「ノンリコースローン、メザニンローン、シニアローン」の違い、特徴等を比較解説

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住宅ローンにアパートローン、リバースモーゲージなど、不動産に関わる金融商品は数多くあります。ただ、不動産投資関連のローンに「ノンリコースローン、メザニンローン、シニアローン」があるのをご存知の方は少ないのではないでしょうか。それもそのはず、いずれも事業性が強いため、個人が気軽に利用できない可能性が高いローンなのです。

そこでまずは、「ノンリコースローン」「メザニンローン」「シニアローン」とは何かを把握しましょう。分かりやすく解説するため「個人投資家が利用する場合」という視点で解説します。

ノンリコースローンとは?

ノンリコースローンとは、返済の義務を財産の範囲に限定する融資方法です。毎月の返済に関しては財産から得られる利益に限定、債務が返せなければ担保物件を売却すれば返済完了となります。ノンリコースローンは返済原資が限られるため、金融機関側にとってリスクの高い商品となっています。そのため日本では、積極的にノンリコースローンを提供する金融機関が極めて少なく、唯一、三井住友銀行が個人向けのノンリコースローンを提供しています。

では、三井住友銀行が提供しているノンリコースローン「直担アパートローン(責任財産限定特約型)」を基に、ノンリコースローンの主な特徴を見てみましょう。

メリット ・返済できなくなっても個人の財産にまで影響しない
・保証人不要であることが多い
・個人の収入や属性まであまり審査しない
デメリット ・普通のアパートローンなどに比べて返済期間が短い
・金利は高く設定されがち
・審査では物件が重要なため良質な物件でないと融資が受けられない
金利 変動金利/固定金利
借入年齢 20~70歳の誕生日までで完済時年齢が満80歳
保証人 不要
借入期間 1~35年
審査度合い 厳しい

日本ではあまりノンリコースローンの活用事例がありませんので、あくまで上記は目安として考えましょう。銀行側にはリスクの高い商品ですが、利用者は返済の責任が限定的にできるメリットがあります。いざ不動産投資で失敗したとしても、破綻を免れれば生活まで逼迫するということがありません。

【参考】三井住友銀行 直担アパートローン(責任財産限定特約型)

メザニンローンとは?

メザニンローンは、分かりやすく言うと「劣後ローン」です。劣後とは「返済の優先度が後である」という意味で、自己資金と借入では資金が足りない時に利用されるローンです。メザニンは「中二階」という意味を持っており、返済の優先度が「真ん中」という意味からメザニンローンと呼ばれています。

メザニンローンは不動産クラウドファンディングなど、事業性の強い不動産が主な対象。そのため個人向けの商品はほぼ皆無です。ただ日本政策金融公庫が提供する「資本性ローン(挑戦支援資本強化特例制度)」が劣後ローンにあたるため、個人が唯一利用できるメザニンローンと言えるでしょう。では日本政策金融公庫の資本性ローンを基に、メザニンローンの主な特徴を見てみましょう。

メリット ・資金調達の幅が広がる
・借入期間中は利息のみを支払えばよい
・投資のタイミングを逃さない
デメリット ・金利が高め
・審査が厳しい
・金利が毎年見直しされるため金利上昇のリスクがある
金利 1.0~6.2% ※借入期間や事業の経常利益率により変動
借入年齢 特になし
保証人 不要
借入期間 5年1ヵ月以上15年以内
審査度合い 厳しい

メザニンローンは債権が「劣後」であるため、やはり金融機関は金利を高めに設定します。ただ上記の資本性ローンに関しては、事業の利益が少ないうちは金利を低めに設定してくれる特徴があるので魅力的なローンと言えるでしょう。
ただしメザニンローンは事業性の強いローン。個人の不動産投資で融資を受けるのは難しい可能性があるため、融資に過度な期待はせず計画性を持って利用を検討したほうが良いでしょう。

【参考】日本政策金融公庫 挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)

シニアローンとは?

シニアローンとは、従来方式のローンと考えれば良いでしょう。前述のノンリコースローンは返済の責任が担保に設定した資産に限定されます。メザニンローンは他の債権より優先度が低いローンです。つまり、シニアローンはどの融資方式よりも債権の優先度が高いローンを指します。シニアローンも事業に対するローンであるため、個人向けの商品はありません。

主に証券化不動産や開発を行うデベロッパーが利用するローンと考えましょう。従来型のローンということで特徴らしい特徴もありません。ただ債権の優先度が高いことから、他のローン商品と比べて金利が低めという点は特徴の一つと言えるでしょう。金融機関側のリスクが低くできるため、金利を低く設定しやすいのです。

ノンリコースローン、メザニンローン、シニアローンは事業用不動産向け

ノンリコースローンやメザニンローンについては個人向けの商品も合わせてご紹介しました。シニアローンの解説にもあるように、基本は事業用不動産や証券化不動産などで利用されるのが一般的です。個人向けの商品はほとんどありません。もちろん不動産投資が成功して、十分に事業として見なされる規模になったら個別に融資相談ができる可能性はあります。

実際、金融機関のほとんどはご紹介したローンを法人向けとして提供しており、個人事業では難しいと考えたほうが良いでしょう。不動産投資をビジネスとして捉え、十分な利益を上げられるのが大前提。その上で不動産投資を法人化し、金融機関に打診してみるのがご紹介したローンを利用する最初の一歩になるでしょう。

Source: 不動産投資を考えるメディア

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