---------------------------
----N----142----------
----a-----------------------------
----t-----------------------
----u-Z-o-r-a--------------
-----------------------------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------
なつがデザインしたテレビアニメの主人公 ソラがついに出来上がりました。
♪~
(神地)お~ かわいいじゃない!
(桃代)これなら かわいいだけじゃなくて野性味も感じられるわよ。女の子らしいけど決して弱い子には見えないと思う。
(麻子)ちゃんと 中身のかわいさとたくましさを捉えているからよね。
ほっぺが赤いの? これ。
(なつ)そう。寒いから リンゴみたいに赤くなるのよ。
それに合わせて服の色も赤にしてみました。
いいと思う!本当?
どう?
(坂場)うん。
この子の日常なら 見たくなります。主人公の活躍よりも生きる力そのものを描きたいんだから。
(陽平)そういう精神がこの作品全体に必要なんだろうな。
ねえ 神っちも 本当にいいと思う?
うん。 いいキャラクターだよ これは。そして 新しい!
よかった…。
あっ… 私 そろそろ迎えに行かなきゃ。
あ… もう今日は帰っていいわよ。あっ いえもう少し描きたいんでまた戻ってきてもいいですか?
(麻子)それは構わないけど。すいません。 じゃ ちょっと行ってきます。
♪~
優は 保育園が終わったあとマコプロで過ごすことになりました。
♪~
♪~
♪「重い扉を押し開けたら暗い道が続いてて」
♪「めげずに歩いたその先に知らなかった世界」
♪「氷を散らす風すら味方にもできるんだなあ」
♪「切り取られることのない丸い大空の色を」
♪「優しいあの子にも教えたい」
♪「ルルル…」
そして ある日曜日。
(ブザー)・は~い。
信さん 明美ちゃん いらっしゃい!
♪~
(信哉)それじゃ 家族で会社にいるんだ?
そうなの。大変だろうけど いい会社だね。
小さいからなんとか やっていけるんです。
経営者も同僚も気心が知れた人ばかりですから。
(明美)何だか羨ましい。
結婚しても好きな仕事を続けられる環境って作るのが 本当に難しそうだもん。
よかったね 優ちゃん。
(優)うん。優ちゃんも 絵を描いて働いてるの。
ハハ… そうなんだ。
明美ちゃんは?やっぱり 東京の放送局は大変?
うん… 人の数も 扱うニュースも全然違うから。
でも 信さんがデスクで助かってる。
明美ちゃんは 何だか本当の妹のように思えてね。
それは なつ姉ちゃんのおかげだわ。
だから 甘やかさずにビシビシ鍛えなきゃと思ってるんだよ。
早く 一人前の女性ディレクターになってもらわないとね。
何だ…。
何だじゃないでしょ。その方が 明美ちゃんのためなんだから。
信さん ビシビシ鍛えてやってね。
分かった。頑張ります。
あ… なつ姉ちゃんたちは十勝に行ったんだって?
取材。開拓者の話をテレビ漫画にしようとしてるんです。
柴田家の話?いや そういうわけじゃないけど…じいちゃんが 今までどうやって ここまで歩いてきたかそんなことを思いながら作りたいと思ってる。
まあ あくまで 架空の話だけどね。
でも なつ姉ちゃんのことを知ってる人はみんな うちの話だって思うんでないの?
うん… そうかな?
僕は そう思われてもいいと思ってるよ。
それでも恥ずかしくないようなリアリティーのあるものにしたいと思ってるんです。
もともと 原案にしてるのも作者の実体験ですし。
その方が面白いかもしれない。そういうのが見たいな。
あ… はい。
そしたら うん…千遥ちゃんが見てもなつ姉ちゃんの話だって思うかもしれないしね。
うちの家族のことも知ってるわけだし。
そうだね…。うん。
是非 見てほしいよ… どこかで。
どこかで見てるって 私は信じてるから。
ちはるちゃんって ママの妹でしょ?写真の人でしょ?
そうだよ。
♪~
今度の物語だけど…。
ソラの話?そう…。
本当に 僕は 君の実体験と重ねるように描いてもいいと思ってるんだ。
えっ…。
いや そうしなければ君と作る意味がないとも思ってる。
十勝に行って 泰樹さんの話を聞いて開拓者精神の底には悲しみがあることを感じられた。人との結び付きを何よりも大切にする。他人を家族のように受け入れるその優しさが生まれることも知ったんだ。
それこそが 僕らの描くべき物語だと思う。
具体的に どうするの?うん…。
新しい登場人物を作る。どんな?
それは 子どもの頃の君であり泰樹さんでもある。
それに…千遥ちゃんでもあるかもしれない。
千遥も?うん。
いつかは 君と千遥ちゃんがまた 家族として結ばれることを信じて…。
家族であるかどうかは本当の家族かどうかではなくそれを望む意志があるかどうかなんだ。
それを描きたい。
そういう 自分のことのように物語を描くことに 抵抗はある?
私にとっては 自分の魂を絵に吹き込むことが全てだから…。
信じて ついていくだけです。
分かった。いい作品にしましょう。
それじゃ 一緒に 絵コンテ作ってくれる?
もちろん。
原作の「大草原の小さな家」になつ自身の経験も織り交ぜた新しい物語がなつたちの手から生まれようとしていました。
たき火の場所から 少年は耐えきれず飛び出してくるのはどう?
少年は 初めて涙を見せる。
ソラは 追いかける。
そして 2人が生み出す物語はようやく形になり始めたのです。
今回 制作進行で入ってもらう石沢さんと町田君です。
石沢裕也です。 よろしくお願いします。(一同)お願いします。
町田義一です。 よろしくお願いします。(一同)お願いします。
それから 動画チェックをしてもらう立山久子さん。
立山です。 よろしくお願いいたします。(一同)お願いします。
立山さんだけじゃ大変だと思うのでできるだけ 動画チェックは私も手伝います。
ここにいるのは メインスタッフだけで仕上げはもちろん 原画も動画も背景の作画も 外注に頼らざるをえません。
外注先と みんなとの間をこの石沢さんと町田君が行ったり来たりしてくれることでなんとか 製作は成り立ちます。
しっかり 締め切りは守りましょう。
(一同)はい!返事だけは すばらしい。
それじゃ 第1話の絵コンテが上がったので 配って下さい。
はい。
♪~
それでは ざっと1話目のストーリーを説明します。
まず 一家が旅をしています。
(坂場)荷物を荷馬車に積み荒野を走るのは父さんと母さんと妹そして 主人公のソラ。住んでいた場所を 洪水で流され新天地を求めていました。その旅の途中川に流されている少年を発見します。その時 少年の友達のリスが助けを呼ぶように鳴くんです。それに気付くのが ソラ。ソラは 父さんに助けを求める。少年は ソラの機転とその家族によって救われるんです。
(坂場)少年の名は レイです。
レイの家族は洪水によって流されていました。
孤児となったレイはソラたち家族と一緒に新天地へ向かって 旅をすることになる。
その少年も 主人公の家族として育っていくという話?
そうです。
ソラとレイ この2人の成長を通して開拓者家族の物語を描きたいんです。
♪~
物語に登場するキャラクターも固まりなつたちの作画作業がいよいよ進み始めました。
♪~
どう?うん…。
家族の表情は いいと思います。
だけど 荷馬車が…これでは まるで競馬場を走ってるみたいですね。
競馬場?
荒れた大地を走ってるような振動が感じられません。
一定のリズムで揺れるわけがないと思うんです。
いろんな大きさの石を踏むことだってあるでしょう。
その方が このワクワクとした旅を楽しむソラの表情も もっと生きると思います。
そういうリアリティーをおろそかにしないで下さい。
そこまで追求しだすと…。
子どもが見ても 大人が見ても本当だと思える表現をしたいだけなんです。
君の記憶と想像力ならそれができると信じています。
分かりました… やってみます。
お願いします。
♪~
よし…。
なつよ さあ どんなものができるのか私も楽しみだ。