変わっていった意識、そして覚悟

大場美奈

――いま、アイドルとしての約10年間で、覚悟は変わりましたか?

 わたしはSKE48に来て変わったかもしれないです。AKB48もドキュメンタリー映画をやっていて、アイドルなのにここまで頑張っている姿はありましたが、キラキラは強いイメージのグループだったんですよね。なので、流れに身を任せてアイドルをやっていたというよりは、本当にいろいろなことが起こるグループだったので、それに身を任せていたのですが、SKE48は自分でアクションを起こせば結果につながるというか、いろいろなことがチャンスでめぐりめぐってくるんです。SKE48は、自分でチャンスをつかめる機会があるグループだなと思います。それはSKE48のメンバー、卒業していく人も見ていて、こうやってメンバーが頑張っていて、ファンの人たちが応えてくれる、こういう環境が48グループの中にもあるのかと。わたしたちは会いに行けるアイドルがモットーですが、SKE48はもっと濃密にコミュニケーションも取れていて。

 それは、ほかのグループに比べてもっと近い距離で会っている、握手会の時間が長いとか、そういうことじゃないのですが、外の人が見たらブログ程度のことかもしれないですが、たとえばブログの文章を読み取り、感じ取り、それを熱い応援に変えようとしている方たちが本当にたくさんいるんです。とことん応援してくれる人たちが付いている。ひとつのことをどういう手段で伝えても、120パーセントくらいの勢いで受け止めてくれる。それくらい強いファンの方たちがついているので、選抜総選挙も昔からAKB48の選抜総選挙でSKE48が強い理由は、SKE48のメンバーとファンの間のコミュニケーションがすごく取れているからで。意思疎通がしっかりと取れているというか、それがこの子をもっと上に行かせてあげたいという熱量に変わって来るのかなと、そういうことを私はSKE48のなかで学びましたね。

 それまではSNSの更新ツールが少なかったということもあり、ファンの方とどうコミュニケーションを取っていいかわからず、握手会くらいしかなかったんです。SKE48は本当に多くて、ひとり5個くらいSNSがある。それを駆使してやっていると、すごいことになります。それが活かされているので、24時間触れ合っている感じですね。土日だけが握手会ではなくて、会えない時はネットで触れ合っている。それが強くて、SKE48は発信すればするだけ影響が出るので、それは感動的でしたね。

――映画『アイドル』が世に出て行ったいま、想いを新たにすることもありそうですが、その点いかがでしょうか?

 最初、特別な人になりたくてアイドルになったので、歌って踊ることを楽観的に考えていました。「歌って踊ればいいんでしょ?」みたいな感じだったんですよ。だから笑うかカッコつけるか、真顔で歌うかの三択しかなかったんです。それで5~6年もやっていて、その一方でずっと昔から曲の主人公になることは好きで。曲を聴きながら通学している時もその曲の世界観に入り込み、失恋はしていないけれど、その歌詞の気持ちに乗って自分も失恋している気分になるとか、そういうことが好きでした。でもそれと、アイドルとして歌うことがリンクすることに気付く時期が全然遅くて。気づいていなかったので無で歌っていたんだなと。

 それもSKE48に来てからなんですよね。本当、ここ3年くらいのこと。SKE48に来て5年になるのですが、何も考えずに歌って踊っていて、3年目くらいで意識が変わりました。いろいろなメンバーを見ていて、この人たちに追いつくためには? という自分なりの試行錯誤で方法を見つけた時に、言葉が見つからないけれど、みんな自分に酔いしれているなあと。SKE48は特に。セクシーなダンスもめちゃくちゃやり切る。すごい悲しそうな表情をして歌う子もいたり、1本の映画を観ているくらいの感じ。それを見ていて引き込まれている自分がいることに気付いて3年くらいですね。酔いしれないと損しているなあと、めちゃくちゃ浅かったんですよ(笑)。それに気づいた後は、めちゃくちゃ気持ちいい。その殻を破ることってけっこう厳しいというか、別の自分を演じなくちゃいけないわけで。

 お芝居することって恥ずかしいという気持ちもあるのですが、それに気づくことができたのでいまわたし、無敵です(笑)。

後編は、須田亜香里さん

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