左:進藤家住宅(佐中千年家) 右:川西市郷土館旧平安家 いずれも兵庫県景観形成重要建造物
景観形成重要建造物のメリット1
景観形成重要建造物等の保存活用支援(2013年景観条例の改正)
景観形成重要建造物の保存活用にあたって現状変更等を行おうとする場合で、建築基準法に適合させることが著しく困難であるときに、その適用を除外するための「現状変更の規制及び保存のための措置」を講じる「認定景観形成重要建造物」制度を創設しました。
注)建築基準法の適用除外の可否は特定行政庁の判断になります。
認定景観形成重要建造物への道
景観形成重要建造物の所有者は、まず「保存活用計画」を作成します。
その際、県の景観部局が景観条例に則して、特定行政庁が建築基準法に則して保存活用計画の事前相談にのってくれます。・・・ここが大事!でもまだ前例も少なく、支援体制が整っているとはいえません。
次に、建築所有者はできあがった「保存活用計画の認定」を知事に申請します。
これを県の景観部局が審査し、県景観審議会・市町村長への意見聴取を経て、認定されて初めて「認定景観形成重要建造物」になります。
所有者は、「現状変更の規制および保存のための措置」を条件に「現状変更」が許可制になり、同時に「保存義務」が発生します。
ここでやっかいなのが、「建基法適用除外の審査」です。
県景観指定では初めてのこの3条適用の建物が西脇小学校です。防火要件などを緩和できたそうです。
長大な三棟が渡り廊下で結ばれた木造二階建ての建物で、1937年(昭和12年)竣工、設計は内藤克雄。
建基法を除外してもその安全性や建物機能が担保されなければ適切に活用できませんので、特定行政庁の審査と「建築審査会の同意」と「適用除外の指定」が必要になります。原子力安全委員会と同じく、危険を指摘することは簡単ですが、安全だとの「太鼓判」を押すことはとてもハードルが高いことが想像されます。
ともかく同意が得られて初めて、「現状変更」の許可申請をし、県景観部局の許可が下りて初めて工事並びに保存・活用が叶います。・・・長く険しいですが、これで歴史的に大事な部分が、既存不適格なまま堂々と活用できるようになるかもしれません。
一方でこの「行程の煩わしさ」の割にメリットが少ないとの意見も有り、あくまでもケースバイケースといえます。ただ、建物の特性に応じた多用な安全性確保の方法を考えていくステップになり、知恵が問われます。
景観形成重要建造物のメリット2
兵庫県内の景観の形成に関する取り組のひとつ、「景観形成重要建造物」の指定を受けることで、基本設計費、実施設計および工事管理費として1/3または60万、景観を形づくる部分の改修工事費の1/3または270万円、門塀外観補修費の1/3または60万、樹木は診断・治療・移植として1/3または60万までの補助が出ます。
※市町随伴は不要になったそうです。
景観形成重要建造物等指定一覧
H22まで https://web.pref.hyogo.lg.jp/wd23/documents/keikan_juuyoukenzoubutu_ichiran_-h22.pdf
H23-30
https://web.pref.hyogo.lg.jp/ks20/documents/keikan-juuyoukennzoubututouichiran7-11.pdf
西宮市の場合、景観指定建物は工事内容によりますが、工事費の1/2かつ上限500万円で外壁改修費や樹木の剪定などの補助があります。市の景観指定と県の景観指定の両方を受けることも可能ですが補助が両方有効かは確認が必要です。111205
神戸市の景観形成重要建築物には、年間500万円の予算を持っており、外観補修の必要な各建物に振り分けて補助しています。補修計画を立て、時間に余裕を持って申請してください。150514
景観形成重要建造物の手続き
登録文化財制度では実効性のある補助が難しいため、兵庫県ではこんな制度も検討できます。兵庫県以外でも類似の施策が期待できますので調べてみて下さい。
地域の景観の形成に重要な役割を果たしている建造物または樹木を指定し、適切な維持管理が図られるよう必要な指導、助言を行います。
0準備
毎年度概ね夏頃に県は市町村に景観指定候補の照会を行い、精査した上、調査、稟議を経て年度末までに指定が決まります。H25年度に指定ゼロだったのを別にすれば、毎回4-12(H30.5現在89件指定済)
件の指定が進んでいます。まずは市町村に指定希望を伝えに行き相談にのってもらいましょう。
1 指定の手続
所有者の同意、市町長の意見等の手続を経て、知事が指定します。
2 維持管理義務
景観形成重要建造物等の所有者は、その優れた景観が損なわれないよう適切な維持管理に努めなければなりません。
3 届出の対象行為
(1) 景観形成重要建造物の改築、増築、修繕、模様替え色彩または意匠の変更、除却
(2) 景観形成重要樹木の移植、伐採
詳しくは、兵庫県まちづくり技術センター>>https://www.hyogo-ctc.or.jp/machicen/machicen/annai/annai4/kitei.htm
景観指定とそのデメリット2019
歴史的建造物の100%は既存不適格建築物です。最初の建築後何度も増改移築を繰り返している中で、地域の中で遺ってきたものがほとんどです。地域により戦前、その他の地域は昭和25年の建築基準法施行後の建築行為にはすべて「建築コンプライアンス」の網が覆いかぶさります。(ただし既存不適格建築物は正ではありませんが×とはみなしません)
しかし、建築コンプライアンス上真っ白の状態であり続けるにはかなり困難が発生します。結果的に故意でない「違法建築」である歴史的建造物に建基法を司る国交省系の優遇措置=「景観指定」することに批判的な意見が一定量あり、そういう意見は今増加傾向にあります。世間一般のコンプライアンス意識が急上昇しているからです。
コンプライアンス上真っ白に建築物を是正することは難しく、景観指定期間は指定前に身体検査を実施せざるを得なくなっています。今まで脱法推奨型の文化財系の冠をつけた建物でさえ、耐震や防災上コンプライアンスの網をかける途上ですので、いたしかたありません。
景観指定されることで発生するデメリットについては、意識過剰にならざるをえない指定機関とじっくりと協議が必須です。ちなみに戸建て住宅でも建築確認の検査済証が当たり前になった時期は昭和後期以降でしょう。
コンプライアンスの海におぼれそうです。
注意
その他市町村指定の景観建造物などは条例に示されていないと3条適用はNGのようです。
指定や指定後の補助に関して、耐震基準や当該建物の法適合性の必要性については、兵庫県(
都市政策課景観形成室)にお問い合わせください。コンプライアンス上、諸事情、厳しくなってきています。