける。たれの濃度が薄い場合はピーマンを取りだしてから、軽く煮詰めるとよい。
★レシピの解説
【Tips 1】ピーマンの肉詰めはシュウマイと同じ
ハンバーグを作ったときは肉の味を生かしましたが、ピーマンの肉詰めの場合は主役のピーマンを引き立てたいもの。そのためにはピーマンのやわらかさにあわせて、肉ダネをふんわりとさせる必要があります。
肉ダネをやわらかくするには、卵やパン粉といったつなぎを加えるのが一般的。卵を入れるのが一番簡単で、合挽肉250gに対して1/2個の卵を入れるとちょうどいい硬さになります。
とはいえ1/2個分の卵を使うと「残りの1/2個はどう使えばいいの?」という問題が出てきます。そこで今回は卵を使わずにふんわりと食感を出すレシピにしてみました。秘密は「生の玉ねぎ」です。以前、ご紹介したシュウマイの時にも説明しましたが、生の玉ねぎを加えて時間を置くことでタンパク質分解酵素の働きにより肉の結着力が弱くなり、ふんわりとした食感になります。この肉ダネ、普通に焼くとボロボロに崩れてしまいますが、肉詰めにすればピーマンが型になるので平気です。つまり、このピーマンの肉詰めはシュウマイの皮をピーマンに置き換えたもの。理屈がわかればこの肉ダネを輪切りにしたゴーヤに詰めたり、ズッキーニの中心のふかふかしたところをくり抜いて詰めたり、とアレンジは無限です。
【Tips2】ピーマンは横に切る
普通、ピーマンの肉詰めに使う場合、ピーマンは縦に切るか、と思います。しかし、今回は横に切りました。このほうが肉が剥がれるリスクが減りますし、肉の香ばしい部分も増えるので、オススメです。
また、秋口に出回るピーマンは成熟しているので、食感がしっかりとしています。夏のピーマンであれば縦に切って、種をつけたまま、肉ダネを詰めるのがオススメですが、秋口のピーマンの種は成熟し、やや硬めなので除去するのがベター。
今の時期のピーマンの魅力は火を通してこそ出てきます。そこで蒸し焼きにして、しっかりと火を通し、やわらかく仕上げます。色は多少あせてしまいますが、大事なのは味。仕上げに一味唐辛子を振ってもおいしいです。