アルベドさん大勝利ぃ!   作:神谷涼

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 連携はクラス能力じゃない、プレイヤースキルなんで、全員身に付けられるはずと想定しています。もちろん、リアルと同じく個人差はあるでしょうが……。



27:みんな いっしょうけんめい たたかっている!

 ナザリック地下大墳墓、第六階層。

 円形闘技場(コロッセウム)

 

「うう……負けたぁ。納得いかなぁい」

「まー、二人で組んだら、こんなもんだよねー♪」

 

 プレアデスの一人、エントマがHPを半分以上削られ、敗北を宣言した。

 にやにやと勝利宣言したのは、クレマンティーヌだ。

 

「うぐぐ、エンちゃんまで……」

「ぶい」

 

 先に敗北したルプスレギナがショックを受け、姿を現したシズも勝利宣言をする。

 連携を意図したタッグマッチだった。

 

「今の状況を見たか? 少々意地悪な組み方をさせたが、これが連携の意味だ」

 

 観客席で、モモンガが目の前の面々に説く。

 外での活動が予期される面々と、モモンガの側仕えらがそろっていた。

 また、アドバイザーとしてニグンも参加を許されている。

 

「お前たちは個々において優秀な戦力だが、連携を知らん。これは大きな問題だ。事実、外部の人間と組んだシズが勝利し、プレアデスの姉妹同士で組んだルプスレギナたちが負けた。その理由が……コキュートスよ、わかるか?」

 

 NPCらを見回した後、もの言いたげなコキュートスへと問う。

 

「ハッ、シズハ戦闘開始カラ距離ヲ取リ、人間ハ前デ壁トナリ近ヅカセマセンデシタ。サラニ、勝者側ハ回復役ノルプスレギナヲ徹底的ニ狙イ、最初ニ撃破。エントマ、ルプスレギナ共ニ、完全ナ前衛デナク、カトイッテ後衛ニモナリキレズイタ点ガ、最大ノ敗因カト」

「おお、見事だ。コキュートス、よくまとめたな」

 

 機嫌よく頷く主に、他の面々も安堵する。

 連携の不手際で人間に後れを取り、さらなる失望を受けてしまうのでは……とNPCらは戦々恐々だったのだ。

 

「連携とは、生まれ持って得られる才能や能力ではない。お前たちはこれから戦いを経験し、最低限の連携を身に付けねばならん。その重要さは、先の魔樹討伐で身に染みたはずだ」

「オッシャラレル通リデス」

「魔獣の統率みたいにはいかないんですよねー」

 

 コキュートスに続き、アウラが唇を尖らせる。

 

「そうだな。多様な戦力を率いた集団戦術において、アウラは私より高みにいるだろう」

「い、いやっ、そんなつもりじゃっ」

 

 あたふたと否定するアウラだが。

 

「よせ。お前たち守護者は、各自の得意分野において私を凌駕する存在だ。でなくば、私がお前たちにナザリックを任せる意味もない」

「「あ、ありがとうございます……!」」

 

 階層守護者たちが感涙にむせぶ。

 

「より大きなスケールでの戦略において、デミウルゴスは私より遥か高みにいるだろう。個人戦闘における戦術の巧みさでは、私よりパンドラズ・アクターの方が優れるはずだ」

 

 それぞれが誇りを胸に、顔をゆるめる。

 

「だが、均一の兵力を率いるならば、ニグンはここの誰よりも優れるだろう。チェスのようなゲームならデミウルゴスが上だろうが、人心掌握も必要な実際の将としてならば、な」

「ありがとうございます!」

 

 ニグンがぴしりと立ち、頭を下げる。

 NPCらは嫉妬の目を浴びせるが、モモンガの評価こそ最重要と知っていれば、以前ほどは怯えずに済む。

 

「だが、連携では現状、私に勝てる者はいない……いや、先日の様子を見れば、連携以前の問題だな。お前たちも連携について知識だけでなく、身に着けた技術とせねばならん。私なりのねぎらいもさせてもらう。各自、メンバーを常に入れ替えて訓練をせよ。施設の過度な破壊は避けるように」

 

 全員に命じ、メンバーを固定せずに戦術を自ら編み出せるようさせる。

 

 

 

 回復魔法を受けたクレマンティーヌが戻れば、モモンガは人間二人に問うてみる。

 

「二人には、どう見えただろう?」

 

 闘技場ではNPCたちがいくつかのチームを作り、対戦訓練をしている。

 

「何と申しますか……法国の漆黒聖典に似ております」

「そーだーねー。特に新入りってあんな感じだよー。隊長も昔はやんちゃだったーって聞くしぃ……あー、あの番外ちゃんは今もそーかなー?」

 

 遠回しに、能力に振り回されている感を述べる。

 

「なるほどな。せめて、話に聞く冒険者のような動きを身に着けてほしいものだが」

 

 思案する。

 

「守護者の方々は自身の専門分野もお持ちです。現場の連携まで習得するは困難とも思いますが」

 

 ニグンが進言する。100レベルという高みにある守護者たちは、確かに強いが、それ以上に知性や人望を武器とすべきでは、と見ているのだ。

 

「確かにデミウルゴスやアルベドはそれでもいい……だが、問題のシャルティアらの存在意義は戦闘力だ。少なくともシャルティアとコキュートスは、連携を身に付ける必要がある。法国や竜王が接触してきた折、侮られてはならんからな」

 

 溜息をつく。

 

「モモンガちゃん真面目だねー……っても、風花聖典は動いてるんだっけー。様子見が終わったら、接触してくるよー」

「ええ。少なくともセバス様とユリ様には間違いなく……カルネ村で箝口令を出してもいない以上、地上部にたどり着くのも時間の問題でしょう」

 

 クレマンティーヌの馴れ馴れしい態度に眉をしかめつつ、ニグンもまた頷いた。

 

「漆黒聖典や竜王に比較して、我らはどう見える? 世事はいらん」

「いやー、少なくとも番外ちゃん以外、相手にもなんないよー。ここに来た時の私と同格の連中ばっかだもん。あのメイドちゃんたちで十分だと思うけどー?」

「そうですね。私も漆黒聖典の強さを見ていますが、アルベド様たちなら一人でも蹂躙できるかと。番外席次のみ警戒すべきですが……そもそも、接触時点で漆黒聖典が直接来る可能性は低いでしょう。それらしき集団の警戒に当たれば十分と考えます」

 

 多少不安を抱えつつ、モモンガは頷く。

 

「そして、竜王については、わからんか……」

 

 二人が黙って頷いた。

 実際、人間の中にそれを知る者はまずいないのだろう。

 王国の者たちも、フールーダなる帝国の魔術師も、知らないという。

 

「そういえば、蒼の薔薇という冒険者らを呼び寄せることになったが……知っているか?」

「蒼の薔薇……ですか」

「アダマンタイト級冒険者だねー。まあ、今じゃたいした連中とは思えないかなー。今の私でも二人くらいは相手にできると思うよー?」

 

 言葉を濁すニグンと対照的に、クレマンティーヌが快活に答える。

 チラ、と見る闘技場ではセバスとコキュートスが激突し、シャルティアとマーレの魔法支援が飛び交っている。神話の如きこの戦いに比べれば、漆黒聖典など棒を振り回すだけの子供だ。

 

「ニグンは何か因縁があるのか? 彼女らが来る間、離れておいてもらってもいいが……」

「実はこの顔に傷を付けられた縁でして……元は法国の部隊としての任務中のこと。彼女らが私に思う所なくば、問題はないのですが……」

「あー、どっちにしても変な気、使いそーだよねー。陽光聖典は席を外してもらった方がいいんじゃなーい?」

 

 陽光聖典全体となると厳しい。

 何と言っても現状、ナザリック地上部の住人といえばニグンたち陽光聖典、カジットとその弟子、六腕(の5人)、そしてハムスケしかいない。増やすとしても、クレマンティーヌとデミウルゴス配下の女淫魔(サキュバス)程度。おそらく増やした方が、あやしい集団になる。

 

「……いや、件の王女殿とは腹を割って話をするつもりだ。護衛たる彼女らにも、しっかりと現状を見てもらった方がいいだろう。変に隠せば、後々のためにもならん」

 

 少し考え、決断する。

 蒼の薔薇の一人とは、既にクレマンティーヌ同様近づくつもりでいる。

 いらぬ秘密を抱えてはよくない。

 

 しばらくそのまま、二人の助言を聞きつつNPCらの戦いを分析すると。

 モモンガは〈転移門(ゲート)〉を開き、ニグンを地上へと送った。

 そして。

 

 

 

「モモンガちゃんって、ちょーっと、かーっこいーかなーって思ったのに……ほーんと、相変わらずだねー」

「な、なんのこと、だっ」

 

 私室に戻るのかと思いきや、闘技場の通路で魔法を使い、音を消し。

 モモンガは壁に手を突いて、腰を突き出してきたのだった。

 既にさんざん関係を持ち、50レベルに近づいたクレマンティーヌである。

 期待される行為がわからぬはずもない。

 何より、モモンガの白い尻が誘うように自ら揺れている。

 

「アルベド様が訓練してる間に、モモンガちゃんはナニしてるってわけー?」

「だ、だってぇ、あんまりするとアルベド様に迷惑ってぇっ」

 

 許可も求めずローブをめくる、クレマンティーヌ

 容赦なくねじ込んで、激しい粘液音と共にいじめてやれば。

 モモンガの声は蕩け、支配者の振る舞いも崩れる。

 

「こぉーんな雌の匂い、ぷーんぷんさせてさぁー♪」

「ひぎゅっ! ひぎゅぅっ♡♡♡」

 

 簡単に身を跳ねさせる。

 ひたすら性的経験値でレベルアップしているクレマンティーヌは、性的クラスを多数極め、ナザリックで随一の色事師となりつつあった。

 人間経験こそ低いが、小手先の技巧ではヒルマを超えている。

 特に、何度も相手したモモンガを絶頂させるのは、手慣れたものだ。

 

「まー、このギャップがかわいいんだけどねー。あのアルベド様より偉いって聞いた時は慌てたよー? モモンガちゃん、もっとこのギャップを武器にしてもいいのにねー♪」

「武器? 武器ってぇ、へぇぇっ♡♡」

 

 腰を突き出すモモンガに覆いかぶさり。

 長い舌で、びちゃびちゃと耳朶を舐めてやりながら囁く。

 

「すっごく偉くてかっこいいのにさー、実はどーしよーもない……クソマゾ雌ってことだよ」

「いっぎぃぃぃぃぃぃぃ♡♡♡」

 

 最後に冷たく罵り(なじ)りながら、敏感なところをきつく抓れば。

 モモンガは膝を震わせ、ちょろちょろと尿を漏らし、絶頂するのだった。

 

「ほーら、汚れた床にへたりこんじゃダメだよー♪」

「ゆ、ゆるしてぇ、クレマンティーヌ様っ♡」

 

 そのままずるずるとへたり込みそうなモモンガを、抱え支えて。

 クレマンティーヌは、にやにやと、そのまま攻め続ける。

 

「はー、まーったく、みんな訓練で大変な時にナニやってんすかー?」

 

 ルプスレギナが、いつの間にか横にいた。

 嗅覚に優れた彼女は、モモンガの淫臭を嗅ぎつけてやってきたのだ。

 

「あはっ♪ さっきはごめんねー、ルプー先輩。前の方は差し出すから許してー♪」

「ふぇっ!?」

 

 しかし、クレマンティーヌは取り乱さず。

 モモンガを抱え、差し出すようにする。

 二人は、ベッドでの嗜虐心を通じて仲良くなっていた。

 

「ほーん、これは美味しそーっすね。じゃあ後輩の差し入れをいただくとするっす♪」

「ひゃっ!? る、ルプスレギナ様っ?」

 

 失禁した直後のそこに顔を近づけるルプスレギナに、狼狽する。

 脚を閉じようとするが。

 

「ほら、先輩どうぞー♪」

 

 クレマンティーヌが逆に広げてくる。

 

「ひやあああっ♡」

「うひひひ、絶景っすねー♪」

 

 二人がかりの攻めに、鳴かされ続けるモモンガだった。

 

 そしてもちろん、この間もナザリックの守護者たちはがんばって連携訓練を続け。

 地上に戻ったニグンも、蒼の薔薇の対処に悩みつつ、守護者らの邪魔にならぬよう陽光聖典全体での訓練を始めていた。

 




 そろそろNTR性癖くらい目覚めててもおかしくないですね……アルベドさん。

 アルベドさんが「様」付けを受け入れて以来、ベッド組では「様」呼びされてもプレイの一環ですまされています。
 アルベドとソリュシャンは、微妙な気分で呼ばれてますが。
 シャルティアとルプーは、ノリノリです。
 そのへんもあって、シャルティアは原作以上に調子に乗ってました。

 クレマンティーヌは、モモンガさんがトップと聞いて驚きましたが、王=最強ってものじゃないので、そういうもんかと思ってます。モモンガさんがオーラ全開にするだけで即死させちゃうようなヤバイ人ととは知りません。

 ニグン&カジットは地上で、健全なスローライフしてます。

 そして、このモモンガさんは目的こそアレですが、ガチで100年後とか1000年後を見越して行動してます。全てはアルベドさんとの幸せな生活のために!

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