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失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~ 作者:進行諸島

第二章

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第160話 最強賢者、作戦を告げる

「……よし、上手くいったな」


イリスが魔法を放った直後。

結界の中は一瞬で燃え上がり、赤く染まった。

イリスの魔法の効果範囲だけではなく、結界の中全体を焼き尽くす勢いだ。


「えっ!? ワタシの魔法って、こんな威力でましたっけ!?」


「いや、龍の姿ならともかく、その姿でこんな威力は出せない。今のは、小麦粉とかが燃えた結果だな」


「……小麦粉!? 爆薬とかじゃなくて、小麦粉ですか!?」


「ああ。小麦粉と空気を丁度いい具合に混ぜると、こんな感じで爆発するんだ」


前世では、粉塵爆発とか呼ばれてた現象だな。

空気と小麦粉を、上手い具合に混ぜるのは意外と難しいのだが、前世で練習したことがあったので、何とかなった。


というか、失格紋の魔法は自分の近くであればコントロールが効きやすいので、手元の小麦粉を空気と混ぜるには最適だったのだ。

他の紋章だったら、ここまで綺麗には燃やせなかった気がする。


「……さて、そろそろ消えるころか」


そして、俺が結界を用意した理由は、炎を結界の中に閉じ込めることだけではない。

空気も一緒に遮断するため、爆発が終わるとすぐに炎が消えて、状況の確認が出来るようになる。


「あー……ちょっと、生き残ってますね……」


炎が消えた結界の中を見て、イリスがそう呟く。

確かに、生き残ったのはいるが……戦えそうな敵は、もうあんまり残ってないな。


「ちょっと、面倒そうなのを処理してくる! アルマも、戦えそうな魔物を見つけたら弓で攻撃してくれ!」


「分かった!」


3人にそう言って俺は、魔物の中に突っ込み、生き残った敵の中で戦えそうな奴だけを倒していく。

10分も経たずに、作業は終わった。


「よし、これであとは死にかけの雑魚だけだ。普通の冒険者だけでも、簡単にとどめを刺せる」


「これだけ魔物が集まっている中で、よく区別がつきますね……みんな同じ魔物にしか見えないんですけど……」


「ボクも、ちょっとは倒せたけど、よく見ないと見分けがつかないよ……」


……ああ。

確かに魔物の状態の見分けには、ちょっと慣れが必要かもしれない。

慣れれば、まだ戦える魔物は殺気とかですぐ分かるんだけどな。


「そこは、しばらく戦ってれば分かるようになると思うぞ」


そう言って俺は、いったん言葉を切り――通信魔法を起動する。

ここからは、周りに聞かれては困るからな。

今のところ地上からは魔族の魔力を感じないが、盗聴系の魔法くらいはあってもおかしくないし。


『さて……ここからが本番だ』


『……いよいよ、魔族と戦うんですね』


『ボクも、頑張るよ!』


俺が宣言すると、ルリイ達が緊張した声で答えた。

だが今までの戦闘経験が効いてきたのか、緊張してはいても、ガチガチに固まってはいないようだ。


しっかり実戦を繰り返しておいて、正解だったな。

今までと違い、今回の作戦は、ルリイが軸になる訳だし。


『よし、じゃあいったん迷宮まで移動する! 魔法で姿を隠すから、いったん集まってくれ!』


『『『はい!』』』


通信魔法を聞いた全員が集まったところで、俺は隠蔽魔法を使い、俺達4人の姿を隠す。

そうして、迷宮へと走り始めた。


『移動しながら、作戦を伝えるぞ! よく聞いてくれ!』


ルリイ、イリス、アルマの3人が、緊張した表情で聞く中――俺は、今回の作戦を告げる。


『今回、俺達は二手に分かれる! 魔族のいる階層まで殴り込む班と、迷宮の龍脈に干渉して、魔族の魔法を妨害する班だ!』


それを聞いて、ルリイは一瞬考え……通信魔法に向かって叫んだ。


『ちょ、ちょっと待ってください! 二手に分かれるってことは、マティくんは片方だけってことですよね!?』


……その通りだ。

今まで、ルリイが魔法で戦う時には、基本的に俺がそばでバックアップについていた。


だが今回は、そういう訳にはいかない。

龍脈をしっかり扱うには場所や集中を維持する必要があるし、俺が龍脈を扱える場所に留まっていては、魔族本体を叩けないからな。


だが――ルリイには、1人で龍脈を扱うのに必要な技術を、すでに教えてある。

何でもできる……とまでは言えないが、ルリイがちゃんと今の力を発揮できれば、魔族を相手に妨害工作をしかけることは、十分可能だ。


『ああ。……魔族を倒すまで、龍脈関連の魔法は、全てルリイに任せる。アルマとイリスは、その護衛だな』


『わっ……分かりました!』


『ワタシも、頑張ってルリイさんをお守りしますね!』


『ルリイの場所には、ネズミ一匹通さないよ!』


俺の作戦に、ルリイは反対しなかった。

イリスとアルマも、しっかりと役目を果たすつもりのようだ。



――そう、話がまとまったところで、迷宮の入り口が見えてきた。


『よし、行くぞ!』

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