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♪~
なつたちの新しいテレビアニメの放送が始まりました。
♪「まぶしい大地に広がる空」
♪「風は優しさ 運んでくれる」
♪「森は心を 育ててくれる」
♪「昨日の涙と 明日の笑顔は きっと友達」
(亜矢美)カスミねえさん…!(雪次郎)あ~!
♪「ラララ ラララ」
♪「ラララ ラララ」
♪~
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
(富士子)あっ 始まった。
(ソラ)「父さん あと どのくらい?」。
(父さん)「もう少し上流に行くと町が見えてくるはずだ」。
(地平)あっ ひいじいちゃん そっくり。
(ソラ)あそこ!鳥たちが戻ってきているわ!あなたたち うれしそうね フフフフ…。
(父さん)ハッ!うわっ!
(母さん)ソラ ちゃんと つかまって。
(父さん)地面全体が ぬかるんでいる。どうやら この辺りも川の水に流されたんだ。
(テレビ・母さん)「ここに暮らしていた人たちも無事に逃げていればいいのだけど…」。
(鳴き声)(ソラ)「あそこ!生きてる! 生きてるわ 父さん!助けを呼んでる!早く! 早く助けなきゃ 父さん!」。
(テレビ・父さん)「この子の親は流されてダメだったようだ。母さん すぐに あたたかいものを」。
(母さん)まずは びしょぬれの服を替えましょう。
(父さん)レイ… お前は俺たちと一緒に行こう 新しい土地へ。
(レイ)僕には… 行く場所なんてどこにもないんだ!
あっ… レイ!
待って! どこに行くの レイ!
一緒に行きましょう。
父さんも母さんも死んだんだ…。もう誰もいないんだ…。
君には 僕の気持ちなんて分からないよ!
あなたが生きていて 本当によかった。
あなたの気持ちは分からないけどでも あなたが悲しいことだけは分かるわ!
それだけじゃ いけないの?
♪~
(鳴き声)
うわっ!こっちだ ソラ!
(ソラ)牛は おとなしいはずなのに!
(レイ)犬が怖くて逃げてるんだ!
(テレビ・ソラ)「牛を引き付けるから犬を追い払って!」。
ああ 分かった!やい! あっち行け! ソラ!
お~!
お~ お~。
よしよし 怖かったよね… もう大丈夫。
犬は逃げてった! 大丈夫か?
野犬は レイが追い払ってくれたよ。
うわ…!
(テレビ・ソラ)「この子は レイにお礼を言ってるんだわ!」。
(泰樹)ハハハ ハハハハ…。
(笑い声)
(鳴き声)
ハハハハハ…。
♪~
(坂場)優 どうだった?
(優)面白かった!レイも 家族になれるといいね。
そうだね。
(なつ)やった~ ハハ…。
そうか 優 面白かったか。
あとは? あと どこ面白かった?どこ?
℡牛とのかけっこ!
牛? 牛 出てきたな。うん。
はい もしもし。
なつ… みんなで見てたわ。
ありがとう。 どうだった?
℡(富士子)面白かったわ。
じいちゃん 楽しめたかな?
楽しそうに見てたさ。牛が なめたところで笑ってたわ ハハ…。℡そう。
なら よかった。 それが きっかけで牛飼いになる話だから。
毎度 どうも。
(麻子)どうも。
♪~
お帰りなさい… どうでしたか?
うん…視聴率は あんまり よくなかったけど1回目だし 内容的にはスポンサーも納得してくれたみたい。
ただ 話が地味すぎたかもしれないとは言ってたけど。
地味ですか…。
(神地)そんなの 始まる前から分かってたことでしょう。
テレビ局の中にはあれで当たるなら 誰も苦労しないって露骨に言う人もいたわ。(桃代)ひどい!
(下山)それじゃ まるで僕たちが苦労してないみたいじゃないですか。
(陽平)まあ それでもとにかく続けるしかないよ。
続けましょう。(神地)チクショー!
その後も 視聴率はあまり上がりませんでした。
放送から ひとつきがたち打ち切りの話も出かかった頃に…。
お世話さまです。思いも寄らないことが起こったのです。
これ 見て 見て!
視聴者からですか?そう。
(下山)えっ 子どもからですか?
子どもからのもあるけどほとんどが親からよ。
「子どもと一緒に 楽しく見てます」って。「子どもにこういうものを見せたかった」って。
新しいものを作ってるんだからそのよさに気付くのには時間はかかるんだよ。
頑張りましょう!うん。
ということで 私は もう限界。えっ?
プロデューサーをやりながら動画チェックを手伝うのは無理があった。
特に イッキュウさんの演出のもとでは。すいません…。
それで 新しい人に来てもらうことにしたから。
ね? 下山さん。
はい。
えっ… まさか!?
(茜)お久しぶりです。
茜ちゃん!茜さん!
お待ちしてました。マコプロへ ようこそ。
茜さんが来てくれるなんて夢みたいね。
だいぶ 腕は鈍ってると思うけど…。(麻子)茜ちゃんなら大丈夫よ。
お子さんは お母さんに預けるんですか?
うん そう。とうとう 私の母を説き伏せてしばらく 家にいてもらうことにしたわ。人手がなくて困ってるって聞いてこの仕事は ちょっとやってみたくなったのよ。
作品が面白いもの!
ありがとう 茜さん!
まあ 私が働けるのは夕方までだけど。
大歓迎です! ハハハ…。
神っち 下山さん ちょっといい?(下山 神地)はい。
こうして 茜さんも仕事に復帰し1週間に1本仕上げるという目の回るような忙しい日々が続いてゆきました。
(石沢)回収 行ってきます!(麻子)お願いします。
♪~
そして その日曜日その日も 休めずに働いていました。
(麻子)お~ 上手 上手。あ~ ごめん ごめん…!
ありがとう。
ちょっと待って!
あ… もしかしてここが 何を作ってるところか知ってる?
ソラ?
そう! やっぱり 知ってて来たの?ここ 見に来たの?
はい… ソラが大好きです。
ああ… うれしい!
あ… そうだちょっと いらっしゃいよ。 ね。
どうぞ。
みんなこの子が ソラのファンなんだって!
ここ 見に来てくれたんだって!
どうぞ どうぞ 入って 入って…。いらっしゃい!
(麻子)モモッチ 何かあげてもいいセル画を持ってきて。
あ… はい。
これね セル画っていうんだけど持ってく?
えっ いいんですか?(桃代)どうぞ。
わあ!
おうちは この近くなの?
いいえ。遠いの? 一人で来たの?
お母さんと。(麻子)えっ? どこにいらっしゃるの?
向こうの道で待ってます。
やだ 私 勝手に連れてきちゃった…。
お名前は?
杉山千夏です。
(桃代)ちなつ?何だ 小さい なっちゃんじゃない。どういう字 書くの?
千の夏です。
ふ~ん…。
これ 本当に もらってもいいですか?
(麻子)どうぞ。ありがとうございます。
(麻子)これからも ソラを応援してね。
はい! ありがとうございました。
ごめんね 勝手に連れてきて。優ちゃん お見送りしよっか。ありがとう。
(戸が開く音)
♪~
千遥!
千遥…?
♪~
なつよ ついに…。
来週に続けよ。