いきなり余談めいた話で恐縮だが、先週分の原稿を担当編集さんに送ったところ、こんな返事が来た。「登場人物の名前、“口”が多いですよねぇ」。
あっ、と思った。脚本の野木亜紀子さんは登場人物の名前に凝ることで知られている。インタビューでは「こんなタイプの人かなあと決めたうえでどんな名前にしようか考えます。名前だけで3日くらいかかることもありますよ」と話していた(『テレビブロス』11月号)。
あらためて主要登場人物5人の名前を見返してみると、深海晶、根元恒星、花井京谷、橘呉羽、長門朱里。たしかにファーストネームに“口”が多い。しかも、よく見ると晶と恒星は“日”になっている。口が閉じているのだ。晶は日が3つ、恒星は日が2つある。どれだけ口を閉ざしているのか。
珍しい名前の京谷は口が2つある。別の方向に別のことを言っていたということだろう。呉羽は口が1つだけ。本音しか言わないということだろう。朱里は口にバッテン(十字)がついている。本音を言わないよう封じられたようにも見える。
『獣になれない私たち』の“獣”という字にも口があって、タイトルバックでは「ガオー」と吠えている。“ラブかもしれないストーリー”は心の中の言葉を語るか、語らないかのストーリーなのだ。たしかにそんな第7話だった。
晶の「加勢します」にも泣けたけど、千春さんの長男の奥さんが、これでお義父さんのこともっとみてあげられます、と言ったのも泣けた。長男の嫁とかたいてい悪者に描くけどそうしないのがすごいと思った。